自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★梅の花と北陸新幹線

2015年03月29日 | ⇒トピック往来
  我が家の庭の梅が満開となった。「老梅」で樹皮だけのような薄い幹が痛々しいほどに横に曲がり、支え棒がないと折れてしまいそうな形状なのだが、この時節にはちゃんとピンクの花を咲かせて楽しませてくれる。ただ、梅の実は数個しかつけていない。例年、この老梅が最初に一輪の花を咲かせるころに、造園業者に来てもらい雪吊り外しをしてもらう。ことしは今月19日だった。この梅の時節にやってきたのが北陸新幹線だ。

  今月14日に金沢開業にこぎつけ、2週間たっても連日のようにメディアをにぎわせている。きょう29日の地元紙の社会面の見出しはこうだ。「切符購入 あぁ窓口混雑」「東京出張 あぁ飛行機で」。この見出しだけでは何のことが理解できないので、少し読み解(ほど)く。「あぁ窓口混雑」は金沢駅のみどりの窓口に行列が出来て、15分以上も待つときがあり、乗客から券売機を増やしたり、窓口の対応を臨時に増やす対応をしてほしいと苦情が出ているという内容。

  「あぁ飛行機で」は新幹線延伸で富山県庁や富山市役所では職員の東京出張は飛行機でと呼びかけている、というもの。4月から6月の利用状況によっては今後、減便や機体の小型化が予想されるからだ。東京駅から富山駅は最速で2時間8分なので、それぞれの利用者にとっては都心、あるいは市の中心街へのアクセスを考えれば新幹線に利便性がある。しかし、空のネットワーク(富山‐羽田‐成田)で国内外へのフライトを考えれば当然、空の便も確保しておきたいと行政が必至になるのは当然だろう。

  これまで2度、北陸新幹線に乗車できた。20日と27日。その乗車の感想を。普通車はシートに格子柄をあしらい、明るい空間。すべての座席に電源コンセントが設置されていて、パソコンやスマ-トフォンの電源が確保できる。収納式の大型テーブルはパソコン作業にはありがたい。ただ、シートの幅が狭い、と感じる。隣に体格の良い人が座ると肩身が狭い。そこで、2度目の東京行きの帰りは、思い切って「グランクラス」に乗った。

  東京と金沢間は指定・片道で14,120円なのだが、グランクラスは26,970円と倍近い。東北新幹線の「はやぶさ」にも設けられている。車両は12号車、つまり最前列。上質な空間で本革張りのシートは電動リクラインニングだ。一列が左右それぞれ1席と2席で計3席なので、普通車と違い幅も広い。キャビンアテンダント(CA)のサービスで、和食か洋食の軽食が選べ、アルコールも自由だ。最初は梅酒のスパークリングを頼んだ。続いて、赤ワインを。さらに、欲張って日本酒をオーダーすると、「宗玄」が出された。飲酒を想定して金沢駅からの帰宅をバスにしていたので、能登の銘酒をゆっくり堪能できた。

  数日前にグランクラスを予約するとき、旅行会社に「かがやき」のグランクラスをお願いした。すると、「せっかくグランクラスの乗るのだから2時間28分の『かがやき』ではなく、3時間3分の『はくたか』の方がリラックスした時間が余分に楽しめますよ」と担当の社員がアドバイスしてくれた。なるほど。新幹線なのだから最速で目的地に着くことばかりを考えていたが、グランクラスなのだから優雅な空間とゆったり流れる時間の双方を4次元的に楽しまなければ「26,970円の価値」も薄れるというものだ。ということで、東京から金沢の乗車を「はくたか」にしたのだった。

  グランクラスは18席しかない。東京駅で乗ったとき13席に乗客がいた。私の前の列に座った3人はアジア系の親子らしく、CAも英語でサービスをしていた。この親子は軽井沢駅で下車した。で、この親子は香港か台湾系の華僑かと想像をめぐらしたりもした。そして、桜の時期には北陸新幹線にどのような話題が繰り広げられることになるのか。新幹線の滑りが酔うほどに心地よく感じられ、いつしか眠りに落ちた。

⇒29日(日)午後・金沢の天気   くもり

  
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