先日従姉妹の結婚式に出席してきた。
私にとっては生まれて初めての結婚式だった。
結婚式に呼んでくれる程親しい友人は少なく、親しい友人はなかなか結婚しない。
近しい親戚もなかなか結婚しない。
親戚の中で同世代では27歳の私が一番年下だが、今回の従姉妹が初めての結婚だった。
両家の親戚だけによる内輪の結婚式だったが
親戚が集まるといえば葬式か法事といった暗い行事ばかりだったので、
久しぶりの明るい行事は皆楽しそうだったし、私も楽しかった。
従姉妹は子供の頃リトルリーグに所属していたほどボーイッシュな女性だが、
ウェディングドレス姿はとても綺麗で、伯父とヴァージンロードを歩く姿はとても感動的だった。
システム化された西洋式の演出に負けてはならないと内心思っていたが、
そこにはやはり強く胸を打つものがあった。
式は平日に横浜で行われたため、私は当日愛知から新幹線で会場へ向かった。
新横浜駅を降りて、招待状に同封されていた地図を開いた。
私は会場が新横浜にあるホテルだと勝手に思いこんでいたが、
よくよく地図を見てみると、そこには横浜中華街の地図が描かれていた。
どうやら場所を違えたらしい。
約束していた集合時間はすでに過ぎていたので、
私は遅れる旨の連絡をして再び電車に乗って、中華街へと向かった。
遅れたといっても式が始まる時間には十分間に合う。
ただ私には、披露宴で新郎新婦の入場時にトランペットを吹くという役が与えられており、
一緒にピアノで演奏する音大出の新婦の母、つまり伯母と
早めに集まって練習しようという話になっていた。
トランペットを吹くのは大学を卒業して以来5年ぶりなので
まともに音は出ないし、特にスタミナが全く続かない状態だったが、
親戚だけの内輪の式だったし、余興の一つということで引き受けることにした。
約束の時間から30分遅れで会場に着いた。
早速伯母と練習しようと思ったが、あいにくピアノがある部屋は準備中で入ることが出来ず、
離れの部屋で、一人ウォーミングアップを入念に行い本番に備えた。
教会での式が終わり、披露宴の会場へと向かう。私にとっての本番が近づいてくる。
意外に小さな会場、入り口から新郎新婦の席までは15mあるかないか。
この位の距離を歩く時間だったら何とかスタミナがもつかもしれない。
部屋の隅にある電子ピアノの横に譜面台を立て楽譜を置き、時が来るのを待った。
皆席に着き徐々に静まる会場、司会役の私の姉が軽く挨拶をしてから言った。
「新郎新婦の入場です」
その言葉を合図に私は深く息を吸い、音が出ることを祈ってトランペットに息を吹き込んだ。
何とか音が鳴り、5年ぶりにしては上々の出だしだった。新郎新婦が会場に入ってくる。
ところが私に続いて入ってくるはずの伯母のピアノの音が聞こえて来ない。
伯母は電子ピアノの操作がわからず慌てていた。
ピアノもメロディを弾くので、仮に私がスタミナ切れになっても音がなくなる心配はないと思っていたが、
結局は私のソロという状況になってしまい、恐れていたスタミナ切れは意外にも早かった。
新郎新婦が席に着く前に演奏は消え、つられて拍手も消えた。
静寂の中を新郎新婦は少し戸惑い気味に歩みを進めて席に着いた。
「ごめんね」と伯母。結局伯母とは一度も合わせることなく終わってしまった。
申し訳ないことをしたと少し思ったが、余興の一つだからご愛嬌ということで気を取り直し、
席に戻って美味しい料理を頬張り、他の人を余興を楽しみ、みんなで写真を撮って、
私にとって人生初の結婚式は終わった。
世の中には様々な結婚式がある。多分カップルの数だけあるのだろう。
その中で私が体験できる結婚式は多分この先も少ない。
次に結婚式に出られるのいつの日か。そこにはどんなドラマが待っているのだろう。
楽しかった結婚式の余韻を胸に、新幹線に乗って愛知に帰った。
