5月5日夜、私はA-League のサイトを凝視していた。 ACL の第5節 Newcastle Jets 対北京国安戦の動向を見る為に。
せっかく AFC TV と契約をしたのに日本では ACL の試合はこれでは見られない。何の為に契約したのだろう…契約料は安かったけど…..
69分均衡が遂に敗れた。 先制したのはアウェーの北京国安。そして先制ゴールを決めたのは何とオーストラリア人ストライカーの Ryan Griffiths 。 中盤からの王珂のスルーパスに抜け出した Ryan Griffiths がLijubo Milicevic のマークを受ける前に放ったショットはGK Kennedy を破って Jets ゴールに突き刺さった。試合内容は圧倒的に Jets が押していた。ボール支配率だけを見てもここまで Jets 69 に北京は31 だった。それが football と言ってしまえばそれまでだけど…..
2008年2月。 Sydney の Aussie Football Stadium で Central Coast Mariners を Mark Bridge のゴールで1-0 で破り見事に A-League 王者に輝いた Newcastle Jets であったが Jets も Mariners も ACL の出場は翌々シーズンから1年以上待たねばならなかった。 2008年8月15日。 A-League の次のシーズンが開幕。 Jets の開幕戦は約半年前の Grand Final と同じ相手 Central Coast Mariners 。 先制を許しロスタイムに Joel Griffiths のゴールで何とか追い付いたがこのシーズンは Mark Bridge ら主力が抜けた事もあり戦力がダウン。 21試合の全日程を終えて4勝6分11敗。連勝が1回も無く最下位に沈んでしまった。 最終戦の Sydney FC 戦のピッチに立った前のシーズンの Grand Final のメンバーは Adam Griffiths , Ante Covic , Matt Thopmson, Jin-Hyung -Sun , Tarek Elrich そして Adam D’Apuzzo の6名のみであった。 Jade North, Joel Griffiths ら主力はシーズン中にチームを去って行った。それは球団経営の為に主力選手を中国や韓国のチームに売却せねばならないという A-League の深刻な問題の縮図でもあった。
最下位に終わったシーズン終了から1ヵ月半後には ACL に臨まねばならなくなった。 Newcastle Jets の初戦は北京国安とのアウェーゲーム。 ここに一つの因縁がある。北京国安にはかつての Jets のエースストライカー Joel Griffiths が所属しているのだ。 Griffiths 3兄弟と言えば3人ともプロのサッカー選手であると言う事でオーストラリアサッカー界では有名である。Joel の2歳年下の Ryan が昨シーズンより北京国安でプレーしており,兄の Joel が追って入団をしたのだ。そして Joel の双子の兄弟である Adam Griffiths は Newcastle Jets 所属の選手だ。
そして物議を醸しだしていたたのは Joel がこの試合でプレーするかどうかと言う事だった。 現在 Joel Griffiths は “貸出し”の形で Newcastle から北京に移籍しており契約では Newcastle Jets との試合には出場出来ない事になっているらしい。
しかし3月10日北京で行われたこの試合には背番号29 を付けて背番号23 の弟 Ryan と共に先発出場。 Jets 関係者を驚かせた。 まぁ契約そのものが怪しかっただろうし、中国のチームが契約をきちんと履行するとも思えないが……..
この試合を 0-2 で落とした Jets はこのACL Group E では完全なアウトサイダーと思われた。 しかし続く蔚山現代をホームに迎えた第二戦を A-League 終了後に Central Coast Mariners から獲得した Sasho Petrovski の2ゴールで快勝しアウェー、名古屋に乗り込んだグランパス戦をしぶとく 1-1 で引き分け決勝トーナメント進出の可能性が見えてきた。
4月22日、 Newcastle に名古屋グランパスエイトを迎えた 。この日の Jets のメンバーの中で昨シーズンの A-League でレギュラーであったのは Tarel Elrich, Ben Kantarovski, Adam Griffiths そして主将の Matt Thompson の4人。 Adam D’Apuzzo そして Milicevic Ljubo が累積警告で出場停止。 若いFW Broodie Mooy そして A-League 終了後に獲得した元 Adelaide United の主将 Angelo Constanzo 膝の怪我から復帰した Jason Hoffman らを加えたメンバーで臨んだ。
試合は立ち上がり前節引き分けた事により自信を掴んだ Jets が主導権を握る。 名古屋でのグランパス戦では出場出来なかったイタリア人 FW Vignaroli Fabio が素晴らしいFKを連発するが Constanzo のヘッドはゴールを捉えられない。
名古屋の Magnam と Jets の Fabio がキープレーヤーと思われたが32分には共に怪我の為にピッチから姿を消す。 特にこの ACL から入団したかつて Lazio 等でもプレーをした Fabio は故障を抱えているみたいで前節の名古屋遠征には帯同していなかった。今シーズンの A-League ではどれだけ万全のコンディションで臨めるか首脳陣は心配だろう。
50分に Davi のクロスをキャッチしようと果敢に飛び出した GK Kennedy であったがバランスを崩しボールに触れなかったが好運にもボールはゴールポストをそれて行った。
そして57分 Thompson のパスが主審の踵に当たりコースが替った所を拾われカウンターを許し、杉本のクロスから小川が Kennedy の左を破るショットを放ちアウェーの名古屋が先制ゴールを挙げた。
59分に Jets ベンチは Donny De Groot, Hoffma を下げて Sean Rooney, Sasho Petrovski を投入しまず同点を狙う。 そして78分 Petrovski がエリア内の右サイドに侵入。 Bajalica Milos がマークに入ると Petrovski は転倒。すると UAE 人の Ali Hamad Madhad 主審は迷わずペナルティースポットを指した。Milos は右手人差し指を左右に振って抗議するが判定は変わらない。スタンドからは大歓声が沸く。 Petrovski が自らボールをセットしそのPKを蹴るが日本代表GK楢崎が左に倒れこんでセーブ。 8492 人集まった Energy Australia からは失望の声が漏れた。
それでも引き分ければまだまだ上位2以内に入れる可能性は大いに残されている。 ロングボールを放り込み必死に名古屋ゴールに迫るがそこは J-League で優勝を争うグランパスDFライン。その後ろには更に鉄壁の代表正GK 楢崎が控えている。 結局無得点のまま試合終了のホイッスルを迎える事となった。
しかしまだ彼らに好運はあった。 北京国安がアウェーで蔚山現代に敗れ2位以内の可能性がまだまだ残されたのだ。しかもこの試合で Joel Griffiths が警告を受け累積警告で次戦の Jets 戦には出場が出来なくなったのだ。第4節を終えての勝敗表は下記の通りだった。
名古屋グランパス 4 2 2 0 5 2 +3 8
蔚山現代 4 2 0 2 3 5 -2 6
北京国安 4 1 1 2 2 2 +0 4
Newcastle Jets 4 1 1 2 3 4 -1 4
Joel Grifiths についてはその後の中国超級の山東魯能戦で相手選手に肘を入れ5試合出場停止となってしまったらしい。 Joel は実直なプロ選手だ。 相手選手をわざと傷つける様な選手ではない 北京国安の韓国人 Lee Jong Soo 監督は彼をかばったのだが.....
" 我々は ACL の数ゲームを戦い相手にプレッシャーを与えプレスをかけピッチ上で優位に立つ事がゲームをコントロールする上で重要だという事を解かっている。 と同時に我々は規律を失わず能力以上の約束事で拘束をせず我々にはまだ次のラウンドに進む可能性があるという確信を持つ事がこのゲームへのアプローチだ。"
Newcastle Jets の Gary van Egmond 監督は次の北京国安戦に向けて攻撃サッカーを示唆した。
“彼ら(北京国安)が容易に主導権を渡すとは考えられない。 しかし先制ゴールがゲームを左右するだろう。そしてファンを沸かせる試合になるだろう。何故ならこのゲームは両チームとも勝利が必要であるからだ。 前にも言ったが多くのアウェーチームがそうである様に忍耐強く守備的に臨んでくるであろう。それを破るのは我々次第だ。 ”
北京戦はイタリア人FWの Fabio Vignoroli が怪我で使えない。 替りに Jobe Wheelhouse が起用されると思われる。
“セットプレーは我々を優位にするところだ。 この条件かでは我々は前に見たとおり重要なプレーとなる。 トレーニングでも Job のFK は良かった。もし彼が起用されたのなら FK を蹴る事となるだろう。 そしてエリアを制圧出来ればサイドの選手が重要となる。 それは左右のMFだけでなく、両サイドバックの選手達も攻撃にからみ、エリア内にクロスを入れ北京に対して優位に立てる空中戦を使う事だ”
このゲームは出場停止だった Ljubo Milcevic そして Adam D’Apuzzo が出場可能となる。
“この二人はフィジカルだけでなく質の高いプレーもする。 そして彼らはリーダーシップも発揮してくれる。名古屋戦の後半はこう言う選手が絶対的に必要であった。 彼ら二人がこのゲームに出場出きる様になり嬉しい。”
また Van Egmond 監督は北京国安の役員達がピッチの状態に着いて公式にクレームした事に就いても言及。
“我々はまさにフラットなピッチの上でプレーしようとしている。問題では無い。雨が降ろうが風が吹こうがピッチがどうであろうが、もし望みの条件でなければそれに合わさねばならない。 しかし現実的にここは勝たねばならない2チームが集う。濡れていようがピッチが荒れていようが共にそれに順応し勝たねばならない。
この試合のスタメンは北京で行われた試合から Jets が3人、北京国安が5人メンバーが替った。北京はけが人が続出ししかも Joel Griffiths が累積警告で出場できない苦しい台所事情。試合開始からホームの Jets が主導権を握る。 18分には相手DF二人をかわして放ったショットはゴールポスト右にわずかに外れる。 その直後には Jason Hoffman が Jobe Wheelhouse のクロスからヘッドを放つが GK 杨智がクリアー。 すると27分北京国安はカウンターから闫相闯 が低いライナーのシュートを放つがここは GK Kennedy がセーブ。 30分には Petrovski からのクロスを受けた Hoffman が北京国安のDF William Modibo のタックルをかわしてシュートに持ち込むが前に出て来た GK杨智 がブロック。前半を終えてJets のボール支配率は60% を越えていたが先制ゴールは上げられなかった。
後半に入り北京国安はやや攻撃に転じる時間が増えた。50分 MF闫相闯 が郭輝からボールを受け Nikolai Topor Stanley をかわして放ったショットはサイドネットを直撃した。 その後は再び Jets が攻勢に出るがゴールは奪えない。そして69分それまで圧倒的に押されていた北京国安がかつての Jets のエースであった Joel Griffiths の弟 Ryan Griffiths にゴールを決められリードを許した。
Jets ベン氏は70分に Mooy Broodie をオランダ人 MF De Groot Adrinus に替えてそして76分に Wheelhouse に替えて Kaz Phonek を81分には遂に Mathew Thompson を下げて Rooney Sean をピッチに送り同点そして逆転を狙う。82分には Adam Griffiths がイエローカードを貰いこれで累積警告の為に最終戦の蔚山現代戦は出られなくなった。
しかしAdam Griffiths は次の試合の事等は考えていなかっただろう。 そして88分遂に Jets が同点に追い付く。 Petorvski が右サイドを突破し更に右サイドを上がった Tarek Elrich にボールを送り自分は中に切れ込む。 そして Elrich から挙げられたクロスをボレーで北京国安ゴールに叩き込んだ。
大歓声があがる Stadium 。しかし同点ではまだ不十分だ。北京国安も必死の守り。91分には Adam Griffiths が警告を受ける。試合はロスタイム4分を過ぎようとしこのまま終わりかと思われたその瞬間、左からのクロスを中央で受けた Milicevic が右にいた Rooney にボールを出すとそのまま Rooney は左足を振り抜く。アナウンサーが Roooneyyyyy と叫ぶと弾道はゴールネットを直撃し遂に試合をひっくり返した。
狂喜乱舞する観客席と Jets ベンチ。 誰がこう言う筋書きを想像できたであろうか?キックオフの直後にホイッスルが鳴り地獄から生き返った Jets がベスト16入りに前進し、わずか6分前までリードを保っていた北京国安の Group Stage 敗退が決まってしまった。 Unbelievable を連発するアナウンサー。 世界の Football World では Rooney と言えば Manchester United のWayne Rooney を想像するだろうが、 おそらくここしばらくはこのオーストラリア大陸の最大都市シドニーから少し離れた小さな街 Newcastle では Jets の Rooney Sean が語られる事だろう….
