ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [1月20日(金)~1月22日(日)]

2017-01-24 22:33:41 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績

 19日に「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」を観に行きました。ドローン攻撃に焦点を当てた作品。地球上の限定された数ヵ所だけが物語の舞台ですが、メインはケニアのナイロビ。ドローンによって指名手配中のテロリストの居所がわかります。当初は生け捕りにする方針だったのが、状況が変わって遠隔操作で爆撃することに・・・。しかしまた新しい事実が・・・。まあいろいろと論議のネタに事欠かない作品です。たとえば、テロリストの隠れ家近くでパンを売っている女の子。「爆撃によって死ぬ確率が高い」と問題になりますが、大人や男だったら死んでもかまわないのか? 少女は反則だっ・・・と言うと例の慰安婦少女像を思い出したりして。またこの映画ではハチドリ型とかコガネムシ型の小さなスパイドローンが出てきて、後者などは家の中に入って中の連中の姿まではっきりと映したりしてるのですね。将来の物かと思ったらすでに作られているものなのか。町山智浩氏がこの作品について語った記事(→コチラ)によると蚊型の小さなドローン(右画像)まであるとか。まだ電池の問題等があるそうですが、将来さらに技術が進むと、猛毒の液体をターゲットに注射できちゃうようなドローンも作られるかもねー。また現実の問題としては、昨年オバマ大統領政権が公表したように、「2009~15年の間に米軍によるドローン攻撃により、イラクとアフガニスタン以外の地域で64~116人の民間人が死亡した」そうです。(→コチラ参照。) またドローンにより殺害された戦闘員の数は、同じ期間内で2372~2581人となっている・・・ということは、殺された人のうち20~40人に1人は無辜の民間人ということか。なんということだ。戦時中の空襲や原爆投下による民間人殺傷のようなことが今もフツーに(!)行われているとは・・・。「テロとの戦い」のために道連れになって殺される人たちがアジアやアフリカではなくアメリカやイギリスの国民の場合でも「犠牲もやむなし」と言うのかなー?

 「中央日報(日本語版)」(→コチラ)等でも報じられているように、「君の名は。」が1月22日観客数300万人を突破し、韓国で上映された日本映画の興行1位となりました。ただ後述のように勢いは鈍ってきていて、20~22日のランキングでは4位に後退。韓国では7~800万人にならないと大ヒットとは言えないのですが、そこまでどころか500万人くらいの中ヒットにも届くかどうか?といった感じですかねー。韓国公開のアニメでは、過去「アナと雪の女王」(1029万人)がダントツの1位、以下2位「カンフーパンダ2」(506万人)、3位「インサイド・アウト」(496万人)、4位「ズートピア」(470万人)、5位「カンフーパンダ」(465万人)、6位「カンフーパンダ3」(398万人)、7位「シュレック2」(330万人)。ということは、7位には入りそうですね。その上はちょっとどうかな? 

 19日に行ったTOHOシネマズ川崎では、今「キム・ソンダル 大河を売った詐欺師たち」を上映中・・・なんですけど、どうするかな? シネマート新宿では「太陽の下で-真実の北朝鮮-」も始まってます。首都圏はここだけか。じゃ行かなくては・・・。

 毎日映画コンクールの受賞結果は→コチラ。外国映画ベストワン賞はここでも「ハドソン川の奇跡」か。ふーむ。おっ、筒井真理子が女優主演賞とは、私ヌルボの予測通り・・・って本命が来ただけか?

 先週も「朝鮮日報」の「封切映画 ぴったり10字評」、「映画200字評」は掲載されませんでした。

         ★★★ NAVERの人気順位(1月24日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(1) オー・マイ・パパ(韓国)  9.78(213)
②(3) ミス・サイゴン:25周年記念公演 in ロンドン  9.57(185)
③(5) ウィークエンド(韓国)  9.40(125)
④(4) ボブという名のストリート・キャット  9.36(252)
⑤(8) オアシス:スーパーソニック  9.30(444)
⑥(9) わたしは、ダニエル・ブレイク  9.29(1,013)
⑦(7) ヨーヨー・マと旅するシルクロード  9.21(29)
⑧(10) 学校に行く日  9.11(71)
⑨(-) モアナと伝説の海  9.10(4,900)
⑩(-) 従順(韓国)  9.10(141)

