「お気に入り」1巻作品です。
ジャンルは海洋戦記。 架空の時代の日本を舞台にしています。
『蒼海の世紀 -王子と乙女と海援隊-』1巻
(野上武志 先生 × 鈴木貴昭 先生)
「坂本龍馬が暗殺されなかった もうひとつの20世紀が ここに始まる・・・。」(オビ文より)
この国から、世界から、逃げ出したがった少年・李家鳴海が、浜辺で出会った隻眼の女性。
彼女がいる海へ出るため、日本帝国海軍兵学校へと入学した李家は、
大正3年(1914年)、“海援隊”の艦艇「みかさ」へと乗り込むことになるのだった・・・
そんな感じで始まる本作品は、いわゆる架空戦記物語となっています。
坂本龍馬が暗殺されず、ゆえに彼が設立した海援隊もそのまま残存し、
この時代には帝国海軍の支援総隊となっているという設定。
しかも、そこに所属しているのは、ほとんどが女性!
表紙をかざっている鈴木少尉をはじめ、李家があこがれる隻眼の女性もいます。
そうした感じなので、奔放な少女たちのかしましさになごむ様子もあるのですが、
重厚な軍事知識に裏打ちされた内容は、しっかりとしたものになっており、
艦艇の描かれ方、死と隣り合わせの戦闘、女性にとってけっこう厳しめな描写もあったりと、
シビアな架空戦記世界を見事に作り上げている印象です。
後半の敵との戦闘には、なかなか燃えました。
もとは同人誌作品ということもあって、やや拙さや不足感を覚えたりする部分もありますが、
大正期の時代背景や、そのあたりの軍事モノに関心のある方ならば、
けっこう楽しめる作品になっているのではないかと思います。
まあ、普通に戦う女子を見たいという不純な動機で読むのもアリかも・・・
李家くんに裸を見られても、キャイキャイ騒ぐたくましき女性陣などを楽しめますし(ぇ
あと、李家くんと鈴木さんの関係とか、隻眼の女性との関係とか、謎な床屋のじいさんとか
・・・いろいろ面白いですよ。
最後に1つだけ・・・
「武人として 興奮を禁じえん・・・!」
このページ(p132)で、思いっきり誤解してしまったことはナイショです。
あやうく「おっさん、おっさん!」と、ツッコミを入れそうになってしまったよ!