Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

日本1-3 韓国 国立5連敗 これが現実

2010-02-18 | Football Asia
約3分のロスタイムを過ぎオーストラリア人のデロフスキー主審の試合終了のホイッスルが鳴り響いた。公式発表42,951 人の観客の約9割が日本を応援していたと思うが一斉にブーイングが発せられる。私は足早に出口に向かった背後では 
 “岡田辞めろ!!” “岡田解任!!”と叫ぶ人も少なくなかった。 

待ちに待った日韓戦。競技場で観戦できるのは1988年10月26日の日韓定期戦以来何と22年ぶり。あの時はまだ昭和だったなぁ…
その試合も日本は崔淳鍋のゴールで 0-1 で敗れた。この日も鬼門の10月26日だったんだなぁ…。 
当時、観客は10,000人も入らず、半分くらいが在日を含めた韓国人応援団だった。 それでも熱心に代表を応援する人はいた。そしてアベックもちあほら。いつか日本が強くなって女の子とサッカー観戦をしまくりたいなぁ….と思いながら観戦していた。
その後日本はワールドカップ出場を果たすが残念ながら “彼女” とスポーツ観戦をしまくる夢は実現しなかった。

前述したが国立での韓国戦は連敗中だった。しかし、今回は日本もかなりチャンスがあると思った。 それは朴智星、朴主水、寄誠庸、金東進そして 薜鉉ら欧州勢がいない事。そして中国戦で 0-3 と歴史的敗北を喫したショックを絶対に引きずっている事。中国代表の高共波監督は“中国は縦のスピードに欠けていた。”と云う様に2列目から前線への飛び出しは欧州組が抜けると影をひそめると思った。

注目のスタメン。中国戦から韓国はかなりメンバーを替えて来た。 GK 李雲在は不動であるが、 DF は李正秀、郭泰輝のJリーグ勢を外し呉範錫が右サイドに左サイドに李正秀に替ってジュビロ磐田の朴主護、趙容亨と組む CB は郭泰輝に替って姜敏壽が起用された。昨シーズンまで愛するサンガにいた李正秀をなぜサイドバックで使っていたかが不思議だったが元々このポジションだったのだろうか? 
それにしても李正秀、郭泰輝といった愛するサンガに関連する選手達がベンチとは.

かつて名古屋に所属した金正友と組んだボランチは具滋哲に替って辛炯。
2列目の左にはかつて FC 東京でプレーした呉章銀に替り20歳大分トリニータの金甫、右サイドは金斗ではなく金在成。李東國と組む2トップはジュビロ磐田の李根鍋ではなく李昇烈。許丁茂監督は中国戦からメンバーを6人も替えた。

一方の日本代表は中国戦と同じメンバー。結局この大会は新戦力を試す為に全員にスタメンのチャンスを与えるのかと思ったが召集された中ではベストメンバーを使って“タイトル”を取りに行ったと思われる(それ自体は悪い事ではないと思うが。)
起用だった。

韓国のスタメンを見て、これならかなり優位に試合が進められると感じた。
開始早々闘莉王がロングボールを前線に入れこぼれ球から稲本が相手DFの裏にボールを出すがここはそのままゴールラインを割る。3分には再び稲本がボールを奪いゴール前に送る。岡崎、玉田が迫るがここはクリアーされる。
日本は立ち上がり玉田、岡崎の2トップに2列目は左に大久保、右に憲剛。だが8分頃にはこの二人のポジションが入れ替わった。 
日本は中盤でのボール回し、ボール運びが良く韓国はファールで止めるシーンが続いたが、PA内ではタイトなマークを受けシュートを撃たせて貰えなかった。
ワールドカップで欧州の屈強なDF達と誰か渡り合えるFWはいないものか…釜本の様に…

だから期待の掛かるのはCK等のセットプレー。 闘莉王、中澤らの高さは韓国DF陣にとっても玉田、岡崎らよりも脅威だったに違いない。 21分、中盤で大久保が金正友に倒されFKを得る。金正友にはイエローカードが出る。大久保はすぐに立ちあがれず一旦外に出される。そのFKを遠藤がPA内に入れるがタイミング良く飛び出した闘莉王に姜敏壽が背後から抱きついて倒すとすかさずデロフスキー主審がペナルティースポットを指す。そして姜敏壽にはイエローカードが出された。このPKを遠藤が李雲在の動きをよく見てライナーで蹴り込み先制ゴールを決めた。 

     


