大学入試の公正性がハイテクで損なわれるということは断じてあってはならない。京都大など4大学の入試問題が試験時間中にインターネットの質問掲示板「ヤフー知恵袋」に投稿された事件が世間を騒がせている。警視庁などは、投稿に使われたNTTドコモの携帯電話の契約者を山形県新庄市在住の人物と特定し、その息子(19歳)の強制捜査(逮捕)に踏み切るだろうと、マスメディアは一斉に報じている。
京都大学側が2月28日に京都府警に被害届を提出し、さらに世間の注目を集めた。おそらく大学側は対応できないと判断したのだろう。京都府警もネットを使った犯罪にはチカラを入れていて、生活安全部のハイテク犯罪対策室が対応を担っている。その罪は、偽計業務妨害罪。つまり、偽計を用いて人の業務を妨害した、というもの。3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる。
ところが、世間の関心は一方で別なところにある。監視員がいる中で、どうやってケイタイを使って投稿できたのか、という技術的な驚きだ。これまで、入試に関しては、集団カンニングや裏口入学、替え玉受験など入試の公正性をめぐる事件があった。今回のように、偽計業務妨害罪という刑法犯の特定にまで至るというケースは初めてだろう。
過去の替え玉受験問題(1991年の明治大学の入学試験)では、有印私文書偽造など3人が逮捕されているが、これは大人が絡んだ事件だったから逮捕に至ったのだ。今回は世間を騒がせたものの、19歳の悪知恵である。もし、当の本人がゲーム感覚でしたことで、これほど大事(おおごと)なるとは思ってもいなかったと反省しているのであれば、警察が「この横着モノ。世間を騒がせたらいかん」と一喝しておきゅうを据えるだけで済む話ではないか。逮捕して、断罪して、それで世間がすっきりするのだろうか。むしろ、少年の出来心に対して寛容性がなくなった日本社会のあり様が返って問われることになりはしないか。この方がむしろ後味が悪い。
もちろん、この事件の背後に協力者として大人が絡んでいる、あるいは未成年であっても他との共謀性があれば別の話になる。
⇒3日(木)朝・金沢の天気 ゆき
京都大学側が2月28日に京都府警に被害届を提出し、さらに世間の注目を集めた。おそらく大学側は対応できないと判断したのだろう。京都府警もネットを使った犯罪にはチカラを入れていて、生活安全部のハイテク犯罪対策室が対応を担っている。その罪は、偽計業務妨害罪。つまり、偽計を用いて人の業務を妨害した、というもの。3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる。
ところが、世間の関心は一方で別なところにある。監視員がいる中で、どうやってケイタイを使って投稿できたのか、という技術的な驚きだ。これまで、入試に関しては、集団カンニングや裏口入学、替え玉受験など入試の公正性をめぐる事件があった。今回のように、偽計業務妨害罪という刑法犯の特定にまで至るというケースは初めてだろう。
過去の替え玉受験問題(1991年の明治大学の入学試験)では、有印私文書偽造など3人が逮捕されているが、これは大人が絡んだ事件だったから逮捕に至ったのだ。今回は世間を騒がせたものの、19歳の悪知恵である。もし、当の本人がゲーム感覚でしたことで、これほど大事(おおごと)なるとは思ってもいなかったと反省しているのであれば、警察が「この横着モノ。世間を騒がせたらいかん」と一喝しておきゅうを据えるだけで済む話ではないか。逮捕して、断罪して、それで世間がすっきりするのだろうか。むしろ、少年の出来心に対して寛容性がなくなった日本社会のあり様が返って問われることになりはしないか。この方がむしろ後味が悪い。
もちろん、この事件の背後に協力者として大人が絡んでいる、あるいは未成年であっても他との共謀性があれば別の話になる。
⇒3日(木)朝・金沢の天気 ゆき