Perdon Bilardo Gracias ( ビラルド監督ごめんなさい。ありがとう )
1986年6月29日。ワールドカップメキシコ大会決勝戦で西ドイツを破り2大会ぶりの世界王者となった直後にアルゼンチンのサポーター達がグランドに降りて来て上記の通りに書かれた横断幕を広げビラルド代表監督に向けて謝罪の意を表した。
今、岡田辞めろ運動を広げたサポーター達やそれに乗ったマスコミ達がどういう反応をするのか楽しみでならない。 ラモス氏が言った“日本のマスコミは誰もサッカー知りませんから….” それが証明された。
快勝 決勝トーナメント進出 先人達の積み重ねに感謝だ。
試合終了まであと3分となった87分。ロスタイムを入れても何分のこっているのか…
1点リードで充分なのかと思い続けていると長谷部から縦パスを受けた本田がデンマークゴール前にドリブルで持ち込む。そして最後にマークに入った Rommedahl を落ち着いて外し更に真ん中に走り込んだフリーの岡崎に送る。岡崎のシュートは弾丸ライナーで無くゴロ。 流し込まれたボールはゆっくりとデンマークゴールに吸い込まれた。 一瞬オフサイドは無いか?と一瞬私は心配したがそれは杞憂に過ぎず、決勝トーナメント進出を決定付ける3点目であった。喜びと云うよりも安堵の感情がこみ上げてくる。欧州の代表国を抑えて1次リーグを突破するなんて70年代から80年代、いや日本がワールドカップに出来る様になっても想像できなかった。これまでサッカーに関わった人達の積み重ねに本当に感謝だ………
“予想通り”のスタメン
Crucial Match, Do-or- Die , どう表現すべきなのだろう。ただデンマークにとっては Must-Win-Match ( 勝たねばならない試合 ) が追加される試合。オランダ戦終盤、川島が連発したファインセーブが効いている。サッカーだけでなく、取るべき時に得点は挙げて、失点はなるべく少なく、と云う鉄則を再確認させられる。まぁそれは人生も同じだけど……
日本代表はカメルーン、オランダ戦に続いて3試合連続同じスタメンとなった。試合会場は海抜 1,500m の都市 Rustenburg にある Royal Bafokeng Stadium 。選手達のスタミナが心配。選手交替のタイミングも試合結果を更に大きく左右するだろう。 デンマークは累積警告で出場停止の CB Simon Kjaer に替って 194cm 長身のFiolentina 所属の Per Korladrup が予想通り起用された。ただ Korladrup は地区予選ではマルタ戦に1度起用されたのみ。 DF ではMartine Larsen が予選序盤のマルタ、ポルトガル、ハンガリー戦3試合。 Anders Moller Chirstensen が終盤の3試合( ポルトガル、アルバニア、ハンガリー)で起用されたがワールドカップメンバーには選ばれなかった。
そして今大会左SBを担っている Simon Poulsen は今回のワールドカップ予選には1試合も出場しておらず。タレント不足の左SBを埋める為に Olsen 監督が再召集したとのことだった。 3月のオーストリア戦では Silberbauer ( 最終的にはワールドカップメンバーには選ばれず ) が起用されたが力不足を露呈。この時点では Lars Jacobsen のコンバートが期待されていた…
そして Arsenal 所属の 194cm FW Nicklas Bendner もスタメンに。 当日の FIFA WEBサイトではインタビューでは怪我が完全に癒えていないであろう Bendner のスタメンで起用しない事も示唆していたのだけど、やはりそれは情報操作か?