この先制点は韓国にはかなり堪えたはずだ。 前半中に2点目を先に奪えば、これでこの試合は完全に日本のものだ、と思った。しかし先制点直後に大久保が倒れ込んで立ちあがれない。先ほど痛めた左足がだめらしい。( 後で知ったが全治6週間とのこと。) C大阪の香川がピッチに入りベンチに退いてしまった。
27分44秒には内田に金甫が足払いをかける様なタックルを入れてイエローが出される。 この日も韓国は激しく当たってくる。その上デロフスキー主審がアドヴァンテージを見ようとファール直後すぐに笛を吹かないので全体的にリズムの乗れない時もあった。こういう笛は Rugby Union ゆずりか?
しかし32分、今度は李昇烈がPAのすぐ外の真ん中でボールを受けると左前にスルーパスを出す。そこに金甫がドリブルで正面からマークに入った内田にまさに正面衝突して倒れるとデロフスキー主審はまたもペナルティースポットを指した。金甫の強引なドリブル突破が引きだしたPKだった。でも金甫からぶつかりに行った様にも見えたけど。これを李東國が楢崎の飛んだ反対方向に蹴りゴールネットを揺らした。 韓国にとってはまさに起死回生のPKとなった。 

この同点ゴールを境に一気に韓国が攻勢に出てくる。35分には李東國に左サイドからクロスを入れられたがここは誰も触れなかった。しかしもし中に誰かいれば危ないシーンでもあった。だが日本はその後でもボランチが、特に稲本が対人の強さを見せ攻撃の起点となる。ボランチが上がれば憲剛が守備をカバーする。 37分にはその憲剛がミドルを放つがGK李雲在が左に倒れ込んでセーブ。もっと積極的にミドルを撃ってくれればとも思ったのだが….

38分辛炯からのボールを受けた李昇烈がミドルを放つとそのまま日本ゴールに吸い込まれてしまった。中澤の背中に当たってコースがやや変わったという幸運も伴ったが李昇烈がボールを受けた時はゴールが遠く前方が開けており楢崎がやや前に出て来ていた。そのすきを逃さず瞬時に右足を振りぬいた李昇烈の“見事なミドルシュート”だった。そしてあっという間の逆転劇だった。

    

しかしまだ時間は十二分に残っている。この日の両者の力関係からいえば日本はまだまだ得点のチャンスはあると思った。
ところが更なる予期せぬ禍が日本を追い詰める。39分、中盤左サイドで憲剛が倒されFKを得る。それを遠藤がセットする。当然闘莉王、中澤が上がって来る。遠藤がゴール前に放り込みむとそこに日韓の選手達がなだれ込むがうまく抜け出したはずの闘莉王が相手DFと交錯して倒れた。このプレーでホイッスルが鳴らなかったが韓国のキャプテンマークを巻く金正友が主審に何やらアピールすると、主審は闘莉王に一発レッドを提示した。後でわかったが闘莉王が交錯して倒れた姜敏壽に起き上り際に蹴りを入れたらしい。 

   


韓国ゴール前に上がった闘莉王にしつこくファールを繰り返していたのがその姜敏壽だった。すぐにピッチを去らない闘莉王に韓国サポーター達からブーイングが飛んだ。

    

23分にPKで先制した日本だが大変な状況に暗転してしまった。前半残りの約7分間はCBの位置に稲本が入りボランチを遠藤一人にして何とか韓国の攻撃を凌いだがリードされている状況で一人少ない日本に後半、挽回のチャンスは巡って来るのだろうか?と殆どの日本さポーター達は心配になった事だろう。

闘莉王を失った日本は後半入ったばかりの香川を下げてCBに岩政を入れた。これでこの試合2枚の交代枠を自らの意思以外で使ってしまった。
韓国の選手交代は…. とピッチに目を凝らすと悲鳴が湧き上がる。金正友からボールを受けた李東國がドリブルで上がり岩政と中澤の間を突破しシュートを放つと楢崎を破ってゴールポストの下側に当たった。幸運にもボールはゴールラインを割らずに済んだが、入ったばかりの岩政は肝を冷やしただろう。
ワールドカップ予選の最終戦のオーストラリア戦は中澤不在でその時、CBのバックアップ選手を早く整備しなければ…そういう意味でも前節の香港戦や前のベネズエラ戦は良い機会だと思ったんだけど。
51分、日本に“吉報”が入る。 中盤でボールを持った岡崎に金正友がスライディングタックルに入るがこれが完全な late tackle となりこの日2枚目のイエローが出されて韓国も人数が1人減った。 

      


