北陸にもようやく新緑の季節がやってきた。街路樹からは若葉の息吹が感じられ、山々は青々としている。金沢で生まれ育った詩人で小説家の室生犀星の詩に『五月』がある。「悲しめるもののためにみどりかがやく 苦しみ生きむとするもののために ああ みどりは輝く」。苦しみ悲しみを超えて、五月は人生が輝くときと表現しているのだろう。長い冬を超えて新緑の季節を実感するこの頃だ。(※写真は、金沢市泉野町のイチョウ並木=5月10日撮影)
きょう10日は元日の能登半島地震から131日目となる。最近、地元メディアなどで取り上げられているのが「災害関連死」についてのニュースだ。避難所などでの生活で疲労やストレスがたまったことが原因で持病などが悪化して亡くなるケース。この認定については、遺族からの申請を受けた自治体が医師や弁護士ら有識者による審査会を開いて判断する。ただ、業務を担う市町が独自に審査会を開催するのは負担となることから、石川県は市町の負担軽減を計るために県が肩代わりして合同の審査会を開くことにした。来週に初会合が開催される(5月9日付・NHK石川ニュースWeb版)。
NHKが県内の19市町に災害関連死の申請件数ついて問い合わせ、今月8日時点で100人に上っていることが分かった。内訳は輪島市53人、能登町16人、七尾市14人、志賀町10人、穴水町7人だった。被害が大きかった奥能登の珠洲市、そして加賀の小松市の2市でも申請があるものの、その人数を明らかにしていない。残り12の市町ではこれまでのところ申請がない(同)。
県のまとめ(5月8日時点)によると、人的被害の死者245人のうち、直接死は230人、災害関連死は15人となっている。関連死の人数は1月22日以降止まったままになっていた。それまで市町が独自で医師や弁護士を集めて審査会を開いていたものの、事務手続きなどが煩雑で負担が重荷となって審査会が開かれてこなかった。しかし、申請しても待たされ続けた遺族は市町に不信感を募らせたに違いない。災害関連死に認定されると、遺族には最大500万円の弔慰金が支給される。遺族が被災者ならば生活再建の糧としたいと思うだろう。
来週から合同での審査会が再開され、申請済みの100人の認定作業が進めば、関連死の人数はかなり増えることになる。さらに、発災から131日経ち、時間の経過とともに今後さらに関連死が増えるのではないだろうか。いまも避難所生活を余儀なくされている人は、市町での1次避難所で2151人、県が用意した避難所(金沢市など)で1729人などとなっている(5月8日時点)。避難所暮らしでは睡眠不足に陥り、体力や免疫力が低下するとよく言われる。大丈夫だろうか。
最大震度7の揺れに見舞われた2016年4月16日の熊本地震で犠牲になった人は熊本県内で276人で、うち直接死は50人、関連死は221人、豪雨関連死5人だった(Wikipedia「熊本地震」)。犠牲になった人のうち関連死がじつに8割近くを占め、直接死亡した人の4倍を超えている。時間の経過とともに、能登でも同様に関連死の犠牲者数が増えてくるのではないだろうか。救えるはずの命を落とさない予防策と併せて関連死の認定作業をこれ以上滞らせないことを願う。
⇒10日(金)夜・金沢の天気 はれ
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