自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★金沢を描くということ

2005年08月13日 | ⇒トピック往来

      画家で金沢美術工芸大名誉教授の百々(どど)俊雅さんと同大教授の小田根五郎さんの絵画展「金沢百景展」(8月11日-16日)が金沢市武蔵町の「めいてつエムザ」で開かれている。

    2001年から2004年まで足掛け4年にわたって、北陸朝日放送で放送された番組「金沢百景」で紹介された身近な風景を描いた油絵やパステル画を含む150点を中心に展示している。金沢の伝統的な街並みに加え、JR金沢駅前や新県庁舎、新しい商店街にも百々さんと小田根さんの目線が優しいタッチで注がれている。一枚一枚を眺めていると、金沢の街を散策した気分になる。

   かつて、2人をテーマにしたスペシャル番組の収録で、絵画制作の苦労話などうかがう機会があった。その中で印象に残るエピソードをいくつか。小田根さんが金沢の古い民家を描いていた。すると、家の女性が出てきて、「絵描きさんに描いてもらえるほどの価値があるのならこの家を残そうと思います」と言う。跡継ぎの女性は改築して保存しようか、いっそうのこと壊して新築しようかと迷っていた。小田根さんの真剣な眼差しを見て、女性は保存を決心したそうだ。

    百々さんは白髪の長身だから目立つ。路肩で描いていると、「ご苦労さまやね」とわざわざお茶を差し入れてくれたりする人もいる。弁当忘れても傘忘れるなーといわれるくらい金沢の天気は変わる。百々さんは雨が降っても絵が描ける場所を確保することに苦心した。屋根の下、橋の下、ビルの中、商店街のアーケードとありとあらゆる避難場所を探す「雨傘名人」となった。金沢市内でざっと100ヵ所にも。北陸・金沢でスケッチをするにはこういうことが話題になる。

    絵画展の会場では絵はがき=写真=も販売されている。ちなみに、左から県立音楽堂、金沢城二の丸、金沢城石川門である。また、番組と同名の「金沢百景」という書籍もある。変形A4判で132ページ、能登印刷出版部の発行で、会場ほか石川県内の主な書店で2700円で販売されている。

 ⇒13日(土)午後・金沢の天気  曇り

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ☆ドン綿貫氏の選挙の行方 | トップ | ☆「選挙」上手の商売下手 »

コメントを投稿

⇒トピック往来」カテゴリの最新記事