自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆仮想通貨はどこへ行く

2019年11月06日 | ⇒トピック往来

        金沢の山側環状道路を走行すると、道路沿いにイチョウ並木が見えてくる=写真=。青空と黄ばん並木の風景が西洋絵画の世界のようで心が和む。「オオイチョウ」という言葉があるくらい、長寿の樹木が多く、花言葉も「荘厳」「長寿」「鎮魂」などがある。イチョウ並木がある場所は野田山墓地の周辺。おそらく道路を新設する際に周辺の風景に配慮してイチョウを植栽したのだろう。 

   話は一転して俗世間に戻る。9月24日付のこのブログで、フェイスブックの仮想通貨「リブラ」の話題を取り上げた。その後、G7作業部会が報告書を発表し、リブラには各国の金融政策や通貨システムを揺るがすリスクがあると指摘した(10月18日)。これを受けて、G20財務相・中央銀行総裁会議はリブラを当面認めないと合意した(同日)。世界の中央銀行がリブラに対して警戒感を示している。この状況下でのリブラの発行には無理があるだろう。

   これをチャンスとして、中国の「デジタル人民元」が先んじるかもしれない。以下は憶測だ。その理由は単純だ。中国の中央銀行が発行するデジタル通貨にすれば、人民への監視がさらに行き届くからだ。アドレスと本人の結びつけを厳密に確認する通貨として、中央銀行が管理する。そうすれば、現金と違って履歴が残る。さらに、その履歴をAI分析を駆使すれば、個人の行動や生活状況、性格、嗜好など推測できる。デジタル通貨で人民を監視できるのであれば、導入しないという選択はないだろう。

   おそらく、中国はマネーロンダリングや脱税、詐欺などを防止する目的で仮想通貨を導入とすると人民に宣伝して導入するだろう。あるいは世界の基軸通貨を確立すると鼓舞して導入を進め、「一帯一路」の参加国にも導入を呼びかけるかもしれない。

   では、前段で述べたG20の合意との齟齬(そご)はないのか。G20には中国も入っているが、リブラは民間の仮想通貨なので警戒するが、デジタル人民元は中央銀行が自らが発行するので、G20合意には束縛されないと主張するだろう。リブラの失墜で、中国が仮想通貨で世界のトップランナーになる可能性をつかんだ、のかもしれない。キャッシュレス化が進んでいるとされる中国で、一気に仮想通貨が普及するかどうか。

⇒6日(水)朝・金沢の天気    はれ

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