投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2012年 7月11日(水)08時24分12秒
昨日付の『河北新報』記事を保存しておきます。
この記事の中で、「会合で焦点の一つになったのが、校庭に避難した児童が山に逃げるよう訴えていたとの証言。「山への避難を進言した児童がいた」と主張する遺族に対し市教委は3月、「そういう事実は把握していない」と説明していた」とありますが、このやり取りを見ると、法律に関しては素人である遺族と教育委員会がいつまでも議論を続けている空しさを感じますね。
「過失」は法的な価値判断ですが、「過失」の有無を判断する上で児童の一人の発言の有無それ自体は重要な事柄ではありません。
遺族も所詮素人だから、いくら時間をかけても議論がピントはずれになってしまいがちであり、「平行線」になるのも教育委員会が一方的に悪い訳ではないですね。
生き残った教員から遺族が納得できる形で事情を聞く手段は、実際には民事訴訟しかありません。
裁判で当該教員に証人として出頭を求め、偽証したら刑事罰があることを警告した上で宣誓をさせ、尋問の専門家である弁護士を通して詳細に聞き出すことで、やっと真実への糸口が見えて来ることになります。
「第三者委員会」がそれなりの判断を示したところで遺族が納得することはおそらくありえず、結局は裁判になるのだから、実りのないやり取りで時間を無駄にしない方がよいのではないかと思います。
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議論5時間平行線 石巻市教委が大川小の児童遺族と会合
東日本大震災で児童、教職員計84人が死亡・行方不明になった宮城県石巻市大川小の被害をめぐり、市教委は8日、児童の遺族との会合を開いた。避難行動などに関する市教委のこれまでの説明に対し、遺族側が疑問点、矛盾点を追及。説明会を含め5度目となった両者の話し合いは5時間半に及んだ。市教委は防災対策や対応の不備を認めたが、「関係者の処分は考えていない」と説明。事実関係の認識も平行線をたどり、溝の深さがあらためて浮き彫りになった。
◎「聞き取り」欠落調査へ/検証
会合で焦点の一つになったのが、校庭に避難した児童が山に逃げるよう訴えていたとの証言。「山への避難を進言した児童がいた」と主張する遺族に対し市教委は3月、「そういう事実は把握していない」と説明していた。
当時学校にいて助かった男子児童は河北新報社などの取材に「6年生が担任に『山へ逃げた方がいい』と訴えていた」と証言。市教委も昨年6月の説明会では、聞き取り調査を基に「『山さ逃げよう』という男子がいた」と報告していた。
遺族側が昨年6月の議事録を基に追及すると、市教委は同様の証言があったと考えられると認めた。児童の聞き取り調査結果をまとめた公文書には記載がなく、市教委は欠落の経緯を調べる考えを示した。公文書の基になった聞き取り時のメモは廃棄されている。
市教委は検証に向け、聞き取り調査など関連の公文書を全てを永年保存する方針も明らかにした。遺族には保存期間切れを懸念する声があった。
「生き残った先生の話を聞きたい」。市教委に不信感を募らせる遺族からは、教職員で唯一助かった男性教諭の再聴取を求める声も相次いだ。
男性教諭はショックを受けたとして休職中。市教委が「聞き取りには主治医の許可が下りない」と説明すると、娘が行方不明の母親は「先生を責めるのではない。(捜索の)手掛かりを聞きたいだけ」と訴えた。
◎管理ずさん批判相次ぐ/責任
「学校管理下で多くの子どもが命を失った。誰かが責任を取らないといけないのでないか」。遺族からは関係者の処分を求める声が上がった。
市教委はこれまでの説明会で、学校の災害対応マニュアルの不備や市教委による点検・指導不足などがあったことを認めている。
児童らへの聞き取り調査時のメモ廃棄など、検証作業でのずさんな文書管理に、会合では批判が相次いだ。
