Mr.コンティのRising JAPAN

マスコミの書かない&書きそうもない!スポーツ界の雑学・裏話を、サッカーを中心にコメントを掲載していきます。

土佐玲子 炎の激走 長距離陣と世界陸上を救う

2007-09-02 | 陸上競技
9月2日、大会最終日。期待の女子マラソン土佐玲子が銅メダルを勝ち取りようやくホスト国の面目を保つ事となった。この女子マラソンに就いては IAAF のホームページにも“Hosts looking to Women’s Marathon for Final Medal Hope ” と言う記事が掲載され、9月1日に行われた男子 4x100mR が5位になるものの、十種競技の田中が19位に終わり、大会初日の10000m も走った福士が、5000m でのミラクルを期待されたが14位終わり、いよいよ1995年イェテボリ大会以来開催国がメダルなしで終わる可能性が帯びてきたと述べられている。 そして日本最大の期待であったハンマー投げの室伏は、今夏技術的な問題があったにも関わらず誰もがそれを無視するなかシーズンベストのパフォーマンスを披露するも6位に終わったが翌年の北京五輪で再び好成績を上げれば許されるだろうとも書かれている。 そして開催国メダル無しを救う最後の砦として土佐玲子が最終日に登場すると昨年の東京女子マラソンのゴールシーンの写真と共に紹介されている。

http://osaka2007.iaaf.org/news/kind=2/newsid=41395.html

練習中に転倒して一時は松葉杖をついていた土佐が一時は5位に落ちるも最後は粘りを見せて3位に入った。それにしても最後に女子の活躍に救われるのは昨年のトリノ五輪の荒川静香を思い出す。しかしこの猛暑のレースで最後を粘り切った事で翌年での五輪レースに向けて土佐は自信になったのではないか?マラソンはいくら良い記録を持っていてもその選手が得手、不得手なコンディションがある。大概の五輪マラソンは高温の中で行われる。シドニー五輪で高橋尚子が金メダルを勝ち取ったのも1998年のバンコックでの高温多湿のアジア大会のレースで2時間21分47秒と言う驚異的な記録を出した事も自信になっていただろう。(本人に訊いた事ないけど。) これで北京五輪の女子マラソンの代表争いが一気に過熱してくる。前回女王の野口みずき、前々回女王の高橋、渋井陽子、弘山晴美あと候補選手だけでも何人いるのか? 
優勝はケニアのヌデレバ、2位には一時は出場しないのではと言われていた中国の周春秀が入った。銀メダルの周春秀は昨年12月のアジア大会でも金メダル。その時の2位がこの日6位に入った嶋原清子。アジア大会では嶋原は周に3分31秒開けられた。中国勢では4位に朱暁琳が入り来年の北京五輪では大きなライバルになりそうな気がする。特に周春秀は今年4月のロンドンマラソンにも出場しこれまでの2007年の世界最高記録を出すなど躍進著しい。
周の昨年からのマラソン戦績は下記の通り。

2006. 3.12 ソウルマラソン 2時間19分51秒  2006年 世界2位記録
2006.12. 9 ドーハアジア大会 2時間27分31秒  優勝
2007. 4.22 ロンドンマラソン 2時間20分38秒  2007年 1位記録 ( 9月2日現在 ) 2007. 9. 2 世界選手権    2時間30分45秒  2位

この1年半でマラソンレースを4本も出場している。そして好記録の連発。北京五輪優勝候補最右翼か?それとも今がピークで一年後は….. そして世界選手権にエントリーしなかった2006年世界最高記録、2時間19分36秒をロンドンマラソンで出した米国の Deena Kastor も候補の一人だろう。 2006年の女子マラソン世界20傑の中には日本人選手が4人(弘山、渋井、土佐、森本)含まれている。2位記録がこの世界選手権2位の周春秀。優勝したヌデレバの昨年の記録2時間25分5秒は19番目であったが、そのレースが大阪国際マラソン。しっかりと世界選手権の“試走”をしての金メダル獲りだった。
今大会少し残念だったのは北朝鮮の選手が出て来なかったこと。今の日朝間の政情を考えるとやってこないか?しかし北京には当然上位を狙って出て来るだろう。

