Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

なでしこ2大会連続 Semi Finalist への挑戦

2012-08-03 | 夏季五輪

もう20年以上前、J-Leageu がまだ存在していない時代。King KAZU があるスポーツ誌に掲載されていた彼のインタビュー記事の一節を今でも覚えている。

ブラジルから帰国する直前(1989年)前の年のオリンピック(ソウルオリンピック)があってブラジルは決勝戦でソ連に敗れたけど銀メダルを勝ち取った。だけどそんなことブラジル人は誰も憶えていないんです。だから20年以上も前にメキシコで日本が銅メダルを取ったことなんて誰も知らない。 ブラジルじゃ日本人がボールを蹴るだけで笑いが漏れてくる....
ブラジル人に日本のサッカーを憶えてもらう為には何度もワールドカップに出場しなければ憶えて貰えない....

そんな内容の行があった。 日本がアジア地区予選を勝ち抜いてワールドカップに出場したことが無いときだった。

ソウルオリンピックであのロマーリオを擁したブラジルは決勝戦に進出するも同年欧州選手権で活躍したミハイリチェンコ率いるソ連に 1-2 で敗れた。大会得点王になったロマーリオは五輪後 PSV Eindhoven に移籍した。

今でもブラジルでは“サッカーが下手な人間”の代名詞として“ジャポネーゼ”と呼ぶのだろうか? 

アトランタ五輪で“マイアミの奇跡”を演じた日本五輪代表チームのこと、そしてその試合の事を憶えている、または知っているブラジル人はいるのだろうか?
ワールドカップ2006で 日本は1次リーグ最終戦でブラジルに 1-4 で敗れた。その試合を知っている人はいるかなぁ....

ブラジル国内で女子サッカーの位置付けはどうなのだろう?男子ほど人気(というよりも生活の一部?)は無いだろうけど一般の人の感心はどの程度なのだろう? 逆にブラジルでサッカーをしている女性達こそ男子との待遇の違いを痛感し“女子サッカー振興”の義務感に燃えているのかもしれない。

2大会連続銀メダル。

90年代前半の世界の女子サッカーの勢力図は欧州諸国が中心でそこにアメリカが対抗しており後は中国が何とか中国が追いすがっていた。そしてアジアの勢力は中国と台湾が日本や北朝鮮よりも強かった。

記念すべき第一回 Women’s World Cup は中国の広州を中心に開催され、日本女子もアジア代表で出場しその初戦はブラジルだった。 その試合の様子は専門誌で報道されただけだった。J League 発足のたった2年前だったけどまだサッカー自体がまったく注目されていない時代だった。 
大会前の予想ではブラジルには何とか勝てそうだとのことだった。試合は開始4分に Elane に先制を許すも以降試合内容は日本が優勢だったらしい。しかし主審の不可解な判定などもあり日本はブラジルゴールを割ることが出来ずそのまま 0-1 で敗戦を喫した。以降日本は Sweden ( 0-8 ) USA ( 0-3 ) そしてブラジルも USA ( 0-5 ) Sweden ( 0-2 ) と共に連敗を喫し1次リーグで敗退した。

両国は4年後のワールドカップスウェーデン大会でも同じ組になりこの時は日本が Pretinha のゴールで先制されるも今は日テレベレーザの監督を務める野田朱美の連続ゴールで逆転勝を納めた。男子より先にワールドカップで勝利を挙げたのである。そしてこの試合に背番号7番を付けて出場していたのがわれらが澤穂希であった。 
この大会でもブラジルと日本は共に1次リーグで敗退し両国は同じ歩みを続けていた。 

しかし翌年の女子サッカーが初めてアトランタ五輪で正式採用されるとブラジルは1次リーグでは日本を破りノルウェー、ドイツと引分け準決勝に進出。準決勝では中国に逆転負けを喫し、銅メダル決定戦でもノルウェーに敗れたが一気に世界の列強に踊りでる。4年後のシドニー五輪でも1次リーグは突破した準決勝にアメリカに、3位決定戦ではドイツに敗れ2大会連続で4位に終わった。

そしてワールドカップ1999 アメリカ大会でブラジルは準決勝戦でアメリカに敗れたものの3位決定戦ではPK 戦の末にノルウェーを降し3位にはいる躍進を見せる。 日本は1次リーグで1分2敗で敗退していた。 
その4年後のワールドカップ2003アメリカ大会からはスカートを履いた Pele といわれる Marta がメジャー大会にデビューし大会では3ゴール(うち2ゴールはPK)を挙げチームもベスト8に進む。以降女子サッカーが五輪の正式種目に採用されたアテネ五輪では Cristiane がメジャー大会デビューを果たし大会4ゴールを挙げるなど大会得点王に輝く活躍で銀メダル。 ワールドカップ2007中国大会では Marta 7ゴール、Cristiane が6ゴールで決勝まで進出。残念ながらドイツに Prinz, Laudher のゴールを決められ 0-2 で敗れたがアテネ五輪に続く決勝進出となった。
こうなると次の目標は優勝、金メダルとなる。北京五輪でも Marta, Cristina は絶好調。特に準決勝のドイツ戦は Cristina が2ゴール、 Marta もゴールを決めて Prinz や Garefrekes, Bajramaj を擁した次の3位決定戦でなでしこを2-0 で破ったドイツを 4-0 で粉砕し前年のワールドカップ決勝戦のリベンジを果たし決勝に進出。