境直彦教育長は対応の不十分さを謝罪したが、処分はしない考えを示した。終了後の記者会見では「具体的に処分に該当する事項があったかどうか、はっきりしていない」と説明。責任の取り方については「遺族の思いを踏まえて話し合いを続けていく」と述べた。
◎「可能な限り再聴取」/第三者機関
避難行動などを検証する第三者機関の設置について、市教委は外部委託のための関連予算案を市議会に提出する前に、遺族と話し合わなかったことを陳謝した。
第三者機関の設置予算は、遺族の合意を執行の条件に6月定例会で可決された。市教委はこれまで、遺族の理解が得られるよう努める意向を表明。検証でも、市教委が調べた内容だけでなく、遺族が集めた情報も踏まえる方針を示した。
会合では、遺族側の「生存者に再度聞き取りをやるのか」との質問に、市教委は「可能な限りやっていく」と答えた。
児童への再聴取について市教委はこれまで、教育的配慮から見送る姿勢を見せていた。「本人が同意すれば可能ではないか」という遺族の意見に、市教委は「本人や保護者の同意があり、医師など専門家の判断もあれば検討することになる」と応じた。
◎10月から集中捜索大川小付近行方不明者
石巻市は大川小近くの北上川河口部付近で10~11月、警察や消防などと連携し、行方不明者を集中捜索する。市教委が8日、児童の遺族との会合で概要を明らかにした。
捜索場所は学校から北東1.5~5キロの水田約100ヘクタール。現在は水没状態で、9月中にポンプで排水した後、重機でがれきなどを取り除き、手掛かりを探す。
市によると、大川地区では大川小の児童4人と教員1人を含め41人の行方が分からない。今月中にもポンプが設置され、排水のめどが立つことから、地面が凍結する冬季前まで捜索する。
市教委や遺族は現在も周辺の捜索を続けている。市教委は集中捜索期間中の重機増強も検討している。
2012年07月10日火曜日
http://www.kahoku.co.jp/news/2012/07/20120710t15015.htm
昨日付の『河北新報』記事を保存しておきます。
この記事の中で、「会合で焦点の一つになったのが、校庭に避難した児童が山に逃げるよう訴えていたとの証言。「山への避難を進言した児童がいた」と主張する遺族に対し市教委は3月、「そういう事実は把握していない」と説明していた」とありますが、このやり取りを見ると、法律に関しては素人である遺族と教育委員会がいつまでも議論を続けている空しさを感じますね。
「過失」は法的な価値判断ですが、「過失」の有無を判断する上で児童の一人の発言の有無それ自体は重要な事柄ではありません。
遺族も所詮素人だから、いくら時間をかけても議論がピントはずれになってしまいがちであり、「平行線」になるのも教育委員会が一方的に悪い訳ではないですね。
生き残った教員から遺族が納得できる形で事情を聞く手段は、実際には民事訴訟しかありません。
裁判で当該教員に証人として出頭を求め、偽証したら刑事罰があることを警告した上で宣誓をさせ、尋問の専門家である弁護士を通して詳細に聞き出すことで、やっと真実への糸口が見えて来ることになります。
「第三者委員会」がそれなりの判断を示したところで遺族が納得することはおそらくありえず、結局は裁判になるのだから、実りのないやり取りで時間を無駄にしない方がよいのではないかと思います。
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議論5時間平行線 石巻市教委が大川小の児童遺族と会合
東日本大震災で児童、教職員計84人が死亡・行方不明になった宮城県石巻市大川小の被害をめぐり、市教委は8日、児童の遺族との会合を開いた。避難行動などに関する市教委のこれまでの説明に対し、遺族側が疑問点、矛盾点を追及。説明会を含め5度目となった両者の話し合いは5時間半に及んだ。市教委は防災対策や対応の不備を認めたが、「関係者の処分は考えていない」と説明。事実関係の認識も平行線をたどり、溝の深さがあらためて浮き彫りになった。