一方の男子マラソンの北京五輪に向けての視界はどうだろう?記録を見ると2006年は奥谷が福岡国際マラソンで出した2時間8分49秒が日本最高記録だがこの記録は昨年の世界ランキング29位だ。2007年ではこれまで4月15日のロッテルダムマラソンで松宮が記録した2時間10分4秒が最高だがこれも28番目の記録。ただし、五輪代表を賭けてこれから候補選手が本格的にマラソンレースに臨んで来るので今年は2時間7分台の記録を期待したいし、そうでなければ五輪の上位入賞も厳しいか?不気味なのはアトランタ五輪銀メダルの韓国の李鳳柱が3月18日のソウルマラソンで2時間8分4秒で優勝している事。今年で37歳になるのにこの健在ぶり。 男子マラソンの注目と言うか五輪優勝候補はあの皇帝、エチオピアのハイレ=ゲブラシラシエ。昨年ベルリンマラソンで出した2時間5分56秒は2006年世界最高記録で世界歴代5位。知らない間に世界のマラソンは2時間4分台に突入している。一体全体何を食べたらそんなに早く走れるのだろう?? 日本選手では高岡寿成の2時間6分16秒が歴代11位だけど、それは彼が2002年に出した記録。また2時間6分台が出せるだろうか?日本歴代2位記録は藤田敦の2時間6分51秒。しかしこれも2000年の福岡国際で出された記録。日本マラソン陣の記録の奮起が期待されるところだ。
それにしてもアフリカ勢のマラソンの強さに更に強化されている。2006年の世界30傑の中ではエチオピアが3人ケニアが12人もいる。 またアジア大会優勝でこの世界選手権も2位だったカタールのシャミ・ムバラク・ハッサンも候補の一人だろう。今年4月パリマラソンで出した2時間7分19分はこれまでの2007年最高記録だ。ハッサンはアジア大会、パリマラソン、世界選手権と中4か月でマラソンレースに出場している。そしてたぶんこのハッサンもカタールの他の長距離選手同様アフリカからの帰化人選手だろう。セバスチャン=キンターナの様に。

5000m, 10000m 男子トラック種目は
5000,1000m はもう日本男子は太刀打ち出来ないのか?世界記録をみてがっかりしたというよりも驚いてしまった。5000m が12分37秒35, 10000m が26分20秒31 共にエチオピアのケネニサ=ベケレが持っている記録だが、この数字を見たとき。“俺は何の為に陸上をやっていたんやろう?”と思ってしまった。そのベケレをしても5000m は5位に終わった。予選を見ても強烈にスピードアップするあのレース展開は日本のレースではお目に掛れないレースだ。従って日本選手は“練習の試用が無い”と言うのが本音だろう。本当にこの種目で外国人選手と対抗するのならが実業団の外国人撤廃なんて言っていられないと思うけど。 トラック選手は実業団から離れてアフリカに単身トレーニングの為に移住…というよりも陸連がこの辺はなんとかしないとなぁ???  しかし箱根駅伝の選手の記録を見ると10000m を28分台で走る選手がごろごろいる。私が学生の時は29分を切る選手が学生ではその年に二人いただけだった。それも我が関西学連の選手だった。従って27分台の選手がもっと出て来ても良いと思う。これも箱根駅伝の弊害かもしれないけど、自分がもし関東学連の大学生だったら世界選手権よりも箱根にかけるだろうなぁ…. 今年の世界選手権、隔世の思いで見た。男女の短距離陣にあれだけ期待が集まり、そして男女の中距離選手もかつてよりも進歩がみられたが長距離は相変わらず男女のマラソン、それもメダルは女子のみ、だけが世界に太刀打ち出来る種目であった。 来年の北京五輪はもっと厳しい戦いになると思う。まだまだ、いや更に世界のトップアスリート達は五輪で勝つ事を重きに置いている。 

しかしそんな事は俺が偉そうに言って良い事では無いとも思う……

最後に俺は陸上をやっていて良かったと思っている。  

陸上競技万歳。

不振なのか実力なのかそれとも….

2007-09-02 | 陸上競技

大会8日目を終えて日本チームはまだメダルゼロ。入賞者もハンマー投げの室伏と男子マラソン陣くらいでマスコミとTBSが期待する様なメダルラッシュには程遠い結果だ。この結果、果たしてどうなのだろう?

