道尾秀介「笑うハーレキン」中公文庫2013年刊
ハーレキンと言うのは道化師のことである。この小説はホームレスの世界を書いていて、トラックの荷台で寝起きする家具職人の所に、押しかけ弟子入りする足のちょっと不自由な女性の奮闘、生い立ちの謎解き物語かなと思った。
ところが話が6割位進んだところで突如大きな棚の修理依頼が入る。それがヤクザの親分か、政治の世界の黒幕か、なんとも神秘的な家の作り付け家具の修理だ。それまでホームレス仲間との生活や、チマチマとした修理の以来をこなす話なのが、突如活劇調になってくる。
あまりの急展開が少し不自然で、それまでの語りが皆意味を持ってくるが、いかにも小説じみている。だがそれを除けば結構面白い展開である。中級エンターテイメント。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます