自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★続・モノトーンの美学

2008年01月06日 | ⇒トピック往来
 前回の「自在コラム」では、能登の風土から生まれた珠洲焼(すずやき)、合鹿椀(ごうろくわん)にある種の生活の美学を感じると書いた。年始めに寄せられた年賀状の中にも能登におけるモノトーンの美を感じさせる1枚があったので紹介する。

 手前の座敷から外に見える赤い樹木は「ノトキリシマツツジ」である。黒ベースの色調からフォーカスされる赤。住宅と庭園を一体化させた美の演出である。能登の素封家の家々ではこの座敷から眺めるノトキリシマツツジのアングルを大切にしてきた。能登在住の写真家、渋谷利雄さんからいただいた賀状である。

 渋谷さんにネット上での掲載の許可を得るため、賀状のお礼を兼ねて電話をした。ノトキリシマツツジはかつて九州地方から伝わったキリシマツツジの亜種だそうだ。街路で見かけるツツジよりも花が小さく、真っ赤な花を咲かせるのが特徴。成長が遅いため、樹齢400年ほどでも高さ3㍍ほどである。つまり、見事に咲いて、しかも小ぶりなので庭木のポイントとして愛用されてきた。座敷で座って眺め、まっすぐな目線上に真紅のノトキリシマツツジを配するのである。

 これも能登の人たちがこよなく愛してきた美的感覚、モノトーンの美といえるに違いない。

⇒6日(日)午後・金沢の天気  はれ

 
コメント
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