日本選手のランキング

そもそも大会を中継するTBSをはじめマスコミが期待した様なメダルラッシュは現実的だったのだのだろうか?大会開幕早々に幸先良く朝原が男子100m で準決勝に進出。決勝進出はならなかったがベテランの快走に以降の好成績が期待された。しかし、400mHの為末は予選に沈み、マスコミが“ヒロイン”に仕立て上げたようとイケクミは7m どころか決勝に進めず、最もメダルに近いと思われた室伏は6位に終わる。かつてのメダリスト末次は2次予選で失速。エアー大地は痙攣で飛ぶことが出来ず、私がひそかに期待した高跳びの醍醐直幸もダウン。するとマスコミは“不振、不振。”と騒ぎたて出した。 ここで考えてみれば良い。不振とは元々力のあった選手が持っている力を出せなかった時に使う言葉だ。昨年、そして今年のこれまでで何人の日本人選手が世界ランクのトップテンに入っていただろう? 

2006年度の記録

池田久美子  6m86cm  7位  ( 1位 Tatyana Kotova ロシア7m12cm )
室伏広治      82m01cm  4位    ( 1位 Vadim Devyatovskiy ベラルーシ82m95cm )
末續信吾   20秒25    14位 ( 1位 Xavier Carter 米国 19秒63 )
成迫健二      47秒93      4位 ( 1位 Kerron Clement 米国 47秒93 )
澤野大地        5m75cm 19位 ( 1位 Brad Walker 米国 6m00cm )
醍醐直幸        2m33cm  7位 ( 1位 Andrey Silnov ロシア 2m37cm )

2007年度の記録 ( 世界選手権前 まで)
池田久美子 6m73cm 22位 ( 1位 Lyudmila Kolchanova  ロシア7m21cm )
室伏広治    79m01cm 10位  ( 1位 Vadim Devyatovskiy ベラルーシ 82m94cm )
末續信吾   20秒20      9位 ( 1位 Tyson Gay 米国 19秒62 )
成迫健二    49秒01    20位 ( 1位 James Carter 米国 47秒72 )
為末大      48秒73    16位 ( 1位 James Carter 米国 47秒72 )
澤野大地      5m75cm 16位 ( 1位 Brad Walker 米国 5m95cm )
醍醐直幸      2m30cm 13位 ( 1位 Donald Thomas バハマ 2m35cm )

上記の数字を見ると成迫の健闘そして室伏の6位入賞は理解出来る。成迫が準決勝で出したシーズンベストの48秒44は今季世界ランク13番目の記録だ。ただ末續は今季20秒20を出していただけに2次予選で消えたのは残念であった。醍醐も飛べていたらチャンスだったと思う。
また池田の目指す7mとはどんな記録かと言うと、昨シーズンは3人の選手が、そして今シーズンは4人の選手だけが出した記録でメダルに直結する記録。それだけ険しい挑戦ということだ。
女子の走り幅跳びの世界記録は1988年にソ連の Chistyakova が出した7m52cm で昨年の年間最高記録より40cm も優れた記録。そして歴代2位の Jacky Joiner Kersey は7m49cmで 1994年に記録したもの。そして歴代上位10位までの中で5人の選手が共産圏時代の東側諸国の選手だった。あの有名だった東ドイツの Heike Drecshler のベスト記録7m48cm は1988年に出されたもの。 う~ん、薬の臭いがするなぁ。同様の事は男子のハンマー投げにも当てはまる。世界記録の 86m74cm は1986年に当時ソ連の Yuriy Sedylch が出したもので 1cm 差で今大会優勝したベラルーシの Ivan Tshikhan が2005年に出した記録で続くが、歴代10傑にはソ連時代の選手が4名もいる。そして我らが室伏の84m86cm は歴代5位の記録だ。歴代4位で今大会4位だったベラルーシの Devyatvskiy らとともに来年の五輪のメダル争いはヒートアップするであろう。
こうしてみるとメダルラッシュを期待すること事態がおかしいと思うが、それを最も判っていたのは選手自身だろう。しかし地元で開催される大会を前に、“メダルは期待されると…”とは言えないだろう。それに表彰台を目指さないのなら初めからこの大会には出て来なかっただろう。 
確かに末續、為末は世界選手権で銅メダルを勝ち取った。しかしそれらの競技レベルを維持し続けるのは容易な事でなく、更に次々にワールドクラスの世アスリートが台頭してきて、彼らに苦杯を喫した選手達も巻き返しをはかる。