でもカメルーン戦でのフル出場は想定外だったのかもしれない。
しかし殆どのデンマーク国民は日本相手に負ける事等想像もしていなかっただろう。組み分けが決まった時、かつて神戸でプレーした Michael Laudrup 氏が日本の専門誌によるとデンマークのジャーナリストのインタビューでは
“日本を軽視するなんて馬鹿げている。本当に警戒すべき一戦は日本戦だと言いきっても良い。国民やメディアは日本戦で確実に勝点3を獲れると言うが日本の新しい世代のサッカー、即ち運動量とスピードの高い技術を見ればすぐにその発言が過ちだと理解するだろう” とコメントしていたらしいが、この試合前の日本の専門誌のインタビューには
“ 日本が活路を見出したいのであれば自分達の特長のスピードをフルに生かす事だ。”とコメントしながらもデンマークの様に世界のトップレベルでプレーする選手が少ない日本よりもデンマークが有利と結んでいた。
FK2発 最高の立ち上がり
緊張のキックオフ。立ち上がりから勝たねばならないデンマークが積極的に出てくる。 でも Bendnaer の位置が低い。前にはむしろ Tomasson, Rommedahl が出てくる。 2分35秒、Tomasson からボールを受けた Simon Poulsen がシュートを放つがバーを越えてくれた。4分48秒には Poulsen がクロスを上げる。駒野の足に当たってコースが替ったが Bendner の元に落ちてくる。遠藤、長谷部がマークに入るがそのままボールは流れてゴールラインを割る。 そのCKからKorladrup が中澤を競りながらもヘッドを放つがゴールの左上隅をかすめて行く。
10分までのボール支配率はデンマーク 63 に対し日本は 37。勝たねばならないデンマークが猛攻を仕掛けてくる。11分30秒。FKを得た日本だかセットに入った遠藤に“遅延行為”とのことで南アフリカ人の Jerome Damon 主審がイエローを出す。劣勢なうえにイエローが出されてしまった。
しかし、この試合は高地で行われているので日本は得点が取られない様にそして省エネで試合を進めてくればと思った。
12分26秒、大久保がデンマークゴール前に放り込み松井が飛び込むが惜しくも GK Sorenssen の足に当たりコースが外れる。
13分には長谷部に阿部のスルーパスが通るがシュートには持ち込めない。徐々にであるが日本がペースを掴んでくれると思ったが、その直後今度は Tomasson にスルーパスが通り中澤がマークに入る前にシュートを撃たれるがポストの右に外れて行く。先制点を許すとデンマークに守備を固められれしまう。まず失点をしない様に、先に先制点をと思う。 10分を過ぎるとまた Tomasson がトップ下に入り Rommedahl を右にそれぞれ戻した。 でも相変わらず Bendnaer は最前線には張っていない。
18分、右サイドでFKを得たがちょっとゴールには遠い様に思えた。遠藤と本田がボールに寄る。ゴール前に入れてこぼれたところを….と思うと本田が直接狙った弾道はGK Soremsen のいっぱいに伸ばした手の先を抜けてデンマークゴールの右サイドネットを揺らした。
見ている方からすれば夢の様な先制ゴール。今大会初めて決まった直接FKだった。 そして願っても無い試合展開となった。
これで2点取らねばならなくなったデンマークは Bendner を最前線に張らせる様になった。 21分 C. Poulsen のスルーを受けた Tomasson がシュートに持ち込むが川島がナイスセーブ。 27分には Jorgensen のスルーがまたも Tomasson に入るがこのこのシュートは川島の正面。 ここで失点していれば一気にデンマークが勢いに乗るところであった。立ち上がりは両サイドバックが前に出て来ていたデンマークは Bendner を前に上げてからはボランチの Poulsen, Jorgensen が前に出てくるようになった。だがここで日本に追加点が生まれる。
Korldrup の大久保へのチャージにイエローが出され、ゴール正面、絶好の位置でFKを得る。長谷部、本田、遠藤がボールに集まる。俊輔なら一発で沈めてくれる距離。だが居ないのでここは遠藤だろう。遠藤のFKは素晴らしいカーブを描いてゴール右上隅に突き刺さった。
GK Sorensen のポジション。やや左過ぎなかったか?
シドニー五輪はバックアップメンバーに留まり、2002年大会はメンバーに入れずそして前回のワールドカップではフィールド選手で唯一出場機会のなかった遠藤がここで大仕事をやってくれた。開始27分で2点のリード。誰がこんな展開を予想できただろう…..
