投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2013年 1月19日(土)09時29分13秒
ツイートしたことを少し修正してこちらに載せておきます。
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最年少12歳入選の太田さん「『何でか分からない』と答えました」
「自分の歌が天皇陛下の前で詠まれることが非常にありがたいことだと思っています」。戦後最年少に並ぶ12歳で入選し、緊張した表情で歌会始の儀に参列した東京都渋谷区の武蔵中1年、太田一毅さん。その後行われた入選者の記者会見で、はきはきと話した。
入選した歌では、飼っているアマガエルが鳴かないことを詠んだが、陛下からは「何で鳴かないんでしょうね」と、ご質問を受けたという。記者会見で「陛下になんとお答えしたのか」と質問が飛ぶと、「『なんでか分からない』と答えました」と笑顔を見せた。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130117/imp13011700010000-n1.htm
太田君の歌は「実は僕家でカエルを飼つてゐる夕立来るも鳴かないカエル」というものですね。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130116/imp13011611560002-n2.htm
「実は僕」の後に特に衝撃の告白が続かない理由を聞いたら、「なんでか分からない。ゲロゲーロ」という回答が返ってくるかもしれません。
子供をアマガエル、じゃなくて甘やかすのは教育上良くないですね。
「百年ばかり寝すごしちまつた頸を立て亀は春陽に薄き眸を開く」は「ちまつた」が下品なので「百年(ももとせ)を寝過ごしにけり」とすればよいのにと思ったけれど、選者の作品なんですね。
永田和宏京大名誉教授。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B8%E7%94%B0%E5%92%8C%E5%AE%8F
珍奇な表現と字余りの多用は京極派の再来を思わせますが、歌会始は必ずしも自己の独創性を強くアピールする場ではなく、新春を寿ぐ公的な行事であってほしいので、選者自らこういう歌を出すのには疑問を感じます。
天皇陛下の御歌、「万座毛(まんざもう)に昔をしのび巡り行けば彼方恩納(あがたおんな)岳さやに立ちたり」は難読の固有名詞が二つあって、ちょっと重い感じがしますね。
ひとつだと面白い効果があると思いますが。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130116/imp13011611560002-n1.htm
皇后陛下のお歌、「天地にきざし来たれるものありて君が春野に立たす日近し」は古風で良いですね。
どことなく持統天皇を思わせる気品のある歌です。
皇太子殿下の「幾人の巣立てる子らを見守りし大公孫樹の木は学び舎に立つ」と雅子さまの「十一年前吾子の生れたる師走の夜立待ち月はあかく照りたり」は穏当。
ただ、雅子さまの「十一年前」は何と読むのですかね。
「じゅういちねんまえ」では変な感じがしますが、もう少し雅な読み方があるのでしょうか。
秋篠宮殿下の歌「立山にて姿を見たる雷鳥の穏やかな様に心和めり」は散文、しかも小学生の作文レベルですね。
お題の「立(たつ)」については、あまりに漠然としたテーマであって、歌会らしい調和的なイメージの連鎖を形作ることが難しいという批判はあると思いますが、それにしても地名の「立山」で済ませるというのは独創的というか、ちょっとずうずうしいですね。
紀子さまの「凛として立つ園児らの歌ごゑは冬日の部屋にあかるくひびく」はまあまあかな。