Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

戦争、ドイモイ政策そしてアジアカップ 憧れのヴェトナム

2007-06-25 | Asian Cup
約2週間後に迫ったアジアカップの開幕。日本の所属する Group B のホスト国ヴィエトナム。初戦を8日U.A.E. 戦を迎えた後12日はカタールとそして16日は日本戦に臨む。今年のアジアカップは恐らくヴェトナム史上最大のサッカーイベントではないだろうか…..
私が小学校の時ヴェトナムと言えば戦争であった。何度かテレビの映像を通してその戦争の様子が報道され、“平和のありがたさ。”を“戦争を知らない世代”が感じる事があった。中学に進級した時にヴェトナム戦争は終わり、当時ブームになっていた B.C.L. ( Broad Casting Listening ) にはまっていた私は日本語放送のあった“ヴェトナムの声放送”を何度も聴いた。そして更に時は流れ大学時代、近藤鉱一先生が執筆した“サイゴンから来た妻と娘”と言うノンフィクションにはまり、近藤先生のヴェトナム、インドシナ関係の本を何冊も読んだ。近藤先生の著書の中で“旧フランス領であったヴェトナムは英語よりもフランス語の方が通じる…. “と言う行に影響され4回生になったにも関わらずフランス語の授業を取ったものの、さっぱりついて行けずあっさりと挫折した。
そして今…商用で東南アジア諸国を巡回する事もあるが、ヴェトナム市場はまだ行った事が無い。話にはいろいろ聞いてここ3~4年の間で特に海産物産業が急激に伸びているのでいわゆる“海産物成金”が出てきており面白い市場になりつつあるのでビジネスチャンスも….. と思うのだが、人件費がまだまだタイよりも低く、インドネシアよりも低いとなると少しその潜在需要は….. と思いまだヴェトナム行きの機会がないのである。