しかしアテネ五輪の再現となった決勝戦では4年前同様延長戦に縺れ込む死闘となり98分 Carli Lloyd にゴールを決められ再びアメリカの軍門に下った。 アメリカとは2011年のワールドカップ準々決勝戦でも対戦。ロスタイムに入った92分 Marta のゴールでブラジルが追いつき試合は3年前の決勝戦同様に延長戦に入る。PK戦かと思われた122分、アメリカが劇的な決勝ゴールを決めてブラジルはまたもやメジャー大会優勝を達成できなかった。その決勝ゴールを決めたのが Abby Wambach だった。 Wambach はアテネ五輪の決勝戦でも延長112分、決勝ゴールを決めてブラジルを沈めている。

ブラジルはこれでアテネ五輪決勝戦、北京五輪決勝戦そして昨年のワールドカップ準々決勝戦でアメリカにすべて延長戦まで縺れ込んで敗れている。

ロンドン五輪では、Marta, Cristiana が得点を決めているのでちょっと嫌な気がしていた。 

 

2連勝の後に Team GB に敗れる。

Brazil の出だしは好調だった。緒戦でカメルーンを 5-0 で粉砕し、第二戦は New Zealand Ferns の粘りにあうも Cristiana が86分にゴールを決めて2連勝スタート。最後の英国戦は敗れたがこれはトップ下の Formiga を起用しなかったことを割り引かねばならない。  Forminga は34歳の大ベテラン。これまで五輪、ワールドカップ5大会ずつ出場しておりワールドカップ 1995 , アトランタ五輪での日本戦に出場している。そして澤穂希も出場している。

予想スタメンは....

          10 Malta               11 Cristina

                   8 Formiga

  12 Rosana                           6 Marine

            13 Francielle        7 Ester

    16 Renata Costa    5 Erika       14 Bruna

                  GK 1 Andreia


2トップの Malta と Cristina は強力だけど彼女達に良いボールを繋いだり一旦タメを創るベテラン Formiga がトップ下に入る。Marta 、Cristina は3回目の五輪出場となりこれまで通算得点は Marta が8。Cristina は12得点にもなる。

2列目左の Rosana は30歳のベテランMFで4回目の五輪。 1次リーグでは初戦のカメルーン戦、続くニュージーランド戦は“温存”された。 2列目左の Maurine、CBの Erika の2人は16歳の時にFIFA U-20 Vancouber 大会に出場し U-20 大会に3度出場した実績がある。北京五輪、ワールドカップ2011 にも出場している。 
GK Andreia 4回目の五輪となる35歳の大ベテラン。 その他DFの Bruna CB の Erika 以外は全て北京五輪を経験している。 

なでしこもそうだけどこの五輪を最後に代表を退く選手達もいるんだろうなぁ~と思った。

1次リーグ最終戦の英国戦で敗れた事によりブラジルは準々決勝は世界王者の日本と対戦する事となった。ブラジルの Correio Braziilense 紙は日本は昨年のワールドカップ決勝戦でフランスを破り今や五輪でも優勝候補であると表現されていた。決勝戦で対戦したのはアメリカなんだけど。

Jorge Barcellos 監督は選手達にイギリス戦の敗戦は日本戦のパフォーマンスに影響しない事を説いた。何故ならブラジルは金メダルを取れると信じているからだと語った。

 “我々はイギリス戦には敗れたがメダルの夢が敗れたわけではない。 我々は前回と同じ結果に辿りつくにはまだやらななければならない。だから我々は今度は勝利が必要だと知らねばならない。" と語った

我々は敗戦から学ばねばならない。特にせめながらもゴールを挙げられない試合をした時は。 それはイギリス戦でさえも起こった。日本の様なチームを相手にした時はそれがもっと深刻になる。しかし我々はこれまでよりもずっと良いサッカーをしていると感じている。我々は勝利を齎すだろう。  こう語ったのはエースの Marta だった。

O Estado de S. Paulo 紙には Baroellos監督は日本はブラジルや英国、アメリカの様に大変強いチームだ。日本とプレーするのは大変面白い、そして我々を難しくさせるからだ。 日本はワールドカップ王者であるが我々も自信を持っている。そして準決勝に進むみたく思っている。 

Martaは“試合は先制点が欲しい。そうすれば敗れる事はない。次の試合には全力を尽くす。”と語っていた。

 

女子サッカーでは少なくともブラジルで日本は一目置かれている様だ。

 

しかしなでしこ達が勝利を納めてくれる事を願う.....



最新の画像もっと見る

コメントを投稿