北京国安 Lee Jong Soo 監督
この結果には失望している。しかし選手達には満足している。 彼らは全力を尽くした。そしてゲームの間中は最高のパフォーマンスを見せた。前半は何人かの選手達は自信無げにプレーしていた。特にボールコントロールにおいては。 ハーフタイムでは選手達に自信をもてそしてもっと攻撃に専念するようにアドヴァイスをした。 そして彼らはその様にした。しかし ACL と中国超級との掛け持ちは選手達を疲弊させた。
Newcastle Jets Gray van Egmond 監督
このチームには素晴らしい役者達が何人かいる。 前節の名古屋戦ではこの試合に勝てる、加藤とする選手がいなかった。この日はもっと厳しい状況下にありながら先制を許し逆転勝利を収めた事は有形の財産となった。私はただ本当にハッピーだ。そして彼らが見せた役回りも残った ACL のゲームそして A-League の新シーズンに向けてより改善されるであろ。 まさに地獄からよみがえった Jets その試合は本当にミラクルであった。次節アウェーだが蔚山現代と引き分け以上でグループ2位が決まり決勝トーナメントの1回戦は川崎フロンターレと当たる可能性が出て来た。もしそうなればまた日豪対決が見られる….. と思ったが ACL Group Stage 最終節で川崎フロンターレは浦項スティーラーズに 0-2 で敗れ、 Jets が勝ち抜いた時の相手が川崎だったがこれで等々力競技場での Jets 戦は無くなってしまった。 最終節、 Jets はアウェーでの蔚山現代との対決。引き分け以上で Jets の勝ち抜けが決まるのだが…. 兎に角奇跡が再び起こる事を願う……
名古屋グランパス 5 3 2 0 9 3 +6 11
Newcastle Jets 5 2 1 2 5 5 -0 7
蔚山現代 5 2 0 3 4 9 -5 6
北京国安 5 1 1 3 3 4 -1 4
電車の車窓からも等々力競技場の最寄駅、武蔵中原に近付けば近付くほど雨脚が強くなて来ている事が良く分かった。だが雨脚が強くなればアウェーの Central Coast Mariners に少しでも有利になる、チーム力は劣るがフィジカルに上回る Mariners がフロンターレに近づく事が出来る。試合内容が面白くなる…と思った。
武蔵中原駅を降り、競技場に着くが更に雨脚は強くなる。向かうはもちろんビジター席側だ。 立見席では20人程度の黄色のユニフォームを着た人達が。早くも盛り上がっている。 “遠くからの御越しありがとうございます!!” と言う内容の場内アナウンスが響くと、更に彼らの気勢が上がった。
私も早速彼らの中に加わろうと“小道具”である ワールドカップ1974年大会の Socceroos のJonny Warren のレプリカを取り出して着る。するとすぐに何人かの Mariners サポ達が私の方に寄って来た。
“そのシャツはどこで買ったんだ? Warren を誰だか知っているのか?”
“勿論知っている。7年前に彼が書いた本を読んで以来彼のファンだ。前のワールドカップの前に亡くなって大変残念だ。このシャツはシドニーで見つけて買ったんだ。” “オーストラリアに来た事はあるのか?”
“何度も行った。 A-League の試合も何回も観た。昨年の Grand Final の決勝戦も観戦した。”
そう言って当時の新聞を取り出した。すると更に多くの人達が寄って来た。みな大喜びだった。私も嬉しかった。 あの試合は審判が完全に Jets 側に着いていた、最後のプレーは間違いなくハンドだ。 GK のVukovic には気の毒だった…てな話をした。 そしてその新聞に大きく載っていた当時 Jets のエースストライカーだったJoel Griffiths を指差し “こいつは Shit だ !! “と言うサポーターもいた。
一向に弱まる気配が無い雨脚の中、選手達が入場しキックオフを迎えた。 Mariners サポ達の殆どはもう“出来上っている” 前節ホームで 0-5 と惨敗した Mariners は下記の布陣を敷いた。
19 Simon Matthew
188cm/78kg
8 Dean Heffernan 7 John Hutchison 23 Adam Kwansik
186/81 179/78 179/76
17 Matthew Osman 2 Gumprecht Andre
183/75 177/75
4 Bojic Predrag 18 Alexsander Wilkinson 16 Nigel Boogard 15 Andrew Clark
180/75 187/85 188/88 180/74
GK 20 Vukovic Daniel
187/96
殆どの出場選手が180cm以上。 前節と比較すると出場停止だった Bojic Predrag と Simon Matthew をメンバーに入れ4人を替えて来た。 布陣も2トップから Simon のワントップにし2列目に3人並べ右サイドバックに Bojic が戻り前節はそこで起用された Heffernan が中盤に上がった。
ワントップの Simon は188cm の長身。昨シーズンは A-League 21試合に出場し11ゴールを挙げた。北京五輪ではサブメンバーだったが Archie Thompson が負傷し第三戦の Cote d’Ivoire 戦にベンチ入りを果たし73分から出場をした。
3月5日、Canberra で行われたクウェートとの Asian Cup 予選ではスタメン出場をも果たした。前節の川崎戦では累積警告で出場停止だった。 2列目左サイドの Heffernan は2006/7 シーズンのみだが Budesliga の 1FC Nurnberg に在籍した経験を持つ。クウェート戦ではベンチ入りを果たしたが出場機会は無かった。 ボランチの Gumprecht は1992年から10年間 Bayer Leverkusen をはじめドイツ、イタリアの8つのクラブを渡り歩き、シンガポール S-League の Singapore Armed Forces でも1シーズンプレー。帰国後も NSL でプレーするなどの経歴がある36歳の大ベテラン。 左サイドバックの Bojic は 2001年FIFA U-17 メンバーにも選ばれた選手。
CBの2人は共に長身だ。 Willkinson は187cm 2001年 FIFA U-17, 2003年 FIFA U-20 のメンバー。 188cm の Boogard も 2003年 FIFA U-17 大会のメンバー。右サイドバックの Clark は180cm の36歳の大ベテラン。
そしてGK がVukovic 。2005年にオランダで開催された FIFA U-20 ではメンバー入りするも正GK Adam Fedrici の影に隠れ日本戦を含めた3試合には出場機会はなかったものの北京五輪最終予選では6試合すべてにフル出場し出場権獲得に貢献。
しかし北京五輪の5か月前に行われた A-League Grand Final では終了直前に主審に手を出し謹慎処分を食らい、五輪もメンバーから外された。
その北京五輪でゴールを守ったのが Adam Fedrici と言う何とも皮肉な巡り合わせ。 オーストラリアでは Mark Schwarzer の後継者とも言われているが今年から始まった Asian Cup はインドネシア戦、クウェート戦共に Adelaide United の Galekovich にポジションを譲り、自身はベンチウォーマーに甘んじている。 今後も奮起に大いに期待したいところだ。
だがこの Vukovich をはじめ FW Simon そして Heffernan の中心選手に海外移籍の話がある事も事実だ…….
一方のフロンターレは前節CBだった伊藤が右サイドバックに回り村上が外れ井川が寺田とCBを組む事に。村上に替って井川が起用されたのは井川の方が身長が4cm 高いからかな? 私の注目はかつて愛する京都サンガでプレーした森勇介だった。
10 ジュニーニョ 174/67 9 鄭大世 181/80
11 ヴィトール 167/63 14 中村憲剛 175/67
29 谷口 182/73 18 横山 184/75
2 伊藤 183/74 13 寺田 189/80 4 井川182/75 19森 175/74
GK 1 川島 185/50
試合は開始早々、豪雨の中の重いピッチもなんのその、2分17秒には谷口のミドルが飛ぶなど川崎が攻め立てる。Mariners も3分11秒に Simon がチーム最初のシュートを放つが以降は防戦一方。5分、7分とヴィトールがサイドをえぐる。10分にはエリアの少し外から鄭が撃つがゴロのシュートは重いピッチにスピードは無くコースもGK正面。 11分には滑るピッチに足を取られた GK Vukovich が足を痛め、右腿にテーピングが施される。集中攻撃を浴びるのは避けられない。Vukovich の出来が試合を左右するので Mariners サポ達も不安か?
と思いきや殆どが紙コップを片手に気勢を上げている。
18分にはジュニーニョが右に流れ上げたクロスからヴィトールがシュートを放つがクロスバーの上。
Mariners はトップの Simon を残してほぼ全ての選手でゴール前を固める。ジュニーニョ、ヴィトールらの細かい切り返しにDF陣は翻弄され気味だ。21分43秒、久々に攻め上がった Mariners は右からのクロスに Simon がヘッドで合わせる。川崎サポーター席から悲鳴が上がったがノーゴール。 これは帰宅後テレビでチェックすると Simon のヘッドを川島が後逸したがボールはゴールラインを割れずに川島が掴んだシーンだった。雨が降っていなければこぼれ球はゴール内に転がりこんだか?
Mariners サポの一人が向こう正面の掲示板を指差し “あそこにリプレーは映らないのか?”と訊いてきたが“リプレーは映し出されるが恐らくホームチームのクライマックスシーンだけだと思う。”と答えた。 雨は更に強くなってきて視界を遮る。その上スタンドがピッチレベルと変わらないので数少ない Mariners 攻撃時にこちらからは良く見えない。 だがその後、Mariners の攻撃機会は更に減り、さっきの Simon のヘッドが前半最後のチャンスだった。
24分には中村憲剛が右サイドを突破しクロスを入れるがここは Wilkinson がクリアー。隣の Mariners サポに “あの14番はナカムラと言う名前で Celtic の Shunsuke Nakamura と同じ名前だがテクニックも同レベルだ。“と教えた。
彼は中村俊輔の事はよく知っているらしく、また前節の試合も競技場で観戦し No.14 の印象をよく憶えているとのこと。あと No.9 が我々を苦しめたと言っていた。
No.9 は鄭大世。彼は North Korea の代表選手でこの前のワールドカップ予選にも出場したと教えると、なるほどと頷いた。
25分を過ぎるとサポーターの一団が拡声器で音楽を流し出し、そのリズムに乗って踊り出した。 自分の応援するチームが劣勢なのにこうして試合を楽しむ彼らに周りの人も注目し同様に Gosford からやって来た他のサポーター達もそれを見て微笑んでいる。
30分にはエリアのすぐ外そしてゴール正面でFKを与える。川崎サポーター席からは “憲剛 Let’s Go !! “ の声援が飛ぶ。“彼らはなんと言っているんだ?”と訊かれたので “ Kengo Let’s Go と言っている。 中村憲剛はFKの能力も高いのでこう言うポジションで直接FK を得たら彼にゴールを狙うように suggestion する声援が必ず飛ぶ。“と教えた。 そのFKは壁の右をゴロで抜けてゴールラインを割ってしまった。そこに走りだすべくジュニーニョとのタイミングが合わなかったみたいだ。 すると踊っていた Mariners サポーター達からは大歓声が沸いた。
私の周りのサポーター達は川崎の統制のとれたコールに感心していた。 そしてそれをリードするリズミカルな太鼓の音にも。 ”日本は昔から欧州のサッカーに影響されていた。サポーター達もテレビ等で観た欧州のコールや応援歌をアレンジしオリジナルの応援歌、そしてコールを創っている。“と言うと本当に感心していた。
”日本はいつ頃から欧州のサッカーをテレビで中継していた?“との問いに
”今ほどでもないけど70年代から欧州サッカーの試合を放映する番組があった。今は Cable TV やPay per Viewでほぼ毎日 Champions League や世界のサッカーが楽しめる。ワールドカップも日本が初出場をした 1998年大会のずっと前から生中継があり多くの試合を見れた。“と話すと羨ましいとみな言っていた。
2007年に浦和 REDS が Sydney FC と ACL を戦った時に Sydney サポーター達は統制のとれた REDS サポーター達に感心していた。 ロスタイムの2分も過ぎようとした46分58秒、右サイドを突破したジュニーニョが上げたクロスはゴール前フリーのヴィトールに飛ぶ。完全にやられたと思った瞬間、ヴィトールのヘッドはゴールポストの左に外してくれた。頭を抱えるヴィトール。そしてホイッスルが鳴った。圧倒的に押されながらも前半は無失点に抑えたことからか Mariners サポーター達からは大きな歓声が上がった。
ハーフタイムを利用して Match Day Program を買いに出かける。 そして帰って来た時には多くの川崎サポーター達がそこにやってきて Mariners サポーター達と記念写真を撮っている。日豪のサポーター入り乱れみな大喜び。子どもたちもやって来た。
そして私はしばらく通訳の役目を買って出た。“どこから来たの?日本には何日いるの?オーストラリアからは何時間かかるの?どの選手が一番上手いの?” 間に入ってそんな質問を繋いであげた。 Mariners サポーター達も子供達に “君達はいくつだい?好きな選手は誰?どの選手が一番人気ある?”と問いかける。
ここに来た子供達はどんな英会話学校に通うよりもずっと役に立つ英語教育を受けたと思った。
後半が始まったが子供達の多くはまだ帰らない。すると開始30秒に川崎が先制ゴールを挙げる。開始早々攻めん込んだ川崎が左サイドでFKを得る。ゴール前に入ったクロスに鄭大世が飛び込む。GK Vukovich が反応良く一旦は弾き出したがこぼれた所をジュニーニョが押し込んだ。 まだ子供達と話している間の出来事だった。スクリーンにリプレーが映されたので先ほどスクリーンの事を尋ねた Mariners サポにスクリーンを指差し教える。 しかし彼が見たかったのはこう言うシーンじゃ無かった事は間違いない。
だが後半の Mariners は攻勢に出て来る。特に右サイドの Heffernan が良い。1対1でも対等に渡り合えている。55分にはその Heffernan から絶妙のクロスが上がるがここは川島がパンチングで軌道を変える。もしコースが変わっていまかったら飛び込んだ Simon、 Hatchson のいずれかが触っていただろう。
そして60分中盤でセカンドボールを拾った Clark が相手DFの裏にボールを出すとそこに走り込んだ Simon が伊藤を振り切り放ったシュートはGK川島を破りそのままゴールネットを揺さぶった。 ついに Mariners が川崎からゴールを奪った。サポーター達は大喜び。そしてサポーター達の“宴”にも拍車がかかる。
しかし気勢が上がるのはサポーター達だけではなくピッチ上の選手達もそうだった。ボランチの Gumprecht Osman が高い位置を取りだしたのでセカンドボールが拾える様になった。2列目の Heffernan が前線に良いロングボールを入れて来る。 そこに長身のSimon、 Hutchson らが飛び込んでくる。
川崎は18日の大宮戦から中2日で試合をしているせいかやや動きが落ちて来たか?それとも前半は守って後半勝負との Mariners ベンチからの指示か。 67分には Klark からのクロスに Simon が寺田とせりながらヘッドを放つ。69分には右サイドの Gumprecht からのボールをSimon がヘッドで折り返したところに Kwansik がスライディングシュートを放つ。
その後は審判も Mariners に味方する。70分に65分にヴィトールに替って投入されたレナーチョが右サイド突破を試みる。そこに Boijic がマークに入る。先に手を上げたのは Boijic だったがその手を振り払ったレナーチョのプレーにホイッスルが鳴り、思わず鄭が抗議に。プレー再開後、谷口が Simon のマークに入った所にまた笛が鳴り、その直後にも森が Boijic へのチャージをファールにとられる。この一連のジャッジに森が何か言ったか?イエローが出される。そのFKから Kwansnik が中に入れたころに Boogard が迫るがその前にGK川島がキャッチ。 前半とは打って変わっての Mariners の連続攻撃だった。子供達は“寺田と空中戦で競るなんてすごい。”と感嘆していた。
しかし次のゴールを挙げたのは川崎だった。 81分、ゴール前に上がったCKは一旦は跳ね返されたが谷口が拾って中に入れるとレナーチニョが頭で合わせて追加点を挙げた。 マークに入った Wilkinson と入ったばかりの Huke Shane が重なってしまった。
しかし後半に入っての Mariners を見ると決して同点に追いつく可能性は充分にある。84分に Mariners ベンチは DF Clark を下げて3バックにし前節スタメン出場の 192cm の Macellister を入れ Simon と2トップを組ませる。 85分には Bojic からのクロスに Macellister が飛び込むがここは寺田がクリアー。 ロスタイムに入って Kwansik のクロスに再び Macellister が飛び込むが今度はキーパーチャージを取られた。何とか同点ゴールを。引き分けなら Mariners は次のラウンドに進む可能性がまだまだ残されるのだが……..
