蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

出前もする『富嶽@横浜・綱島』さんの「玉子焼き」

2013-11-09 11:35:00 | 横浜市(港北区)

東急東横線・綱島駅から徒歩15分、スマホで場所を確認しながら向った『手打ち蕎麦清風庵・富嶽』さん。

車がそこそこ走っている通りから住宅街の路地に入り、そして更に細い路地に入ったところにあるお蕎麦屋さんで、路地に看板などが出ていなければ民家そのままということもあり、迷ってしまいそうなお蕎麦屋さんです。

そんな『手打ち蕎麦清風庵・富嶽』さんに到着したのは開店時間数分前でしたが、男性2人組が既にお店の前で開店を待っています。少し早かったかな?と思いながら路地に置かれている看板などを写して再びお店に向うと、開店時間の11時半を過ぎていますが暖簾は出ておらず、入口に置かれている札も「準備中」のままでしたが、開店を待っていた男性2人組の姿が見えないことから扉を開けてみると、目の前にご主人が。

「もう、良いですか?。」と確認してみると、「大丈夫ですが、時間が掛かります。」とのこと、開店時間に訪れて時間が掛かるって何なんだろうか?と思いながら2つあるテーブル席の1つに座ってメニューを眺めます。

最初に「時間が掛かります。」と言われたのでお昼に料理はまずいのかな?と思いながら料理を頼んでも大丈夫か聞いてみると、「出前が2軒あるので時間が掛かりますが・・・。」とのこと。

「出前やってるんだ。」と少々驚きながら時間が掛かっても良いということを伝え、遠慮して「砂肝の辛ししょうがあえ」だけをお願いしますが、やはり「玉子焼き」を外すことは出来ず、「だいぶ掛かりますが・・・。」と更に言われながらもお願いして、気長に料理を待つことにしました。


そして、注文してから20分。
まず先客男性2人組みの蕎麦が出てきて、続いて「砂肝の辛ししょうがあえ」が運ばれてきます。
運んできてくれたのはご主人で、「砂肝を、辛子、生姜、ネギと良く和えてから食べてください。」という一言を残して出前へ。なんだかとっても忙しそうです。「こんな忙しい時に蕎麦前なんてお願いしてしまって・・・。」と申し訳なく思いながらグルグルかき回して一ついただいてみると・・・。

なんと、美味しいじゃないですか!。
しっかりした歯応えが感じられながらも柔らかく、そして辛子と生姜の絶妙な味わいが何とも言えず、「忙しい時に蕎麦前なんて頼んでしまい申し訳ない。」と思ったばかりなのに、一口食べただけで、「忙しくても作ってもらって良かった。」と直ぐに気持ちが変わってしまうほど美味しいです。


そして更に20分経過。
先客の男性2人組が蕎麦を食べただけでお店を出て行き、12時を過ぎた昼時にも関わらず、貸切状態になってしまったところでアツアツの「玉子焼き」が登場です。

早速、箸で「玉子焼き」を一切れつまむと、断面から美味しそうな湯気が立ち上り、硬さを感じることの無い、箸先きで感じる弾力感がとっても良い感じの、それだけで十分美味しそうな「玉子焼き」です。

そして一口・・・。
な、な、なんとこの「玉子焼き」、過去に食べたお蕎麦屋さんの「玉子焼き」の中でベスト3に入る美味しさです。
個人的な好みではありますが、甘さ具合といい、フワフワ感と歯応えのバランスといい、申し分の無い見事な「玉子焼き」で、「だいぶ掛かりますが・・・。」と言われながらもお願いして良かったと思える、40分待つに価する美味しい「玉子焼き」です。ということで、醤油も大根おろしも使用せずそのまま美味しくいただきました。


さて、そろそろ蕎麦。
蕎麦前でいただいた料理がとても美味しかったので、天婦羅付きの蕎麦にしようと思い、「さくら海老天せいろ」にしようか、普通の「かき揚げせいろ」にしようか迷いましたが、先客の男性2人組が食べていた「かき揚げせいろ」が美味しそうだったので、「かき揚げせいろ」をお願いします。


出前も終わり、他にお客さんがいないこともあってそれ程待つことも無く運ばれてきた「かき揚げせいろ」は、ホシの入った少々色黒の蕎麦で、ボソボソしていそうな印象です。

しかし、まず蕎麦をそのままいただいてみると、ボソボソ感を感じることもなく滑らかな喉越しで、更には「硬い」と思ってしまうほどしっかりした強いコシが感じられ、「The 本物の手打ち蕎麦」といった印象の蕎麦です。

なお、蕎麦汁はやや濃い目のシャキットした美味しい蕎麦汁ですが、蕎麦の力強さの方が強く、蕎麦を付けていただいてみても蕎麦の印象ばかりが残ってしまい、少々もったいない感じです。


そしてかき揚げですが、塩と天汁の両方が付いてきたことから塩と天汁の両方でいただいてみましたが、個人的な好みもあって、やはり天婦羅は天汁でいただいた方が美味しくいただけるように思います。


今日訪れた『手打ち蕎麦清風庵・富嶽』さんは、ご主人と奥さん、そしてご主人のお母さんと思われるおばあちゃんに小学生(?)の女の子を加えた家族4人でこじんまりと営業している、出前もするお蕎麦屋さんでした。

お店のスタッフに小学生の女の子は通常含めないと思いますが、店内で遊んでいる女の子のその姿と、おばあちゃんと会話をしているその声が空気を和ませていて、家の中に入ってしまったのか姿を見せなくなった以降は静かな店内の空気が少々硬くなってしまったかな?という印象でした。

また、失礼な話ではありますが、その容姿から、少々怖そうな印象をついつい感じてしまったご主人は、実は物腰の柔らかい、「蕎麦に対する情熱」の感じられる方で、会計を済ませた際、「ありがとうございました!。」と背中が見える程の深々としたお辞儀をしてくださり、なんだかとっても気分良くお店を出ることが出来ました。

お店を出て振り返って見ると、やはりどこからどう見ても普通の民家にしか見えないお蕎麦屋さんで、駅から徒歩15分という距離は、「そこまでして蕎麦を食べるか?。」と思う距離かもしれませんが、「これぞ手打ち蕎麦」という蕎麦をいただくことの出来る、わざわざ蕎麦を食べるために訪れる価値のあるお蕎麦屋さんと思います。

ごちそうさまでした。
とても美味しい数々の料理と蕎麦でした。