Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

カタールを一蹴 世論も一蹴出来たか…….

2008-02-09 | 夏季五輪

日本が降雪の中タイを破り幸先の良いスタートを切る前に既に南半球のオーストラリアでは Socceroos 達が初めて臨むワールドカップアジア地区予選を白星スタートで飾っていた。 この試合の勝利を誰よりも臨んでいたのは Pim Veerbel 監督であろうし、地元のサポーター達のいくらかは勝利こそ願っただろうがこう言う試合内容は望まなかったのでは無いか?

                              

2006年は日本を破り決勝トーナメントに進出。オーストラリア大陸に Soccer 人気を導くことに成功。しかし翌年の Asian Cup は優勝候補筆頭とされながらアジアの洗礼を受けた。欧州勢のモチベーションの問題、A-League メンバーを中心とした Olyroos 達の五輪予選突破から今年から始まったワールドカップ予選も A-League 主体で臨んではどうかとの世論が少なくは無かった。
1月23日、カタール戦に向けて39人の選手がリストアップされた。その中で A-League 勢は約半分の19名。そして2月5日、カタール戦前日ようやく選手を選出するがその数は21人。

Mark Bresciano (Palermo), Jacob Burns (Wisla Krakow, Poland), Tim Cahill (Everton), David Carney (Sheffield United), Jason Culina (PSV Eindhoven),
Brett Emerton (Blackburn), Brett Holman (NEC Nijmegen, Netherlands),
Josh Kennedy (Karlsruhe), Scott McDonald (Celtic), Lucas Neill (West Ham),
Mark Schwarzer (Middlesbrough), Michael Thwaite (Wisla Krakow), Luke Willnshire (FC Twente, Netherlands ) James Troisi (Newcastle), Carl Valeri (Grosseto, Italy), Danny Vukovic (Central Coast)John Aloisi (Central Coast), Ante Covic (Newcastle Jets ), Craig Moore (Queensland), Archie Thompson (Melbourne),
Nikolai Topor-Stanley (Perth)

本来は試合を前日に控えたここで18人に絞るべきであったが最終決定を迷っているのだろうか?どうやって最後の3人を振い落すのであろう?? 
Socceroos のアジアのワールドカップ予選は今回が初めて。およそ4年前、 Adelaide の Hindmarsh Stadium で開催されたニュージーランドとのワールドカップ予選には12,000の観客が集まった。試合は Bressiano のゴールで勝利を収めるがこの時のメンバーでこの21人に残っているのは Bressiano 以外では Bretto Emerton, John Aloisiの二人。そして2年前日本を破って決勝トーナメントに進出した Socceroos は人によれば今やスポーツ競技では最も人気のある代表チームと言われている。
2月2日、合宿中の代表候補は Melbourne Victory と練習試合を行う。欧州組はおらず A-League をベースにしたチーム。要するに A- League 組の最終テストの意味合いもあったのだろう。 Victory は今シーズンは5位に終わり今行われている Final Series には進めなかった。しかし結果は 1-1 。開始6分に Evan Berger に先制ゴールを許すとその後いくつものチャンスをゴールに結び付けられない。70分にようやく Thompson が決めて何とか敗戦は免れた。この日の Victory は 中心選手 Kevin Muscat, Rodrigo Vargas, Archie Thompson らは Socceroos に招集されており、Grant Brebner, Nick Ward は怪我、Carlos Hernandez はコスタリカ代表の試合の為 それぞれこの試合には出場しておらず半分以上レギュラーがいなかった。 
その Victory から1点しか奪えなかった事に A-League 勢に今回は見切りをつけられた原因となった。この試合結果を喜んだのは Victory のKevin Merrick 監督。3月12日から始まる Asia Champions League に向けて若手と15週間故障で戦列から離れていた Daniel Piorkowski の復調を特に喜んだ。試合後、” A-League のトップクラスの選手はカタール戦に向けて充分な得点能力を兼ね備えている。“と残したコメントがかえって慰めの意味ばかり目立つが…
この試合で 五輪代表候補のSydney FC の Mark=Milligan が鼻の骨を折り、Newcastle Jets のエース Joel Griffiths がふくらはぎを痛めた。そしてGK Ante Covic も怪我をした。彼ら3人は週末には Final Series の試合が控えていた。Covic, Milligan はFinal Series 迄には後に回復の目処が立ったらしいが、Griffiths は Mariners との Major Semi Final 出場も危ういらしい。 Milligan, Griffiths の二人は怪我がなければカタール戦へのベンチ入りも充分可能性があっただけに残念だ。

2月4日、Verbeek 監督は翌々日の試合にはエースの Harry Kewell を召集しない事を決めた。一昨年のワールドカップ終了後コンスタントに試合を出ていない既に29歳となった Kewell の招集を見送ったのは当然。それに怪我の回復ぶりから今ここで長時間移動とタイトなスケジュールを敢行する事は得策でないとチームドクターも示唆。しこれには本人も納得しているとか。 Mark Viduka とも今後の代表入りの可能性について話をしたらしいが Viduka の心中はいかに….. Asian Cup 終了後(前から??)代表からの引退を示唆していたDuke はいないがCeltic でブレーク中の Scott McDonald そして Bundesliga Karlsruhe の Josh Kennedy の2トップが予想される。 Kennedy の代表入りはワールドカップでの日本戦以来では無いか? また昨シーズンまで Sydney FC に所属し ACL では浦和 REDS とも戦った David Carney は Colchester 戦に出場し66分には同点ゴールを決めた。

