mukan's blog

つれづれなるままに ひぐらしPCにむかいて

ワタシと中動態世界(1)はじまり

2023-07-12 11:38:25 | 日記
 しばらくご無沙汰している大学の同級生タナカさんから、昨日メールが来て、誤解を解くために「中動態」について返信を書くことになりました。先ず、その経緯を記します。
 最初、タナカさんに「中動態」の話をしたわけではありません。もう皆さん八十路の同級生の幹事役のようなモリヤマさんから、北海道に住む同級生が難病を抱えて検査入院をすることになったというメールが転送されてきました。そのモリヤマさんに「転送御礼」に近況報告を書き添えて返信しました。
《ご無沙汰しています。お元気のようですね。サワベさんのように何週間も入院するというのも大変ですね。/歳をとるというのは、身のいろいろな不都合に出遭うこと。病を抱えるのと同じことだと思っています。だから逆に、病むことをイケナイこととかワルイことのように思うことがなくなってきて、善し悪しなどどっちでもいいような感触。中動態の世界に踏み込んでいるようです。(後略)》
 それに対してモリヤマさんから次のような返信が来て、驚きました。
《(前略)“中動態”なんて初めて知りました。この言葉、思考法でいろんな気づきが得られそう・・・。いつか読んでみようととりあえず「中動態の世界・・・(國分功一郎)」を注文しました。教えていただき感謝してます》
 八十路を越えてなお、こういうふうに好奇心を発露させている人がいるんだ。私なら図書館に予約を入れてみる程度なのに、注文までしてしまう。その意気軒昂に、再び返信メールを送りました。
《いやあ、お元気ですね。国分功一郎の本を買って読もうという意欲、敬服します。私は彼の本が出版された当時、勉強会で取り上げて読んで、実は子細の運びはギリシャ語の解析もあってよくわかっちゃいないのですが。「能動/受動」という枠組みで考えている、いまの私たちの価値観が、その初源のころには「中動態」というイイかワルイかワカラナイことであったという展開が新鮮でした。わが身に人類史が堆積しているけど、そのほとんどは無意識に沈んでいて、わが身に刻まれていると考えていたのが実証されたような感触でした》
 いま読み返してみると、随分いいかげんに書いていますね。「中動態」が、いつもワタシが感じている「自然(じねん)」に相当するような感触をもっていると伝えたいのですが、大雑把というか、途中を省略しています。
 すると昨日、タナカさんから
《フジタさんからのメールで、「中動態」という言葉を初めて知りました。難しい言葉で、良くわかりませんが。自分の意志で(悪あがきしたところで)どうにもならないのだから、あるがままに受け入れていくしかないと思うようになったと言うことでしょか。我が身を振返りよくわかるような気がします。》
 と始まるメールが届いたのです。たぶん、モリヤマさんが親しいタナカさんに私のメールを転送し、あいつこんなこといってるよと知らせたのでしょう。それにすぐに反応するタナカさんも、意気軒昂と思いました。
 ところがタナカさんは、上記の文の後に、次のように付け加えてありました。
《プ-チンやトランプもどうにもならない病に取りつかれており、気の毒で、迷惑。ただ、皆おなじ地平にいるのがら、仕かたなく受け入れる。人が丸くなり、神髄の迫ってきた感じとのこと。このくだりは、違和感がします。/この間、「帰ってきたヒットラ」という本を拾い読みしました。その中でユダヤ人の大虐殺さえ、公正な選挙で選ばれた議会で承認され行われたことで、ヒトラ個人の、問題ではないという言説がありました。いつか麻生さんが、ワイワール憲法下でヒトラは選ばれたと言及したことがありました。プ-チンやトランプも公正な選挙でえらばれたリーダ-。この人たちの考えに同調する人自分の周りにももかなりいます。/日本でも憲法改正が議論され。緊急事態条項が入るでしょう。日本にも、ヒトラの時代がもうすぐのような気がします。我が世代は、ともかく次世代の人たちは大変ですね。何にもできずだだ落日の光景を眺めているしかない私です。》
 この冒頭の「違和感」というのは、不快感といっても良さそうですね。学生時代のタナカさんの正義感溢れる言説・振る舞いが思い出されます。いいかげんに書いちゃったと先程記しました。はてどういう風にトランプやプーチンのことを書いたのか。もう一度、最初にモリヤマさんに送ったメールの続きを見てみました。
《……それと同じように、トランプやプーチンさえも、どこかわが身の裡の経てきた病(こと)と似たようなことを、ひどく患っているように思えます。トランプを支持して蝟集する人たちもまた、そうしたい気分はわかるけど、ちょっと違うんじゃないのと言いましょうか。プーチンも、その身の生成中に身に纏ったいろいろな装飾花に惑わされてとんでもないドツボに嵌まっているように思え、メイワクこの上ないが気の毒にさえ思います。/ま、人類みな同じ地平にいるといいましょうかね。人が丸くなったと言うよりは、身の感じ方がどんどん神髄へ迫ってきたって感じを覚えています》
 あ、なるほど、これを読んで不快感をもったのか。そうだよね、普通に耳にしたら、なんだプーチンの苦境に同情までするのかと腹を立てるかもしれませんね。こりゃあ、「誤解」を解いておかねばならない。
 それには、何処から話を始めたらいいだろうか。「中動態」だけを解説しても、「イイとかワルイとかワカラナイ展開」が、どう「自然(じねん)」と結びつくのか。言葉が足りません。また、ワタシのトランプやプーチンも人類史的な同じ地平に乗っていて、「気の毒」にさえ思う(と共感しているような)受け止め方は、コイツ何を考えてんだと思いますよね、ふつう。いや手短に言えば「色即是空 空即是色」と表現してしまえることですが、上記の文脈に入れていきなりそういっても伝わるかどうか、ワカリマセンね。
 さて、そういうワケで、今日から何回に分けて「ワタシと中動態世界」を探ってみましょう。こうやって引っかかった事柄を逃さず惹き寄せて、一つひとつ丹念に解きほぐしていく。先程「誤解を解く」といいましたが、実は、ワタシ自身がよくわかっていないと感じています。そういう意味では、これを機に、また、ワタシの内面への旅を続けましょう、という面持ちです。お付き合い下さい。