Mr.コンティのRising JAPAN

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守備的 Socceroos に無得点無失点勝点1 前半

2009-02-14 | 夏季五輪


  やっと迎えたこの日。 

前月にチケットを入手してからこの日を今か今かと、そしてこの試合観戦をキャンセルせねばならない様な用事が入らぬように(家族に何か無い限りこの試合はもちろん優先させるつもりだった。)変な約束は絶対にしなかったし、しても破るつもりだった。
2006年あのカイザースラウテルンでの悲劇からと言うよりも11年前、商用で初めてオーストラリア大陸を訪れ、それから7年後に A-League が発足しこの大陸のサッカー熱の急激な高まりを目の当たりにした私こそ、誰よりもこの試合を観戦する権利があると(勝手に)信じて疑わなかった。 
もちろん私より熱き思いで Socceroos の動向を昔から見て来たのに試合会場にこれなかった人もいるだろう、しかしワールドカップドイツ大会以降に“オーストラリアの存在”を知った“ジャーナリスト”や“評論家”そして“スポーツライター”なんかよりは俺の方がこの試合観戦にふさわしいのだ…….道中の電車の中で多くの Aussie Supporters と話ながら、そして試合開始前の両国国歌を聞きながら心の中でそう叫んでいた。 それにしてもあの君が代の斉唱はとても綺麗だったなぁ……….

            

Socceroos のスタメンは下記の通り。 俺の予想も結構当たっていたと思う。

                                   Tim Cahill

          Mark Bresciano    Carl Valreri     Bretto Holman 

                     Vinceo Grella    Jason Culina

      Scott Chiperfield   Craig Moore   Lukas Neil    Luke Wilkshire

                                  Mark Schwarzer

Verbeek 監督のうれしい”誤算”は怪我で出場が危ぶまれていた Scott Chipperfield が試合に使えるようになったことだろう。 これで左サイドの器用に頭を痛めることがなくなり大きな心配を排除することができたのだ。それにより最初は失点を防ぎのちに左利きのどちらかと言えば攻撃力のある David Carney を投入する計算ができる。 
Scott McDonald もJoshua Kennedy もベンチスタート。試合前の練習を見ていると Kennedy は“シュート練習のパス出し”をしていたので “予想通り” スタメンではないなぁ と思った。

           

ワントップは McDonald ではなく Tim Cahill だったがこれは前日の地元紙にも示唆されていた。ただこの20日間で6試合 553 分出場で疲労が心配される Cahill をベンチスタートにする事も予想したんだけど。そして守備能力の高い Carl Valeri がバーレーン戦に続いてスタメンに抜擢された。 そして Holma をDFラインでなく中盤に置いた。 これらの布陣はとにかく先制点を絶対に与えないと言う Verbeek 監督の思惑だろう。

            


一方の日本代表はほぼ大方の予想通り。
大久保がベンチスタートとなったのは慣れないドイツでの生活で知らぬ間に疲れが溜まっているのを見越しての切り札的起用か……

                玉田 

       松井    田中達也   中村俊輔 

          長谷部      遠藤 

     長友   田中闘莉王  中澤    内田 

                都築

スタメンGKには都築。オーストラリアで行われたシドニー五輪では予選でレギュラーだったが五輪では Over Age の楢崎の陰で控えに甘んじた都築がこの大一番、オーストラリア戦のスタメンGK とはまた何かの因縁か?
だけど実際にあの時は Canberra Town や Brisbane, Adelaide での試合でシドニーまでは辿り着けなかったんだなぁ…. 中村憲剛、稲本らがベンチから外れ橋本が入ったのは少しのサプライズだったか?
でも Club World Cup での橋本のゴールは素晴らしかったぞ。 

               


