五里霧中

★ マンガなどの感想 ★

◆ 今月のナポレオン

2012年11月02日 | ◆[不定期] ヤングキング・アワーズ

ヤングキングアワーズ 2012年12月号より

 今月の『蒼き鋼のアルペジオ』感想はこちら

 今月の『僕らはみんな河合荘』感想はこちら

 

 

以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)

 

 

 

 

 

●ナポレオン -覇道進撃- (長谷川哲也 先生)

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 平和の終わり。

 アミアン条約によって保たれていた平和は、

 マルタ島の帰属権を巡る問題をきっかけに、ナポレオンの怒りをかって決裂。

 この条約に関しては、タレーランの尽力が大きかったらしく、

 「苦労してまとめた平和が」と、おどけた感じでいますが残念そう。

 

 しかし、マルタ島は地中海の要ともいえる場所、そこをおさえることの意味は計り知れない。

 ここでナポレオンとタレーランの見解は相違をみせていますが、

 これも軍事的観点から見ているナポレオンと、平和外交をモットーとするタレーランの違い

 ということになるのでしょうか。

 ただ、ナポレオンがとったピエモンテ併合という措置が、はたして必要だったのかどうか、

 このあたりよくわからないのですね~。 どのように評価されているのか知りたいものです。

 

 

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 不穏な空気が高まる中・・・

 カドゥーダル事件の黒幕として容疑をかけられたのが、

 ルイ16世のいとこにあたる、現在亡命中のアンギャン公。

 今回は、この人物をめぐって物語が動くことになります。

 ポッと出てきたような人でしたが、ナポレオンにとっては重要な存在になりましたね・・・

 また、彼の可愛がっているモイロフという犬も、ちょっとした意味を持つことに。

 

 

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 アンギャン公逮捕の任につく者。

 実際には、コランクールとオルドネが派遣されたらしいのですけども、本作ではダヴー。

 はじめネイを選ぼうとしたナポレオンが、思い直してダヴーを指名していたのは面白い。

 国外にいる王族を拉致するという任務が、いわば汚れ仕事であることは明白。

 それゆえに必要とされたことを、ダヴー自身が自覚しており、かつネイに語るやりとりは、

 ダヴーのもつ鋼の精神を感じさせるものでした。 ・・・というか、カッコよかった!

 

 

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 自分はナポレオンの犬である、と自ら述べるダヴー。

 アンギャン公を捕え、その後も汚れ仕事を遂行する彼のストイックさは、もはや暗黒。

 ついにナポレオンが「王族殺し」となるまでの流れは、まるで映画のワンシーンであり、

 雨という演出が、冷たく、そして寂しいものでありました。

 

 訪れるその瞬間、目を見開いたナポレオンの表情が突き刺さってきます。

 しっかりと見届けるダヴー。

 動揺することなく遊戯に興じるタレーラン。

 第1執政が自分と同じ場所に立った歓びにうち震えるフーシェ。

 

 すべてが終わった後、ダヴーに向けられたネイの笑顔、そして言葉。

 これらにも、たまらんものがありましたが、

 さらに“残った仕事”を片付けるダヴーの行動が・・・ すさまじかった。

 いなくなった主を探すモイロフへの措置は、執政の犬と自覚しているダヴーに重なるもの。

 主と共に逝くことを強いた彼は、自分がナポレオンと運命共同体であることをも

 受け容れているのでしょうね・・・ そんな切ない心情が、沈黙から伝わってきました。

 

 そしてこのことが、最後に示されたナポレオンの言葉とあいまって、

 責任の重さを感じさせる点も、また秀逸。

 このラストシーンには、不覚にも目頭が熱くなってしまいましたよ・・・

 とても不穏な暗闇を感じざるをえなかったのですが、

 それだけにナポレオンの「覇道」も際立つエピソードだったのではないでしょうか。

 そうしたことを、しみじみ考えつつ・・・ 今後も楽しみです!

 

 なお今回のお話は、長谷川先生の目次コメントによりますと、

 「ゴルゴ13・南仏海岸」が元ネタであるとのことです。

 

 

◆ ヤングキングアワーズ 感想

 


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