Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

無念の準決勝敗退 しかしまだあと1試合…. Saudi Arabia 3-2 Japan

2007-07-28 | Asian Cup

7月25日。ヴェトナムのハノイで行われた準決勝サウジアラビア戦。日本は常に先行される展開を最後まで挽回出来ずに敗退。決勝進出、そして大会3連覇はならなかった。
1984年大会から6大会、アジア大会は日本とサウジアラビアが3大会ずつタイトルを分け合っている。この準決勝を乗り切れば日本の大会3連覇も見えて来ると思ったが。まぁアジア大会3連覇はマスコミが考えている程簡単に達成できるわけでは無いと思っていた。決勝トーナメントの組み合わせが決まった時、準々決勝がオーストラリア。準決勝はサウジアラビア戦そして決勝戦はイランが勝ちあがって来ると思っていた。これぞアジアの戦いとワクワクした。
サウジアラビアはグループリーグ初戦の韓国戦を観戦したが、今大会はこれまでと少し異なると言う印象を持った。これまでのサウジの特徴は手堅く守って素早いカウンター。と言う印象が強かった。今回も同じプレースタイルであったが、これまではサウジアラビアのカウンター攻撃はサイド・オワイランの様に個人のスピードあふれるドリブルがベースとなっていたが、今大会のサウジアラビアはボランチからワンタッチ、ツータッチで前線の強力な二人、9番のマレク・アルサウハウィ、20番のヤセル・アルカフタニに繋ぐのが目に付く。更に2列目アフメド・アルムサがよく起点になり前線の二人がそれにからむとかなり厄介だ。
それに大会の最終登録メンバーを観た時に、またもこれはあららと思った。その筆頭はアジア屈指のキーパー名門アル・ヒラル所属の34歳のベテランGKの Mabrouk Zaid がメンバー入りしていなかった事だ。また昨年の日本戦にも出場したDF陣を統率する2004,2005年連続ACL王者、名門アル・イティハード所属の25歳。 アル・モンタシャリもいなかった。昨年のワールトカップそして前回のアジアカップにも出場している。2005年にはAFC Player of the Year に輝いた選手だ。(それは候補だったイランのカリミ、日本の中村俊輔が都合で表彰式に参加出来ない為だったとか?) 
中盤の要アル・イテハードの所属の昨年のワールトカップでは2列目の右に配置されたモハメド・ヌール。アル・ヒラル所属のFWでワールドカップのチュニジア戦でゴールを決めているサミ・アルジャベル、アル・アリ所属のDF フセイン・アブドゥール・ガニ、今年1月UAEで開催された Gulf Cup のカタール戦でゴールを挙げたモハメド・アルシャルフーブら中心選手になるのでは思われている選手も見当たらず、サウジアラビアと戦う前のスカウティングは本当に苦労すると再認識をする事になった。
スタメンを見るとヤセル・アルカフタニ、マレク・アルサウハウィは当然スタメン入りしていたが右サイドの右サイドのアル・ヒラル所属28歳でワールトカップメンバーオマール・アム・ガムディはベンチに。前のバーレーン戦でもベンチスタートだった。
一方の日本はオーストラリア戦と同じスタメン。心配だったのは選手達のコンディション。訊けばハノイの天候はバンコックよりも気温、湿度が高く開催国の中でもっとも厳しい気象条件であったとか。サウジアラビアは準々決勝までインドネシアでゲームを行っていた。ハノイまでの移動のハンディはあったかも知れ無いが逆に厳しい気象条件下で3週間以上過ごしていた日本選手の方が疲弊していたのでは無かったか? 試合は開始から日本がボールを支配する。だが支配率70%以上と言う数字。このレベル同士の戦いでこれだけ一方的な展開になるのはサウジアラビアの意図的な作戦にほかならない。日本はゴール前に迫るがアタッキングゾーンではサウジのしつこいDF陣の前にシュートが撃てない。前線の高原もお疲れのせいか切れがやや….. この時間に先制しておればと言われるが、オーストラリア戦の後半同様、ドリブルで抜ける選手がいないので人数を掛けて守りきれると言うドス・アンゴス、サウジアラビア監督の方策通りだ。 25分あたりからボランチのハレド・アルタケル、サウド・ハリリが前にせり出してきてサウジアラビアが徐々にボール支配率を上げる。2列目の両サイド、アブドルラハマン・アルカフタニ、タイセル・アルジャサムの押し上げもあり、加地、駒野が上がってこれ無い。そして俊輔も身体が重そうだ。この時間鈴木と憲剛の頑張りがなければもっと早い時間に失点していただろう。 35分に遠藤がサウジ選手からボールを奪うとそれがファールに取られ FKに。いやな位置だ。その A・カフタニから送られたFKに加地と競り合いながらM・アルサウハウィが頭で落とした所を素早く反応した警戒すべきY・カフタニに蹴りこまれて先制を許す。



これで日本はヴェトナム戦から3試合連続先に失点を喫した事になる。それも全てCKからだ。しかしすぐに挽回するのもこの大会の日本の強み。2分後に遠藤のCKから中澤がヘッド一発で追いついた。



