Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

少し前のことだけど 準々決勝 Japan 1( PK4-3 ) 1 Australia

2007-08-03 | Asian Cup
7月21日。次のオーストラリア出張が楽しみになるその結果が告げられた。
この日は早朝東南アジア出張から帰国し、そして夕方は自治会の納涼大会での愛息のよさこいソーランの披露を堪能し、残るはアジアカップの準々決勝の大一番だけであった。
今大会優勝候補のオーストラリアは序盤から調子があがらず、初戦のオマーン戦は Tim Cahill のロスタイムのゴールでようやく引き分け、続くイラク戦は1-3で完敗。イラク戦は現地で観戦したが、“これが昨年日本中を不幸のどん底に陥れた Socceroos 達なのか?”と眼を疑った。パスは全て足下、スタメン出場の Kewell はあの一瞬のスピードが無くLukas Neil を始めとしたDF陣もイラク攻撃陣の動きに後手を踏む。現場にいた多くの Aussie サポーター達を失望させた。そして1次リーグ落ちかもと、心配もさせた。最後のタイ戦では Carney, Milligan といった Sydney FC 所属の選手を入れ コンディションが今一のKewell をベンチに下げて Aloisi とViduka の2トップに布陣を替えた事が功を奏して 4-0 とタイを圧倒し準々決勝進出を決めた。しかし、このタイ戦はキックオフの時間が日没後の午後7時半。これがイラク戦の様に日没前の午後5時半からのゲームであればどうなっただろうか?

ヴェトナムのハノイで行われた準々決勝。オーストラリアの布陣は Aloisi, Viduka の2トップに中盤は Willkshire が累積警告で出場停止。 David Carney が起用され Bresciano と攻撃的MFにそして守備的MFには Grella と Culina が。DFにはイラク戦で退場になった Lukas Neil が戻って来て Mark Milligan も入り Beachamp, Emerton と4バックを組んだ。昨年の日本戦をプレーした選手が結局 A-League 組の二人を除いた9人となった。一方の日本はヴェトナム戦と同じスタメン。5人の選手が Kaiserslauterun でオーストラリア戦に出場した。試合は開始からオーストラリアが出て来る。 Viduka が前線に張りだすのは昨年と同じ。そのすぐ後ろに Aloisi と Bresciano が出て来る。恐らくバンコックよりも蒸し暑いハノイで先制をして後は守りを固めて逃げ切ろうと言うゲームプランか? 
しかし20分を過ぎると運動量に差が出てきた日本がボールを支配する。ボール支配率そしてシュート数で日本が上回るのは昨年と違うところだ。前半を 0-0 で終えたが、選手の表情を見ていると明らかにオーストラリアの方が疲弊している。欧州をベースにプレーをし、東南アジアの気候に慣れない様だ。 61分、Kewell が投入されるが替えられたのは何と Viduka だった。これは助かった。 Viduka は高さだけでなく
くさびの強さ、そしてシュートも撃てる上手さがある。 Kewell のドリブルも厄介だがもっと脅威な Viduka を下げてくれた。しかし先制点はオーストラリアだった。 CK から最後は ファーサイドに流れてAloisi に押し込まれてしまった。 Aloisi にはワールドカップでも決められ、日本戦連続得点だ。



これでオーストラリアは守備を徹底的にに固めるだろうと、思う間もない3分後俊輔の CK を巻が折り返し、Milligan のクリアーミスを拾った高原がゴール前でテクニックを見せてシュート。クロスバーの内側に当たりながらもオーストラリアゴールに吸い込まれすぐに同点に追いついた。若い Milligan のクリアーミスからの得点だったが、その後の高原のボールコントロールはお見事。ワールドカップでは俊輔の先制ゴールの時に GK Schwarzer と接触し、オーストラリアの新聞に “たまに HSV Hamburg でプレーする Takahara はラグビーをした方が良い。”とか嫌味を書かれたが、これで“ Bundesliga で10得点以上の実力を証明”出来ただろう。


オーストラリアは71分に Bresciano を下げて Cahill を入れてきた。あの日本相手に2ゴールを決めた Cahill だ。アジアカップでは途中出場で良い働きをしていたが、 Viduka 抜きでピッチに立つのは今大会初めてだ。75分 Vincenzo Grella が空中の競り合いで高原の顔をはたいて一発レッドが出る。故意でないにしてもあれだけ手を上げて飛べばファールにならない訳がない。なかなかピッチを後にしない Grella 。Neil も執拗に抗議するが判定は変わらない。一人少なくなったオーストラリアはこれで Kewell と Aloisi を残してゴール前を固めてしまう。日本も攻めているがラストパスが通らず、GK Shcwarzer の好守もあり、途中交代の佐藤、矢野そして今野も得点を演出できず、試合はPK戦に委ねられた。 Schwarzer は2年前のウルグアイとのプレーオフでの立役者。しかしそれを上回ったのは川口のファインセーブ。 Kewell, Neil を連続ストップし、見事に昨年の雪辱を果たしてくれた。昨年好守を連発しながら、自らのミスで同点に追いつかれ、以降連続失点を喫してしまい、ワールドカップ第二戦のクロアチア戦ではPKをストップし、スタンドにいた私を狂喜乱舞させてくれた守護神は是非オーストラリア戦で何とかとこの試合に掛ける思いは人知れず大きかったに違いない。そしてこの夜は日本の熱帯夜を快適にしてくれた立役者だった。



 勝敗を分けた点は何だったのだろう?