3分あったロスタイムを過ぎてもスコアーは変わらず、ホームの川崎がACLベスト16 入りを決めた。 これで Mariners の決勝トーナメント進出はかなり苦しくなった。しかし 試合後も Mariners サポーター達の気勢は止まらず、子供達の多くがそれに追随していた。 私は何人もの人たちと握手や記念撮影そして抱擁を交わし、
“必ず Gosford に来てくれ。 そして今度はここで Mariners の試合を見よう。”とみんなに言われた。 そしていつまでも踊っている集団も......
雨脚はまだまだ激しいままだった。
Gosford から来たサポーター達はみな試合には負けたけど日本での良い思い出を持って帰国をしてくれたと思う。そして日本にJ リーグと日本人持つ hospitality がある事をいつもまでも覚えてくれるだろう…….
それにしても雨がよく降ったなぁ….
4月7,8の両日、 AFC Champions League の第三節がアジア各地で行われた。 2年前から私の注目のオーストラリア A-League 勢。
今大会は “一昨シーズン” の Grand Finalist の Newcastle Jets と Central Cost Mariners が出場権を得ている。 しかしながら悲しいかな Salary Cap 制度のある A-League では 2008年2月の Grand Final を終えてから両チームの選手の殆どが移籍してしまい、Mariners は John Aloisi がSydney FCに移籍したり、Tony Vidmar が引退したりで Finalist に出場そしてベンチ入りを果たしただけのメンバーを入れても契約を更新しチームに残留した選手は10人、 Jets は11人。
昨シーズンは今年の2月末をもって終了し Mariners は何とか4位に入り Final Series に進出したが Jets は最下位に沈んだ。
そしてこのACLの試合ではMariners は CB Alexander William , GK Daniel Vukovic の2人だけが、 Jets は DF Matthew Thompson, Adam D’Apuzzo, Tarek Elrich の3人だけが一昨シーズンの Grand Finalist のメンバー。現在 Jets の FW Sasho Petrovski は当時 Mariners のFWとしてプレーした。 しかし監督は Jets が Gary van Egmond, Mariners が Lawrie McKinna と共に当時のままだ。
先週行われた第3節では両チームとも J-League 勢と当たり結果は明暗を分けた。
8 April Nagoya Grampus Eight 1 – 1 Newcastle Jets
Newcastle Jets は強豪日本の Nagoya Grampus とアウェーゲームながら 1-1 で引き分け価値のある勝点1を獲得、 ACL の1次リーグ突破に向けて重要な前進を遂げた。 Jets は主力のイタリア人選手でかつて Parma, Bologna, Bari ,Lazio にも所属した Fabio Vingnaroli をふくらはぎの故障で欠く苦しい布陣。 Van Egmound 監督は早い時間に失点しない様に試合開始前に選手達に何度も説いた。しかし早い時間の失点したのは対戦相手の名古屋。前半9分に Mareko Jesic の強烈な右足のショットは楢崎が弾きポストに当たる。そのこぼれ球に詰めたTarek Elrich が押し込み先制ゴールを挙げた。
尚も Jets の攻勢は続き オランダ人選手の Donny de Groot そして Sasho Petrovski の素晴らしいアシストを受けた Elrich が連続して名古屋ゴールを襲う。 後半直後には Adam Griffiths のショットがやや横に外れる。50分にはこの日、大活躍の Elrich のショットを楢崎がストップ、更に Petrovski が楢崎と交錯しゴール前が無人になった所をDe Groot が決定的なシュートを放つが何とボールはポストを外れてしまった。
健闘を続けていた Jets だったがついに65分に Keiji Tamada のFK で同点に追いつかれた。 この日効果的な動きを見せていた Adam Griffiths がエリアの近く、ゴール正面でファールを犯しFKを献上。玉田が Jets ゴールに向けて蹴った弾道に GK Kennedy は一歩も動けなかった。
追い付かれてもJets は再び勝利を目指し Jesic がヘッドを放つがここは楢崎が好セーブ。 そして途中出場の Jobe Wheelhouse が88分のチャンスを逸し、試合は 1-1 のドローに終わった。
Jets の得点チャンスはほとんど前半に集中しており後半は守勢一方であったが試合に勝つチャンスもまだあった。Nagoya は試合のほとんどを支配し何とかこの日すぐれた出来の Jets 守備に一穴を開けようと喘いだ。Jets のDF Ljubo Milicevic, 若い Ben Kantarovski そして 中盤が Grampus の攻撃をせき止めていた、そしてGK Ben Kennedy が素晴らしい守備を披露した。
Jets は4人の選手にイエローカードが出され、 Adam Dapuzzo と Milcevic が次のホームでの名古屋戦は出場停止となった。 この勝点1でNewcastle Jets の勝点は4。首位を行く名古屋とは勝点1差。ACL1次リーグ前半の日程を終えてベスト16は十二分に射程距離内である。
この“健闘”に OUTSPOKEN (ずばずば物を言う。) Con Constantine オーナーは試合後、この“強豪”と勝点を分け合った事実を見て “ Newcastle Jets はAsia Champions League で勝つことが出来る”と信じ出した。
昨シーズン最下位に甘んじた Jets はこの ACL に向けて10人の選手を新たに加えた。そして“新装” された Jets が初めて臨んだ ACL 。初戦アウェーの北京国安戦では 0-2 と敗れたが続く蔚山現代をホームに迎えた第二戦は Petrovski の連続ゴールで2-0 と快勝。このアウェーでの名古屋戦が今後の ACL の見通しを立てる重要な試合だった。
試合後 Jets は ACLのタイトルを勝ち取れるチームかと言う質問に対して、
“ 昨夜の試合後、私はそう考える様になった。 Nagoya は私達をさらしものにし自分達の力を見せつけようとしたかった。しかし我々の Boy 達は素晴らしく、もう1,2点奪えても良かった。 Nagoya はこのグループではベストのチームだろう。しかし我々は恐れる必要はどこにもない。 もちろん彼らの”予算“は我々よりも多いだろう。しかし成功を常に買える訳では無い。 ACLには良い手ごたえをつかんでいる。 誰も予想だにしなかったA-League のタイトルを取った時と同じ感じがする。 我々はただ少しばかりの Lady Luck ( 幸運 ) を必要とするだけだ。 “
昨シーズン、その前のシーズンの A-League 王者から急転して League 最下位に終わった事に就いては、
“それはクラブの誰にも受け入れられなかった事だ。そして私にも。 しかし我々はそれを冷静に受け止め、次にいい方向に進む。それが我々が行った事だ。 我々は多くの選手を放出した。のぞむとのぞまざるとそれは起こる事だ。 Grand Final に勝った選手達にあらゆるところからオファーが来た。何人かの選手は当時の2倍半のサラリーを手にする事が。 あなたならどうする? 今我々は全く新しいチームとなった。雰囲気はまったく異なる。この試合でゴール前に置かざるを得なかった Ben Kennedy には10点満点を与えたい。 彼は地元出身の選手だ。監督の Gary van Egmond に就いては彼は Grand Final から昨シーズンまでの過程から多くを学んだだろう。今や彼は再び最下位に沈まない様に努力できるだろう。彼はかつてよりの上手くやるだろう。“
Jest のゴールは昨シーズンはワールドカップで第3GKとして Socceroos のメンバーであった Ante Covic が守っており Ben Kennedy は昨シーズンA-League では出場すらなかった。ファインセーブを連発した Kennedy に Constantine もご満悦の様子。
だが昨シーズンまでチームの中心選手だったJoel Griffiths の事となるとトーンが少し変わってくる。 現在 Griffiths はレンタル移籍でチームにはいないがその移籍先が ACL で同じリーグとなった北京国安。ACL初戦では先述したとおり 0-2 で敗れたが Griffiths は北京国安のメンバーとしてプレーした。5月6日の ACL 第5節ではホームにこの北京国安を迎えるが契約ではこの試合に Griffiths はプレー出来ない事になっているらしい。
“ もし Joel がプレーしたいのであれば彼を止めようとする私は何なんだろう? ここに条項がある事は知っている。しかしクラブは彼にプレッシャーをかける事は確かだ。もし彼がプレーするならば私は悲しい。 それは Jets サポーター達に間違ったメッセージを送る事となる。 しかしまだ何も決まっていない、どうなるか見なければならない。”
Newcastle Jets は次節はホームで名古屋グランパス、北京国安と連戦。 そして最終節はアウェーで蔚山現代戦。昨シーズンの Adelaide United に続いて1次リーグを勝ち抜けるだろうか…….
名古屋グランパス (JPN) 3 1 2 0 4 2 2 5
北京国安 (CHN) 3 1 1 1 2 1 1 4
ニューカッスル・ジェッツ(AUS) 3 1 1 1 3 3 0 4
蔚山現代 (KOR) 3 1 0 2 2 5 -3 3
Central Coast Mariners 0-5 Kawasaki Frontale
Kawasaki Frontale はオーストラリアを訪れ、どのチームよりも精密な準備を施し次のラウンドに進出する事をほぼ確実にし オーストラリアを後にした。
オーストラリアに姿を現した Frontale は Central Coast に対し ACL 戦で 5-0 と言う勝利を加え 9419人の観客に唖然とさせるパフォーマンスによって畏敬の念をうたせた。24時間前に アウェーで Nagoya Grampus と死闘の末 1-1 のドローを演じた湾岸を通した対面の Newcastle をホームとするJets との違いを“知覚的に”見せつけられた。
Mariners の Lawrie McKinna 監督は自分のチームのパフォーマンスを“過去最低のもの”と表現する一方で対戦相手を“凝視するに値するチーム”と認めた。
“ Frontale は我々が対戦した中で最も小さな攻撃陣と中盤で形成されていたが、彼らの動き、タイミングは目を見張るものがあり、過去に対戦したチームの中でも最高のチームだった。 しかし我々は不用意にボールを失い過ぎたがそれは相手が偉大なだけではなかった。我々が悪すぎたこともあった。”
と述べフロンターレの様なテクニックにたけたチームと対戦するには緊張感と貫録にかけたとも語った。
“彼らは随所でワンツーを見せた。 それは我々が改善すべき重要な点である。”
それに対して勝利を収めた Frontale の Takashi Sekizuka 監督は 5-0 としながらも Mariners にリターンマッチに向けての“起爆剤”を与えない。
“ 私が予想した事は大変厳しかった。 我々は充分に準備を行い、その過程でかれらのフィジカルの強さと能力を充分に印象付けられた だから我々は組織的に戦う事をこころがけ彼らの利点を無害にしようとした。”
それでも先制のチャンスは Mariners が掴み Nik Mrdja が放ったフリーのヘッドは GK 川島の正面を突いた。そして8分に鄭大世が先制ゴールを挙げ、22分には谷口、37分にジュニーニョが決めて前半で3点差をつけた。後半開始早々にも中村憲剛が決めて70分にはレナーチョが息の根を止める5点目を挙げた。
Mariners GK Vukovic もなす術がなかった。 そしてこの日 Gosford に集った地元サポーター達はどういう思いで帰途に着いたのだろう…….