デンマークベンチは早くも動く。 Jorgensen を下げて Jacob Poulsen を投入する。 J. Poulsenはワールドカップ予選では第5戦の Albania 戦で途中投入されて以来スタメン出場を続けワールドカップ出場を決めたスウェーデン戦では決勝ゴールを挙げた選手。 しかしこれでデンマークは3点取らねばならなくなった。 29分20秒、J. Damon 主審が長友のスローインに対して“遅延行為”と判断しイエローを出す。 累積警告が心配になるが、この試合の次の事は誰も考えていないだろう。
しかし攻勢を続けるのは日本。 31分13秒には本田の右からのクロスに遠藤がダイビングヘッドを見せ32分には松井がドリブルシュートを撃つ。 41分34秒には松井の右からのクロスに大久保がオーバーヘッドシュートを狙うがジャストミートせず、しかしこぼれたところを拾った松井が Simon Poulsen をかわして中に切れ込みシュートを放つ。 43分41秒には松井からのスルーを受けた駒野がそのままドリブルシュートを。そしてロスタイムの2分を過ぎ日本リードで前半を終えた。
我慢の後半 そして歓喜のフィナーレ
両軍選手交代なしに後半が始まった。日本選手達のスタミナがどこまで持つのかが一つのポイントになると思った。
開始直後の45分26秒。大久保がドリブルシュートを見せる。アテネ五輪では屈辱の1次リーグ落ちそして前回のワールドカップではメンバー入り出来ず、代表でもなかなかゴールを決められない時期があった大久保だが今大会はゴールこそまだ決まっていないがドリブルの切れが非常によく。また欧州のクラブから声がかかるのではないか?と思わせる活躍だ。
47分空中戦でも散々本田にやられていた Christen Poulsen がまたも空中の競り合いで本田に肘を入れてイエローを受ける。 デンマークの焦りが見られる。
しかしここからデンマーク攻勢の時間が続く。48分駒野のファールで与え、Bendner が蹴ったFKは壁に当ったが、50分右からの Rommedaahl のクロスは C. Poulsen が被ったが左に走り込んだ Kahlenberg の足に当たらずひやりとさせられる。 Kahlenberg は長谷部と同じ Wolfsburg の所属。大会後、チームに戻ったらこのシーンを長谷部に訊かれるのだろうか………
51分には Lars Jacobsen が右サイドを上がり入れられたクロスを Bendner が頭で落としたところを Tomasson がシュートを狙うがここはGK川島が Tomasson と衝突しながらブロック。やられたと思ったシーンだったが川島の勇敢な飛びだしに救われた。
デンマークは中盤をすっ飛ばしてどんどんゴール前に放り込んでくる。
これを試合開始からされていたらもっと苦戦したかもしれない。 56分 DF Korldrup を下げて Bundesliga Duisburg 所属の 194cm のSoren Larsen が投入された。ワールドカップ予選では5得点を決めたがそれはマルタ戦2試合で4得点、アルバニア戦で1得点と格下相手の得点。比較的力のあるポルトガル、スウェーデン、ハンガリー戦では既に予選突破の決まった最後のハンガリー戦で後半から45分間プレーしただけだった。これでボランチの C. Poulsen をDFラインに入れて 長身のBendner と Larsen の2トップにした。
58分23秒、Tomasson からボールを受けた Daniel Agger がミドルを放つが川島がナイスセーブ。 Bendner よりも Tomasson が最も危ない選手となっていた。63分 MF Kahlenberg が下がって Ajax 所属の18歳 Christian Eriksen が投入された。Eriksen は175cm と長身ではなく、ここは中盤の運動量を上げる為の投入か? Eriksen はワールドカップ予選では出場機会がかなかった。
69分40秒。 左サイドで守備に戻った長友のミスパスを拾われ最後はフリーの Tomasson に渡る。今度こそやられる。と思ったが Tomasson はボールを蹴らずに地面を蹴ってくれたのでボールは力なくポストの右に転がりゴールラインを割ってくれた。50分の Kahlenberg に続いてシュートミスに救われた。
