ヤングキングアワーズ 2015年2月号より
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以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)
●ナポレオン -覇道進撃- (長谷川哲也 先生)
コミックス8巻、2月発売! そんな今回、フリートラントの戦いです。
兵力を分散させていたナポレオンでしたが、
ロシア軍の将軍ベニグセンがミスを犯したことを察知し、戦いを仕掛けることに。
セオリー通りに軍を集結させてから戦いを挑むべきとする周囲の進言を
一喝してまで、好機を逃さないナポレオンの軍才を、感じさせますね~。
少し焦っているようにも見えるナポレオン。
何が彼をせかすのか・・・ その答えは、ラストで明かされるわけですが、
アイラウでの苦戦を引きずるがゆえの、納得ゆく内容でありました。
ネイ元帥の活躍。
フリートラントの戦いで活躍したのは、ネイ元帥!
ではあるのですが、彼がナポレオンから命じられたのは、
ただ町を目指してひたすら前進しろ、ということでしたが・・・
ここで、ネイが笑みを見せていたのは印象的。
たったそれだけに命令に不安がることも、疑問を持つこともなく、
むしろ簡潔な命令内容に、喜んでさえいる様子。
これは、彼が自己の裁量で戦えることを、
心待ちにしていたということなのでしょうかね。
この後、ナポレオンが語るネイの本質を聞くと、何となく得心できる気がします。
しかし、そんな風に高揚を抑えきれない様子のネイを眺めながら、
ジョミニさんが「元帥にとっちゃあ戦いは神聖」なものだと、
高尚な話をしたかと思いきや、その直後にネイが「神聖」を
ぶち破っていたのには大笑いでしたよ゜(*゜´∀`゜)゜ いや、それでこそですよね。
日没時に開かれた戦端!
午後5時、進軍を開始したネイの軍団。
こんな時間に戦闘を仕掛けてきたナポレオンに
脅威を覚えつつも、応戦するベニグセン将軍。
ネイ軍団は、銃撃の嵐が襲ってこようとも、ただ前進あるのみ。
相変わらず冷や冷やさせられる戦闘ですけど、
ネイに銃弾が当たることはなく、兵士たちが次々倒れて行っても、
涼しい顔で進軍をつづけているあたり、豪傑といった風格でしたね。
フリートラントと、マレンゴ。
このフリートラントの戦いは、あのマレンゴの戦いと同じ日に行われたもの。
さらに奇しくも、状況まで酷似しているとあって、ナポレオンの心には、
在りし日の親友・ドゼーの姿が・・・
ここでナポレオンが、純粋に栄光を求めるネイに、ドゼーの魂の一部が
「入ったのかも」と考えていることは、ネイへの高い評価を感じさせますね。
だからこそ、「死ぬなよ」なんてセリフが、いっそう感慨深かったりも・・・
ナポレオンにとって、ドゼーは特別な存在ですから、
彼に関連付けて評価されることは、最上級の誉れと言えるかもしれません。
以前、スルトのドゼーの姿を重ねて見ていたこともありましたけど、
スルトのせよ、ネイにせよ、高い評価を得た人物たちが、
どのような功績をあげ、または後にナポレオンを失望させたかを考えますと、
ちょっと興味深いかもですね。
激戦となった進軍!
ネイは、ひたすら前進しようとしますが、
側面を突かれるなどして、なかなか思うようにはいかず・・・
そこへ、ド・セナルモン率いる砲兵が援軍に駆け付け、
至近距離からの砲撃をかますなど、命知らずな行動が痛快でありました!
いや、戦闘自体は凄惨でろくでもないものなんですけどね(^^;
そして、ネイが「ゴール」へたどり着いたことで、この戦いの帰趨は決し、
ナポレオンはご満悦、ベニグセンは煮え湯を飲まされた表情と、
2人の様子から、アイラウの時とは異なる結果を感じることができます。
ナポレオンが、この戦いで“欲していたもの”も手に入り、
諸国に対し優勢になってゆくわけですが、さて、そこからどうなってゆくのか・・・
まずはティルジットの和約でしょうか? いずれにせよ、今後も楽しみです!