①  いくつかの幸運
運も実力のうちとはよく言ったもの。昨年のワールドカップに比較すると幸運は日本にあった。まず試合開始時間。午後5時20分と言う試合開始時刻は日本に大いに味方をしただろう。グループリーグ第三戦のタイ戦では何人かの選手を入れ替えた事もあったが、イラク戦と比較して動きが全く違った。それは日没後の午後7時半のキックオフ時刻。そして試合途中で雨が降って来たように欧州をベースにプレーする選手達にとってイラク戦よりかはずっとやり易いコンディションではなかったか。ハノイはバンコックよりも蒸し暑かったと聞く(それだけでもバンコックの気候を知る私は驚きだったけど。)日本はハノイの気候に順応していたそこにバンコックから入って来たオーストラリアの選手達は気候に順応する間もなくしかも日没前のキックオフでコンディションは日本に味方しただろう。昨年のワールドカップのオーストラリア戦。根城のボンからカイザースラウテルンに移動した日本代表は宿泊したホテルに空調設備が付いていなかったと言う大失態。あの時ドイツ入りした人ならわかると思う。例年以上の暑さでとても空調無しでは過ごせなかった。私が泊まったホテルもそうでたいへんだったぞ。それに東南アジアでの大会は殆どのオーストラリア選手にはあまり経験が無かったのでは?オーストラリアは6月20日にシンガポール合宿に旅立ち、シンガポール代表との練習試合を行い7月4日にバンコック入りをした。だが欧州での激戦を終えた選手達のコンディションは充分にあがって来なかった様だ。タイ戦での快勝は休養充分のオーストラリアでプレーする David=Carney, Mark=Milligan の起用も寄与しただろう。そう言った東南アジアを“ホーム”に出来た日本とは試合前に大きな差が付いていたのかも知れない。 1984年シンガポールで開催されたロス五輪予選。日本は4戦全敗であったが、ニュージーランドもロス五輪最終予選は1次リーグ最下位に終わっている。それとこれと無関係とは言えまい。

② 選手起用
Arnold 監督はタイ戦と同じ布陣を起用した。しかし Viduka のワントップの方がDF陣はやりにくかっただろう。フォローする Aloisi はスピードに欠けていた。そして Bresciano が前線にせり出す事は少なくむしろ Viduka, Aloisi は孤立した。 怪我の状態も考慮されたのだろうが Cahill がスタメンで来られる方が日本のDF陣はやりにくくは無かったか?そして途中の選手交代。ワールトカップではCahill, 長身の Kennedy そして Aloisi と次々と攻撃に選手が増やされたが、この試合では攻撃選手の増加はしなかった。 Grella の退場はあったが、 Kewell は Viduka を下げてまで使う状態では無かった。それはワールドカップで日本が加地の負傷による欠場と坪井の負傷交代があったからともいえる。3人目の交替選手 2006/07 のA-League Player of the year Newcatsle Jets 所属のNicky Carle が投入されたのは個人的には嬉しかったが、起用を考えると??であった。ならば守備的中盤の選手を入れて Cahill を前に上げればよかったと思う。その方が脅威なのだけど。でも Nick Carleには来るシーズンの A League も頑張ってほしい。この試合は既にトーナメントに入っていた。ワールドカップの試合よりもリスクを負うべきと普通は思うが、ワールドカップとアジアカップはステータスが違うのか?それにしても Kewell は調子が出ていなかったなぁ。明らかに相手のファールを待つプレーが続き、得意の突破を見せる機会は数えるほどだった。次のシーズン大丈夫か?それとも Premier の為のアジアカップだったのか?

③ PK 戦に持ち込まれて
120分で勝負がつかなかった。オーストラリアのゲームプラン通りに最後は Middleborough の GK Shcwarzer に賭けたのだろう。しかし、守りを固められてなす術が少なかったのも事実。ここはドリブルで突破出来る選手がいればと思った。田中達也とか大久保とか若い時のマラドーナとか(誰でも欲しいわ)。そうすればPKも誘えたのに。それに俊輔はもっとミドルを狙っても良かったのではないか?オシム監督が怒るかもしれないけれど。 Grella が退場になっていなければどうなっていただろう?ゴール前でもっとスペースが出来ていただろう。そして Viduka の引っ込んだオーストラリアは攻撃でも苦戦したに違いない。 総括すればアジアでの戦いを日本はよく知っていたことが大きな勝因。それはオーストラリアが最も恐れていた事でその対策を講じていなかった事がベスト8で帰国する原因になった。大会後オーストラリアはアジアでの戦いについて議論を重ねるだろう。この広いアジアをホームアンドアウェーでどうカバーするのか。欧州でプレーする選手はオーストラリア大陸にまで戻ってプレーせねばならないのか?そのコンディション造りはどうするのだろう? 地元のマスコミはこの敗戦をどう伝えているのだろうか….. 続く

 

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