9月下旬からずっと燃え続けている薪ストーブ、アンコールは料理も得意なストーブ。
グリドルトップでは妻が煮込み料理を。遅ればせなが最近アッシュトレーをオーブンとして使用できることを知った。
まずは手始めに「紅はるか」の焼き芋。なんという甘さ、香ばしさ、しっとり感、美味さ、皮まで食べてしまった。
以前はアルミホイルに包んで開けたダンパーの上に乗せ焼いていた。今後アンコールでオーブン料理、増えることだろう。
ところで・・・突然、話題を変える。何事にも始まりあらば、必ず終わりあり。
今年一月、この世を去ってしまった田渕義雄氏との因縁を感じつつ12月に30年のカーティスクリークの歴史を閉じる決意をした。
ブログを書いているうち、しっかりけじめをつけてから、と思いながらも筆が走ってしまった。身勝手なお知らせ、お許しを。
カーティスクリーク誕生由来、再記載
1月30日死去された彼について一度はどうしても書かねばならない。
できるだけ簡潔に、と思うものの、とりとめなく書いてしまうこと、お許しあれ。
初めて彼を知ったのはごま書房の「車で楽しむファミリーキャンプ」という新書。
容易くインスパイヤーされた私はすぐ「フライフィッシング教書」という本を買った。
当時、彼は既に「アウト・オブ・ライフ入門」という書籍も出版しており、世はバブル、その反動的アウトドアブーム黎明期。
時勢に乗りベストセラー、テレビのモーニングショーにも出演するほどの時の人になっていた。
私は何故かそのベストセラーを買う気になれなかった。その後発行された月刊誌、BE-PALも一度も読んだことがない。
なぜか?世の流れに乗る、時代に擦り寄る、マジョリティーに属してしまうのが嫌、ということなのか。
彼も同じ方向を向く人間、彼の出版物が彼の意に反し、勝手に流れに乗ってしまった、という独断的思いがあった。
近年彼の出版物を目にすることが極端に少なくなった。彼の意志なのか推し量れぬが、出版が彼の生業の一つ。彼とて仙人では過ごせぬ。
時は過ぎゆき、下界の人種が変わり、思想が変わり、潮流が変わり、価値観が変わり、諸々変わり、が、ブレず、変わらずは彼の思想、人生哲学。
川上村の彼の家を見ず知らずの人間が勝手に訪問したり、彼のアルカディアを訪ねる団体旅行如き企画を目にするたび、
長年の時を費やし、築き上げてきたアルカディアに安易にドカドカと踏み込んでくる、ジレンマ、彼の心中はいかに、と想像する。
私は彼が川上村に住み始めてから一度たりとて足を踏み入れたことはない。そこは近づいてはならぬ聖地と思っているから。
彼の根本思想、聖地での生活から生まれる瞑想、思想、彼から発せられるメッセイジ(書籍を買うこと)をじっと待てばいい。
彼の信奉者ならそれが礼儀というもの。
田渕義雄氏のプロフィールで知れる、 fireside森からの便りから引用
(1944年東京生まれ。作家。1982年、八ヶ岳に程近い金峰山北麓の山里に居を移し、作家活動を続ける。
自給自足的田園生活を実践して孤立無援をおそれず、自分らしく生きたいと願う人々に幅広い支持を得ている。
また園芸家、薪ストーブ研究家、家具製作者でもある)
40年以上前の最後のファミリーキャンプは田淵氏が家を建てる前、川上村、彼が年中キャンプしていた、最も愛してた場所だろう、ところで。
そして朝食は彼推薦のトースターでトースト。多分子供たちも覚えていることだろう。
その後、彼がBE-PALに連載した随筆をまとめた単行本、「森からの手紙」を読み、益々宮使いが嫌になった。
思わぬチャンスが訪れ、家族を説得し、1991年、孤立無援をおそれず、転職、転居した。
フライロッドを握り始めたのは無論のことであた。店の名前は迷いなくCurtis Creek。
当時はまだこの名前を使った企業、店名はなかった。
語りたいことたくさんあれど、もうその彼はこの世にいない。
老人の取り留めない話、やめよう、長話になってしまった。
いずれにせよ、語る私自信、彼を追ってあの世に行く日もそう遠くない。
CURTIS CREEK
文字通りには、カーティス(男の子の名前)の川ということ。
そして、これはいつもこっそりと釣りに行く川という意味。
カーティスクリーク、それは冷たい流れに鱒たちが泳ぐ、喜びに満ちた川の広がり。
誰にも教えたくない秘密の川、心の川。
オーナーが仰る通り始まりがあれば終点もあります。その終点は少なくともまだまだ先の事だと勝手な期待をしておりました。
お二人で長年に渡って築き上げられたイングリッシュガーデン、素敵な館内、特にダイニングルームの窓より望む朝の景色を眺めながらスピーカーからのクラッシクの決して食事の手を止めない静かな調べ、クリーク(遂にホタルの乱舞は見ずじまい)全てが別世界の空間の隙間から覗く浮島、食いしん坊の私達にとって名シェフのお食事は最高でした。
私ともの拙い経験の中ではこれほどのシチュエーションの揃った場所は目にしておりません、最高のオーベルジュです。
又、令和になって楽しい事がひとつ減りました。こちらの我儘でいつまでもとも言えず、今後のお二人の健康で健やかな生活をお祈りしなければいけないのですね。10数年に渡り幸福な時間を与えて頂いき深謝しております。
日ごとに寒さがつのってまいります。どうぞ、お身体ご自愛くださいませ。
最後になりましたが、今年の夏休みに、この環境の中、心良く宿泊を受け入れて頂いたこと感謝しております。