2003年12月、商用でバンコックの旧国際空港(ドン・アン空港)に降り立った私は大型のテレビの前に黒山の人だかりを見つけた。 東南アジア諸国間で開催されるスポーツの祭典 SEA Games ( South Eastern Asian Games ) のサッカーの準決勝戦、タイ対ミャンマーがテレビ中継されていたのだ。この年の SEA Games はヴェトナムのハノイで開催され22回目を迎えていた。タイはミャンマーを難なく片付けマレーシアを破った決勝戦が12月13日に行われた。 その決勝戦を前に、タイチーム( 当時のU-23 )のエースChaikamdee にドーピング疑惑が起こり、早速タイの五輪委員会は抗議の為に役員を派遣するとヴェトナム側はあっさりとその疑惑を引っ込めるなどピッチ外での戦いも興味をそそった。
試合は地力に勝るタイが前半にドーピング疑惑のうっぷんを晴らすがごとくエース Chaikamdee が先制ゴールを挙げる。試合はそのままホスト国のヴェトナムが 0-1 とリードされ試合時間が経過する。後半45分直前にヴェトナムのFW選手 Le Quoc Vuong が退場になってしまい、誰もがタイの大会6連覇と思い始めたロスタイムにヴェトナムのエース Phan Van Quyenが劇的な同点ゴールを挙げる。満員の観客、表彰式の為にスタジアム入りしていた吹奏楽隊そして貴賓席のお偉いさん達も狂喜乱舞して実際にテレビ画面は地震でも起こったのかと思うくらい揺れだした。その光景に私は熱いものを感じざるを得なかった。サッカーは欧州、南米だけでは無い世界中どこにでも存在するのだと言う再認識を。
結局試合は109分にドーピング疑惑をかけられた Chaikamdee のVゴールでタイがヴェトナムを降し、大会6連覇を飾った。この時の SEA Games ではメダル獲得争いで地元ヴェトナムが2位タイに大きく水を開けていたので、最終種目であったサッカーでのタイの金メダルは国民にとって東南アジアスポーツ大国のプライドを保てる大事な決勝戦でもあった。
しかし、初めてじっくり見たヴェトナムの選手達も細かな早い動きを随所に見せ、Le Quoc Vuong, Phan Van Tai Em, Phan Thanh Binh, Nguyen Huy Hoang そして Phan Van Quyen ら前日のタイの英字新聞では “ DANGERMEN “ と指摘された選手達のプレーを楽しめた。特に当時19歳であった Van Quyen の動きは大変に目立っており、彼がボールを持てばタイのDF数人を擁しないと彼の動きは止められず、今後の成長が楽しみであった。実際に彼は2か月前の10月にオマーンの首都マスカットで開催されたアジアカップ予選では韓国相手に決勝ゴールを決めている。そして2005年にはヴェトナム遠征をしたジュビロ磐田がヴェトナム代表との間で親善試合を行ったが、名波、服部、藤田、崔龍朱を擁した磐田は Phan Van Quyen のゴールなどで 1-2 で敗れている。そして横浜FCが Van Quyen に入団のオファーを出したとの事….. 私はホスト国となる事が既に決まっていたアジア大会で Phan Van Quyen が見れる事を大いに楽しみにしていた。
しかし、激震がヴェトナムサッカー界を襲う。今年の1月、代表チーム選手を含む7名のヴェトナム選手が八百長事件に連座していたとの事で処分されてしまう。Le Quoc Vuong, Thulong Thanh Hai, Phnoc Vinh, Phunoc Vinh, Hai Lam, Le Bat Hiem そして Phan Van Quyen の名前も含まれていた。 2003年の SEA Games で後半終了直前に退場となった Le Quoc Vuong には7年の重い実刑判決が下されThanh Hai には3年の実刑判決が、そしてVan Quyen も残りの他の選手同様執行猶予付きの判決が下された。またアルフレッド=リードル代表監督は、八百長疑惑がある事を知ってて隠していたアシスタントコーチ二人と通訳を解雇するなど、今年に入っての大事件発覚にアジアカップでの指揮どころではないのではないか?それでなくてもリードル監督は腎臓移植をしてまで健康を保っているのに…….
混迷を極めるヴェトナムサッカー界ではあるが、一筋の光明は五輪代表チームが最終予選に進出をした事。 6月12日に発表されたアジアカップメンバー23人の中には五輪チームから12人が選ばれている。そして昨年末のアジア大会メンバーから11人(うち6人が五輪チーム)が選ばれている。その中でも中心選手は FW の Phan Thanh Binh とLe Cong Vinh の五輪チームの2トップ。 Phan Than Binh はヴェトナムリーグの Dong Thap に所属している選手で18歳の時に2003年地元開催の SEA Game にレギュラー選手として出場し、当然決勝戦のタイ戦にも出場している。昨年末にはバンコックで開催された Kings Cup で地元タイ相手にゴールを決めている。 またドーハで開催されたアジア大会ではチームは1次リーグで敗退したが最後のバングラデッシュ戦では2ゴールを決めている。 Le Cong Vinh も五輪チームの中心選手で2004年には20歳でタイガーカップ・ベストイレブンに選出されSLNA所属の選手。そして2004年ベトナム最優秀選手賞となるゴールデン・ボール賞を受賞。彼は2004年にVリーグにデビュー、11ゴールを挙げ、代表でもLGカップ、アグリバンクカップといった国際大会にも出場した。そしてPhan Van Tai Em は今年の ACL にも出場した Dong Tam Long An の所属で2005年度のベトナム最優秀選手。2003年の SEA Game の出場経験もあり、翌2005年の SEA Game フィリピン大会では決勝戦でまたもタイに敗れたがチームキャプテンを務めた。そして代表の主将が Nguyen Minh Phuong で彼も2003年の SEA Games を経験しており今年のACLに Dong Tam Long An のメンバーとして参戦している。またPhan Van Tai Em もSEA Games 2003 組だ。上記したPhan Thanh Binh, Le Cong Vinh, Le Cong Vinh, Phan Van Tai Em, Nguyen Minh Phuong らは2004年に韓国を破った試合のメンバー23人に入っており、2003年の地元開催の SEA Games から今のチーム作りが始まったと言えるだろう。
しかし いくら地元開催とは言え、ヴェトナムがベスト8進出を果たせる可能性は低い。だが、0%で無い。その数%が実現してしまうところがサッカーのそしてホームアドヴァンテージの面白さなのだが….. 少し気の毒なのはグループ2位で勝ち抜いても準々決勝は宿敵の地タイのバンコックでプレーせねばならない。となるとハノイに居座れる1位通過を.. と言うのが地元関係者の願いなのだろうがそこまでは…….
一番良いのは日本が連勝を飾りグループ1位通過を決めた後でヴェトナム戦を迎える事なのか?それともヴェトナム側が最終戦の日本を消化試合として日越揃っての準々決勝進出がいいのだろうか? しかし、他の対戦相手を見てみるとそれほど余裕が期待できるとは思えない。そしてあの熱狂的なサポーターが後押しする地元ヴェトナムもそう easy な相手では無いと思う。 

日本の1次リーグ敗退….

なんて事のだけはならないことをいのるよ。
ベトナム代表23人は下記の通り U23 は五輪代表。 AG はアジア大会出場メンバー

GK : Tran Duc Cuong ( AG U23 ) , Bui Quang Huy, Duong Hong Son

DF : Nguyen Van Bien ( AG U23 ) , Doan Viet Cuong ( U23 ) , Phung Van Nhien ( AG U23 ) , Huynh Quang Thanh ( AG ) , Vu Nhu Thanh, Nguyen Huy Hoang ( AG ) , Pham Hung Dung;

MF : Nguyen Vu Phong ( AG U23 ) , Phung Cong Minh ( U23 ) , Nguyen Minh Chuyen ( AG U23 ) , Mai Tien Thanh ( U23 ) , Dong Huy Thai ( U23 ) , Le Tan Tai ( AG ) , Phan Van Tai Em, Nguyen Minh Phuong, Tran Duc Duong ( AG )

FW : Nguyen Anh Duc ( AG U23 ) , Le Cong Vinh ( AG U23 ) , Huynh Phuc Hiep ( U23 ) , Phan Thanh Binh. ( AG U23 ) Reserves: Nguyen The Anh; Nguyen Thanh Long Giang, Chau Phong Hoa; Le Hong Minh ( AG ) , Mai Xuan Hop; Hoang Ngoc Linh, Nguyen Viet Thang.


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