Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

3年目の A-League Grand Final

2008-02-25 | Aussie & Kiwi

3年目の A-League は Newcastle Jets が Central Coast Mariners を 1-0 で破り初優勝を飾った。 Newcastle は3シーズン連続の Final Series 進出で今年初めて Grand Final へ駒を進め、見事に悲願を達成した。一方の Mariners は A-League 初年度以来のGrand Final 進出。その時はSydney FC に 0-1 で敗れ今回は是非ともタイトルを、との思いで臨んだ試合であったが願いは届かなかった。
Jets はレギュラーシーズンを2位で終えて首位で日程を終えた Central Coast Mariners と Major Semi-Final に臨んだ。1月27日に地元 EnergyAustralia Stadium で開催された 1st Leg では 29分にAdam Griffiths のゴールで先制し 84分には Joel Griffiths のPKで追加点を挙げ2-0 と快勝を納めた。この二人は双子の兄弟。 Joel は昨シーズン Newcastle Jets と契約をしたがその前は Leeds United でもプレーをした。 Adam は A-League が創設される前の 2002-03 に Newcastle Jets でプレーしていたが以降渡英し England League One の Oostend を皮切りに4つのクラブチームを渡り歩き今シーズンから Jets に戻って来た。



初戦を快勝した Jets であったが 2週間後の2月10日に行われた2nd Leg では Mariners の地元 Gosford で還り討ちにあう。37分に Adam Kwansik, 74分に Sasho Petrovski にゴールを決められゴール数で追い付かれ延長に入った 95分に再び Petrovski にゴールを割られると残りの25分で1点を返す力はもう残っていなかった。 Mariners は敗れた 1st Leg で臨んだスタメンをそのまま 2nd Leg でも起用。一方の Jets は ワールドカップ予選キャンプで招集された Joel Griffiths の負傷が懸念され何とかこの試合には間に合ったものの攻撃的MF Troy Hearfield が 1st Leg で負った負傷が完治せず 2nd Leg に出場出来なかった事が響いた。 これで Jets は2005-06 の Minor Semi Final に続いて Mariners で苦杯を喫する事となった。


 

しかし Jets にはまだチャンスは残されていた。 Minor Semi Final で Sydney FC を降した Queensland Roar を 1週間後の Preliminary Final で破れば Grand Final に進出する可能性が残されていた。 Preliminary Semi Final はレギュラーシーズンを上位で終えた Jets の本拠地 Newcastle で一発勝負で決められる。昨シーズンの Jets は Adelaide での Adelaide United 戦で PK 戦で敗れ Grand Final に進めなかった。昨シーズンの主力選手 Nick Carle, Paul Okon はチームを去ったが、 GK Ante Covic そして Joel Griffiths, Mark Bridgs, Andrew Durante といった悔しさを知っている選手は残っている。そしてこの試合も激しい試合となった。40分に Matt Thompson が先制ゴールを決めるとそのまま試合は進みロスタイムに。16,021人集まった観衆の7割近くを占めた地元の観衆はGrand Final 進出をほぼ手中にしたと思った92分に Adam D’Apuzzo が Simon Lynch をペナルティーエリア内で倒したプレーがファールを取られPKを与えられる。そのPKを Reinaldo に決められ試合は振り出しに。ほぼ手中にしていた勝利がお預けとなったが延長にはいった 104分に今度は交代出場の韓国人選手 Song Jin Hyung がPA内でRoar DF Sasa Ognenovski に倒されてPK を貰い、Joel Griffiths が決めて 2-1 と勝ち越し、更に6分後 には Tarek Elrich が追加点を決めて 3-1 と試合をほぼ決定付ける。この1分後、先のワールドカップ予選のカタール戦が代表引退試合となった Roar のDF選手Craig Moore が Mark Bridge に肘を入れて退場に。これで Roar は1人少なくなったが117分には Elrich が Roar MF Michael Zullo をPA内で倒したとされPKが与えられそれを再び Reinaldo が決め1点差に。残り3分間は激しい攻防が続いたがそのままタイムアップ。 Jets が悲願の Grand Final 出場権をようやく手に入れた。
試合後物議を醸したのは3つのPK 。どれも微妙な判定だけに両監督のコメントも対照的。敗れた Roar の Frank Farina 監督は “ 警官が常に私の発言を見張っているのでこれ以上何も言えない。“と言葉を残したのに対し Jets の Gray van Egmond 監督は “審判は常に私より良く見える位置で見ている。彼がPKといったら明らかにPKなんだ。”とコメントした。 Final Series 初登場の Queensland Roar であったが左サイドバックの韓国人選手 Seo Hyunk-Su が怪我で起用できなかった事が痛かった。 そして試合をほぼ決定付けた Tarek Elrich のゴールだが、この試合が A-League 戦30試合目の出場でそれまでゴールを決めた事がなかった。初ゴールがチームを Grand Final に導く貴重なゴールとなった。昨年 AFC U-20でオーストラリア U-20 のメンバーとして出場を果たしたが今は同僚となった Song Jin Hyung に2ゴールを決められ韓国に敗れている。そしてこの勝利で Newcastle Jets の 2009年の Asia Champions League 出場が決まった。 