70分を過ぎてから日本にボールが回るようになる。遠藤が前に出て来て前線で受けてが出来た為だ。 1対1でも日本選手に分があり、デンマークは後手を踏むようになる。74分日本ベンチは松井を下げて岡崎を入れる。 これでワントップに岡崎を置き、本田は2列目右に入ったが、これまで後半は本田、松井、大久保がやや低めの位置に入っていた様だった。
79分日本ゴール前に上がった Agger が倒れると Damon 主審はペナルティースポットを指す。 丁度 191cm の Agger を上げて3バックにしパワープレーに入ったところであった。しかし後で映されたリプレーを見るとマークに入りに来た長谷部を確認し自分から後ろに少し下がって倒れた様にしか見えなかった。ここで決められるとガス欠気味だったデンマークが蘇生してくる。 川島のセーブに期待する。 Tomasson の蹴ったPKを川島が左に倒れこんでセーブ !! しかしボールはまっすぐこぼれて詰めて来たキッカーの Tomasson に押し込まれてしまった。 川島ナイスセーブだったんだけど…
しかしこのプレーで Tomasson が足を痛めた様だった。デンマークはいえワールドカップ予選は強固な守備で勝ちぬけて来たチーム。日本が2点以上取れるかどうかが一つのカギだったと思う。 だがデンマークはアウェーのポルトガル戦では終了直前に Christien Poulsen のゴールで追い付きロスタイムに Daniel Jensen の逆転ゴールで勝利を収めている。 何とか再び2点目差としてくれないかな…と思った。
だがピッチ上では日本の方が運動量が上回っておりしかも1対1でも完全に相手を凌駕している。残り約10分、1点差を守るのか、差を広げるのか…連続で2点取られない様にするのか……. デンマークはボールをどんどん前線にボールを放り込むがCBの中澤、闘莉王が落ち着いて跳ね返す。そしてクリアーボールを日本は繋ぐ。 次に点を取れば日本の決勝トーナメントにぐっと近づく…..
そして87分長谷部の縦パスが出される。その先には本田が走り込む…..
リードを2点としてから今野、稲本が投入され守備を固める。デンマークイレブンは完全に戦意を喪失してしまっている。そして試合終了のホイッスルが鳴った。
異国の地で開催されたワールドカップで2回も勝って決勝トーナメントに進出出来る日が来るなんて、ワールドカップに出場する事さえ夢でしかなかった時代を過ごしてきた人達こそ多かったと思う。このワールドカップメンバーそして本当にここまで来るのに積み重ねに携わった人達に感謝だ。
そしてマスコミ達は大会後岡田監督をはじめチームに土下座して謝罪すべきだろう。
まだまだ日本はワールドカップに参戦している。
この幸福感をもたらしてくれた選手、関係者達に敬意を表します。
1986年6月29日。ワールドカップメキシコ大会決勝戦で西ドイツを破り2大会ぶりの世界王者となった直後にアルゼンチンのサポーター達がグランドに降りて来て上記の通りに書かれた横断幕を広げビラルド代表監督に向けて謝罪の意を表した。
今、岡田辞めろ運動を広げたサポーター達やそれに乗ったマスコミ達がどういう反応をするのか楽しみでならない。 ラモス氏が言った“日本のマスコミは誰もサッカー知りませんから….” それが証明された。
快勝 決勝トーナメント進出 先人達の積み重ねに感謝だ。
試合終了まであと3分となった87分。ロスタイムを入れても何分のこっているのか…
1点リードで充分なのかと思い続けていると長谷部から縦パスを受けた本田がデンマークゴール前にドリブルで持ち込む。そして最後にマークに入った Rommedahl を落ち着いて外し更に真ん中に走り込んだフリーの岡崎に送る。岡崎のシュートは弾丸ライナーで無くゴロ。 流し込まれたボールはゆっくりとデンマークゴールに吸い込まれた。 一瞬オフサイドは無いか?と一瞬私は心配したがそれは杞憂に過ぎず、決勝トーナメント進出を決定付ける3点目であった。喜びと云うよりも安堵の感情がこみ上げてくる。欧州の代表国を抑えて1次リーグを突破するなんて70年代から80年代、いや日本がワールドカップに出来る様になっても想像できなかった。これまでサッカーに関わった人達の積み重ねに本当に感謝だ………
“予想通り”のスタメン
Crucial Match, Do-or- Die , どう表現すべきなのだろう。ただデンマークにとっては Must-Win-Match ( 勝たねばならない試合 ) が追加される試合。オランダ戦終盤、川島が連発したファインセーブが効いている。サッカーだけでなく、取るべき時に得点は挙げて、失点はなるべく少なく、と云う鉄則を再確認させられる。まぁそれは人生も同じだけど……
