蕎麦前で憩う

お蕎麦屋さんで蕎麦前をいただきながら憩いの一時を過ごさせていただきました。

横浜の老舗『利久庵@関内』さんの「いなごの佃煮」

2013-11-16 23:42:18 | 横浜市(中区)

JR根岸線・関内駅の近くにある、1948年創業の老舗蕎麦屋『かんない蕎麦処・利久庵』さん。

関内という場所柄から「高級」というイメージを描いてしまい、地元横浜にあるお蕎麦屋さんでありながら過去一度も暖簾をくぐったことがありませんでした。しかし、「一度は訪れておきたい。」という思いが湧いてきたことから、一人で過すことになった秋晴れの土曜日、昼時を外した中途半端な時間に訪れてみることにしました。

お店に到着し、早速暖簾をくぐって中に入ってみると、広いという印象はありませんが、4人掛けを中心としたテーブル席がギッシリと並んでいて、けして少ない座席数ではありませんがそのほとんどが埋まっています。
そして、数名の花番さん達が忙しそうに動き回っているその様子と併せて活気と賑わいが感じられます。

そんな店内の様子を見ながら「14時半なのにもしかして満席?。」と少々驚いていると、ご主人らしき方が目の前に現れ「こちらどうぞ。」とタイミング良く入れ替わりで空席となった4人掛けのテールブル席を勧めてくれます。
ほぼ満席に近い状態なので、相席用の大きなテーブル席でも良いのに・・・。と思いましたが、せっかくのお勧めなのでありがたく使わせていただくことにします。

席に着いてメニューを広げてみると、十分過ぎる一品料理がズラリと並んでいます。
そんなメニューの中から、とりあえず瓶ビール(大・中・小とある瓶ビールの中から中瓶を選択。)と、あれば外すことの出来ない「厚焼き玉子(自家製)」と日頃あまりいただかない「板わさ」をお願いします。

ビールは、後で菊正宗の樽酒をいただきたいので中瓶にし、通常あまり頼まない「板わさ」は、おせち料理に使わせていただいている小田原「丸う」さんの蒲鉾だったのでいただいてみることにしました。


まずはお通しとプレミアムモルツの中瓶が目の前に置かれます。
お通しは、蕎麦味噌かと思いましたが海苔の佃煮で、「へ~、悪くないじゃん。」という感じです。


そして、それほど時間も掛からず運ばれて来た「板わさ」は、2種類の蒲鉾と山葵漬けのセットで、しっかりした歯応えの感じられる美味しい「板わさ」です。
今までは、「結局は蒲鉾だよね。」という思いもあって「板わさ」を注文することはほとんどありませんでしたが、「ビールの肴には良いのかもしれない。」と、気持ちが動いた美味しい「板わさ」でした。

なお、先日「百人町・近江家」さんでさつま揚げをいただいた際、山葵漬けが付いていてどうするのか迷いましたが、今回は迷うことも無く、そのまま食べたり蒲鉾に乗せて食べたりして楽しませていただきました。

山葵漬けをワサビの代わりに蒲鉾の上に乗せていただくと、普通のワサビを使用した場合とは異なる味わいを楽しむことができ、なんだかクセになってしまいそうです。今度自宅で試しにやってみて、美味しかったらおせち料理に加えてみようかと思います。


次に、お店が混雑しているということもあって時間が掛かるかと思った「厚焼き玉子」ですが、思いのほか時間は掛からず、「板わさ」の写真を撮っているうちに運ばれてきました。
その「厚焼き玉子」をアツアツのうちにいただいてみると、フワフワというより柔らかいという印象の、甘さ控え目な玉子焼きでした。


「厚焼き玉子」を食べ終え、瓶ビールが無くなったところで当初の予定通り菊正宗の樽酒と山形県真室川産の「いなごの佃煮」をお願いします。

過去の経験から「甘いかな?。」と思いながらイナゴを一匹いただいてみると、甘過ぎないサラっとした味わいとサクっとした食感がなかなか美味しく、「イナゴって、こんなに美味しかったっけ?。」と思ってしまう、日本酒との相性がバツグンに良い一品です。


「う~ん、美味い、美味い。」と思いながら気分良く菊正宗をいただいていると、アッと言う間に一合徳利が空になってしまいます。しかし、「いなごの佃煮」はまだまだ残っているし、「板わさ」だって残っているし、おまけにお通しの「海苔の佃煮」も残っていて、更にはあれ程混雑していた店内が15時になると空席が目立つようになり、いつの間にか活気ある空間が時計の止まった心地良い空間に姿を変えています。

ということで、菊正宗の樽酒をおかわりし、「海苔の佃煮」、「板わさ」、「いなごの佃煮」を肴に、イナゴの写真を撮るなどしながらのんびりした憩いの一時を過させていただきます。


しばし憩いの時間を過させていただいた後、蕎麦をいただこうと思い再びメニューを広げますが、特に迷うことも無く「せいろう」をお願いします。

いただいた「せいろう」は、やや甘めかな?と思う蕎麦汁とオーソドックスな麺の組み合わせで、おそらく多くの方々に受け入れてもらえるだろうと思われる優しい蕎麦でした。


今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『かんない蕎麦処・利久庵』さんは、「高級」というイメージから今まで一度も訪れていなかったお蕎麦屋さんでしたが、いざ訪れてみると、お店から感じられる活気と賑わいがとても良い感じで、更には賑わいが引いた時に感じられる居心地の良さに老舗の貫禄のような落ち着きが感じられ、週末の昼下がりをのんびり優雅に過ごすことのできるお蕎麦屋さんでした。

そして、忙しく動き回っている花番さん達の丁寧な接客と、店内に顔を出してお客さんと接しているご主人の姿がとても好印象で、「高級」なんて言葉とはかけ離れたなんだかとっても温かい雰囲気のお蕎麦屋さんでした。

ごちそうさまでした。