自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★今そこにある隣国の危機

2016年11月03日 | ⇒ニュース走査
  初めて韓国を訪れたのは2013年8月25日、本土ではなく済州島だった。世界農業遺産(GIAHS)を研究する日本と韓国、中国の研究者らが当地に集まり、「日中韓農業遺産 連携協力のための国際ワークショップ」を開催した。済州国際空港に到着して、ロビーや免税店などがごった返していて、成田や羽田などの日本の空港とは違った勢いを感じた。その年の2月25日に朴槿恵氏が第18代大統領に就任し、「経済復興」「国民幸福」「文化隆盛」を掲げた韓国の新しい時代のスタートを切って間もないころ。まさに上げ潮ムードだった。

  あれから3年を過ぎて、韓国の勢いが突然止まったかのようだ。連日日本のメディアを通じて入ってくる韓国の様子は政治、経済ともにレームダックのようだ。今一番ホットなニュースが、ウォーターゲート(1972年、ワシントンの民主党本部で起きた盗聴侵入事件)になぞらえた「崔順実(チェ・スンシル)ゲート」。朴槿恵大統領は先月24日、国会での施政方針演説で、再選を禁止した憲法を改正することを提案した。その数時間後、朴政権の影の実力者といわれてきた崔氏のタブレットを入手し、分析した結果を韓国のケーブルテレビがスクープした。タブレットには大統領の演説文が44件あり、その演説文を事前に入手し、手直ししていたことだった。韓国には大統領記録物管理法があり、大統領府の文書を流出させた者は7年以下の懲役または罰金刑が課せられる。

  情報漏洩問題がクローズアップされる前は、アメリカの要請に応じて、高高度ミサイル迎撃装置(THAAD)の配備を受け入れを表明して、中国との軋轢を生んだことだ。中国でのG20首脳会議に合わせ、中国の習近平主席は朴大統領と9月5日に会談したが、このとき、習主席は「この問題(THAAD配備)の処理を間違えば、地域の戦略的安定に助けにならず、紛争を激化させる」と憂慮した。すると間もなく海上が騒がしくなった。違法操業の取り締まりをしていた韓国の高速警備艇が、中国漁船と衝突し沈没したのは先月7日のことだった。

  経済もおぼつかない。世界7位の韓進海運が破綻。大騒ぎになったが、サムスン電子の新型スマホ「ギャラクシーノート7」は火を噴き、そして、ロッテのお家騒動は泥沼化した。隣国の騒動を喜ぶつもりはないが、こうも連日のように新たなニュ-スが飛んでくるとつい気になってしまう。今後どうなるのか。友人に国家機密を洩らしたのは大統領自身である。絶体絶命のピンチに立たされていることだけは間違いない。今そこにある危機をどう乗り越えるのか。

⇒3日(祝)夜・金沢の天気    あめ
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