散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

「女子サッカー」から脱皮できない欧米諸国~「なでしこ」の意義と課題

2015年07月02日 | スポーツ
「なでしこジャパン」は蘭、豪、英と連覇して決勝で米と対決する。欧米勢は同じスタイルのサッカーでが、少しずつ強い相手の様に見える。おそらく、米は英以上に難敵に違いない。しかし、そのスタイルは4年前と変わらず、依然として「女子サッカー」の域をでない。

昨年のアジア杯の時に感じたことは、アジアにおいても、中国は欧米と同じスタイルで、ロングボール、ハイボール、体力で押していくやり方だ。従って、細かいテクニックには長けていない。

一方、日本は技術、戦術は共に男子サッカーのスタイルと同じ処を目指している。佐々木監督の指導及びスタッフの協力によって造り上げたチームは、現代的はポジション取り、動き出しの速さ、をマスターしてそれを実現する細かい技術を身につけている。
 『「女子サッカー」を超えたなでしこ~男女の区別の無い少年サッカー指導140522』
 http://blog.goo.ne.jp/goalhunter_1948/e/af85e89003e477b83141f289ceac93a2
2011年のW―CuPの時も薄々感じていたのは、欧米の女子選手たちは子供の頃に外を走り回って遊んだとか、鬼ごっこで、ケンカ腰でタッチしたとか、してないとかと争いながら遊んだとかの、普通の子供が経験する遊びをしたことがないのかしらん、ということだ。



写真はイングランド戦での宮間選手のPKだ。

GKとの駆引きからゆっくりとステップを踏んで、瞬間、GKの動きを視野で捉え、逆方向(向かって右)の隅へ正確なキックで、狙い済ました如く蹴り込んだ。GKの動作次第で左側へも蹴ることが出来るフォーム、宮間の技術・戦術が織りなす質の高さを示すプレーだ。

ここで問題はその直前、イングランド選手がPKを取られたプレーだ。ここに、欧米の大型選手特有の「女子サッカー」が象徴的に表れている。

右サイドのスペースに右SB・有吉が飛び出し、そのタイミングに合わせて、右CB・岩清水が頭を越す縦パスを出す。「なでしこ」らしい攻撃だ。有吉は必死に戻るイングランドDFの前に出てボールをトラップしたが、中に入りたい処をややコントロールミスをして右にボールは落ち、コースを変えるため、少しスピードを緩めざるを得なかった。

ところが、有吉の真後ろで追っかける形になったそのDFは、瞬間にコース、スピードを変えることが出来ず、思わず有吉にぶつかりながら手を出して押した様に見えた。有吉も真後ろからのチャージは想定外だったと見え、イングランド選手がしばしば見せていたシミュレーション紛いの倒れ方ではなく、まともに倒れてPKを得たのだ。オランダ戦での初得点と同じく、有吉の特長が遺憾なく発揮されたシーンだ。

その場の状況、有吉との位置関係から、DFは内側から有吉のボールを奪取する戦術を採る以外にないはずだ。次の有吉のボールタッチの瞬間に、少しでも体からボールが離れれば、素早くタックルに入るようにすべきだ。それでも大きなピンチであることに間違いはないが。しかし、その動作を窺わせる動きは全くなく、惰性のままであった様に見える。

引用した記事の中で女子サッカーは面白くないと筆者は述べた。しかし、「なでしこ」はそれを打ち破る普遍的なサッカーを目指している。偶々読んだ面白い記事「女バルサ」と呼ばれていることを始めて知った。この言葉は一言で「なでしこ」の意義を明確にする。

しかし、問題は残る。イングランドの監督は、この敗北を受け入れるのは困難だ、と語ったと云う。然り、日本は負けても不思議はなかった。短いバックパスからゴール前にボールを放り込むパワープレーのサッカーに、である。更に強い米国に対して如何に戦うのか、意義深く、また興味深い一戦だ。

      

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 物語としての「戦後日本経済... | トップ | 闇市の中の炭坑節~戦後イン... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

スポーツ」カテゴリの最新記事