両チーム一人ずつ少なくなったことでスペースが自然と生まれる。こうなるとボール回しに長けた日本にチャンスが多く生まれると胸算用した。しかしリードしているのは韓国。 56分には李昇烈を下げて具滋哲を入れ前線を李東國のワントップにし2列目を左から金在成を、具滋哲、辛炯を並べ中盤とDFラインの間を狭めてゴール前を固める。日本も特に右サイドの内田が何度も突破を見せて韓国ゴールに迫ろうとするがなかなかシュートが撃てない。 62分には李東國が退き金甫が1トップに入り、DF能力も備える李根鍋が投入され2列目右に入る。これは内田対策も兼ねてだろう。 
それでも内田の突破は止められなかった。 左からは憲剛がゴール前に入れて玉田に渡るがシュートが撃てない。 エリア内に持ち込んでもシュートが撃てなければ…. 2003年FIFA U-20 の韓国戦で 0-1 のビハインドから平山の投入をきっかけに逆転勝利を収めた事を思い出し 現状を打開するために試行を変えて平山を投入しないのかなぁと思った。でもこうなればカウンターが怖いなぁ.. とも考えていた 71分その不安が的中してしまった。 カウンター攻撃から金甫がドリブルで上がると手薄になった右サイドにフリーの金在成があがりボールが渡り撃たれたショットはゴール右上隅に突き刺さり追加点を挙げられた。 

残り20分で2点差。この時点で日本の今大会の優勝の可能性はほぼ潰えた。ホームゲームでの韓国戦3失点は1967年国立でのメキシコ五輪予選(しかしその時は日本も3点取って引分け)そして1994年広島でのアジア大会 ( 最後は疑惑のPK で2-3 で敗れる ) に続いて3試合目。何とか1点返してそしてあわよくば引き分け…と言う願いよりも日韓戦ホームワーストの4失点目を取られない事を切望した。
それでもピッチ上は日本がボールを試合する時間が続く。73分には内田がPA内に侵入するもDF陣に囲まれシュートが撃てない。 74分には長友がミドルを放つがポストの右に外れる。80分には憲剛からの絶妙のスルーパスがサイドからエリア内に入った内田に渡りシュートに持ち込むが韓国DF陣がスライディングでブロック。 81分には最後の交代カード、佐藤寿人が玉田に替って投入されるが、ここでFW同士を替えるのか… と思った。周囲の人達も落胆の声を隠さない。 
83分には憲剛のクロスがCKになり、逆サイドに流れたボールを稲本が拾って入れて中澤が折り返すがシュートには至らない。 日本は左サイドに遠藤が上がって来る。そして前線から 佐藤 - 岡崎, 遠藤 - 憲剛 そしてボランチを 稲本の1枚とし攻勢をかけるがゴールの予感さえ遠かった。  86分に韓国ベンチは金甫を下げて1トップに李根鍋がはいり、呉章銀は2列目左に入った。これで内田が上がってこれなくなり日本の攻撃は完全に停止しあとは試合終了のホイッスルを待つばかりであった…….

大会終了後、ついに専門誌が岡田監督解任を要求する記事が掲載されるなど一斉にバッシングが勃発する。大会を4ヶ月後に控え監督の首を挿げ替えるのもリスクがあると思う。だが今大会ではもっと色々な選手を試すと思ったんだけど…
ここしばらく代表の最前線はスピード重視偏重で上背のある選手を起用する事は稀であったが攻撃の選択肢としてそういう選手も必要ではないか?
欧州組みの不在が指摘されるが国内組だけでももう少しやれなかったか? 確かにこの時期、例年ならまだシーズンは始まっておらず選手達のコンディションは上がってこない事はスポーツをした人なら解る事だ。 昨年の今頃はワールドカップ予選の大一番、オーストラリア戦がありパフォーマンスも悪くなかったので心配ないと思っていた。
しかし大会前に組まれたのがベネズエラ戦のみでは昨年の様には行かない。それにモチベーションも異なるか?

一方の韓国は大会前に南アフリカ( 対ザンビア 2-4 ) スペイン ( 対フィンランド 2-0, 対ラトビア 1-0 ) でそれぞれ合宿、親善試合を組んでお欧州組みは不在でも日本よりかは準備を施していたという点は否めない。この日のスタメン選手全てがそれら3試合のいずれかに出場していた。
大会で優勝した中国は Asian Cup 予選に出場した選手もけっこう起用されていた。

これで国立競技場での日韓戦は1979年3月4日の日韓定期戦で 2-1 で勝利を収めて以来21年間で引分け3つ挟んで5連敗。 
地元開催の東アジア選手権で結果を出せなかった、そして宿敵韓国に敗れたこの日。収穫は前日買ったフリースアンダーパンツが威力を発揮し寒さを感じずに観戦出来た事。 これでこれから冬の現場観戦に強力な武器が備わった。でももうすぐ春か、代表に春は来るのだろうか……