日本代表はカメルーン、オランダ戦に続いて3試合連続同じスタメンとなった。試合会場は海抜 1,500m の都市 Rustenburg にある Royal Bafokeng Stadium 。選手達のスタミナが心配。選手交替のタイミングも試合結果を更に大きく左右するだろう。 デンマークは累積警告で出場停止の CB Simon Kjaer に替って 194cm 長身のFiolentina 所属の Per Korladrup が予想通り起用された。ただ Korladrup は地区予選ではマルタ戦に1度起用されたのみ。 DF ではMartine Larsen が予選序盤のマルタ、ポルトガル、ハンガリー戦3試合。 Anders Moller Chirstensen が終盤の3試合( ポルトガル、アルバニア、ハンガリー)で起用されたがワールドカップメンバーには選ばれなかった。
そして今大会左SBを担っている Simon Poulsen は今回のワールドカップ予選には1試合も出場しておらず。タレント不足の左SBを埋める為に Olsen 監督が再召集したとのことだった。 3月のオーストリア戦では Silberbauer ( 最終的にはワールドカップメンバーには選ばれず ) が起用されたが力不足を露呈。この時点では Lars Jacobsen のコンバートが期待されていた…
そして Arsenal 所属の 194cm FW Nicklas Bendner もスタメンに。 当日の FIFA WEBサイトではインタビューでは怪我が完全に癒えていないであろう Bendner のスタメンで起用しない事も示唆していたのだけど、やはりそれは情報操作か?
でもカメルーン戦でのフル出場は想定外だったのかもしれない。
しかし殆どのデンマーク国民は日本相手に負ける事等想像もしていなかっただろう。組み分けが決まった時、かつて神戸でプレーした Michael Laudrup 氏が日本の専門誌によるとデンマークのジャーナリストのインタビューでは
“日本を軽視するなんて馬鹿げている。本当に警戒すべき一戦は日本戦だと言いきっても良い。国民やメディアは日本戦で確実に勝点3を獲れると言うが日本の新しい世代のサッカー、即ち運動量とスピードの高い技術を見ればすぐにその発言が過ちだと理解するだろう” とコメントしていたらしいが、この試合前の日本の専門誌のインタビューには
“ 日本が活路を見出したいのであれば自分達の特長のスピードをフルに生かす事だ。”とコメントしながらもデンマークの様に世界のトップレベルでプレーする選手が少ない日本よりもデンマークが有利と結んでいた。
FK2発 最高の立ち上がり
緊張のキックオフ。立ち上がりから勝たねばならないデンマークが積極的に出てくる。 でも Bendnaer の位置が低い。前にはむしろ Tomasson, Rommedahl が出てくる。 2分35秒、Tomasson からボールを受けた Simon Poulsen がシュートを放つがバーを越えてくれた。4分48秒には Poulsen がクロスを上げる。駒野の足に当たってコースが替ったが Bendner の元に落ちてくる。遠藤、長谷部がマークに入るがそのままボールは流れてゴールラインを割る。 そのCKからKorladrup が中澤を競りながらもヘッドを放つがゴールの左上隅をかすめて行く。
10分までのボール支配率はデンマーク 63 に対し日本は 37。勝たねばならないデンマークが猛攻を仕掛けてくる。11分30秒。FKを得た日本だかセットに入った遠藤に“遅延行為”とのことで南アフリカ人の Jerome Damon 主審がイエローを出す。劣勢なうえにイエローが出されてしまった。
しかし、この試合は高地で行われているので日本は得点が取られない様にそして省エネで試合を進めてくればと思った。
12分26秒、大久保がデンマークゴール前に放り込み松井が飛び込むが惜しくも GK Sorenssen の足に当たりコースが外れる。
13分には長谷部に阿部のスルーパスが通るがシュートには持ち込めない。徐々にであるが日本がペースを掴んでくれると思ったが、その直後今度は Tomasson にスルーパスが通り中澤がマークに入る前にシュートを撃たれるがポストの右に外れて行く。先制点を許すとデンマークに守備を固められれしまう。まず失点をしない様に、先に先制点をと思う。 10分を過ぎるとまた Tomasson がトップ下に入り Rommedahl を右にそれぞれ戻した。 でも相変わらず Bendnaer は最前線には張っていない。