前半は得点を挙げるより無失点で終わってほしいと思っていたのだがその両方とも叶わなかった。後半に入っても両チーム交替選手がおらず、そのままの布陣で始まったが、サウジアラビアは立ち上がりから攻め込んでくる。そして47分にスローインから右サイドを崩される。タイセル・アルジャサムから上がって来た右サイドバックのアフメド・アルバハリに上げられたクロスにマレク・アルサウハウィに飛び込まれてまたリードを許す。その前に阿倍が被ってしまったのも痛かったが、このM・アルサウハウィは身長が170cmに満たないが韓国戦でもドリブル突破のみならず上背のある選手をかき分けてヘディングシュートに持ち込むシーンが何度かあり、ジャンプ力とそのタイミングに長けているところをここでも見せつけられた。
しかし、再びすぐに追い付く。波状攻撃を見せて一旦クリアーされたが、攻撃参加した阿部が芸術的なオーバーヘッド(バイシクル?)シュートがサウジアラビアゴールネットを揺らす。遠藤のCKから高原が頭で折り返した所をエリア外から阿倍が決めたのだが、初戦の終了間際の失点に繋がるファールを犯したり、この試合の2失点目の遠因になったりと色々やり玉に挙げられた阿倍だがその名誉を挽回した。
しかし着地した時に着いた手首がいたそうだ、でも残り約40分、頑張ってほしいなぁ… と思う間もなくその4分後に三度リードを許す。M・アルサウハウィが今度は左サイドをドリブルで突破、阿部が振り切られ、切り返され後ろの中澤も対応できずに最後に撃たれたシュートは川口を破りこの日2点目、チーム3失点目を喫してしまった。


“この1点はおおきぃなぁ….” 思わず呟いてしまった。2失点目と異なり、同点に追い付いて間もなくリードを許す失点。日本に精神的ダメージを、サウジアラビアに勇気を与える1点だった。以降はサウジアラビア選手のしつこいマークが目立つ。足が長く、スライディングも遠いところから届く。さすがにアジアのトップクラスだ。1993年ドーハでのワールドカップで KAZU にしつこくまとわりついたサウジアラビアのディフェンスを思い出す。サウジアラビアはここで一気にラインを下げてしまわず60分にアフメド・アルムサを入れてきた。これで中盤戦を前でさばこうという方策だ。68分に日本は巻を下げて佐藤を、75分に遠藤に替えて羽生を入れる。俊輔がいまいち攻撃の起点になっておらず遠藤が前線で頑張ってくれていたので、この交替は.. と思ったが、この羽生の運動量が前線を活性させる。しかしシュートに繋がらない。時間が刻一刻と過ぎる。3年前のアジアカップ準決勝戦もロスタイムで中澤のゴールで追いついたが、この日のサウジアラビアDF陣は3年前のバーレーンより強固だ。87分には憲剛が下がって矢野がはいり前線の枚数を増やす。サウジはCBのワリド・ジャフタリ、ボランチのS・ハリリを下げてくれたので日本にボールが回るようになり、クリアーボールも日本が拾う様になる。ロスタイムが5分と示される。そして47分羽生のミドルシュートがクロスバーを叩く。あぁサウジアラビアはまだツキがある。準々決勝ではウズベキスタンが放ったシュートのうち5本がポスト、バーを叩いた。特に1点を返され、更に終了間際の決定的なシュートはクロスバーの内側を叩いた危ない弾道だった。その後もPA近くまで迫るが…. 49分にCKを得る。川口までエリアナに入る。そのCKをサウジDF陣はコーナーに逃れ、さぁ次のCK…. と言う時に無情のホイッスルが響き渡った。あぁ時計の針はまだ49分台なのに…. 大喜びのサウジアラビアイレブン達。アジアカップでの日本戦の連敗を3で止めた。

う~ん。しかし、負けたものは仕方がない。いいサッカーをしてもアジアでは確実に勝てるわけでは無い。だが今大会のサウジアラビアはマレク・アルサウハウィ、ヤセル・アルカフタニの一人で戦局を打開出来る2トップがいた。CBの二人ワリド・ジャフタリ、オサ・ハウサヴィは高原、巻に対してタフなマークだった。日本はビルドアップに徹するあまり、最後のリードされている時間での思い切りがあっても良かったのではないか? PAのすぐ外で俊輔が何度も、しかも終了15分前あたりから、正面でボールを持つシーンが。そこから撃ってもよかったのではないか?オシム監督に怒られるか?? DF陣、阿部、中澤、加えて次のワールドカップ予選を考えれば中東勢対策を考えればストッパータイプの選手も必要だろう。(それが闘莉王か?)そして一人で局面を打開出来る点取り屋も….かつての釜本の様なFW選手やストッパータイプのDFは今はもう流行らないのか……. こう言う大会を勝ち抜くにはフォーメーションのヴァリエーション、そして選手のヴァリエーションをいくつかそろえて置く事が必要であろう。そして…… 幸運だ。今大会はサウジアラビアには幸運が….. この幸運、次のワールドカップ予選に日本に降りて来る事を祈るよ。 

 

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