散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

小池都知事による“地方主導権”~コロナ対策を巡って

2020年06月07日 | 地方自治
先に地方自治体首長のコロナウィルス対応の積極性に新たな地方自治のアプローチの到来を感じ、それは住民の理解を伴う『地方主導権』と呼べるものだ、と書いた。

小池東京都知事の場合を、竹中治堅教授(政策研究大学院大学)の論考をもとに考えてみる。
安倍首相の緊急事態宣言発令(20/4/7)からその延長(5/8)へ至る内閣と都の対立だ。

緊急事態宣言の対象地域は東京都と隣接三県、大阪府、兵庫県、福岡県だ。その後、首相は期限(5/4)の五月末延長を決断する。その最大要因は医療機関に一万人程度の患者が入院、医療機関の状況が逼迫しているからだ。論考ではその政治過程を振返っている。
 先ずは安倍内閣と東京都が休業要請のやり方を合意するまでの経緯だ。

最初に、宣言に対する世論の反応をまとめている
 宣言を出したタイミング~世論調査、国民は不満
  毎日新聞 回答者70% 宣言時期「遅すぎる」調査掲載4/9
  読売新聞    81%     「遅すぎた」 同上  4/14
  朝日新聞 ほぼ同様の結果、プラス以下、
       内閣の対応を評価しない、首相が指導力を発揮していない 53%、57%

次に宣言発出後の内閣と都の対立へと話は移る
 ・発表に至るまでに、内閣と都の感染防止策に対する考えの違いが明らかに

「都の考え」
 緊急事態宣言発令後、小池東京都知事(4/10) 広範な業種に休業要請
 ・特措法24条9項を積極的に活用
   映画館、ライブハウス、バー等 休業「要請」
   生活必需品に関連しない小売店舗等 休業「協力依頼」(要請の法規定無)
   飲食店 営業時間を5-20時、酒類販売~19時
   休業要請に応じた中小事業者、個人事業主へ 最高100万円の協力金支給
    (東京都補正予算発表(4/15))

「内閣の考え」
 外出自粛を国民に要請、2週間程度様子見→休業要請
 国は宣言発出と合わせて
 新型コロナウィルス感染症対策基本対処方針(3/28)を改正
  ・基本的対処方針は感染防止策、まん延防止に対し、
  ・まずは特措法第45条第1項に基づく外出の自粛等の協力要請
  ・次に、都道府県による法第24条第9項に基づき休業要請
  ・その後、強制力の強い、特定都道府県による第45条第2項ー第4項活用

結局、安倍内閣が妥協へ
 内閣が早期かつ広範な休業要請に躊躇したのは経済への悪影響を恐れるから
 一方、都は感染者急増に危機感を覚え、国との調整不調の場合、単独要請を決意

 →内閣は「足を引っ張っている」と国民に捉えられることを恐れる

以上が竹中教授による「国対東京都」の対立の様相だ。
混沌とした状況が良く整理され、政治事象における意思決定過程を理解可能にしている。

小池東京都知事によって、コロナウィルス対策への国民的意思が明確化され、その後の様々な政策の基盤になったと筆者は考え、「地方主導権」の一例として提示する。

但し、その小池東京都知事の政治的意志の根源にあるのは“都民ファースト”であろうか?首長である以上はその地域住民の福祉を考えることは当然だ。しかし、今回の国に対する押し切り方は、更なる“権力への意志”を筆者は感じる、政治家としての!

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