18分、右サイドでFKを得たがちょっとゴールには遠い様に思えた。遠藤と本田がボールに寄る。ゴール前に入れてこぼれたところを….と思うと本田が直接狙った弾道はGK Soremsen のいっぱいに伸ばした手の先を抜けてデンマークゴールの右サイドネットを揺らした。
見ている方からすれば夢の様な先制ゴール。今大会初めて決まった直接FKだった。 そして願っても無い試合展開となった。
これで2点取らねばならなくなったデンマークは Bendner を最前線に張らせる様になった。 21分 C. Poulsen のスルーを受けた Tomasson がシュートに持ち込むが川島がナイスセーブ。 27分には Jorgensen のスルーがまたも Tomasson に入るがこのこのシュートは川島の正面。 ここで失点していれば一気にデンマークが勢いに乗るところであった。立ち上がりは両サイドバックが前に出て来ていたデンマークは Bendner を前に上げてからはボランチの Poulsen, Jorgensen が前に出てくるようになった。だがここで日本に追加点が生まれる。
Korldrup の大久保へのチャージにイエローが出され、ゴール正面、絶好の位置でFKを得る。長谷部、本田、遠藤がボールに集まる。俊輔なら一発で沈めてくれる距離。だが居ないのでここは遠藤だろう。遠藤のFKは素晴らしいカーブを描いてゴール右上隅に突き刺さった。
GK Sorensen のポジション。やや左過ぎなかったか?
シドニー五輪はバックアップメンバーに留まり、2002年大会はメンバーに入れずそして前回のワールドカップではフィールド選手で唯一出場機会のなかった遠藤がここで大仕事をやってくれた。開始27分で2点のリード。誰がこんな展開を予想できただろう…..
デンマークベンチは早くも動く。 Jorgensen を下げて Jacob Poulsen を投入する。 J. Poulsenはワールドカップ予選では第5戦の Albania 戦で途中投入されて以来スタメン出場を続けワールドカップ出場を決めたスウェーデン戦では決勝ゴールを挙げた選手。 しかしこれでデンマークは3点取らねばならなくなった。 29分20秒、J. Damon 主審が長友のスローインに対して“遅延行為”と判断しイエローを出す。 累積警告が心配になるが、この試合の次の事は誰も考えていないだろう。
しかし攻勢を続けるのは日本。 31分13秒には本田の右からのクロスに遠藤がダイビングヘッドを見せ32分には松井がドリブルシュートを撃つ。 41分34秒には松井の右からのクロスに大久保がオーバーヘッドシュートを狙うがジャストミートせず、しかしこぼれたところを拾った松井が Simon Poulsen をかわして中に切れ込みシュートを放つ。 43分41秒には松井からのスルーを受けた駒野がそのままドリブルシュートを。そしてロスタイムの2分を過ぎ日本リードで前半を終えた。
我慢の後半 そして歓喜のフィナーレ
両軍選手交代なしに後半が始まった。日本選手達のスタミナがどこまで持つのかが一つのポイントになると思った。
開始直後の45分26秒。大久保がドリブルシュートを見せる。アテネ五輪では屈辱の1次リーグ落ちそして前回のワールドカップではメンバー入り出来ず、代表でもなかなかゴールを決められない時期があった大久保だが今大会はゴールこそまだ決まっていないがドリブルの切れが非常によく。また欧州のクラブから声がかかるのではないか?と思わせる活躍だ。
47分空中戦でも散々本田にやられていた Christen Poulsen がまたも空中の競り合いで本田に肘を入れてイエローを受ける。 デンマークの焦りが見られる。
しかしここからデンマーク攻勢の時間が続く。48分駒野のファールで与え、Bendner が蹴ったFKは壁に当ったが、50分右からの Rommedaahl のクロスは C. Poulsen が被ったが左に走り込んだ Kahlenberg の足に当たらずひやりとさせられる。 Kahlenberg は長谷部と同じ Wolfsburg の所属。大会後、チームに戻ったらこのシーンを長谷部に訊かれるのだろうか………
51分には Lars Jacobsen が右サイドを上がり入れられたクロスを Bendner が頭で落としたところを Tomasson がシュートを狙うがここはGK川島が Tomasson と衝突しながらブロック。やられたと思ったシーンだったが川島の勇敢な飛びだしに救われた。
