「羽田 国際ハブ空港化」ー。こんな見出しがここ数日紙面をにぎわせている。10月13日の前原誠国土交通大臣の発言を受けてのことだ。しかし、地方に住んでいる者にとって、どの空港を使うかは行き先によって決まっている。たとえば、金沢からだと、ハワイは名古屋、ニュージランドとオーストラリアは関空、ヨーロッパは成田だ。その理由は、出発先からのアクセスと待ち合わせ時間をまず考えるからだ。ハワイは便数だと成田が多いが、小松から成田の乗り継ぎ便が少ない。そこで、JR金沢駅から名古屋駅に向かい、直行バスで名古屋セントレアに行く。夜10時ごろのフライトでホノルルまで6時間だ。ニュージーランドの場合はJR金沢駅から関空に向かう。行き先に応じて組み合わせをする。
きょうの論点の結論から言えば、「羽田 国際ハブ空港化」は無理だと思うし、その必要もない。また、そうすべきでもないと思う。日本人1億2千万人が使う空港を羽田にバブ化、つまり集中することの困難性は明らかだ。まず、地震や台風など災害が多い日本のような国では集中管理より、リスク分散だろう。次に、激しい建設阻止闘争を押し切って開港した経緯から、成田が午前6時から23時の時間帯しか発着できない約束事があるというのであれば、国土交通大臣が建設中止を明言した八ツ場(やんば)ダムのように成田の住民を説得に現地に赴くべきだ。深夜発着にかかわる騒音対策の問題もあるのでその補償案を提示して説得するのが筋だろう。
さらに、羽田‐成田間の乗り継ぎの不便さが指摘されている。確かに、京成、都営浅草、京急休耕の各線に乗り入れるかたちで直通列車が運行しているが、最短でも106分かかる上、便数も限られている。これをせめて50分台のアクセスにして、東京駅ともリンクするように国交省が全力を上げれば不便さはかなり解消される。ハブ化を言う前に、成田と羽田の利便性を高めるために打つ手はいろいろある。
韓国の仁川空港にハブ機能が奪われているという。「国際空港評議会」(本部ジュネーブ)が選出する2004年-2008年の「空港ランキング」総合評価部門で仁川が連続して「世界最優秀空港賞」を受賞し、国際貨物量で2006年に成田を抜いて世界2位になった。前原発言はこれを強く意識したものだろう。
そもそも西日本の地方空港がなぜ仁川を利用しているかというと、たとえば九州から見れば、成田や羽田はアジアやヨーロッパの方向とは逆方向に位置する。感覚的にあえて逆戻りしてまで成田や羽田を使いたいとは思わないのである。東京の人が北海道に行くのにわざわざ名古屋や関西に行くだろうか。つまり、「羽田 国際ハブ空港化」は東日本の感覚なのだ。日本列島は東西に長いのである。ちなみに、羽田のD滑走路(来年10月運用)を国際線に振り向ければなおさら国内線が窮屈になるのではないか。するとますます地方空港の仁川活用が増えるというパラドックスが生じる。仁川と競い合うハブ空港を日本でつくるとすれば、むしろ関西や福岡の方が東アジアのポジションとすれば地の利があると考える。※写真は羽田空港
⇒14日(水)夜・金沢の天気 はれ
きょうの論点の結論から言えば、「羽田 国際ハブ空港化」は無理だと思うし、その必要もない。また、そうすべきでもないと思う。日本人1億2千万人が使う空港を羽田にバブ化、つまり集中することの困難性は明らかだ。まず、地震や台風など災害が多い日本のような国では集中管理より、リスク分散だろう。次に、激しい建設阻止闘争を押し切って開港した経緯から、成田が午前6時から23時の時間帯しか発着できない約束事があるというのであれば、国土交通大臣が建設中止を明言した八ツ場(やんば)ダムのように成田の住民を説得に現地に赴くべきだ。深夜発着にかかわる騒音対策の問題もあるのでその補償案を提示して説得するのが筋だろう。
さらに、羽田‐成田間の乗り継ぎの不便さが指摘されている。確かに、京成、都営浅草、京急休耕の各線に乗り入れるかたちで直通列車が運行しているが、最短でも106分かかる上、便数も限られている。これをせめて50分台のアクセスにして、東京駅ともリンクするように国交省が全力を上げれば不便さはかなり解消される。ハブ化を言う前に、成田と羽田の利便性を高めるために打つ手はいろいろある。
韓国の仁川空港にハブ機能が奪われているという。「国際空港評議会」(本部ジュネーブ)が選出する2004年-2008年の「空港ランキング」総合評価部門で仁川が連続して「世界最優秀空港賞」を受賞し、国際貨物量で2006年に成田を抜いて世界2位になった。前原発言はこれを強く意識したものだろう。
そもそも西日本の地方空港がなぜ仁川を利用しているかというと、たとえば九州から見れば、成田や羽田はアジアやヨーロッパの方向とは逆方向に位置する。感覚的にあえて逆戻りしてまで成田や羽田を使いたいとは思わないのである。東京の人が北海道に行くのにわざわざ名古屋や関西に行くだろうか。つまり、「羽田 国際ハブ空港化」は東日本の感覚なのだ。日本列島は東西に長いのである。ちなみに、羽田のD滑走路(来年10月運用)を国際線に振り向ければなおさら国内線が窮屈になるのではないか。するとますます地方空港の仁川活用が増えるというパラドックスが生じる。仁川と競い合うハブ空港を日本でつくるとすれば、むしろ関西や福岡の方が東アジアのポジションとすれば地の利があると考える。※写真は羽田空港
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