◎「聞き取り」欠落調査へ/検証
会合で焦点の一つになったのが、校庭に避難した児童が山に逃げるよう訴えていたとの証言。「山への避難を進言した児童がいた」と主張する遺族に対し市教委は3月、「そういう事実は把握していない」と説明していた。
当時学校にいて助かった男子児童は河北新報社などの取材に「6年生が担任に『山へ逃げた方がいい』と訴えていた」と証言。市教委も昨年6月の説明会では、聞き取り調査を基に「『山さ逃げよう』という男子がいた」と報告していた。
遺族側が昨年6月の議事録を基に追及すると、市教委は同様の証言があったと考えられると認めた。児童の聞き取り調査結果をまとめた公文書には記載がなく、市教委は欠落の経緯を調べる考えを示した。公文書の基になった聞き取り時のメモは廃棄されている。
市教委は検証に向け、聞き取り調査など関連の公文書を全てを永年保存する方針も明らかにした。遺族には保存期間切れを懸念する声があった。
「生き残った先生の話を聞きたい」。市教委に不信感を募らせる遺族からは、教職員で唯一助かった男性教諭の再聴取を求める声も相次いだ。
男性教諭はショックを受けたとして休職中。市教委が「聞き取りには主治医の許可が下りない」と説明すると、娘が行方不明の母親は「先生を責めるのではない。(捜索の)手掛かりを聞きたいだけ」と訴えた。
◎管理ずさん批判相次ぐ/責任
「学校管理下で多くの子どもが命を失った。誰かが責任を取らないといけないのでないか」。遺族からは関係者の処分を求める声が上がった。
市教委はこれまでの説明会で、学校の災害対応マニュアルの不備や市教委による点検・指導不足などがあったことを認めている。
児童らへの聞き取り調査時のメモ廃棄など、検証作業でのずさんな文書管理に、会合では批判が相次いだ。
境直彦教育長は対応の不十分さを謝罪したが、処分はしない考えを示した。終了後の記者会見では「具体的に処分に該当する事項があったかどうか、はっきりしていない」と説明。責任の取り方については「遺族の思いを踏まえて話し合いを続けていく」と述べた。
◎「可能な限り再聴取」/第三者機関
避難行動などを検証する第三者機関の設置について、市教委は外部委託のための関連予算案を市議会に提出する前に、遺族と話し合わなかったことを陳謝した。
第三者機関の設置予算は、遺族の合意を執行の条件に6月定例会で可決された。市教委はこれまで、遺族の理解が得られるよう努める意向を表明。検証でも、市教委が調べた内容だけでなく、遺族が集めた情報も踏まえる方針を示した。
会合では、遺族側の「生存者に再度聞き取りをやるのか」との質問に、市教委は「可能な限りやっていく」と答えた。
児童への再聴取について市教委はこれまで、教育的配慮から見送る姿勢を見せていた。「本人が同意すれば可能ではないか」という遺族の意見に、市教委は「本人や保護者の同意があり、医師など専門家の判断もあれば検討することになる」と応じた。
◎10月から集中捜索大川小付近行方不明者
石巻市は大川小近くの北上川河口部付近で10~11月、警察や消防などと連携し、行方不明者を集中捜索する。市教委が8日、児童の遺族との会合で概要を明らかにした。
捜索場所は学校から北東1.5~5キロの水田約100ヘクタール。現在は水没状態で、9月中にポンプで排水した後、重機でがれきなどを取り除き、手掛かりを探す。
市によると、大川地区では大川小の児童4人と教員1人を含め41人の行方が分からない。今月中にもポンプが設置され、排水のめどが立つことから、地面が凍結する冬季前まで捜索する。
市教委や遺族は現在も周辺の捜索を続けている。市教委は集中捜索期間中の重機増強も検討している。
2012年07月10日火曜日
http://www.kahoku.co.jp/news/2012/07/20120710t15015.htm
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