五里霧中

★ マンガなどの感想 ★

◆ 最近読んだ終了作品 プチ感想

2010年08月20日 | ◆「お気に入り」 (旧プチ感想)

端っこの「お気に入り」プチ感想です。 (前回

 

・『ぢごぷり』2巻 (完結)

・『魍魎の匣』5巻 (完結)

 

 

内容に触れる部分があります。

 

 

『ぢごぷり』2巻

(木尾士目 先生)

 怨念こもった暗黒子育て奮闘記も、2巻で完結・・・早すぎる!!

 やはり暗めな内容ゆえに、不人気だったのでしょうか?

 う~ん、私は「おもしろかった」んですけどねえ・・・(この「おもしろい」は「興味深い」の意)

 

 

 内容としては1巻の流れのまま、“赤ん坊の存在に苦しんでしまう母親”が描かれています。

 地獄から来たプリンセス、すなわち“ぢごぷり”=赤ん坊をその「地獄」へ「帰そう」としたり、

 子育て空間に“閉じ込められている”ことをはかなんだり、赤子を手にかけた母親のニュース

 に共感したり・・・大変すぎます。 何より「赤ちゃんくらぶ」でのオチが、いろいろキツイ。

 

 そんなでも、なんとかやれているのって妹ちゃんのおかげかな・・・かなめちゃん、スゴイよ。

 いや、立場が逆なら、“役割り”も逆になっていたのかも?

 

 どんな子育てになるかはケースバイケースだろうし、どう感じるかは人それぞれなわけで、

 こうしたケースもありうるというか、きっとどこかにあるのだろうと感じてしまいます。

 そんな1つの子育て模様。

 

 

 最後は“救い”のある(?)話でしたけど、「あとがきまんが」にもあるように、

 まだまだ苦悩の旅は続いていたはずなので、物語の終わりはまだ先のはず・・・

 というか、暗黒期をひと段落する安堵の「瞬間」のようなものを、私は見てみたかった!

 

 これは、ほかの子育て経験者さんたちの話で補完されていると考えるべきでしょうか。

 あゆみさんも、あんな風に「忘れちゃった」と語れる日が来るのでしょう・・・たぶん(ぉぃ

 「決意を固める」というシーンなら、見れましたからね。

 

 キレイごとで塗りつぶすわけでも、ギャグ調に落とし込むわけでもなく、

 “怨念”こめた暗闇を見せつけながらも、決して暗い暗い一辺倒ではなかった本作品。

 (そうなる可能性もあったらしいですけど)

 

 私にとって未知である「子育て」の世界をのぞかせてくれる貴重な作品であったため、

 もっと読んでみたかったな~という心残りはあります。

 それでも、大変興味深く、楽しませていただきました!

 

 

 

『魍魎の匣』5巻

(原作:京極夏彦 先生  作画:志水アキ 先生)

 原作未読。

 柚木加菜子の失踪事件、そして武蔵野連続バラバラ殺人事件をはじめとする

 すべての事件に真の決着! 中禅寺秋彦こと京極堂による「憑き物落とし」が始まる!!

 

 

 この作品は、ミステリに見せかけた陰陽師物語・・・と捉えてよろしいのでしょうか? 

 京極堂の行動は「謎解き」ではなく「憑き物落とし」に重点が置かれ、それが事の真相を

 あばいてゆく、という筋立てになっています。

 

 しかし、事件の真相というか内容に関しては、だいたい想像した通りの流れになっていて、

 私にとって大きな驚きというものはなかったように思います。

 というか、正直ちょっと拍子抜けした印象も受けたり。

 

 でも、京極堂が「呪」の使い手なのは面白いですね。

 彼の理路整然とした「語り」があれば、さもありなん。

 「呪」に関しては、他作品ですが『陰陽師』(夢枕獏 先生)で勉強済み(?)

 

  

 また、私はアニメ版も視聴しましたが、アニメ版は「非常に美しいし良くできている」とは

 感じたのですけども、さほど大きな余韻はありませんでした。

 いや、アニメ版もよかったのですけど、「流れていってしまう」アニメ版は消え去るのも早い。

 

 それに対してこのコミックス版は、1つ1つの場面や、おそらく本作品にとってとても大切な

 「言葉」という要素をかみしめながら読む(見る)ことができたためか、なんとも奇怪で不思議

 な印象を深く刻まれた感覚。

 つまり、アニメ版を視聴した後であるにも関わらず、とても楽しめた・・・ということですね。

 

 魍魎の正体、おそるべし。

 それは、ニーチェ語るところの「深淵」のようなものでしょうか。

 愛を求め、自由を求め、また幸せを求めるその心は、いずこへ旅立ってしまうのか。

 決して暗い穴の中へは落ち込まぬよう、匣の中に魅入られぬよう、心せよ、心せよ・・・

 

 などとわかったようなことを語りつつ、志水先生の次回作にも期待!

 ちなみに、志水先生の「三国志」短編集『異郷の草』は、

 「三国志」には少しうるさい私でさえも、傑作と呼べるほどの作品です。