くぬぎのたろぐ

くぬぎ太郎の日常的視点

医者はどこだ

2017-08-26 17:08:06 | Weblog
飼い猫のリンが何となく元気がないものですから、梅雨から夏にかけて何度か病院へ連れて行きました。
近所の病院はイマイチだというので、歩いて40分程のちょっと離れた病院へ。
キャリーバックも含めて4kgくらいでしょうか、夏の炎天下にずっと持って歩くのはなかなか骨の折れることでございます。
バスに乗れれば楽な道のりなのですけれど、年を取ってからは電車や車などの乗り物が苦手になってしまったようで、仕方なく徒歩で行くしかないのです。

もはや車のエンジン音が近くで鳴っているのもストレスに感じるようで、交通量が多い道を歩くとキャリーバックの中で下痢をしてしまい、その臭いを嗅いで今度は嘔吐するというダブルパンチ。
途中途中でキャリーバックから出し、下に敷いたトイレシートを交換、トイレクイックルで汚れを拭き取るという作業を2、3回繰り返します。
こんなことを電車やバスでされてはたまったものではありません。

それでも何とか病院までたどり着ければいい方で、あまりにひどい時は途中で諦めて引き返します。
そんな時は「あの苦労は何だったのだろうか…」と、猫も人間も絶望に打ちのめされ、帰宅後はみんな床に倒れ込んで眠りにつくのです。
あ、倒れこむ前に、妻が汚れたリンを大嫌いなシャワーで洗い、傷心のリンは人間不信になって玄関で丸まったまま一日中帰ってこなくなったりと、とにかく病院へ行くのは一大イベントなのでございます。

何とか騒音など刺激のない道をグーグルマップで探し、本来越える必要のない山を越えて遠回りしてみたり、信号がない道路を横断する際は妻が交差点に立って「待て」「来い」などのジェスチャーを出して、少し離れた物陰でリンを持って待つ私に合図をしたりと、それは涙ぐましい努力を重ねてまいりました。

未遂を含めれば5回くらい病院へ行ったでしょうか。
ここに来るまでの苦労話を獣医さんにも度々していたのですが、ある日いつもと違う先生に診てもらった際に、「それでしたら往診もできますよ」と一言。
「早く言ってよ、それ…!!」私も妻も心の中で絶叫しました。

2000円前後割高になるようですが、病院へ行くのにかかる労力と時間を天秤にかければ迷う余地はありません。
次回からはぜひ往診でよろしくお願い致します。

そして何だかんだありましたがリンは今日も元気です。

長財布

2017-08-19 13:08:52 | Weblog
男性では珍しいかもしれませんが、私長財布を愛用しております。
お札を折らずにしまうことでお金に対する敬意が生まれてお金持ちになれる、そんな話をネットニュースだったか本で読んだのがきっかけでございました。
結果的にお金持ちになれたかというと、、、結果はまだ先のようです…。
ただ、お金を折らずに綺麗にしまっておけるのは確かに気分がいいのは確かなようです。

こういうお金と財布に関するジンクスのようなものは意外と気になる性格なのか、他にもお札を金額ごとに並べる順序や、お札を入れる向きなども自分の中にルールがあります。
この順序と向きを揃えるという行為が、日常生活で財布を扱う上ではなかなか面倒だったりするのです。

例えばお店で買い物をしてレジでお釣りを受け取る時などです。

受け取ったらスッとスマートに財布にしまいたいので、受け取る手の向きが大事になってきます。
時にはお札を差し出した店員の側に手を回して、親指が下にくる不自然な向きで受け取らざるえない状況もあり、店員から「なんだコイツ…!?」という目で見られることもしばしばです。
私の方でも「ちゃんとした向きで差し出せよ…!」と思いながらも表情には一切出すことはなく、お金を持ち替えたりすることなくクールに長財布にしまうのです。

長財布の欠点といえば持ち歩きに困ることでしょうか。
ズボンのポケットに入れると飛び出てしまって不用心なため、出かける時は必ず何かしら財布を入れるバッグを持ち歩かなくてはなりません。
本当にちょっとした用の場合は小脇に財布を挟み、さながら丸の内のOLのようなスタイルで出かけるのでございます。
長財布を使い始めてからここ何年も手ぶらで出歩いたことがなく、考えてみれば不便な代物ですね。

しかし長財布に慣れてしまうと今更折りたたみの財布に戻ろうという気にはなれません。
不思議なものです。
やはりこの長財布の使いきれていない空き容量の多さが将来お金が入るスペースに見えてきて、庶民にささやかな希望を与えてくれるのでしょうか。

サイドカット

2017-08-11 18:33:23 | Weblog
先週に引き続き「中学生らしい」髪型について少々。

私が通っていた中学校は、男子生徒は丸刈りと校則で決められておりました。
小学校の卒業式頃から丸刈りに変化する同級生が現れ始め、中学校の入学式までには全員が丸刈りになっているのです。
オシャレに興味を持ち始める年頃なのに、まるで徴兵でもされたかのような仕打ち…。
いま思えばよくも大人しく従っていたものだなと思いますが、「みんながそうしているから」という集団心理は強力なものでございます。

