江戸は史跡の宝庫だ。先日は奥の細道出立の地、隅田川の畔に行ってきたが、芭蕉記念館も密度の濃い記念館であった。ぶらぶらと錦糸町界隈の橋の袂を歩いていたら、何やら標識が立っている。本所相生町5丁目(現緑1丁目)に「俳人小林一茶の居住の地」とある。
信州で生まれた一茶は(上水内郡信濃町生まれ 幼名弥太郎、長じて信之)3歳のとき母をなくし8歳でむかえた継母とは不仲であった。15歳で江戸に出て俳諧に親しみます。溝口素丸、小林竹阿に学び各地を巡歴しながら交流を深めました。
「寝始まるその夜を竹の時雨哉」 は引っ越しの日に詠んだ句である。ここには竹が群生していたらしい。彼は5年ほどこの地に居留したが、文化5年(1809)12月に旅から帰ると留守中に借家が他人に貸し出されていました。「行く年を元の家なしと成りにけり」 当時の大家さんはひどく横暴だったらしい。それとも、一茶が断りもなしに家を留守にしたのかもしれない。
波乱万丈の生涯を送った一茶であるが、どこそこユーモアを感じさせる作風が、いかにも人間らしくて私は好きである。
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