 今回の新登場はありません。

     【記者・評論家による順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(1) わたしは、ダニエル・ブレイク  8.40(15)
②(2) ラ・ラ・ランド  8.34(14)
③(4) はじまりへの旅  7.50(9)
④(5) 真夜中のピアニスト  7.50(4)
⑤(-) トンネル(韓国)  7.21(14)
⑥)(7) 君の名は。(日本)  7.17(6)
⑦(8) ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー  7.16(8)
⑧(9) オアシス:スーパーソニック  7.16(2)
⑨(-) 新感染[釜山行き](韓国)  7.10(17)
⑩(10) 恋物語(韓国)  7.00(7)

 今回の新登場はありません。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績1月20日(金)~1月22日(日) ★★★

         「君の名は。」は累計300万人を超えるも4位に後退
【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・・上映館数
1(16)・・ザ・キング(韓国)・・・・・・・・・・・・1/18 ・・・・・・・・・1,311,900 ・・・・・・・・・・1,852,917・・・・・・・・15,372・・・・・・・1,310
2(19)・・共助(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・1/18・・・・・・・・・・・845,976・・・・・・・・・・・1,154,001・・・・・・・・・9,464・・・・・・・・・976
3(2)・・モアナと伝説の海・・・・・・・・・・・・1/12・・・・・・・・・・・335,059 ・・・・・・・・・・1,250,538・・・・・・・・・9,807・・・・・・・・・745
4(1)・・君の名は。(日本)・・・・・・・・・・・・・1/04・・・・・・・・・・・260,592 ・・・・・・・・・・3,052,177・・・・・・・・24,674・・・・・・・・・605
5(68)・・ターニング メカードW・・・・・・・・1/18・・・・・・・・・・・197,204・・・・・・・・・・・・276,709・・・・・・・・・2,056・・・・・・・・・570
        ブラックミラーの復活
6(6)・・ラ・ラ・ランド・・・・・・・・・・・・・・・・・12/07・・・・・・・・・・・・45,923 ・・・・・・・・・・3,020,867・・・・・・・・25,320・・・・・・・・・242
7(4)・・マリアンヌ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1/11・・・・・・・・・・・・35,386・・・・・・・・・・・・461,674 ・・・・・・・・・3,806・・・・・・・・・329
8(3)・・マスター(韓国)・・・・・・・・・・・・・・12/21・・・・・・・・・・・・18,567 ・・・・・・・・・・7,130,677・・・・・・・・57,928・・・・・・・・・261
9(新)・・ロード・オブ・ザ・リング・・・・・・・1/18 ・・・・・・・・・・・・13,055 ・・・・・・・・・・・・20,174・・・・・・・・・・・257・・・・・・・・・・56
        /二つの塔(拡張版)
10(新)・・たかが世界の終わり・・・・・・・1/18・・・・・・・・・・・・・・7,360 ・・・・・・・・・・・・13,319・・・・・・・・・・・106・・・・・・・・・118
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 予測通りの韓国映画2作品が1・2位。「君の名は。」については記事冒頭に書いた通りです。
 今回の新登場は1・2・5・9・10位の5作品です。
 1位「ザ・キング」は、韓国の今の政治・社会状況にも関わりがありそうなドラマ。韓国では日本に比べてはるかに検事の存在感が大きいようで、ドラマや映画によく登場します。こり作品もまさに同様。田舎(全羅道)で育ったパク・テス(チョ・インソン)は、乱暴者の父親の取り調べに来た検事を見たのをけっかけに検事をめざし、猛勉強をしてソウル大に入学、その後司法試験に合格して検事になります。しかし「正義」を体現すべき検事の世界も当然のように政財界やメディアとの<黒い癒着>があり、地位と権力をねらうとなるといろいろあるわけで・・・。テスも権力を作り上げるハン・ガンシク(チョン・ウソン)に出会い、その人脈に乗って成功します。そして80年代後半、軍事独裁政権が終止符を打って民主化の時代に入りますが、これをチャンスと思っていたテスたちの前に予想もしなかった危機が訪れます・・・。どこまで現実の政治状況に重なるかはよくわかりませんが、「インサイダーズ/内部者たち」と共通する要素がありそうで、これは観てみたいですね。原題は「더 킹」です。