この敗戦に Mariners の出資者 Peter Turnbull は怒りの矛先を Socceroos 監督の Pim Verbeek に向ける。
Mariners はつい最近まで代表の左サイドを担う Scott Chipperfield と契約締結の一歩手前まで来ていた。それは地元サポーターのみならず A-League 関係者を大いに期待させるものであった。しかし最終的に Chipperfield は“もう1シーズン FC Basel でプレーする。”事を決意。 多くの関係者達を落胆させた。
“ Socceroos は選手達を故国に帰還させない様にしている。そして有望な A-League の選手達は次々に海外に目を向ける。これは Mariners の Vice President としての立場で話しているのではない。”
そして FFA に代表チーム監督に一言言って貰う様に依頼するか?との問いには“ No Comment “ と答えた。しかし Chipperfield に就いてとなると
“ 彼は Newcastle, North Queensland とも話をしていた。そして我々を含めた A-League のチームの何れかと契約を締結するものと思われていた。 4月1日のウズベキスタン戦の合宿前までオーストラリアに帰国する意思を固めていた。しかし代表チームの合宿に参加した途端に欧州にもう1年留まる事を決意した。それは Pim の言った事に耳を傾けたからだ。 Chippefiled は帰国しようとしていた、そしてそうしなかった。 だから私は Jason Culina を尊敬する。 かれはまだキャリアーの中でピークにあり、代表でも中心選手でありながら A-League 入りを決めた。 彼はこれまでの傾向に反して帰国を決意した。それは A-League を信じているからだ。 それは素晴らしいストーリーだ。”
確かに Verbeek 監督はワールドカップに向けて欧州でプレーする事を大いに奨励している。 A-League と比較すると欧州シーンは絶対的な違いがある事は誰にでもわかっていることなのだけど。 3月5日に A-League 選抜でキャンベラシティーで臨んだクウェートとの Asian Cup 予選では 0-1 で敗れているだけに…..
“この日の敗戦(対川崎戦)で、 J-League がいかに素晴らしいかを証明した。そして FFA を含めたすべての人達が A-League もここまでのレベルになる事を熱望する必要がある。 しかし我々には深刻な問題がある。 A-League での試合内容を向上させるでもなく、FFA の senior employee ( Pim Verbeek ) が Socceroos 達が A-League でプレーする事を奨励しない上に A-League の有望選手達に A-League に留まらずに欧州行きを奨励するこのこの環境の中でどうするのだろう? もし我々が日本のチームに 5-0 で敗れたらどうやって物事をよく出来るのだろう? もし Socceroos 選手が戻ってこなければ、我々のベストプレーヤーをとどめる事を出来なければ? FFA に雇われているある人物は A-League を弱めるコメントを続け、 J-League のみならず中国超級、 K-League との競合も弱めており今や Majour League Soccer でさえ我々の選手達を物色し始めている。“
Turnbull 氏のみならず、 North Queensland Fury, Gold Coast United そして Perth Glory のオーナー達も公の場で同じ様なコメントを発している。
今の Mariners のメンバーの中でも GK Danny Vukovic そして Matt Simon , Dean Hefferman らの海外移籍が現実視されており、特に Matt Simon は アメリカ MLS Colorado Rapids への移籍がほぼ決まっているとか…..
Mariners は次節はアウェーでフロンターレ戦、そして5月5日は浦項スティーラーズとアウェー。最終節は天津泰達をホームに迎える。 ホームゲームは1試合しか残っていない。ちょっと勝ち抜くには厳しくなって来た。
川崎フロンターレ (JPN) 3 2 1 0 7 1 6 7
浦項スティーラース (KOR) 3 1 2 0 2 1 1 5
セントラルコーストマリナーズ(AUS) 3 0 2 1 2 7 -5 2
天津泰達 (CHN) 3 0 1 2 2 4 -2 1
最後に言わせてもらおう。footballist 4月22号の31ページのコラムを執筆した”ジャーナリスト”氏に。 Newcastle Jets が A-League を制したのは昨シーズンではなく”一昨シーズン。”そして先月の Asian Cup 予選でのクウェート戦で MathewThompson はフル出場するものの Nikolai Topor-Stanley とTarek Elrich がベンチにおり出場はありませんでしたが、今回のワールドカップ予選に出場した選手は DF のNikolai Topor-Stanley くらいで最終予選での出場者はおりません。
購読料をとるのであればきちっと正確に。
FIFA Club World Cup Gamba Osaka 1-0 Adelaide United
1点のビハインドがなかなか届かない。後半は時間が経てば経つほど Adelaide はゴールの予感すら感じさせられなくなっていた。86分13秒、ガンバ DF 中澤のクリアーを拾った途中出場選手のAlemao が放ったシュートはクロスバーを越えた。これが後半初めてのシュートらしいシュートだった。88分、 FW の Robert Younis が MF Diegoに替って投入される。 Younis がピッチに入った直後に Adelaide の選手達は最後の力を振り絞る様にガンバゴール前に迫る。90分、ロスタイムが4分と記される。思わず西野監督がベンチ前に飛び出し、第4審判に二言三言。“どこにそんなロスタイムがあったんだ??” 90分33秒左サイドに侵入した Travis Dodd に加地がタックルに入るとボールが加地の身体の下に潜り込んでしまった。チリ人の Pablo Pozo 主審はAdelaide にFKを与える。 加地は両手を広げて抗議する。そのFKからチャンスはうまれなかったが92分2秒にAdelaide GK Eugene Galekovic のゴールキックを山口がヘッドでクリアーしたそのこぼれ球を拾った Younis が直接ミドルを放つがゴールポストのやや右に飛んで行く。しかし俄然 Adelaide が同点に追い付く兆しを見せ始めた。そして私は心に決めた。
“ Adelaide が勝ったら絶対に横浜に行こう。そこでは誰もが Manchester United を応援するに違いない。ならば俺は Adelaide の応援に行こう。”
93分23秒、右サイドを上がった Daniel Mullen が入れたクロスは山口と中澤の間に飛ぶ。そこにドンピシャのタイミングで走り込んだ Dodd が頭で合わせる。しかしボールはまたもポストの右側にわずかに外れて行った。GK藤ヶ谷がゆっくりボールをセットし、前に大きく蹴り出す。時計は94分9秒。主審のホイッスルが鳴り響いた。
あぁ、横浜に行く必要が無くなってもうたわぁぁ……..
Waitakere 戦を終わって、 Scott Jamieson ガンバ戦に闘志を燃やす…….
ACL決勝戦の結果は大変残念だったが次は新たなゲーム。我々は次のラウンド、準決勝に進出する自身は充分にある。ACLでは肝心なところでミスをしてしまったが、12月14日、日曜日には修正出来る。 Hungry で Desire な少年達はこの望んでいた試合(ガンバ戦)で我々が求めていた結果を喜んで見せるであろう。
Scott Jamieson はガンバ戦では勝利とゴールを目指す。 “ Waitakere United 戦では何度もチャンスがありながらゴールを決められなかったが気にはしていない。その分ガンバ戦に賭ける。“ もし Manchester Unitedとの試合が実現すればそれは素晴らしい達成だ。我々にとってもクラブにとっても。 しかしその為にはまずガンバ戦に集中せねばならない。”
Scott Jamieson は 2005年ペルーで開催された FIFA U-17 にオーストラリア代表として出場。その後は Premiership の Bolton Wanderers と契約。 Reserve League 等の出場実績はあったがトップチームには上げられなかった。今シーズンから Adelaide United に入団。左サイドバックに定着し大会前まで13試合にスタメン出場を果たした。ACL の決勝戦でも2試合ともフル出場。 Waitakere United 戦でもスタメン出場を果たし4本のシュートを放ちながら無得点。ガンバ戦ではまさに勝利とゴールを目指す。
試合前日 REDS は前 ( ACL 決勝 ) よりも良い準備を以てガンバ戦に臨む….
ガンバ大阪にはスペースを与えてはいけない。彼らは大変早い動きを見せる。そしてそれが次の試合に向けた教訓となる。 準々決勝前日名古屋のホテルで Cristiano で語った。中盤での彼らの動きは早くフォーメーションが良く形成されFW陣を大変良くサポートする。であるから我々はよりパワフルに中盤を抑えねばならない。 夥しい数の地元(日本)メデイィアは既に Adelaide はガンバに勝てる見込みは無いと伝えており、“ACLの2試合を観た誰もがガンバは素晴らしいチームで勝つだろうと予想するが、Football は何が起こるかわからない。机上ではガンバは優っているだろう。しかし Football は11人対11人の戦いだ。我々も良いチーム。自信がある。次のゲームで見られる事が出来るだろう。ガンバ戦は難しい試合となるだろう、がしかし Club World Cup では全てのゲームが難しい。それは世界最高峰のクラブのトーナメントだからだ。ガンバ、Manchester United 、大変タフなゾーンだがもし栄冠を勝ち取るなら Big Club に「勝たねばならない。クラブにとっても我々にとっても Manchester United と戦う事は素晴らしい事でクラブの歴史にも残る事だ。”
Cristiano はオランダ ( NAC, Roda JC, Willem Ⅱ ) スイス ( FC Basel ) でプレーしたブラジル人。 Basel 時代は UEFA Cup にも出場。中田浩二、 Chipperfield, Sterjovsky と言った日豪のワールドクラスの選手達と共にプレーもした。今シーズンより Adelaide United と契約。大会前まで14試合に出場し7ゴールを挙げたFW。ガンバDF陣には完封されているだけに FIFA CWC のガンバ戦では何とかしたいところであった。大会開始前から日本のマスコミは既にガンバが Manchester United と戦う様な報道が氾濫していたがその様相はAdelaide United にも当然伝わっていた様だ。これを知った選手達は闘志を燃やさないはずはなかった。
それは西野監督も気が付いていたのだろう。 “大会が始まる前、大阪ではあたかもガンバの初戦は Manchester United と言う雰囲気が漂っているが大切な事は Adelaide 戦に良い準備を以て臨む事だ。我々は結果を出す自信はあるがAdelaide はイージーな相手では無い。” 一方の Adelaide United ビドマー監督は “ ガンバは素晴らしいチーム。彼らお機動力は隅々まで配備されそえはどのチームにあるものでは無い。我々が対抗するためには全員が平均以上のパフォーマンスを見せねばならない。 ビドマー監督としては Sasa Ognenovski, Cassio がインフルエンザから回復するも、GK Galekovic がインフルエンザにかかり MF Diego の怪我が心配になるところであった。
そして Adelaide United は地元 A-League では赤色のユニフォーム, REDS の愛称で親しまれている。日本ではREDS と言えば浦和 RED 。今シーズンガンバは REDS に滅法強かった。オーストラリアの REDS も青色のガンバにまたも征伐されるのか.....
12月14日、豊田スタジアムに登場した Adelaide United のスタメンはGK Galekovich 、インフルエンザが完治したらしい。 DF は CB が Robert Cornthwaite とSasa Ognenovski 。左サイドが Scott Jamieson 。ベテラン Angelo Constanzo はスタメンを外れた。右サイドがDaniel Mullen 。 Ognenovski は Waitakere 戦はインフルエンザで欠場。 他の3選手は Waitakere 戦に続いての出場であったが Mullen はガンバ戦初出場だった。ボランチには ACLガンバ戦では出番の無かった Fabian Barbiero と Paul Reid 。 Cristiano の1トップの後ろには右から Travis Dodd, Diego そして Cassio の3人が並んだ。中盤のCassio Diego がインフルエンザから回復し起用され Reid がボランチの位置に下がった。そして Kristian Sarkies と Jason Spagunolo の2人がベンチスタートとなったが今年代表合宿にも参加した Spagunolo先の Waitakere United 戦では途中からベンチに退いたが来シーズン A-League加盟が決まった North Queensland Fury 入りが濃厚となっている。
一方のガンバ大阪は GK 藤ヶ谷、DFは右から加地、中澤、山口、安田。ボランチには橋本と明神。2列目には右が佐々木、左に二川。そして真ん中は遠藤。FWは1トップのルーカス。 ACL 決勝戦2試合と全く同じスタメン。12月5日の Jリーグ最終節新潟戦で起用されたDF下平とMF 寺田に替って加地、二川が起用された。その前の11月29日の浦和戦ではルーカスと山崎の2トップでMF二川はベンチだった。
開始早々主導権を握ったのは“アウェー”の Adelaide United 。早い出足でガンバイレブンに充分な態勢でボールを持たさない。9分38秒にはFKからJamieson が左から上げたクロスに、11分48秒には Barbiero が右から上げたクロスにゴールネットは揺らせなかったがそれぞれ Cristiano が飛び込みACLの2試合とは違うぞと言うところを見せる。13分33秒には安田に左サイドを破られ Mullen が振り切られ中のルーカスにクロスが渡るがここはCB のCornthwaite がシュートを撃たさない。1トップのルーカスにはACLの鹿島戦でマルキーニョスを完封した二人CBの Cornthwaite と Ognenovski の2人がきっちりとマーク。ゲームメーカーの Reid がやや引き気味のポジションでテクニックに優るガンバに対して数的優位を作る。
13分53秒、Adelaide は決定機を迎える。ガンバの侵入を凌ぎ Barbiero のクリアーを自陣奥深くに戻ったFW Cristiano がそのままオーバーへッドで再び大きくクリアーするとボールは大きく弾む。そのバウンドを利用して Dodd が山口、中澤のCBの二人をうまくかわしてそのままフリーでドリブルシュートを放つが惜しくもゴールポストのわずか左にボールは通過。惜しい先制のチャンスだった。
この攻撃を機にガンバの橋本、明神の両ボランチは前線に上がる事を“自粛”しはじめ、安田の右サイドのからの上がり時の守備のフォローに腐心する様になった。そのせいか Adelaide の攻勢が一気に途絶えた。17分20秒、ガンバの佐々木が開始3分に Mulen から受けたチャージで痛めた足を再び痛めたようで立ち上がれない。結局ベンチに下がりFW播戸が投入され、ルーカスと2トップに。そしてMFは遠藤が左に入り二川が右に。ボランチの橋本、明神が状況によってはどちらかが、また二人とも前にせり出すようになった。遠藤は逆サイドに現れる事も。これはACL決勝戦では見られなかった布陣。これが Adelaide に混乱をもたらした事は大きかった。今のオーストラリア A-League ではこのように試合の最中にフォーメーションを自在に変更できるチームはない。故にそれに対応できるチームも無いと言う事だ。
そんな中ガンバが先制ゴールを決める。遠藤が中盤で明神に渡すと明神は前の二川に縦パスを送る。二川は Reid がマークに入る前に浮かしたパスをゴール前やや右側に送ると播戸が Cornthwaite と競りながらも中央に落とすとそこに走り込んだ遠藤がGK Galekovic の股間を抜くゴロのシュートを放ち Adelaide ゴールネットを揺らした。 ガンバのフォーメーションを替えた直後の失点が Adelaide イレブンに与えた影響は大きかっただろう。それにしても ここで決めた遠藤はさすがACL 最優秀選手だと思った。
25分にテレビに映し出されたボール支配率はガンバ62 に対して Adelaide は38 であった。 39分にはルーカスが Jamieson をかわしてフリーでシュートを放とうとするが足を取られて撃てなかった。これを撃たれていれば完全に試合は決められていただろう。それでも Adelaide は41分19秒にはJamieson の上げたクロスに明神と競りながら Dodd が放ったヘッドが惜しくもクロスバーを越えるなど同点に追い付く気配は感じさせた。
後半開始早々の46分3秒にはガンバゴール前で Cristiano から Diego がボールを受けるがガンバDF陣のマークの前にシュートが撃てなかった。そして以降 Adelaide はガンバのペナルティーエリアに侵入できなくなってしまた。左サイドの Cassio は対峙する加地、二川に抑え込まれ、Adelaide 自慢の Diego, Cristiano のブラジル人コンビもなかなかボールがコントロールできない。 後半だけでガンバに10本のシュートを浴びたがGK Galekovic が何度も必死のセーブを見せ追加点を阻む。
71分には Cassio を下げて Alemao を、77分には Cristiano を下げて Osama Malik と言った ACL 決勝戦では登場しなかった選手がピッチに送られる。 Alemao はかつてブラジルの Cruzeilo に所属し 2004年には Copa Libertadores にも出場した。 Malik はユースチームの選手。インフルエンザで遠征に参加出来なかった Paul Agostino に替って抜擢された選手。 ガンバも81分に播戸に替えてFW山崎、84分に二川に替えてMF武井が投入され守勢に布陣を変える訳でもないので試合展開は変わらない。 Adelaide のビドマー監督は88分ついに最後の交代選手 Younis の投入を決めた。 3試合続けてガンバに完封されるのだろうか………..
