自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆米中貿易戦争、「奇跡」は起きるか

2019年05月22日 | ⇒ニュース走査

  アメリカの大手IT「グーグル」がスマートフォン用の基本ソフトの中国の通信大手「ファーウェイ」への提供を停止した。ファーウェイのスマートフォンには、グーグルの基本ソフト「アンドロイド(Android)」が使われているが、アメリカ商務省は17日、アメリカの企業が政府の許可なく取引を禁じるリストにファーウェイ本社と68の関連会社を発表している。これを受けて、グーグルがファーウェイに対して基本ソフトの提供を停止したカタチだ。20日付のイギリスBBC放送Web版=写真=は詳細に伝えている。

   今後ファーウェイが新たにつくるスマートフォンについては、アプリを配信する「グーグルプレイ」やメールソフト「Gメール」などグーグルの主なサービスが使えなくなる。ファーウェイはスマートフォンの出荷台数でアップルを抜いて、首位のサムスンに次ぐ世界第2位のシェアだが、打撃は避けられないだろう。

   これに対し、ファーウェイは声明を発表し、「すでに世界で販売されたり、現在販売されているスマホやタブレットについては、その利用やセキュリティーのアップグレード、それにアフターサービスに影響はない。利用者は、安心して使ってほしい」と述べ、スマホなどの使用に影響はないと発表。さらに、「アメリカで5G(次世代高速移動通信)を整備するつもりなどない」と宣戦布告のようなことを述べている。

       問題は中国政府の出方だ。外務省報道官の記者会見の発言を読むと、「中国政府は中国企業が法律を武器にみずからの正当な権益を守ることを支持する」と述べているが、アメリカに対するあからさまな非難を避けているような表現だ。アメリカとの貿易戦争という国難をどう切り抜けるのか。

   日本財団の笹川良平氏から届くメールマガジンで、「中国の小話」その185 ―中国政府の6つの奇跡は可能か?―とのタイトル(5月13日付)があったのでのぞいてみた。その奇跡とは、「住宅価格を維持しながら、不動産バブルの問題を解決する。」「貨幣を超過発行しながら、中央と地方政府の債務問題を解決する。」「絶えず巧妙に国民の税金負担を増やしながら、内需不足を解決する。」「資本規制をしながら、人民元国際化の障害をクリアする。」「計画生育制度を維持しながら、労働力人口の縮小問題を解決する。」「政府が強く関与しながら、市場の活力不足の問題を解決する。」

  中国の課題を絶妙な表現で「小話」化しているのが面白い。では、7つ目の奇跡があるとすれば、「米中貿易を戦いながら、25%関税をチャラにする。」だろうか。 

⇒22日(水)夜・金沢の天気   はれ

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