開始30秒闘莉王から大きくフィードされた左サイドの先には走り込んだ長友が。ここはオーストラリア Jason Culina がマークに入りゴールキックになる。1分21秒には今度は玉田が右サイドの Chipperfield の後ろに走り込む。なかなかいい動きのスタートだ。4分8秒に絶好機を迎えた。中村のフィードを玉田が後ろにもどし長谷部はその浮き球をそのままアクロバティックなキックでダイレクトに前線に。そこに田中達也がオフサイドぎりぎりのタイミングで抜け出し右サイドを疾走する Craig Moore がマークに戻るがその前に達也はネァーサイドに入ると走り込んだ玉田の左足がマークに戻った Lukas Neil より一瞬早くボールに触れゴールを襲う、 ゴォォォォォールイ~ッッッッンとばかりに私を含め周囲の人達が一斉に立ち上がるが主審がゴールキックを指す、あれぇオフサイドでもあったのかな?と思ったがそれはサイドネットを直撃したものだった。 Neil は線審にしきりにオフサイドをアピールしていたが…..
6分32秒には長谷部から右サイドを上がった内田にスルーパスが通るがここはオフサイド。 立ち上がり相手の両サイドの裏を突く良い攻撃にリズムが続く7分57秒 闘莉王のパスをカットした Wilkshire を長谷部が倒して相手右サイドでFKを献上する。Wilkshire の入れたFKは Cahill を狙うがここは闘莉王がしっかりとマーク。
10分40秒には遠藤からPA内の内田にスルーが通り歓声が上がるが内田は後ろの松井に戻し松井がミドルを放つがここは Brett Holman に当たってスローイン。そこからボールを繋いで達也がPA内に入ってドリブルで頑張りCKを得る。遠藤がネェアーサイドに入れるがPA内にGK Schwarzer を含めて10人で守るオーストラリアはそれを跳ね返す。12分56秒には松井から右サイドに流れる玉田に絶妙のパスが通るが Moore がファールで止める。そこで得たFKを遠藤と中村のボール交換で中村が中に入れるが Cahill がダイビングヘッドでクリアー。

           

日本としては相手が時差で“試合勘の慣れる”前の立ち上がりに先制点を欲しい、また良い流れのこの時間に1点ほしいと思うが15分過ぎからオーストラリアがボールをつなぐ。右サイドの Holman, 左サイドの Chipperfiled が高い位置に出て来てゲームメーカー的働きをする Bresciano が左右に動き数的優位を作る。18分には Chipperfield の頑張りからCKを得る。 CB のLukas Neilもエリア内に入ってくるがしかしBrsiano が入れた CKはここも闘莉王がクリアー。闘莉王は19分にも左サイドから相手PA内に侵入した達也にロングパスを入れ、(結局は達也の Wilkshire へのプッシングがとられた。)その直後にも玉田へのナイスフィードを入れCKを得る等のチャンスを作り、本当にこの大一番によくぞ復帰してくれた、とその存在感を示した。
そのCKは中澤が飛び込み Schwarzer にパンチングで跳ね返されたこぼれ球を繋いで一旦は Moore に取られるが松井が粘って取り返し右サイドから切れ込もうとしたところを Chipperfield がファールで止めこのプレーにイエローカードが出される。
だがこれは松井の技ありのドリブルでもあった。 俊輔のFKは壁に当たり最後は Shcearzer が後ろ向きに下がってキャッチ。
22分右サイドを中村からのボールを受けた内田がダイレクトで前に送るとそこの達也がフリーで抜ける。達也が入れたセンタリングの先には一旦クリアーされるがこぼれ球をコントロールした俊輔に Holman チャージに入りこれがファール。今度は正面やや右の良い位置でのFKを得る。遠藤がボールをまたいで Schwarzer のタイミングを外して俊輔が直接狙ったがこれはクロスバーを越えて行った。 
セットプレー時、特にCK時にはエリア内にオーストラリア全選手が入った上に Shcwarzer がいるのではこの日はセットプレーでの得点は俊輔または遠藤がFKを直接放り込まない限りは少し厳しいかな….と思った。

       