“ACLの2試合から我々は多くを学んだ。ACLよりもずっと良い試合内容だったと思う。我々はたった1度ミスを犯した。それをガンバは見逃さなかった。我々は恐らく技術と思考をあと少し進歩させるべきだっただろう。しかし私は選手達を誇りに思う。私はこの夜に得た事よりも多くの事を得られただろうと思う。選手達は Happy だっただろう。“ 試合後のビドマー監督のコメントだ。
三度目の挑戦でもガンバゴールは破れなかった。彼らが次にガンバ大阪、またはJリーグに挑戦出来るのは再来年以降だ。来年のACLは既に2007-08 王者の Newcastle Jets と Central Cost Mariners の出場が決まっている。
だが日本のファンにA-League の存在は見せられたと思う。そしておそらく試合翌日には次の対戦相手 Al Ahly 戦に向けて切り替えていたことだろう。
別に鹿島のサポーターでは無いがやはりここまで来てこの試合を観戦出来なかったのは残念だった。商用で豪州を巡回中だったが生憎9月20日から見本市の準備やら出展参加でこの試合のあった日は Melbourne に滞在中。ちょっと抜け出して…..と言う距離ではなかった………
キックオフは現地時間午後7時半。 Melbourne は+30分なので午後8時だ。ありがたい事にホテルは FOX SPORTS が映ったのでテレビ観戦が出来た。キックオフ前から中継は始まっており Vidmar 監督に続いて鹿島のオリヴェイラ監督のインタビューが。地元局向けなので英語でインタビューに答えている。小笠原の離脱に就いてまっさきに尋ねられたが “昨シーズンも小笠原抜きで試合をしたことがある….” と答えていた。 インタビューが終わってもアナウンサーも解説者も小笠原の離脱の話をしていた。そして注意すべき選手として FW マルキーニョス、DF中田、内田そして本山を挙げていた。中田浩二、本山は The 1st Leg には出場していない。そして二人ともシドニー五輪時にここを訪れている。本山は最後まで出番が無く当時何故トルシエ監督は本山を入れなかったのか….と物議を醸した。でも小笠原がいないのは厳しかっただろうな…. 鹿島のサポーター席には“小笠原の分まで”と大きく書かれたのぼりを持つ人も。遠路はるばる訪れたサポーター達は選手達の力になったに違いない………
鹿島のスタメンは GK 曽我端、CBに岩政と大岩で左サイドに中田浩二が入り右サイドに北京五輪メンバーの内田。大岩は9月20日の柏戦に伊野波に替って途中交代出場しこの試合はそのままCBに入り中田浩二が新井場に替って左サイドに入った。ボランチには青木と本山。 MF は右に中後雅喜が左にはダニーロが起用された。中後は20日の柏戦、負傷した小笠原に替って投入されそのままこの試合のスタメンに。 FWはマルキーニョスと興梠。目下Jリーグ得点王争いを独走するマルキーニョスのマークに就いて Vidmar 監督はどういう指示を出したのだろう?興梠は惜しくも北京五輪には選ばれなかったが7月20日の横浜FM戦から9月13日の川崎F戦までスタメン出場。そして柏戦は78分にマルシーニョに替って途中出場だった。
一方の Adelaide United 4日前の Sydney FC 戦に出場した選手途中出場選手を含めてもGK Galekovic DF Sasa Agostino, MF Cassio Kristiano Sarkies そして FW の Paul Neid の5人のみ。アウェーでの鹿島戦からは MF Pantelis Lukas とBarbiero Fabiano のMF選手を二人下げ Sarkies と Cassio がスタメン起用された。 GK Galekovic, DFは4バックで左サイドが Scot Jamieson , 2005年FIFA U-17 ペルー大会では3試合に出場。右サイドバックは Robert Cornthwaite あの痛恨のオウンゴールを献上した選手だ。A-League デビューイヤァーから Adelaide United に所属する選手、昨年のACL にも出場した。北京五輪予選にも選ばれはしたが最終予選では出場機会が無かった。CBはAgostino と Angelo Constanzo。Constanzo もA-League 発足時から Adelaide の選手。既に32歳で代表経歴もある。ボランチ、と言うよりも CHFには Sarkies と ブラジル人のDiego。今年のACLの浦項スティーラーズ戦では貴重な決勝ゴールを決めた。2列目左サイドには Cassio。Sydney FC 戦では左サイドバックを務めたが本来はここのポジション。右は Travis Dodd 。彼も A-League 発足時から Adelaide の選手。昨シーズンは21試合すべてにスタメン出場。技術の高い要注意選手だ。 FWは Paul Reid と Paul Agostino Agostino は Adelaide 生まれの33歳のベテラン選手。昨年より Adelaide United 入りしたがそれまでは 1860 Munchen に所属。1991年 FIFA U-17 イタリア大会、1993年 FIFA U-20 オーストラリア大会そしてアテネ五輪にも出場し 2001年のワールドカップ予選のウルグアイ戦にも出場した経歴がある。 Adelaide 出身や A-League 発足時代から Adelaide の選手が多く、ACL のタイトルには他の A-League チームに負けないくらい意気込みが高いかもしれない。でもこうやってみると私は鹿島のサポーターでは無いので Adelaide の選手達の方がよく解かるなぁ…….
試合はキックオフ直後から鹿島サポーターの大声援がよく聞こえる。Jリーグデビューイヤー、ジーコ、アルシド、黒崎、本田、大野・・彼らもサポーター達の大声援に何度も勇気づけられたことだろう…….しかしピッチ上ではAdelaide が押し込む展開が続く。1分には早くもAgostino の中央突破で崩され抜け出してフリーになったDodd に渡るがここは中田浩二がカバー。4分、5分と連続して右サイドにスルーパスを入れられピンチを招く。6分にはまたも右サイドを崩され Agostino がゴール前に迫るがここは大岩がマークにはいる。鹿島は8分にようやく中後からのロブに興梠が走り込んでそのままボレーシュートを放つテクニックを見せて鹿島サポーター達を沸かせる。しかし9分には今度は左サイドを突破され Cassio が入れたクロスに Agostino が走り込むがここは中田浩二が体を入れたので Agostino のシュートはファーポストの右に外れて行った。8分56秒にテレビに映し出されたボールポゼッションは Adelaide 62 に対し鹿島 38 。10分を過ぎると“Very Very Impressive until 10 minutes “ とアナウンサーが叫ぶ。それだけAdelaide が押しまくる展開だった。だが11分30秒、鹿島が決定的なチャンスを創る。カウンターから本山がドリブルで中央を上がり右サイドを攻撃参加した内田に。そして内田から中央から走り込んだ興梠に渡りGKと1対1でシュートを放つ。さぁ先制ゴールと思ったが興梠のシュートは Galenkovic にナイスセーブで阻まれた。ゴール裏に陣取るAdelaide サポーター達からは大歓声が……..
その後はまたも Adelaide の攻勢が目立つ。16分55秒、 Diego からのスルーパスが左サイドを上がった Cassiaに渡りドリブルで突破し中にセンタリングを送る。そこには走り込んだDodd がフリーになっていた、マークに戻る中田浩二ははるか後方。しかし Dodd はそのゴロのセンタリングを空振り、逆サイドにボールは流れ折り返されるがヘッドに飛んだ Dodd の位置はオフサイドだった。試合開始から20分程度を過ぎてもスコアレスであったが両チームのゴール前でのシーンが多くまた決定的なチャンスも1度ずつ。それにスタンドのサポーター達も自軍の攻撃シーンで歓声が沸きその大歓声がシンクロナイズドし国際試合の雰囲気を一気に盛り上げる。アナウンサーも Very entertaining game !! と表現。 20分56秒。またも Adelaide が決定的な好機を掴む。Dodd が右サイドを中田浩二、大岩をかわしてドリブル突破。そしてゴール前に走り込みフリーになった Agostino にゴロのセンタリングが送られるがまたも空振り。逆サイドに流れたボールを今度は Sarkies が中に折り返すが青木がクリアーでピンチを逃れた。2度の決定機をミスしてくれたので鹿島に幸運があると思ったがこの試合はスコアレスでは Adelaide が準決勝に進出する事となる。鹿島にとってはまず1点が欲しい試合であった。 Adelaide は右の Cassio 左のDodd 両サイドのMFがよく上がってくるそして最終ラインの押し上げも早くコンパクトに前線と最終ラインを保っているのでこぼれ球を拾いやすく常に数的優位を造れている。そして中田浩二が振り切られるシーンが目立つのが気になる。
こうなるとマルキーニョス、興梠の2トップのテクニック頼りか?? 35分にはダニーロが左サイドを突破しクロスを上げると Adelaide DF にそのクロスが当たりマルキーニョスの足もとに。Cornthwaite をかわして放ったシュートは大きくクロスバーを越え、42分40秒には本山のドリブル突破、 Constanzo, Ognenovski の間を走り抜けた興梠にボールが渡るがシュートを放つ前に Cornthwaite が戻ってマーク。前半はスコアレスのまま終わった。
Stats が映し出されたがボールポゼッションは Adelaide が46 に対し鹿島が54 となっており10分以降支配率は鹿島がかなり挽回した事になるが決定機の多かった Adelaide の方が優勢だった様な印象の残る前半であった。
エンドが変わった後半、最初に交代カードを切ったのは Adelaide ベンチ。 Agostino に替って4日前にSydney戦で1トップを務めた Cristiano が投入される。彼のキープ力を生かす方策か? その Cristiano は63分に鹿島PA付近でドリブル突破、岩政をかわして放ったシュートは鹿島ゴールネットを揺らしたが岩政をかわす前に大岩を押してファールのホイッスルが既に吹かれておりこの Cristiano のプレーに対してイエローカードが提示された。鹿島ベンチも62分10秒に本山に替えて野沢拓也を投入。テレビのアナウンサーに Zico Academy 出身と紹介されるがよく調べているなぁ…. と思った。 野沢は柏戦ではスタメン出場を果たしたが18節の横浜FM戦からスタメンを外れて途中出場でプレーする程度だった。丁度興梠と入れ替わる様に……野沢の投入でフォーメーションが特に中後の位置がどうなるのかと思っていると65分17秒 Diego からボールを受けた Cassio が左サイドを突破、内田をかわしてGK曽我端の位置をよく見て中に走り込む Paul Reid にセンタリングを送る。曽我端は完全につり出された形、Reid の前には無人のゴールが広がっていたがここでも何と Reid が空振り。 Adelaide 攻撃陣はゴール前の絶好機にボールも触れない…… 66分45秒、Sarkies に替えて Jason Spaguolo が投入さえる。 Spaguoloも攻撃的な選手。 Vidmar 監督は1点を取りに行くのか……. そしてついに均衡が破れる。71分58秒、Diego のミドルシュートを曽我端がナイスセーブで弾き出すがそのこぼれ球を Cristiano に拾われ Cassio に繋がれる。 Cassio が今度はクロスをゴール前に飛ばすと岩政と大岩の間に走り込んだ Cornthwaite が頭で合わせるとそのシュートは曽我端の右脇を通り抜けゴールラインを割った。大歓声が Hindmarsh Stadium を包む。前の週に痛恨のオウンゴールを献上してしまった Cornthwaite が殊勲の先制ゴールを決めた。アナウンサーも “ Dream Comes True “ と叫ぶ。
しかしまだ残り時間は18分はあった。鹿島にとっては 0-1 も1-1も同じなのだからここは切り替えてゴールを目指すと思った。74分56秒には中後が下がって増田が、79分21秒には中田浩二が下がって田代が投入される。 81分42秒スルーパスが左サイドの増田に渡りクロスが入り田代に渡るがシュートが撃てない。84分16秒には内田が右から入れたクロスが Constanzo にヘッドでクリアーされるがそのこぼれ球が直接マルキーニョスの足もとに飛ぶがマルキーニョスはトラップミス。85分2秒 Cassio が下がり DF の Daniel Mullen が投入され守備固めに入る。鹿島は攻撃時に岩政、大岩を前線に上げて来る。87分50秒にはCKから大岩が飛び込むがGK Galekovich がキャッチ。89分1秒、カウンターから鹿島側のゴールライン上で Cristiano が粘ってCKを取る。こう言うときにボールキープが出来る選手は有用だ。CKを取った Cristiano はすぐ後ろの観客席に両手を挙げて声援を煽ると大歓声が。しかしロスタイムが4分と表示される。鹿島には充分な時間だ。しかしゴールが遠い。91分40秒内田が右サイドから上げたクロスに大岩がヘッドで合わせるが力なくGKに。93分18秒には左サイドから入ったクロスに興梠が体をかがめてヘッドで合わすがこれもGlaekovich の正面。 Adelaide サポーター達はほとんど立ち上がっている。それは鹿島サポーター達も同じだった。93分40秒、リスタートからカウンターで一気に鹿島ゴール前に迫った Adelaide が最後は Cristiano が中央からフリーでドリブル突破。曽我端がエリア外に出て手を使ってボールを止める。完全なファールでレッドカードが出てもおかしくないシーンだった。交替枠は使い切っている。しかしクウェート人のSaad Kameel Al Fadhli 主審はイエローを提示したのみ。 Definitely Red Card と解説者は不満を露わに。
だがもう時間がなくなって来た。 Cristiano はゆっくりとボールをセットしその直接FKを大きく外に蹴り出すと主審の試合終了のホイッスルが鳴り響いた。アナウンサーは何度も Historic と叫ぶ。 ピッチ上は大騒ぎだ。そしてスタンドも。
この試合の立役者は何と言っても Adelaide の Vidmar 監督だ。前週の鹿島戦そして4日前の Sydney 戦。この試合に向けての選手起用が功を奏した。Sydney 戦では主力を休ませ、使った選手でも Cassio をサイドバックで使うなど無理をさせなかった。
一方の鹿島のオリヴェイラ監督は小笠原の離脱で選手起用に少し誤算が生じたかもしれない。敗れた鹿島は過密スケジュールの中よく戦ったが鹿島にとっては遠い遠いゴールだった。ここでFW力の差が出たのかもしれない…….しかし過密スケジュールは Adelaide も同じだった。 4日前にSydney で試合観戦後空港で偶然 Adelaide の選手一行と遭遇した。 Vidmar 監督にサインをもらい前日の Sydney 戦を観戦した事と次の鹿島戦には “ Please do’t give us hard time “ と言うと“カシマのサポーターですか?そちらこそお手柔らかに….” ってな紳士的なあいさつを返され握手をしてくれた………. あの時の私のお願いが届かなかったなぁ…..途中交代出場のDaniel Mullen にもお願いしたのだけど……..