 


快晴そして絶好の観戦日和の Grand Final

春一番の吹き荒れた関東地方から南半球のオーストラリアに。ここは夏の終わりとは言え日本の様に残暑が厳しく湿度も高くと言う訳ではないので非常に快適な絶好の観戦日和となった。日本は強風のあとまた気温が下がったらしいが。 Grand Final の会場となった Sydney Football Stadium には3万人以上の観衆が集まったが、サポータの数では 6対4で Newcastle のサポーターの方が多い様に見えた。ホテルでも Jets のユニフォームを着た人達を何人も見た。 Newcastle から Sydney までは電車でも自動車でも約1時間半以内。地理的な事では Mariners の地元 Gosford はNewcastle と Sydney の中間点にあるのでこちらからのサポーターが多いと思っていたのだけれど…. レギュラーシーズンを終え首位 Mariners 2位 Jets が決まった時点で A-League は Grand Final の開催地を Sydney Football Stadium に決めた。 Mariners の Bluetongue Stadium, Jets の EnergyAustralia Stadium 共に収容能力は30,000人にも至らず特に EnergyAustralia Stadium は17,000 人程度らしい。興行的な事と地理的な事を考えてもこの決定は妥当だったかもしれない。そしてこの観客数を見れば本当にここで開催されて良かったと思った。注目のスタメンだが Mariners は Jets との Major Semi Final 2試合とほぼ同じメンバー。ただ右の2列目には Tom Pondeljak ではなく Andre Gumprecht のスタメンを予想する新聞もあったがGreg Owen が起用された。Owen は昨シーズンまで Adelaide United に所属し Grand Final にも出場しているが前半終了時にベンチに下がった。 Mariners の Lawrie McKinna 監督は Owen のその経験にかけたか?それとも彼の右サイドアタッカーとしての攻撃力が決め手となったか? Pondeljak も2002年には一度代表入りした経験を持つ。そして2005-06 シーズンでの Sydney FC 戦でのゴールはチームの Goal of the year に輝き Preliminary Final の Adelaide United 戦では決勝ゴールを挙げてチームを Grand Final に導いた。その時に対していたのが Owen だった。
Jets は試合前から話題になっていた20歳の Song Jin Hyung をスタメンから起用。他は Roar 戦と同じメンバー。
フォーメーションを見てみてみると、 Mariners はGKが Danny Vukovic 右サイドに Nigel Boogaard 左サイドバックにはアビスパ福岡でプレーしシーズン終了後従来 Mariners のこのポジションを担っていた Dean Heffman が負傷で長期離脱を余儀なくされ急遽 Mariners と契約した Alvin Ceccoli 。 Ceccoli は2年振りの Grand Final 出場でその時もここ Sydney Football Stadium でSydney FC の一員としてプレーしている。 CBはAlex Wilkinson と Tony Vidmar 。Vidmar は長く Socceroos の中心選手であったがワールドカップ直前に不整脈が発覚し残念ながらドイツワールドカップメンバーから外れてしまった。そのうっ憤をここで晴らしたいところだろう。