5年前カタール五輪協会は国内の各クラブチームにUS$10万ずつ資金提供し当時元アルゼンチン代表のGabriel Batistuta らをリクルートした。 Batistuta の年棒は2年間で US$8万だったらしい。 1981年オーストラリアで開催されたワールドユース選手権(今の FIFA U-20 ) では準優勝を果たした。当時は背中だけでなくユニフォームの前側にも選手名をプリントしていたらしい。その当時の選手達は勿論カタール人選手ばかり。しかし人口85万人の産油国カタールでカタール国籍の人口は4分の1の20万人程度でその半分は女性だ。そこでスポーツ振興の為に特に地元開催の2006年アジア大会に向け原油の輸出で蓄えた豊富な資金を用いてスポーツ選手を誘致し始めた。 2月6日の試合には出場出来なかったがアジア大会、 Asian Cup でも中心選手であったSebastian Quintana がウルグアイからの移民選手と言う事は周知だが、他にもセネガルからGK Mohamed Saqr CB Abdullah Obaid Koni, パレスティナ人のMF Wesim Rizik Abdulmajed クウェートMFMF Talal Ali-Albloushi 、巨漢ストラーカーのSayed Ali Bechir はモーリシャスからの移民。昨年末にはブラジルからMarconi Amaral と Fabio Cesar を加えた。 2004年にカタール政府はUS$20億かけて首都のドーハ郊外に豪華なスポーツコンプレックスを建設、その中心となっているのは ASPIRE Football Academy 。そこにはアフリカ7カ国、40万人の12歳から14歳の少年達が親元を離れてトレーニングに励んでいる。彼らの夢はとにかく貧困からの脱出らしい。スポーツで名を馳せカタールに必要とされる選手になれば残した家族をこの豊かな国に呼び寄せる事が出来る.......
アジア大会ではアフリカから移民してきた陸上長距離選手もいた。同様の事は陸上競技でも行われていると思われる。

2月6日、 Telster Stadium に集った観衆は50,969 人。そこに現れたスタメンは11人中 A-League のメンバーは Queensland Roar 1の Craig Moore のみ。その Moore とて今シーズンオーストラリアに帰郷した選手でワールドカップでは4試合全てスタメン出場。そしてこの試合が彼の代表引退試合との事。しかし 昨シーズンまでSydney FC でプレーしたDavid Carney はスタメンに。A-League 関係者は一矢報いたか.....
カタール唯一、 Boavista の FW Hussein Yasser はスタメン入りは果たさず、オーストラリアとは対照的。

試合は開始10分右サイドから Brett Emerton のクロスを 193cm の Kennedy が頭で合わせて先制。

                               

17分には Wilkshire のコーナーキックから今度は Cahill がヘッドで合わせて追加点。

                                                               

カタールが危惧する高さの不安をついてあっさりと主導権を握る。カタールはスタメンのうち9人が Asia Cup メンバーなのだがこの数字を見ると層の薄さを感じざるを得ない。その上肝心の Sebastian Quintana がいない....
33分には Aussie Striker と昨年の UEFA Champions League AC Milan 戦で言われた McDonald がボールをキープし走り込んだ Bresciano へのスルーが通り3点目が生まれた。 

                           

Asian Cup と異なり動きやすかった Melborne の天候は Socceroos 達にかなり優位に働いただろう。それに稀にしかお目にかかれない5万人以上のアウェーの環境も。更に Socceroos 達はカタールゴールに迫るが前半終了間際の Cahill のダイビングヘッドは GK Mohammed Saqr がファインセーブ。後半55分再び Cahill が Emerton からのクロスから放ったヘッドはポストを外れ、McDonald , Kennedy のヘッドは大きくクロスバーを越えた。結局後半は無得点。しかし試合序盤のチャンスを GK Mohammed Saqr に好セーブ連発で得点に結びつかなくても3点を取ったのは攻撃力はさすが欧州勢といったところか? 
昨年の Asian Cup での不振、移動時間の長さ、時差そして年々興隆を見せる A-League と言った背景から “ 欧州組でアジアを戦い抜けるか...“ といった”疑惑“を一掃する事が出来ただろう。
しかし、次の3月に開催される中国戦はアウェーで標高1890m の昆明。本当の戦いはこれから、と Veerbek 監督は手綱を締める。試合終了後 Scceroos には吉報が入る。ドーハで行われたイラク対中国の試合が1-1 で引き分けた。  

                           

オーストラリア、イラク、カタール、中国。 この中で確実に2カ国が落ちるのか.... 日本は恵まれたのか?それとも強くなったのか??

Australia 3 (Joshua Kennedy 10’, Tim Cahill 17’, Mark Bresciano 33’) Qatar 0

Australia : 1. Mark Schwarzer ( GK )  2. Lucas Neill, 3. Craig Moore (14. Brett Holman 77'), 4. Tim Cahill (17. Carl Valeri 66'), 5. Jason Culina, 7. Brett Emerton, 8. Luke Wilkshire, 9. Josh Kennedy (15. John Aloisi 70'), 10. Scott McDonald, 11. David Carney, 18. Mark Bresciano.

Qatar: 1. Mohammed Saqr (GK ) , 3. Marconi Amaral Junior, 4. Ibrahim Al Ghanim, 5. Majdi Abdullah Siddiq (17. Wasim Rizik Abdulmajed 46'), 6. Abdullah Obaid Koni, 8. Saad Sattam Al Shammari (c) (18. Mesaad Ali Alhamad 46'), 9. Ali Hassan Yahya, 13. Mustafa Mohammed Abdulla, 14. Khalfan Ibrahim, 15. Talal Ali Albloushi (10. Waleed Jassim Abdulla 78'), 16. Fabio Cesar