試合の二日後に発売された準決勝戦の Bunyodokor 戦のホームゲームのチケット(10月8日)はあっという間に10,000 枚売れたそうだ。そして9月27日ホームで行われた A-League のNewcastle Jets 戦は 2-0 で快勝した。チームは A-League にACL の準決勝戦の為に日程変更を申し入れたらしい。
敗れた鹿島。サポーター達はガンバと浦和が準決勝戦に残ったので少し肩身が狭いか?それでもACLに出られるのは羨ましい。9月28日の清水戦は 2-0 で快勝だった。既に次のアジア制覇の機会を視野に入れているか……
次の準決勝戦は2試合とも非常に楽しみだなぁ……..
あの蒸し暑さが懐かしい今日この頃。 すっかりシンガポールかぶれしてしまった私?だが、アルビレックスや大連そして韓国人で編成した Super Reds と言った“純外国チーム”の参加を認めてリーグの活性化をはかったり国際色豊かなシンガポールならではのS League ではあるが良い話ばかりでは無い。 1996年に発足以来様々な理由で9チームが廃部、統合となって消えて行った。
2006年に1シーズンだけで消えて行った Sporting Afrique と言うチームがあった。シンガポール人選手が1人いたが他はナイジェリア、カメルーン、ガーナそしてサッカーでは珍しいケニア人選手で構成された文字通りアフリカ連合のチームだった。その年にシンガポール訪問した時にアルビレックスとの試合を観戦する事が出来た。現地に在留するアフリカ人らしきサポーター達が熱心にそしてリズミカルに太鼓などの楽器を叩いて応援をしていたが試合はアルビレックスが快勝。想像していたフィジカルの強さが少しは観られたがあまりに個人プレーに頼り過ぎるサッカーで少し失望したのを覚えている。
http://blog.goo.ne.jp/conty1ban/e/84c73bf1bd67c962d5c3fe3e12bf3974
シーズンの成績もぱっとせず5勝9分け16敗11チーム中9位に終わりそしてこの年で解散してしまったい、チーム事情が実に悲惨なものであったと言う事を最近知った。2004年ナイジェリア生まれの Agu Casmir そして Itimi Dickson がシンガポールに帰化し Tiger Cup や SEA Games に代表選手として出場していたのでシンガポール協会はこう言ったチームを S League 入りさせ、アフリカ人選手を誘致して帰化させシンガポール代表に入れる為の一環とみられていた。しかしこのチームは立ち上がりから躓いていた様だった。選手達には月収 SG$1,600 ( 約12万円) が約束されていたらしいが実際にはそこから食費SG$700 ( 約52,500円)そして宿泊費SG$800 ( 約6万円)が天引きされ手取りはたったの SG$100 ( 約7,500円)しか残らなかったと言う事がシーズン中に明るみになった。
食事の内容も粗末な鶏肉とライス、そしてあてがわれた住居も5人から6人が一つの部屋で同居させられていたらしい。アルビレックス発足前から S League には日本人選手がおり、その待遇は“日本人駐在員並”との事だったので月収だけでも Afrique の選手達の3倍から4倍はあったと思う。これでは選手達がかわいそう。いくらシンガポールとは言え1か月7,500円でどんな生活が出来るのだろう…….. シーズン中に選手の一人が英国BBCに現状を“訴え”その事実が明るみになり何とか手取りが SG$300 ( 21,500円 ) そして勝利給などのインセンティブが付く様に待遇が改善された。
http://news.bbc.co.uk/sport2/hi/football/africa/5079434.stm
チームの代表である元テレビ俳優の Collin Chee は“我々は今資金が無い。選手達にはパフォーマンスを上げて Big Club からオファーが来る。それが選手達の動機付け、野心となる。”と言ったそうだが, 協会そして最後は大使館にまで S.O.S. を発信するまで選手達を追い込んだ Chee は責任を感じないのか…………
こうして Sproting Afrique は翌年のリーグ加盟が認められないと言う悲しい結末を迎えてしまった。
更に昨年1年限りで S League から消えて行ったチームがある。中国超級リーグにも所属する遼寧FCのサテライトチーム Liaoning Guangyuan Football Club ( 遼寧広原 ) である。2007年のシーズンは12チーム中10位に終わり、2008年は S League 加盟が認められなかったがその理由が中国らしいと言えば中国そのものかもしれない。今でも1995年以来述べ15人の選手役員が処罰されたが S League 最悪のスキャンダルと言われているチーム上げての八百長問題だ。
当初は Zhao Zhipeng が摘発されたが現在は GK Dong Lei 26歳をはじめ、 DF Li Xuebai 30歳Wang Lin 20歳, FW Li Zheng, 26歳Zhao Zhipeng, 26歳, Tong Di 26歳,そしてMF Peng Zhiyi, 22 歳ら7人が八百長に関与したとの事。Wang Lin が4カ月、その他の選手が5カ月の実刑判決が下り、現在もシンガポールで抑留中だ。自らの敗退行為により総額SG$27,950 ( 約210万円)を受け取ったとされている。この判決は1995年当時シンガポールのエースストライカーであった K.Kannan の18か月の実刑判決以来の重い刑らしい。
そしてこの八百長を選手達に”指示”した Wang Xin 元監督は中国に逃げてしまっておりシンガポールにはもういない。 選手達は監督の指示に従わなければどんな目にあったか…..と語っているらしいが……
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サッカーが賭けの対象になる(日本もそうだけど)東南アジアでは八百長疑惑が絶えないので S League ではそれを監視する委員会 C.P.I.B. ( Corrupt Practices Investigation Bureau : 不正監視局とでもいうのかな?) がある。 C.P.I.B では昨年11月シーズン終了後に疑いのある11選手に尋問をし4選手は疑い無しとされ帰国が認められたが上記の7選手は容疑が晴れない為に拘束が続き年の明けた1月7日のこの八百長を指揮したとされる Wang Xin 前監督が逮捕された。 Wang は2007年のシーズン Tampines rovers ( 0-3) Gombak United ( 1-5, 0-5 ) S.A.F.F.C. ( 1-4 ) そして Geylang United ( 0-3 ) 戦で3点差以上で負ける様に選手達に指示した疑いが浮き彫りになったらしい。そしてアルビレックス戦 ( 0-2 ) も八百長を指示したとの事。 1月22日より Wang Xin は抑留されるも SG$80,000 ( 約600万円 ) の保釈金を払い帰国をしてしまっている。
Wang Xin はシーズン中に9人の選手を ” 不十分なパフォーマンス ” が理由で帰国をさせているが彼らは Wang Xin の”指示”に従わなかったか八百長が知られる事を恐れた為に帰国をさせられたとみられている。シンガポール協会では更なる事実究明の為に Wang Xin が再びシンガポールに来る事と FIFA に今回の7人の選手と Wang Xin を世界的にプレーを禁ずる事を求めて行く方針との事である。シーズン終了後から今もシンガポールに抑留されている7人の選手達は既にシーズン中の蓄えもそこを尽き、判決が決まるまでの11月から3ヶ月間はLiaoning Guangyuan FC の Vice President である Steven Lee 氏から毎週 SG$150 を貰って何とは食いつないでいたらしい。実刑判決が下って衣食が保証されるとは皮肉な話。
それにしても選手達を残して帰国した Wang Xin は責任を感じているのだろうか?? 中国の国内リーグ Super League でも八百長事件が発覚しかなり人気を落としたらしいがそれを他国にやって来てまでもと言うのがいかにも中国らしい。シンガポールぐらいならと思っていたのだろう……
東南アジアの選手達のサラリーは一般人の平均給与よりは高いだろうがスポーツ選手の現役期間は限りがある。将来に不安を感じて八百長協力に走る選手、役員が後を絶たないらしい。それが代表レベルが上がらないことに寄与しているとも思うが、この Liaoning Guangyuan FC の様によその国に来てまでとは……….
いまや環境問題を含め世界の迷惑国家となった中国だけど、迷惑はそれだけではないらしい。 GNP に対する中国の購買力はついに日本を追い抜いたらしいが、アジア蔑視もどうやら追い抜いたらしい。
今年から S League に参加している大連実徳はこれまで12試合を終えて3勝2分7敗で12チーム中10位。 これまでの戦績は”実力”通りなのか....