ボランチには Mike Jedinak と John Hutchman 2列目の左には Adam Kwasnik そして右には Greg Owen が入り2トップはSasho Petrovski とワールドカップ、アジアカップの日本戦でゴールを決めた John Aloisi 。
一方の Newcastle Jets は GK Ante Kovic 。2006年のワールドカップでは第3 GKとして選出された。先日のカタール戦では Schwarzer の控えGKとしてベンチ入り。 DFは3バックで Andrew Durante が CB,右に Adam Griffiths 左が Jade North 。共に代表候補選手だ。その前には 右が Tarek Elrich 左が Adams D’Apuzzo 。この二人はボランチと言うよりも両サイド一杯に開き、相手攻撃時にはDFラインに入り5バックの様な形となる。前線は Joel Griffiths がワントップで右に Song Jin Hyuk 左に Matthew Tompson が入りその後ろに Mark Bridge が配置されこの4人でダイヤモンド型の布陣を敷いている。

大歓声の中 Jets のキックオフでいよいよ試合が始まったが開始5秒で Mariners のMile Jedinak が Joel Griffiths に激しいタックルをかけファール。そこに両チームの選手が集まり早速小競り合いが。そしてFK後今度は Joel Griffiths がGreg Owen に反則タックルを仕掛け、更にその後Durante が Aloisi を倒し立ち上がりは身体をぶつけ合うと言うよりも相手を倒し合う激しいプレーの連続。これが彼らの標準なのかもしれない。従ってワールドカップでの日本戦やアジアカップで相手選手が容易にひっくり返りその度にファールを取られる展開に我慢が出来ないのであろう。立ちあがりはお互いに中盤で潰し合い展開、従ってどうしても後方からのロングボールが多くなって来る。それでも14分に Jets 右サイドの Elrich がドリブルで突破しそのままシュートを放ち、GK Vukovic がファインセーブで抑えたあたりから Jets が中盤を制しだしボールを繋ぐようになる。17分には Bridge が中でボールをキープし右サイドを上がった D’Apuzzo に繋ぎ、そこから中に入った Thompson に渡りシュートを放つが僅かにクロスバーを越える。19分には Bridge がマークに付いた Wilkinson を背負いながらも粘り Song に送ると Song はヒールパスで中のThmpsonに渡しそのままダイレクトシュート。これは僅かにポストの右に外れる。20分にはまたも右サイドを崩し最後は Song が絶妙のセンタリングを中で待つ Griffiths に送るが最後は Vidmar が必死でクリアー。この立て続けの攻撃にゴール裏に陣取る Jets サポーターからは大歓声がおこる。26分にはまたも Song がドリブルで突破しセンタリングを入れるがこれも Vidmar がスライディングでカットする。



中盤をJets 攻撃陣と言うよりも Song の細かい動きやショートパスに翻弄されていた Mariners は2列目の左 Adam Kwasnik を30分過ぎから Song に密着させ劣勢を挽回しようとする。しばらくはそれが功を奏して Mariners がボールを試合し始めるが攻撃が相変わらず Aloisi, Perovski へのロングボール頼りなのでなかなかシュートに持ち込めない。26分には Petrovski がシュートを放つがこれはロングボールを Aloisi がElrich と競りながら頭で落とした所を拾って撃ったシュートで中盤を繋いだものでは無かった。30分にようやく左サイドを突破したKwansik が Song をかわしてミドルを放つがこれはサイドネットを直撃。このシュートが初めて中盤からビルドアップをして持ち込んだシュートと言えた。
30分を過ぎたあたりから Jets はフォーメーションを替えて来た。 Joel Griffiths が2列目に下がり Mark Bridge が真中のトップに立ち、左に D’Apuzzo, 右に Song が入り Elrich が高い位置にせり出し Song をフォローすると共に Kwansik の動きもマークする様になった。これで Song が動きやすくなり、再び Jets は前線でボールが回る様になった。前半ロスタイムに入った47分には左サイドに回った Song がボールをキープ中の Bridge にボールを通すが最後は Vidmar がコーナーへ何とか逃れた。前半は Jets が押し気味に進めるも何とか Mariners が無失点で切り抜けたと言った展開であった。                                                              後半 に続く…..