この強制的な丸刈り、当の生徒達はどう思っていたのか。
私や近しい友人などは、校則で決まっているし昔から中学生はそういうものとして育っているので、嫌だけど3年間の我慢だという感覚が強かったように思います。
でも年頃ですから、心底嫌だった生徒も少なくなかっただろうということも、想像に難しくはないでしょう。
生徒会でも度々この校則の撤廃を求める動きがあったように覚えています。

そして転機は訪れたのです。
確か私が2年生だった2学期の終業式だったかと思います。
なんと髪型の自由化が発表されたのです。

この発表に男子生徒はみんな大喜びの大歓声。
それはもう東京がオルンピックの開催地に選ばれたときのような騒ぎでございました。
全校生徒が千人を超えるマンモス校でしたが、みんながこれだけの一体感を感じたことはそうそうなかったと思います。

どういう髪型にしようか、人それぞれに理想のイメージを思い浮かべたことでしょう。
しかし何はともあれ、まずは短く刈り込まれた髪の毛を伸ばさなくてはなりません。
すべての話はそれからです。

丸刈りの状態からそのまま髪の毛を伸ばしていくと、ある時点で限界が訪れます。
全方位に髪の毛が伸びた状態はとてもむさ苦しく、オシャレとはほど遠い印象になります。

そんな丸刈りから長い髪型への過渡期に登場するのが「サイドカット」と呼ばれる髪型でした。
これは前髪と上の毛には手をつけず、横と後ろだけを刈り上げるというスタイルです。

どこまで一般的な髪型なのかわかりませんが、その見た目はザンギリ頭というか、大正時代の書生というか、今見たらとてもオシャレとは言い難いものでしたが、当時は早く髪を伸ばして床屋に行き「サイドカットでお願いします」と口にすることが、男子生徒の当面の目標となっていました。

床屋でサイドカットにしてもらい、暫くして再び髪が伸びてきたらようやく自分の思う髪型へとチャレンジしていけるわけでございます。
ある人は流行りの髪型に挑戦したり、ある人は小学校時代の髪型に回帰していったり、それぞれに「中学生らしい髪型」を模索していったのでございました。

ちなみに私は直毛で剛毛なものですから、サイドカットにしたら石川五右衛門のようでございましたね。

中学生らしさ

2017-08-05 11:57:04 | Weblog
先週の流れで中学校の思い出話を少々…。

当時私は福島県の田舎にある中学校に通っていました。
そもそも福島県自体が田舎なわけですが、その中では中核都市と言っていいのか、都会でもないし田舎でもない、そんな地域でした。

男子は学ランに学帽、女子はセーラー服。
学校指定の青いナイロン生地のリュックを背負い、サブバックと呼ばれる同じく学校指定の手さげかばんを持つのが基本的な通学スタイルでございます。
制服の胸ポケットには学校名と氏名が印刷されたネームプレートが縫い付けてあり、そんな姿を見た横浜在住の従兄弟に「だせぇ!」と笑われたのを覚えております。

しかし私が住んでいた地域ではそれが「中学生らしい」スタイルだったのです。
そしてこの「中学生らしい」スタイルの最たるものこそ、男子生徒に課された髪型の指定でした。
そう、男子生徒は例外なく丸刈りにしなくてはならなかったのです。
いわゆる坊主頭ですね。

断っておきますが、素行に問題のある生徒が集められた全寮制の学校ではありません。
ごく普通の公立中学校のお話でございます。

手を開いた状態で頭に置いた時に、指と指の間から髪の毛が出るとそれは丸刈りとは認められません。
校則違反となるので早く散髪に行くように先生から命じられます。
従わない場合は「生徒指導室」という部屋に監禁され、首を押さえつけて無理やり丸刈りにされるわけですから、何とも荒っぽい学校でございました。

散髪といっても坊主頭なので、バリカンがあれば家でもできますし、面倒な場合は床屋にいく生徒もいました。
私はほぼ毎回床屋に行っていたと思います。

床屋に行くと、理容師の人も髪型を見れば中学生だとすぐに分かるので、「今日はどんな髪型にしますか?」とは聞いてきません。
「何分刈りにしますか?」と聞いてきます。
「何分(なんぶ)」とは長さのことです。

いまだにこの「何分」の基準はよく分かりません。
んー、でも10分になるともう校則違反を疑われる長さだったと思うので、指の太さを基準にしていたのでしょうか。

おおよその目安は次の通りです。

10分刈り=校則違反
7分刈り=坊主にしてはちょっと長くてオシャレ度高め
5分刈り=ベーシックな坊主
3分刈り=清涼感のある爽やか坊主
1分刈り=何か悪いことをしたのか心配される短さ
5厘刈り=バリカンでできる極限の短さ。懲罰を受けたことが一目でわかる悪者坊主

このように坊主といっても、その長さに応じて様々な意味を表しており、個人のこだわりも反映されてくるわけでございます。
髪は短いけど実に奥が深いですね。

もう少し書きたいことがありますが、長くなってしまったのでこの辺で。
続きはまた来週とさせていただきます。