JR3路線が交差しているJR東海道本線・大船駅。
江ノ島へ向かう湘南モノレールの始発駅でもあることから利用客も多く、併せて駅ビルや駅ナカといった商業施設も充実している主要なターミナル駅となっています。
そんな、食事を取るにしても駅近くで十分事足りると考えられる大船駅から徒歩約20分、車の通行量も少なく、人通りも少ない静かな住宅地にそっと佇んでいる『蕎麦・ふる川』さん。
お店は、「そば」と書かれた幟が無ければそこが蕎麦屋であるとは思えない大きな一般住宅といった外観で、周辺の雰囲気からも、御家族や御夫婦が昼食を食べに来るお店であって、一人でお昼からお酒をいただくお店では無いという雰囲気です。
ということで、お昼からお酒をいただいてしまうことがお店にも他のお客さんにも迷惑とならないよう、開店時間の11時半に訪れ一番客で暖簾を潜ってみると、数年前に開店したばかりということもあって店内は綺麗で清潔感が漂っていますが、椅子の背もたれが黄緑色だったり4人掛けのボックス席があったりと、何となくファミリーレストランのような雰囲気です。
そして、「いらっしゃいませ!。」という気持ちの良い声に迎えられ、店内一番奥にある2人掛けテーブル席に着いて早速メニューを広げます。
メニューは、冊子になっている固定のメニューと内容の変わる一品料理が書かれたメニューとがあり、日本酒については冊子になっているメニューに「純米吟醸」とだけ書かれていて、「やはり、お酒のお客さんは歓迎されないのかな?。まぁ、住宅地のお蕎麦屋さんだし・・・。」という感じです。
でもまぁ、「一品料理」のメニューが用意されているし、目の前に見えるガラス扉の冷蔵庫に奈良県の地酒「嬉長」の姿が見えるので昼から飲んでも大丈夫だろうと思いながらも、念のため一品料理はお昼でも大丈夫か確認してから、「玉子焼き 小」(小サイズの玉子焼)と「味噌田楽」、そして純米吟醸をお願いします。
すると、「純米吟醸は青森県と奈良県と鳥取県の物がありますが・・・。」と、一升瓶を見せてくれます。
その一言に、「何だ、お酒を飲むお客さんの準備もしっかり整ってるじゃん!。」と思いながら、青森県おいらせ町の地酒「吟醸純米・杉玉」をお願いします。
2品盛られたお通しを肴に「吟醸純米・杉玉」をいただいてみると、香りも味わいも穏やかで、純米吟醸としては旨味が少々物足りないかな?と思ってしまうほどスッキリした日本酒でした。
最初にいただいた小サイズ(ハーフサイズではなく小サイズ)の「玉子焼き 小」は、綺麗で甘そうに見えますが、いざいただいてみると甘さ控えめの玉子焼でした。
続いていただいた「味噌田楽」は、大根、カブ、こんにゃくの3種類を具材とした立派な「味噌田楽」で、ツブツブの食感と適当な辛さの味噌が美味しく、特に味噌田楽には珍しい(かな?)、しっかりした歯応えがありながらも柔らかいカブがとても美味しかったです。
蕎麦前が終りに近づいてきた頃、男性3人組と年配夫婦1組が来店したことから、飲んだことのない鳥取県の地酒「稲田姫」(だったかな?)が気になりましたが、蕎麦前を切り上げ蕎麦をいただくことにします。
何となく「天婦羅が食べたい!。」と思ったことから「野菜天せいろ」をお願いして蕎麦を待っていると、後から訪れた2組のお客さんも一品料理とお酒をあれこれお願いしていて、奥さんも、手馴れたやり取りでごくごく普通に対応しています。
何だ、そうなんだ・・・。
住宅地のお蕎麦屋さんだから昼からお酒飲んで長居するのはお店にも他のお客さんにも迷惑が掛かってしまうかな?なんて思っていましたが、そんな心配は全く不要だったようです。
そう思うと、飲んだことの無い鳥取県の地酒「稲田姫」が何だかとっても恋しくなってしまいますが、おとなしく締めの「野菜天せいろ」をいただくことにします。
いただいた「野菜天せいろ」の天婦羅は、キノコと山菜を含め10品程度と品数が多く、「天婦羅でもう一杯飲めば良かった。」といつまでもネチネチと思ってしまう、食べ応えのある天婦羅でした。
また、蕎麦は見た目の印象とは異なり、コシのある歯応えに加えてザラザラ感と穀物感が感じられましたが、違和感を感じることも無く、喉越し良く美味しくいただきました。
今日、蕎麦前と蕎麦をいただいた『蕎麦・ふる川』さんは、最寄り駅であるJR東海道本線・大船駅から約20分程度歩いた住宅地にあるお蕎麦屋さんであることから、お昼に一人でお酒を飲みながら居座っては迷惑が掛かってしまうかな?と思いましたが、そうではなく、御家族、御夫婦、知人・友人同士が食べ応えのある料理を肴にお酒をいただきながら、そして、奥さんの心温まる自然な接客にもてなされながら休日の昼下がりをのんびり過ごすことの出来るお蕎麦屋さんでした。
ごちそうさまでした。
なお、時間に余裕があったことからお店に向かう途中、「十月桜」を撮影するために訪れたことのある龍宝寺に立ち寄ってみたところ、残念ながら多くの桜は散ってしまっていましたが、淡いピンク色の桜がポツポツと残っていて、数こそ少なかったものの、「冬に咲く桜」を楽しむことが出来ました。