寄付は善意で賄われるものだが、政治の駆け引きに使うなと言いたくなるニュースだ。共同通信Web版(13日付)によると、自民党は派閥の政治資金パーティー裏金事件をめぐり、議員ら85人が受け取った還流資金の相当額を寄付する方向で検討に入った。能登半島地震の被災地支援に充てる案が浮上している。政治資金収支報告書に記載せず裏金化したのは2018年からの5年間で総額約5億7949万円に上る。
いわゆるキックバック(還流資金)は税務上は「雑所得」であって、個人所得として納税しないのはまさに脱税行為だろう。税金の使い道を決める国会議員が税逃れをしてきたことにこの裏金事件の根深さがある。
きょう午前10時からの参院政治倫理審査会がNHKで生中継されていた。政治資金収支報告書への不記載が1542万円とされる世耕前参院幹事長が弁明に立ち述べていた。「問題となっている還付金は、事務所に現金で渡され、現金のまま管理・運用され、収支報告書の簿外での管理であったため、私自身のチェックに引っ掛かることがなかった。還付金を受け取っていたことを、長らく把握できなかったことは管理・監督が不十分であったとのそしりは免れない」
こうした自覚があるのなら、自民党として裏金事件にしっかりけじめをつけるべきではないか。まず、関係した議員に脱税した分を納税させ、その議員に対して処分を下す。それを行ってからの寄付ならばそれほど問題視はされないかもしれない。それをせずに、政治の駆け引きのように被災地支援という名目での寄付をすることで済まそうとすれば、問題の本質を「善意」で覆い隠す、まさに「偽善」のそしりは免れないだろう。
そして、能登の人たちはどう感じるだろうか。「自民党の裏金で行われた震災復興」というイメージがつくことを嫌がるのではないか。能登の放言で「だらくさい」がある。割に合わない、理不尽な、という意味で使う。「だらくさい金もらってどうする」と能登の人たちは戸惑うに違いない。(※写真・上は国会議事堂、写真・下は自民党の政治資金パーティー裏金事件を伝える14日付の紙面)
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