私にとっては生まれて初めての結婚式だった。
結婚式に呼んでくれる程親しい友人は少なく、親しい友人はなかなか結婚しない。
近しい親戚もなかなか結婚しない。
親戚の中で同世代では27歳の私が一番年下だが、今回の従姉妹が初めての結婚だった。
両家の親戚だけによる内輪の結婚式だったが
親戚が集まるといえば葬式か法事といった暗い行事ばかりだったので、
久しぶりの明るい行事は皆楽しそうだったし、私も楽しかった。
従姉妹は子供の頃リトルリーグに所属していたほどボーイッシュな女性だが、
ウェディングドレス姿はとても綺麗で、伯父とヴァージンロードを歩く姿はとても感動的だった。
システム化された西洋式の演出に負けてはならないと内心思っていたが、
そこにはやはり強く胸を打つものがあった。
式は平日に横浜で行われたため、私は当日愛知から新幹線で会場へ向かった。
新横浜駅を降りて、招待状に同封されていた地図を開いた。
私は会場が新横浜にあるホテルだと勝手に思いこんでいたが、
よくよく地図を見てみると、そこには横浜中華街の地図が描かれていた。
どうやら場所を違えたらしい。
約束していた集合時間はすでに過ぎていたので、
私は遅れる旨の連絡をして再び電車に乗って、中華街へと向かった。
遅れたといっても式が始まる時間には十分間に合う。
ただ私には、披露宴で新郎新婦の入場時にトランペットを吹くという役が与えられており、
一緒にピアノで演奏する音大出の新婦の母、つまり伯母と
早めに集まって練習しようという話になっていた。
トランペットを吹くのは大学を卒業して以来5年ぶりなので
まともに音は出ないし、特にスタミナが全く続かない状態だったが、
親戚だけの内輪の式だったし、余興の一つということで引き受けることにした。
約束の時間から30分遅れで会場に着いた。
早速伯母と練習しようと思ったが、あいにくピアノがある部屋は準備中で入ることが出来ず、
離れの部屋で、一人ウォーミングアップを入念に行い本番に備えた。
教会での式が終わり、披露宴の会場へと向かう。私にとっての本番が近づいてくる。
意外に小さな会場、入り口から新郎新婦の席までは15mあるかないか。
この位の距離を歩く時間だったら何とかスタミナがもつかもしれない。
部屋の隅にある電子ピアノの横に譜面台を立て楽譜を置き、時が来るのを待った。
皆席に着き徐々に静まる会場、司会役の私の姉が軽く挨拶をしてから言った。
「新郎新婦の入場です」
その言葉を合図に私は深く息を吸い、音が出ることを祈ってトランペットに息を吹き込んだ。
何とか音が鳴り、5年ぶりにしては上々の出だしだった。新郎新婦が会場に入ってくる。
ところが私に続いて入ってくるはずの伯母のピアノの音が聞こえて来ない。
伯母は電子ピアノの操作がわからず慌てていた。
ピアノもメロディを弾くので、仮に私がスタミナ切れになっても音がなくなる心配はないと思っていたが、
結局は私のソロという状況になってしまい、恐れていたスタミナ切れは意外にも早かった。
新郎新婦が席に着く前に演奏は消え、つられて拍手も消えた。
静寂の中を新郎新婦は少し戸惑い気味に歩みを進めて席に着いた。
「ごめんね」と伯母。結局伯母とは一度も合わせることなく終わってしまった。
申し訳ないことをしたと少し思ったが、余興の一つだからご愛嬌ということで気を取り直し、
席に戻って美味しい料理を頬張り、他の人を余興を楽しみ、みんなで写真を撮って、
私にとって人生初の結婚式は終わった。
世の中には様々な結婚式がある。多分カップルの数だけあるのだろう。
その中で私が体験できる結婚式は多分この先も少ない。
次に結婚式に出られるのいつの日か。そこにはどんなドラマが待っているのだろう。
楽しかった結婚式の余韻を胸に、新幹線に乗って愛知に帰った。