こんな時こそ早い動きとボール回しで相手を崩して欲しいと思うと25分頃から今度はサイド攻撃から相手PA前でボールをつなぐようになった。26分には内田からのロビングを長谷部が頭で落とし玉田がミドルを放つがこれはクロスバーを越えて行った。ただオーストラリアDF陣もタフだ。体格的に強く、キック力もその正確性もある事から CB の Neil と Moore が深い位置に残りそこでゆっくりとボールを回し正確なロングフィードを両サイドに入れて来る。これは他のアジア諸国ではない技術だ。 そうされると達也、玉田がそこまで行かねばならない。守備に転じても中を絞って真ん中の attacking zone になかなか入れない。31分14秒にも内田がタッチライン沿いに上がり中に入れるが Moore に余裕をもってクリアーされてしまった。
Chipperfield に並んでベテラン Craig Moore の睾丸ガンからの復帰も Verbeek 監督には吉報であっただろう。
だが日本のDF陣もこの日は出来が良い。ワントップの Tim Cahill にはCBの中澤、または闘莉王がしっかりとついて仕事をさせない。中盤で起点となるのは Bresciano くらいだがそこも日本のMF陣のマークが早い。特に松井の好守の切り替えが素晴らしい。ただ攻撃時には日本の選手個々はテクニックがあるので相手の選手が乱立する中に切れ込んでそこに数人のサポートが欲しいとも思った。ボール回しをサイドと後ろでするのではオーストラリアの思うつぼだ。 
その願いが通じたかPA内に侵入し松井が戻したボールをもう一度ヘッドでPA内に押し込もうとした長友に Holman の足が入り良い位置でFKを得る。 長友はしばらく立ち上がれず担架で外に運び出される。Aussie Supporter 達からはブーイングだが、振り向きざまに足を出したHolman の足の高さはボールの高さと明らかに高低差がありここはファールを取られても仕方のないプレーであった。しかしこの遠藤の蹴ったFKも壁に当たる。どうも今日はFKは全体的に当たっていないか……..

        

39分オーストラリアがこの試合始めてのチャンスを迎える。後方からのフィードボールを Cahill が長谷部と競る時に上手く体をかわしてファールを貰う。 そしてゴール前には Moore, Neil と言ったCBも上がって来る。蹴るのは Wilkshire 。いつもはここからだと Bresciano が蹴るのだが Bresiano もPA内に入って来る。 Wilkshire の入れたFKは遠藤がヘッドでクリアーしCKとなる。今度はこのCKを Bresciano が入れ Grella が中澤に競り勝ち頭で中に入れる、落ちた所に闘莉王の身体に当たるそしてこぼれた所を詰めてた Neil に撃たれるがヒットせず右側にそれていく。そこに左サイドバックの Chipperfield が詰めていたが松井が一瞬早く反応しChipperfiled が触れる前に前にクリアーをした。このシーンは座席から遠くてよく見えなかったがやたらとオーストラリアの黄色のユニフォームが目立っていた。
42分19秒、今度は日本がまたもチャンスをつかむ。 長谷部からボールを受けた俊輔が右サイドで Carl Valeri を引き付けてエリア内にスルーを送る走り込んだ達也がダイレクトで中に折り返す。ゴール正面には玉田がいたがそこには Wilkshire がマークに入りボールは後方に流れる。だが後ろにいたのは松井だけでボールは松井から離れる方向に転がったので後は Holman に拾われてしまった。 あとここでもう一人か二人選手が詰めていればと思われるシーンだった。
ロスタイムに入り Grella からのフィードを受けた Holman が頭で落としたところを Cahill がミドルを放ったがここは都築の正面。都築はじめてのボールタッチに落ち着きを引き寄せたか、ワントップ Cahill の初シュートでもあった。

結局前半はこのままスコアレスのまま終了した。 チャンスは日本の方に多くあったが最後の決定的なシーンは最初の玉田のショット程度でオーストラリアに上手く守られたと言う感じがした。俊輔が左右に動くように Bresciano も左右に動くが日本は遠藤もチャンスの起点となり得るのでその辺りオーストラリアMF、特に Holman と Carl Valeri のマークの受け渡しが少しぎこちない様だった。 オーストラリア選手の多くが時差でコンディションの上がらない前半に先制点を奪ってほしかったが、そこはオーストラリアもよく解っていたと思う。 後半、日豪両陣営の方策はどう出るのか…..
そう思いながらトイレに立った……         後半に続く