大会開催時期は…

はっきり言おう。8月下旬は世界選手権が開催される時期では絶対にない。日本国内の大会でさえこの時期に陸上競技の試合があるのはまれだ。今夏の日本列島は例年と比較しても異常と言える最高気温が連日40度近い日々。しかしそれを差し引いてもこの時期に なぜ世界選手権なのだろう?前回のヘルシンキ大会が8月6日から14日。その前のパリ大会は8月23日から31日。2001年エドモントン大会が8月3日から12日。そして第1回のヘルシンキ大会は8月7日から14日に開催されたが、欧米の8月お日本の8月はかなり天候が異なる。 第3回の東京大会は8月26日から9月2日だった。まだ記憶に残る東京大会も非常に暑い気候の中で開催された。世界選手権は8月に開催されているがこの大会は陸上競技では最高権威の大会であると考えられるならば、選手達がベストパフォーマンスを発揮できるコンディションの下で行われるべきで、摂氏40度近い天候での陸上競技大会、しかも世界選手権が行われるのが疑問だ。9月は既に欧州では陸上競技シーズンの終盤を迎えるのであれば、7月開催でも良いと思うが、7月に世界選手権が開催出来ない深い理由がありそうだ。7月はIAAF が主催するグランプリレースが目白押しだ。

7月 2日 Grand Prix : アテネ
7月 4日 Grand Prix : ザグレブ
7月 6日 Golden League : パリ
7月10日 Super Grand Prix : ローザンヌ
7月13日 Golden League : ローマ
7月15日 Grand Prix : シェフィールド
7月21日 Grand Prix : マドリード
7月25日 Super Grand Prix : モナコ

7月の欧州は恐らく陸上競技の大会を開催するにはベストなシーズンと思われる。その時期に上記の様なグランプリレースを開催し好記録を連発する事で陸上競技が“プロフェッショナル”として確立される。IAAFも本音は世界選手権を最適な季節に開催したいところだろう。 しかし今やプロ化の推進なくして競技の発展は無い。このままでは世界選手権の権威は下がり、オリンピックとの“格差”は拡大される一方だ。やはり五輪に勝るスポーツイベントはサッカーのワールドカップだけなのだろうか…..
しかしそんなコンディションの中でも世界のトップアスリートはきっちりと結果を出してくる。最終調整が上手く行かずに力を出し切れない日本選手と比較すると……。 
今大会前に上記のグランプリレースに参加し実戦を兼ねた調整を行える事もトップアスリートの強みか? その様な大会に転戦し結果を残す日本人アスリートが多く輩出されることを祈るよ。
しかし、世界選手権の開催も大会を追うごとに権威が低下している気がする。今大会は五輪前でコンディションを崩したくないのか、エントリー選手が少ない気がする。そして次回は2009年、五輪の翌年。ポスト五輪イヤーに開催される大会は新旧交代の時期でそれ自身は興味があるのだが、もう一つ迫力欠ける気がする。(それは前年の五輪と比較するからか?) ここはひとつ、五輪イヤーの2年後に開催してくれることを願うけど、誰も耳を貸さないやろなぁ……



男子 4 x 100m R 日本新の5位
短距離陣期待の 4 x 100m R はメダルに手が届かなかった。しかし日本記録。これこそ来年に期待できると思う。 ただ昨年のアジア大会で日本と同タイムながらタイ国記録で優勝したタイ・チームが参加していなかったのが少し残念。39秒21の記録では今大会エントリーした13カ国の中で勝てたのはカナダチームのみだけど、暑さに強いであろう彼らの挑戦もみたかったなぁ…. それとも今年行われる SEA Gamesに照準を絞っているのか?



4 x 400mR は決勝に届かなかったけどこのメンバーで3分2秒76は好タイムだと思う。1996年にアトランタ五輪でだした日本記録3分00秒76 更新を来年の北京五輪で目指して欲しいが、それには“大砲”が必要だ。かつて44秒台を出した高野進の様な。金丸裕三、山口有希の二人が45秒1台を出せる様になってもチャンスはあると思うけど、俺も自分が走れもしないのに無責任に解説するなぁ…..女房に怒られたわ。それにしてもリレーで期待が出来る様になるなんて私が学生時代には全く考えられなかった。



それに女子が五輪、世界選手権のリレーにエントリーする事も。女子のマイルリレーも日本新記録。今年5月5日の大阪国際グランプリで出した記録をさらに更新したわけだけど、“丹野麻美”があと3人いれば世界でも十分に戦える記録になる。メキシコ五輪のサッカーの準決勝戦でハンガリーが日本を 5-0 と粉砕したその試合後、ハンガリーの新聞記者が長沼(当時)代表監督に“カマモトが5人いればニッポンはハンガリーに勝てると思うか?”との質問に“釜本をあと4人創るのが私の仕事。”と答えたらしい。 “丹野”を創るのは誰の仕事なのだろう…. あぁまた偉そうなこといってもうた。 嫁ハンにまた怒られるわ….