Home United vs South China 30th April
昨年浦和 REDS がAsia Champions Leagueのタイトルを勝ち取ったおかげで日本国内でもよやくアジアのクラブ選手権にスポットが当たる様になった。 これまでアジアのクラブチーム間の国際公式戦は「アジアクラブ選手権」(各国リーグ戦優勝チームによる大会)「アジアカップウィナーズカップ」(各国主要カップ戦優勝チームによる大会)と、この2大会の優勝チームが更にアジアナンバーワンの座をかけて争った「アジアスーパーカップ」の3大会があったが、これを統合して2002-03 年シーズンに「AFCチャンピオンズリーグ」として再スタートした。しかし、その第1回大会は実力差の開きや発展途上国の代表チームが出場を辞退するケースも多く、大会の質の低下を懸念する声もあったため、AFCではチャンピオンズリーグの出場枠をAFCクラブチームランキングの上位14カ国に絞り、同ランク15位~28位の国・地域のリーグ戦・カップ戦の優勝28チームにこのAFCカップの出場権を与えることとした。
現在は10カ国から20チームを西3組、東2組(4チームが3組、3チームが2組)の5つのグループに分けて2回総当り・ホーム・アンド・アウェーで対戦し、各組1位の5チームと第2位のチームの中で上位3チームを含めた8チームが決勝トーナメント進出。 決勝トーナメント 8チームによるホーム・アンド・アウェー戦で覇者を決める。現在西地区がバーレーン、レバノン、インド、オマーンヨルダン、イエメンの6カ国12チームが東地区がシンガポール、マレーシア、香港そしてモルディブ共和国の4カ国8チームがこの大会に出場権が与えられている。そしてここシンガポールからは Home United と SAFFC の2チームが参加している。
4月30日。マレーシアからシンガポールに戻る。再び赤道に近いシンガポールの暑さと湿度に閉口しながら何とか仕事を終えてAFC Cup 観戦に向かう。この日は S- League で2位につけている Home United が香港の South China を迎えた。これまでHome United は4戦全勝。この試合に勝ってベスト8進出に大きく前進したいところだった。一方の香港 South China はモルディブの Victory SC に引分た以外はマレーシアの Kedah D.A.F.A. に連敗そして3月にホームで行われたHome United 戦でも敗れこの時点で既に予選落ちが決まっていた。しかし意地は見せてくれると “期待して” 会場に向かった……
会場となったJalan Besar Stadium はYoung Lions の本拠地。先週観戦した Gombak vs SAFFC戦でも使われた競技場。その時には気付かなかったが、ピッチは人口芝だった。どうも奇麗に絨毯の様に整備されていると思った….. この AFC Cup では Home United , SAFFC 共にホームゲームは本来のホームグラウンドでなく全てこの Jalan Besar Stadium が使われた。ここの競技場は市内の中心部に近く比較的にアクセスが良いが理由かもしれないが対戦相手を慣れない人工芝の上で迎え撃つと言う方策か?? ただ香港の2チーム、 South China もKitchee もホームゲームは Mogkok Stadium。これもアクセスの良さ等を考慮してか?シンガポールも香港も国土が狭いのでどのチームがどこでやってもホームゲームか?
4日前、瀬戸春樹率いるBalestier Khalsa にシーズン初勝利を献上した Home United 。その時のスタメンから3人の選手が入れ替わっている。Balestier Khalsa 戦ではベンチから外れたレギュラー選手DF Rosman SulaimanはFW のIndra Sahdan, カメルーン人DF Valery Hiek の3人は揃ってスタメン入り。Balestier Khalsa 戦で先発出場を果たした若い Ar-Araromsowa は登録を外れていた。
両者は3月11日に香港の Mongkok Stadium で対戦しその時はアウェーのHome United が 3-2 で激戦を制した。この時2ゴールを挙げたのがブラジル人MF Oliveira 。しかし Oliveira もこの試合の登録から外れていた。近くに座る御夫婦に尋ねると御主人が “ Oliveira は累積警告で出場停止”と丁寧に教えてくれた。またタイ人 MF Komprom Jaroonpong が1度もこの AFC Cup ではベンチ登録すらされていない。外国人枠の問題か……..??
その3月の試合のスタメンを調べると主将のDF Shunmugham Subramani こそこのホームゲームのスタメンに名を連ねているが、シンガポール代表GK Lionel Lewis をはじめ5人の選手が入れ替わっている。
一方のSouth China。 7人の選手が3月のHome United 戦のスタメンから入れ替わった。そして3日前の Hong Kong First Division League の Convoy Sun Hei戦で 4-1と快勝したがその時のスタメンでこの試合のスタメンで起用されたのは二人だけだった。それは既に決勝トーナメント進出の可能性が無くなっている事が寄与しているか? GKは中国人の Chan Chun Yu でなく香港人の Chung Ho Yin。 4バックのDF陣は左サイドが中国人DF のDeng Jing Huang, CB はブラジル人の CRIS Alves Pereira と Can Wai Ho。ブラジル人の CRIS は前の Home United 戦でも先週の Chung Ho Yin 戦でもスタメン出場。この選手が守備の要か??右サイドバックが Lai Man Fei. 両サイドバックは3月の Home United 戦では途中出場だった。ボランチは主将の Yeung Ching Kwong と 中国人MF のFan Wei jun 。この二人は2列目の右に Chung Ho Yin 戦でスタメン出場した Chan Wai Ho, 左が Yip Chi Ho 。 Yip は3月の試合ではフル出場。そして2トップが Cheng Siu Wai とブラジル人のSchutz Tales 。Cheng Siu Wai は3月の試合では途中出場ながら2ゴールを決めている。
Schutz Tales は2006年のシーズンからそれまでしばし続いていた South China の “純中華主義“の禁を破って契約された選手でかつてはブラジルのボタフォゴ、アトレティコミネイロ、グレミオでもプレーをした経歴がある。 Chung Ho Yin 戦では途中出場ながら2得点。それが認められてかこの試合ではスタメンに抜擢された。他の Chung Ho Yin 戦にスタメン出場したブラジル人選手 Itaparica, Maxwell そして Detinho の3人はこの遠征に参加していなかった。
試合は立ち上がりからアウェーの South China が積極的に前に出て来る。2分には FW S.W. Cheng が左から中に切れ込んでドリブルシュート。6分にはオーバーラップで上がった左サイドの J.H. Deng に W.H. Chan のスルーパスが通りチャンスとなるがシュートには至らない。South China は S.W. Cheng がやや下がって C. H. Chan とC.H. Yio の3人が1トップ気味となった Schutz の後ろに並ぶ。 そして右サイドをサイドバックのJ.H.Deng と MF のC.H. Chan が突破して行く。特にMFの C.H.Chanはドリブルに自信を持っている様だ。17分にはこの C.H.Chan のドリブル突破から入れたクロスに S.W.Cheng が走り込んで撃ったシュートは惜しくもポストの左に外れた。立ち上がりロングパスとカウンター攻撃に終始していた Home United は20分過ぎからようやくボールを繋ぎだす。 Hiek Valery が右サイドに回って来て C.H.Chan のドリブルをストップし前線の Ludovick に送りそのままタッチライン沿いを疾走する。 Ludovik は右に走っている Hiek にボールを送りそのまま Hiek はネアーサイドを狙ってミドルを放つが地を這うようなライナーは僅かにポストの右に外れる。 自陣左サイドのケアーにカメルーン人MFの Hiek が右から回ってきたか??
そして30分、FW Indra Daud が左サイドから入れたライナーのクロスを South China DF W.H. Chan の前に出て来てボールを受けた Shahril Ishak がワントラップしてゴールに蹴り込み Home United に先制ゴールが生まれた。Indra の素早いゴール前での動きであった。
先制ゴールを境に South China の脚が止まって来た。中盤を支配され頼みの C.H.Chan のドリブルも相手MF,DFの網に引っ掛かる様になって来た。 やはりシンガポールの天候が影響したか。何しろ前の週にここで会った香港在住の顧客が“シンガポールは暑い…” と言っていたから…..それが狙いで Home United は序盤スローペースだったのか?37分にはHiek Valery がS.W. Cheng に倒されてFKを得る。 Hiek が直接FKを狙うがここはGK H.Y.Chung がナイスセーブし追加点はならなかった。40分には Indra Daud がゴール前で頑張りCKを貰うと Shi Jia Yi が上げたCKに Indra が飛び込むがそのヘッドは僅かにバーを越えた。
South China はたまらずMF左のC.H.Chan と MF右の C.H.Yipのポジションを入れ替えた。それでも展開は変わらない。Home United は左サイドでは MF Ishak Shahrilと FW の Indra Daud がそして右サイドは Shi Jiayi の動き良い。 South China はW.J.Fan, C.K. Yeung のボランチの二人がもっと攻撃に絡みたいところだが…..
そして前半終了のホイッスルが鳴った。 拍手で迎えられる Home United そして South China イレブンには地元のサポーター達からは “ He~y Liverpool !! “ と野次が飛ぶ。彼らのユニフォームは Liverpool のデザインを基調にしているのか?? 香港、シンガポール共に最も人気のあるリーグは English Premiership だ。この時点では UEFA Champions League ではまだ Liverpool は残っていたが、South Chinaは…..
香港のサッカーと言えば思い出すのがワールドカップアルゼンチン大会予選。シンガポールで開催された1次予選では地元シンガポールを決勝で降し最終予選に進出した。しかしイラン、韓国、クウェート、オーストラリア相手に8戦全敗で日程を終えた。次のスペインワールドカップ予選では地元開催の1次予選で中国、北朝鮮、日本と同じ組に入り最終予選には進めめなかったが4年後のメキシコ大会予選では郭家明監督が指揮する香港代表は健闘を見せて1次予選の工人体育場で行われた中国との最終戦ではアウェーながら中国を2-1 で破る番狂わせを起こし東地区準決勝にまで進出した。決勝ゴールを決めた顧錦輝は帰国時に啓徳空港でもみくちゃにされていたところを専門誌で見た。この中国戦の勝利が最後の快挙だったのかも知れない。準決勝では森ジャパンに敗れている。次のイタリアワールドカップ予選では4年前と同じ郭家明氏が指揮を取り、前のワールドカップ予選メンバーを顧錦輝を含め6人擁して臨んだが日本、インドネシアと共に北朝鮮の軍門に降り1次予選で姿を消したが、この香港戦で2分けに終わった横山ジャパンは北朝鮮の後塵を拝する事となった。以降最終予選にまで進出出来ず、今行われているワールドカップ予選も既に姿を消している。しかしプロ化は日本よりもずっと早く、1970年代には South China そしてSeiko SA と言うクラブチームが既にプロ化されており1979年には当時韓国のエースストライカーであった金在漢が Seiko に入団した。そして70年代には後に“たけしのスポーツ大将”や芸能人サッカーチームに助っ人として出場していた元読売クラブのカルロスが香港でもプレーしていた。昔の香港を少し知るだけに“もう少し頑張れ無いかなぁ….” と思うのだが
後半に入ると South China は前線を少し変えて来た。 MF の C.H.Yip を上げて Schutz と2トップを組ませ、2列目を左から C.H.Chan, C.K.Yeng そしてS.W.Cheng を並べる。DFラインを左サイドバックの J.H.Deng を中盤に上げて3バックにする。 攻撃の枚数が増えたせいか South China の攻勢が続いた。開始早々 C.H.Yip がシュートを放ち GK Lionel Lewis がブロックするとそのリバウンドを C.K.Yeng が撃つがこれはLewis の正面に。48分には C.H.Yip が Jantan Juma をかわしてシュートを放つがこれもGK正面。49分にスローインを受けたC.H.Chan が中に切れ込んで撃ったシュートはサイドネット。 62分には Cris Alves Pereira を下げてWong Chin Hung が投入される。 South China は攻める時間が長くはなったがFW Schutz へのラストパスが足下へ行くパスばかりなので相手DF陣に読まれてしまう。70分にはドリブルに切れが無くなって来た C.H.Chan を下げて Lee Chi Ho を入れる。そしてC.H.Wong をDFラインに戻し再びDFラインを4バックに戻す。サイド攻撃をもう一度強化してと言う思惑だったのだろうが74分に Home United が追加点を挙げる。 Ishak Shahril が Lee Cho Ho をかわして右サイドから入れたクロスを Indra Daud が決めた。 この失点は South China には堪えたと思った。
しかしここから試合が動き出す。77分に J.H.Deng を下げ P.T.Man を入れ、DFラインを P.T.Man, M.F.Lai そしてW.H.Chan の3バックに戻し中盤を厚くする。そして79分 C.K.Yeng , Schutz と繋いで C.H.Lee が放ったシュートはCKに。そのCK から Schutz がキープし中に走り込んだ C.K.Yeung が Home United ゴールに蹴り込み1点を返した。初めてこの試合 Tales Schutz が仕事をした瞬間だった。あと10分以上残っている。C.H.Wong が左からC.K.Yeung が右から切れ込んでくる。82分 Lee Chi Ho が左サイドからドリブルで切れ込み Jantan Juma をかわして放ったシュートはGK正面を突いた。South China は同点を目指し動きが速くなる。
しかし試合を決めたのは Home United カメルーン人FWの Kengne Ludovick 。力強いドリブルから87分には途中出場の Mohamed Farook, 88分には Sharil Ishak の連続ゴールを演出。チームの AFC Cup ベスト8進出を決定づけた。 最後は助っ人外人の力の差が出たか?これはJリーグでも欧州でも同じ事だろう。でも South China はアジアの伝統クラブとしてもう少し頑張ってほしかったし、これからも巻き返してほしいんだけどなぁ……..
同日行われた他の AFC Cup 戦で S.A.F.F.C. が香港の Kitchee をアウェーで1-0 で降し、こちらもほぼベスト8進出を決めた。 この試合には深澤、新井と言った日本人選手も出場している。AFC Cup では開設から4大会西アジア勢が決勝戦のカードを独占し続けている。今年は新井や深澤を決勝戦で観られるだろうか.......
もう一つのアジアのクラブ選手権 AFC Cup にも日本人選手がいる。 そしてここにもサッカーはある。
翌朝私はバンコックに旅立った……………….
気温が少しでも下がっている事を祈って……….