 2位「共助」は韓国のアクション。「共助(コンジョ)」という日本ではあまり使われない漢字語は「助け合い」といった意味。この作品では、韓国と北朝鮮による「共同捜査」のことです。北朝鮮当局は秘密裏に紙幣偽造のため銅板を製作さします。ところが、ある内部組織がその銅板を略取してしまいます。その際、特殊精鋭部隊出身の北朝鮮の刑事リム・チョルリョン(ヒョンビン)は妻と同僚たちをその組織により殺されてしまいます。どうしても偽造紙幣の銅板を手に入れたい北朝鮮は、韓国に身を隠している組織のリーダーのチャ・キソン(キム・ジュヒョク)を捕まえるために初めて南北共助捜査を要請し、その責任者としてチョルリョンをソウルに派遣します。一方、北朝鮮の動きをいぶかしく思った韓国は、先にチャ・キソンを捕まえようと、停職処分中であった<生計型刑事>(生活優先?)のカン・ジンテ(ユ・ヘジン)に共助捜査を装ってチョルリョンを監視する任務を与えたのですが・・・。原題は「공조」です。
 5位「ターニング メカードW:ブラックミラーの復活」は韓国アニメ。韓国トップの玩具メーカー孫悟空(ソノゴン)のゲームがモトです。ターニングメカード(TURNING MECARD)というのはミニカーがロボットに自動変身する玩具です。右画像は2台の車が結合して1つのロボットになるもの。他にもたくさんの種類があります。大人の手の平大で1個が1万ウォン台後半。それより大きい物は4~5万ウォンとか。ゲーム方法は→コチラに詳述されていますが、私ヌルボは理解を断念(笑)。アニメも2015年からKBS2で放映されていて、これはその映画版。ストーリーはというと、地球最初のメカニマル(車=変身ロボット)であるディスクキャノンの完成を目前にして、地球とトライフォースにおかしな兆候が感知されます。破壊されたと思っていた悪の化身ブラックミラーが復讐するために復活し、全てのメカニマルをブラックメカニマルに変えてしまい、世界を破壊し始めたのです。テイマー(メカニモルを操縦する人)たちは史上最悪の危機の中、最後のバトルを準備するのですが・・・。原題は「터닝메카드W: 블랙미러의 부활」です。
 9位「ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔」はアメリカ・ニュージーランド合作の2002年の冒険ロマンの再上映。韓国題は「어쌔신 크리드」です。
 10位「たかが世界の終わり」は、グザヴィエ・ドラン監督によるカナダ・フランス合作の人間ドラマ。自らの死期が迫っているルイ(ギャスパー・ウリエル)は、疎遠にしていた実家を12年ぶりに訪れます。余命がわずかであることを伝えようとしますが、自己中心的な兄のアントワーヌ(ヴァンサン・カッセル)やマイペースな母(ナタリー・バイ)を前になかなか切り出すことができません。やがてルイはアントワーヌから昔の恋人の死を告げられます・・・。韓国題は「단지 세상의 끝」。日本公開は2月11日です。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・たかが世界の終わり ・・・・・・・・・・1/18・・・・・・・・・・・・・7,360・・・・・・・・・・・・13,319・・・・・・・・・・・・・106 ・・・・・・・・118
2(9)・・リトル・ダンサー・・・・・・・・・・・2001/2/16・・・・・・・・・・・・・5,592・・・・・・・・・・・・15,263・・・・・・・・・・・・・115 ・・・・・・・・・80
3(1)・・7年 彼らがいない言論(韓国)・・・1/12 ・・・・・・・・・・・・1,748 ・・・・・・・・・・・・14,207・・・・・・・・・・・・・112 ・・・・・・・・・61
4(3)・・わたしは、ダニエル・ブレイク ・・・12/08 ・・・・・・・・・・・・2,800 ・・・・・・・・・・・・78,043・・・・・・・・・・・・・601 ・・・・・・・・・22
5(4)・・エゴン・シーレ 死と乙女 ・・・・・・・12/22・・・・・・・・・・・・・1,268 ・・・・・・・・・・・・44,498・・・・・・・・・・・・・354 ・・・・・・・・・13

 1・2位の2作品が新登場です。
 1位「たかが世界の終わり」については上述しました。
 2位「リトル・ダンサー」は、2000年のイギリス映画の秀作の再上映。韓国題は「빌리 엘리어트」です。