自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★能登の栗物語

2012年09月25日 | ⇒トピック往来

 俳句の同好会に参加していることは以前述べた。俳句は「5・7・5」という字数の決まりごとがあり、季語を入れる。心象風景などを表現するが、面白のは同じものを見ても、見る人によってその心象が違うことだ。自我流の俳句だが、いくつか紹介する。今回は能登に関するものがテーマだ。

⇒ 華やかな マロングラッセや 能登の栗(2012年9月句会)
 金沢市内のデパートの食品売り場や高級洋菓子店で最近、「能登産栗」のマロングラッセが並んでいるのを見かける。能登の山の中で栽培された栗が大きく実り、都会に出てマロングラッセとして洋菓子になり、金紙や銀紙に包まれ華やかに店頭を飾る。まるでシンデレラの物語のようではないか。栽培現場を見ているので私自身もうれしい。ましてや、生産者はわが子のことのように誇らしく思っているに違いない。

⇒ 栗食ひをる 放牧の豚 丸々と(同上)
 能登半島の穴水町で養豚業を営む道坂一美さんは「のと猪部里児(いべりこ)」の商標登録を最近得た。エコフィード(食品残さ飼料化)による養豚を目指し、エサには多種類の野菜やワイン製造過程で出るブドウの搾りかすを使う。秋のこの時季になると放牧場と隣接する森に豚を放ち、落ちているドングリや栗を食べさせる。山のタンニンなどの栄養で肉質がしまる。「里山で生まれた高級食材として付加価値をつけて売り込んでいきたい」と道坂さんは話している。

⇒ カキ殻播く 畑の葡萄 赤々と(同上)
 同じ穴水町では「能登ワイン」のワイナリーやブドウ畑が見学できる。穴水湾で生産されるカキの殻を1年間天日干しにして砕きブドウ畑に入れる。すると能登特有の赤土の土壌が中和され、またミネラルが補強されて、ヤマソービニオンなど品質のよい醸造用ワインのブドウができる。最近、国産ワインのコンテストで銀賞を獲得するなど注目されている。そのブドウの搾りかすを道下一美さんたちが回収して豚に食べさせ大きく育てている。この循環が物語になり、ワインを飲んでも、豚を食べてもおいしく感じる。この話に感動した金沢のワインのソムリエ辻健一さんは、道下さんが生産した豚肉のバーベキューと能登のワインを楽しむ「マリアージュ・ツアー」(2012年11月11日)を企画している。念のため、マリアージュ(mariage)は、男女のお見合いではなく、ワインと食べ合わせのよい料理という意味で使っている。

⇒25日(火)朝・金沢の天気  はれ

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