デンマークは中盤をすっ飛ばしてどんどんゴール前に放り込んでくる。
これを試合開始からされていたらもっと苦戦したかもしれない。 56分 DF Korldrup を下げて Bundesliga Duisburg 所属の 194cm のSoren Larsen が投入された。ワールドカップ予選では5得点を決めたがそれはマルタ戦2試合で4得点、アルバニア戦で1得点と格下相手の得点。比較的力のあるポルトガル、スウェーデン、ハンガリー戦では既に予選突破の決まった最後のハンガリー戦で後半から45分間プレーしただけだった。これでボランチの C. Poulsen をDFラインに入れて 長身のBendner と Larsen の2トップにした。
58分23秒、Tomasson からボールを受けた Daniel Agger がミドルを放つが川島がナイスセーブ。 Bendner よりも Tomasson が最も危ない選手となっていた。63分 MF Kahlenberg が下がって Ajax 所属の18歳 Christian Eriksen が投入された。Eriksen は175cm と長身ではなく、ここは中盤の運動量を上げる為の投入か? Eriksen はワールドカップ予選では出場機会がかなかった。
69分40秒。 左サイドで守備に戻った長友のミスパスを拾われ最後はフリーの Tomasson に渡る。今度こそやられる。と思ったが Tomasson はボールを蹴らずに地面を蹴ってくれたのでボールは力なくポストの右に転がりゴールラインを割ってくれた。50分の Kahlenberg に続いてシュートミスに救われた。
70分を過ぎてから日本にボールが回るようになる。遠藤が前に出て来て前線で受けてが出来た為だ。 1対1でも日本選手に分があり、デンマークは後手を踏むようになる。74分日本ベンチは松井を下げて岡崎を入れる。 これでワントップに岡崎を置き、本田は2列目右に入ったが、これまで後半は本田、松井、大久保がやや低めの位置に入っていた様だった。
79分日本ゴール前に上がった Agger が倒れると Damon 主審はペナルティースポットを指す。 丁度 191cm の Agger を上げて3バックにしパワープレーに入ったところであった。しかし後で映されたリプレーを見るとマークに入りに来た長谷部を確認し自分から後ろに少し下がって倒れた様にしか見えなかった。ここで決められるとガス欠気味だったデンマークが蘇生してくる。 川島のセーブに期待する。 Tomasson の蹴ったPKを川島が左に倒れこんでセーブ !! しかしボールはまっすぐこぼれて詰めて来たキッカーの Tomasson に押し込まれてしまった。 川島ナイスセーブだったんだけど…
しかしこのプレーで Tomasson が足を痛めた様だった。デンマークはいえワールドカップ予選は強固な守備で勝ちぬけて来たチーム。日本が2点以上取れるかどうかが一つのカギだったと思う。 だがデンマークはアウェーのポルトガル戦では終了直前に Christien Poulsen のゴールで追い付きロスタイムに Daniel Jensen の逆転ゴールで勝利を収めている。 何とか再び2点目差としてくれないかな…と思った。
だがピッチ上では日本の方が運動量が上回っておりしかも1対1でも完全に相手を凌駕している。残り約10分、1点差を守るのか、差を広げるのか…連続で2点取られない様にするのか……. デンマークはボールをどんどん前線にボールを放り込むがCBの中澤、闘莉王が落ち着いて跳ね返す。そしてクリアーボールを日本は繋ぐ。 次に点を取れば日本の決勝トーナメントにぐっと近づく…..
そして87分長谷部の縦パスが出される。その先には本田が走り込む…..
リードを2点としてから今野、稲本が投入され守備を固める。デンマークイレブンは完全に戦意を喪失してしまっている。そして試合終了のホイッスルが鳴った。
異国の地で開催されたワールドカップで2回も勝って決勝トーナメントに進出出来る日が来るなんて、ワールドカップに出場する事さえ夢でしかなかった時代を過ごしてきた人達こそ多かったと思う。このワールドカップメンバーそして本当にここまで来るのに積み重ねに携わった人達に感謝だ。
そしてマスコミ達は大会後岡田監督をはじめチームに土下座して謝罪すべきだろう。
まだまだ日本はワールドカップに参戦している。
この幸福感をもたらしてくれた選手、関係者達に敬意を表します。
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