5年前の2010年5月、沖縄旅行の折、沖縄県名護市辺野古の在日米軍海兵隊の基地「キャンプ・シュワブ」のゲートで写真撮影をした。すると、銃を持った門兵がヘイ・ユーと大声で駆け寄ってきたので、チャーターしたタクシーでその場を慌てて立ち去った。その後、辺野古で住民が座り込み抗議を続けるテント村も訪れた=写真=。「どこから来たの、休んでいきんさい」と笑顔で声をかけてくれた住民もいた。
沖縄旅行の直後、当時の民主党政権の鳩山総理が訪問した沖縄での記者会見(沖縄)で「学べば学ぶにつけて、沖縄におけるアメリカ海兵隊の役割は、全体と連携しているので、その抑止力が維持できるのだと理解できた」と普天間飛行場の代替施設は辺野古しかないという意味の発言をすると、地元紙の記者から「恥を知れ」の罵声が飛んだ。「学べば学ぶにつけて」という言葉は勉強不足だったが、最近ようやく理解できたという意味だ。基地問題に神経を尖らせる現地で、一国の総理として適正な発言だったのかと当時メディアでも取り上げられた。
今月5日、沖縄県の翁長知事が要望してきた政府との直接対話が菅官房長官との間で実現した。翁長知事から「上から目線」と批判された「粛々と工事を進めていく」の表現。菅官房長官とすると、辺野古への移設工事については関係の法令に基づいて適切に対応していくという方針には変わりはないと述べたのだろう。前置きに「粛々と」というある意味で国会答弁などで政権与党の閣僚がよく使う言葉が出てきたので「上から目線」との印象を与えたのだろう。
それにしても表現は少々乱暴だが、政府の代表として訪問した官房長官に県の知事がよくそのような「上から目線」などと言えたものだと思った人もいただろう。地域主権の代弁者だから、といえばそうなのだが。その背景には、翁長知事がよく使う言葉に「沖縄と日本」がある。政府ではなく「日本」だ。翁長知事の発想や意識は、沖縄は日本から独立しているのかも知れない。つまり、地域と中央政府という発想ではなく、琉球と日本なのだろう。
地元沖縄の人々はもともと南国のおだやかな性格から、ナンクルナイサ(何とかなるさ)という楽観的な人が多いといわれる。そんな地域性であっても、腹の底からわき上がってくる怒りのことをワジワジと言うそうだ。沖縄はいま普天間基地の辺野古移設問題でワジワジしているのだ。
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