マレーシアの首都 Kuala Lumpur の郊外にある巨大な立派な空港。 KLIA からタクシーで約1時間の所にAsian Football Confederation アジアサッカー連盟の本部事務所がある。
アジアサッカーの発展はマレーシア建国の父と言われる Tunku Abdul Rahman 初代マレーシア首相の尽力によるものが大きい。マレーシアは19世紀半ば英国の植民地とされ宗主国からの移住者が多くなるにつれてサッカーも普及し1933年には当地にサッカー協会( FAM ) が設立され、その発足から約20年後の1951年にRahaman 氏がマレーシア人として初めてFAMの会長に就任。そして1954年のアジアサッカー連盟 AFC の創設にも貢献。その為にAFC の本部はマレーシアの首都 Kuala Lumpur にある。
1957年にマレーシアが英国から独立を勝ち取りその記念としてアジアの代表チームを集めて開催した大会が Merdeka Tournament 。 Merdeka とはマレー語で独立と言う意味で、マレーシア及びアジア諸国が独立を果たした事を記念しての開催と聞いた事がある。1959年親日家でもあった Rahman 会長はこ Merdeka 大会に当時アジアではレベルの低かった日本を招待する。当時の日本のレベルそしてアジアでのこの大会の位置づけを考えれば Merdeka 大会への招待は本当に貴重な経験であった。以降も日本の招待は続けて貰い1976年大会では奥寺らの活躍で2位に入る。
しかし1980年代に入り日本、韓国を始めアジアの列強は Merdeka 大会への参加に消極的になる。1990年に日本は Merdeka大会への参加を久々に決めていたが当時湾岸戦争が勃発。テロ行為を恐れ日本サッカー協会は選手の派遣を見送る事に。以降 Merdeka 大会への日本代表参加の話は聞いた事がない。
1970年代マレーシアはアジアでも列強の一つ。ミュンヘン五輪そしてモスクワ五輪では日本、韓国を抑えて出場権を獲得している。特にモスクワ五輪予選では地元Kuala Lumpur での集中開催と言うアドヴァンテージはあったが大本命の韓国を 3-0 で破り、日本とは引き分け決勝に進出。そこで再び対戦した韓国を終了3分前にジェームス=ウォンのゴールで韓国を破り見事にモスクワ五輪出場を決めた。しかし当時ソ連軍がアフガニスタンに侵攻、当時のJカーターアメリカ大統領のモスクワ五輪ボイコット案に、西ドイツ、日本の西側陣営が同調。マレーシアもそれに従い幻のアジア代表に終わる。それがマレーシアの最後の栄光だった。
日本は4年後のロス五輪予選でもマレーシアに 1-2 で敗れ、1986年のMerdeka 大会でも準決勝にマレーシアに 1-2 敗けを喫しているがこの時のマレーシア代表ヘッドコーチがジェフ市原でヨゼフ=ベングローシュ。日本がマレーシアに追い付くにはJリーグが発足するまで待たねばならなかった。
マレーシアサッカーの地盤沈下は一向に改善されず、昨年開催された Asian Cup でも1次リーグ3連敗で敗退。(中国 1-5, ウズベキスタン 0-5, イラン 0-3 ) ホスト国で唯一勝点さえ挙げられなかった。
大会後も 「マレーシアサッカー協会は代表チーム選手を選抜する過程で人種差別的な基準を設けていたのではないか」 という疑惑が巻き起こる。マレーシアはマレー系60%、中国系23%、インド系7%などからなる多民族国家。だが、今回のアジア杯最終登録選手23人のうち、20人がマレー系選手、インド人は2人だけ。華人はゼロだったため騒動となった。これについてマレーシアサッカー協会のシェイク・アフマド副会長は、「協会はこれまで1度もマレー人だけからなる代表チームを作ろうと試みたことはない。宗教や人種は選抜基準ではない」と話している。またU-12の選手セレクションに誰も参加しないなど、今日のインド人や華人があまりサッカーに関心をもっていないことに遠因があるとした上で、現時点では今の布陣がベストだと主張した
あの強かったマレーシアは一体どうしてしまったのだろう。ソー・チン・アン、モクタル・ダハリ、ジェームス・ウォン、アブドーラ・アリ。アジアでも屈指の選手達を輩出した国なのに………
シンガポールをあとにし次の訪問地 Kuala Lumpur に到着した。シンガポールよりは気温も湿度も低く少しは過ごし易かったが今年は雨が多いらしい。滞在中は曇天が目立った。それでも東南アジア独特の湿った空気は避けられなかった。 マレーシアの国内リーグは2003年までは通称 : Mリーグとして、大会1部リーグ(プレミア1)にはマレーシア14州を代表するクラブチーム(実質的には州選抜チーム)と警察、軍隊などの国家機関のサッカー部4チームを加えた18チームの総当り2回制でリーグ戦を行い、1部リーグ戦上位12チームと2部リーグ(プレミア2)の上位4チームの16チームが日本の天皇杯に相当するトーナメント戦・「マレーシアカップ」に進出した。また1部17,18位と2部1,2位が翌年度入れ替わった。これを2004年から再編してより密度の濃い試合を提供することになった。これにより1部(スーパーリーグ)8チーム、2部(プレミアリーグ)18チームとし、1部リーグ所属全チームは成績無関係でもれなくマレーシアカップの出場権を得るようになった。2部はA,Bの2グループ制(各9チームずつ)となった。また1部の7,8位チームと2部の各組1位チームが翌年度の自動入れ替えとなっていた。
しかし今は1部リーグに当たる TM Super League に13そして2部リーグにあたる TM Premier League に13ずつチームがあり Super League の下位2チームとPremier League の上位2チームが自動入れ替えとなっているらしい。その他入れ替え戦を行っているかは解らなかった。
現在 TM Super League では昨年度 League, Malaysia FA Cup, Malaysia Cup 3冠王の Kedah FA が独走。はやくも優勝を決めている。 TM Super League の Kedah FA の試合はシンガポールでもテレビ観戦した。(シンガポールでもマレーシアのテレビは見る事が出来る。)結構観客が入っていた。 私の滞在中は Super League の試合は無かったが Premier League の試合があった。あまりマレーシアの地理には詳しくないので何とか近所の競技場を探すと昨年のアジアカップで使われた Bkit Jail Stadium と Stadium Boalasepak で試合がある事が解ったがここは昇格に関係する試合カードを選ぶことに。
Premier League では昇格争いが激しく第24週を終わって首位 Kuala Muda NAZA が22試合で勝点55、KL Plus が22試合で勝点54で2位。続いて Kelatan が勝点53で続いていたが Kelatan は消化試合数が上位の2チームよりも1試合多くこの週は試合がなかった。各チーム試合数は24試合。従ってこの日上位2チームは勝つと昇格が決まる。その上位2チームの一つ KL Plus FC の試合が Boalasepak Stadium で行われた。対戦に相手は同じ Kuala Lumpur をホームにする Kuala Lumpur FC 。いわばK.L.ダービーか?しかし Kuala Lumpur FCは13チーム中12位と低迷している。
仕事を終えてタクシーで 競技場に向かおうとするも誰もこの競技場が解らない。3台目のタクシー運転手がようやくここを知っていて目的地に向かう。競技場に着くと試合が始まったばかりであった。チケットを買って中に入ろうとすると歓声が聞こえた。着席して電光掲示板を見ると Kuala Lumpur FC が先制していた。
この試合に向けて“予習”を全くしていなかったのでどのチームのユニフォームの色すらわからない。だが試合は徹頭徹尾青と白の横縞のユニフォームが赤のユニフォームを攻め立てている。この横縞のユニフォーム側が KL Plus とすぐに解った。
その2トップ Andian Dario Trinidad はアルゼンチンからの助っ人で Alex Agbo はナイジェリア人選手。この二人にボールが入ると Kuala Lumpur DF 陣は一人では対応できず2人3人と集まらざるを得ない。
そして右の MF Subramanian, 左の Abu Hassan が両サイドを上がって来る。それでも Kuala Lumpur FC は22分カウンターからチャンスを掴み掛けたところを KL Plus DF に倒され右のサイドでFKを得る。それを Azidan Sarudin が上げ FW Zamri Hassan がヘッドを放つがクロスバーを僅かに越える。ここでもう1点入っておれば試合はもっと面白くなったかもしれない。後は KL Plus の攻勢が続く。 FW Dario Torinidad が中盤に下がりMFの Subramanian, Hassan が最前線に出て来る事も。28分には Torinidad が左サイドを上がった Subaramaniam にスルーを送り中に折り返し攻撃参加したDFの Nizam Hanif がGK Amri Zaini を外してシュートを放つが Kuala Lumpur FC の DF Hasnol Hamzah が戻ってクリアー。 KL Plus のサポーター達からは落胆の溜息が。しかし3分後彼らの歓声が沸き上がる。MF Khairulanuar Jamil が左に流れて低いライナイーのクロスを入れるとそれを Alex Agbo がワントラップしてそのままシュート。ボールはゴールネットを揺らしこの試合で昇格を目指す KL Plus が試合を振り出しに戻した。
KL Plus は更に35分 Abu Hassan の右からのクロスに Alex Agbo がヘッドを放つがこれはバーを越える。38分には左サイドでFKを得て Subramaniam がゴール前に入れるがコーナーに逃れられる。その直後に もAlex Agbo がミドルを放つがGKAmri Zaini がパンチングでコーナーに。前半は猛攻を見せた KL Plus だが逆転にまでは至らなかった。
ハーフタイム中に隣に座っていた御婦人が “ You speak English ?” と声を掛けて来た。なんと御主人が Kuala Lumpur FC のコーチをされているとの事。自分は現地の在留邦人でなく日本から来てこの試合があることを知ってタクシーを飛ばして観に来たと言うと驚いていた。地元の華僑系のサッカー好きだと思っていたが顔つきが華僑っぽくないので….とも言っていた。
このご婦人としばしサッカー談議を。70年代のマレーシアは本当に強くて今でもその印象が消えない。昨年のアジアカップでもここに来たが本当にマレーシアはどうしてしまったのだろう…..ってな話題を降った。彼女が言うにはとにかく協会に長期的なヴィジョンが無くその上最近では England の Premiership の方に一般国民の興味が傾いており 選手達のモチベーションも上がらない。その上、ギャンブルが横行しておりそれから派生する八百長疑惑が後を絶たない、今のこの現状を打開しないと強くならない、しかし政治家達の人気取りの為にサッカー協会が使われている限り改善は無いと言っていた。
後半 KL Plus はアルゼンチン人FW Trinidad を下げて Samsuddn を投入し2トップを Agbo と組ませる。 Trinidad 怪我でもしたのか…… しかし KL Plus が昇格を目指して攻め続ける。50分にはその Samsuddn が右サイドバックのReeshafiq Alwi からボールを受けてシュートを放つが僅かに外れる。47分には Alex Agbo がプレー中に足を痛めるがベンチにさがらずそのままピッチに残り、4分後にフリーで抜け出てシュートを放つがここは DF Kamarulzaman がブロック。53分にはトップ下の M.K. Jamil を下げて Mohd Nor を入れて右サイドに張らせて3トップの様な形に。そして64分CKを得た KL Plus は攻撃参加したCBのNazrul Erwan Makmur 主将がヘディングシュートを叩き込み逆転ゴールを決めた。Makmur は試合中にも随所にヘディングの強さを見せていた。大喜びの KL Plus サポーター達。しかし試合はまだ25分残っている。 Kuala Lumpur FC も意地は見せてくれるだろう…..と期待したのだが。
こからKuala Lumpur ベンチは選手交替を立て続けに行う。 右の MF Karunanithi に替えて29番の選手が投入されたがこの選手は試合前に貰ったメンバーリストに載っていなかったので名前が解らなかった。71分には GKが替わり背番号1番の Saiful Amar Sudar が投入される。かつてここには Abdul Rashid Hassan と言うGKがおりマレーシア代表にも選出され1984年のロス五輪予選の日本戦に出場している。
隣の御婦人が教えてくれたがこの試合にはGK を含めた5人の選手がユースチーム所属との事であった。またガーナとアルゼンチンから助っ人選手がいるのだがこの試合にはベンチ入りをしていなかった。もう帰国したのかな ??
73分には守備的MFの位置にいた Mohd Sabri に替わり Raja Yahya が入るが Mohd Sabri は Raja Yahya とタッチも交わさずベンチに下がってしまった…….
それでもKuala Lumpur はボランチ以降の押し上げが足らず前線との間が開いてしまい相手ゴール前までボールを運べない。そんななか唯一良い動きを見せたのが背番号8番の Azidan Sarudin 。ボールキープも出来てパスセンスも良くそこから幾度となく攻撃展開が始まった。選手交代後徐々に Kuala Lumpur が盛り返す。FW のZamri Hassan が75分、79分と連続し惜しいヘディングシュートを放つ。Ibrahim Duad, Kamarulzaman と言った左右のサイドバックがサイド攻撃にからみ Azidan Sarudin が中盤で左右に動きゲームを作る。一方のKL Plus はFW の Alex Agbo 以外はすべて自陣内に下がって守備を固めようとするがちょっとボランチのポジションが低過ぎ無いか??? 89分には FW Agbo が下がり完全に守備固めに入る。同点ゴールを目指して Kuala Lumpur は最前線に4人を張らせるが、そのままタイムアップ。 昇格を決めた KL Plus の選手、コーチ陣そしてサポーター達は大喜び。この気持ちよく解るなぁ…….愛する京都サンガの入れ替え戦を思い出した。
隣の御婦人は勝者に拍手を送り私と握手を交わしスタンドを後にして行った。試合中何度かデジカメを回して試合の様子を動画撮影していた。御主人に見せるのかな………
試合が終わってもしばらく KL Plus と選手とサポーター達の歓喜は続いた。その歓喜いつまでもつづく事を願って私も競技場の外に……
やっと捕まえたタクシーの中で運転手がこの試合の結果をラジオで聴いたと教えてくれた。彼も日本のサッカーが好きだと言っていた。そしてマレーシアの事も…….
“昔は日本もサッカーが強かったんだけどなぁ…..ナカタ、ナカムラ…..いい選手いたんだよ…….”
将来そう言われない事を願いながら翌日の仕事の事も頭に浮かべた………………
展示会を終えてその日のうちに後片付けを終えられたので翌日土曜日は完全にオフとなった。この日は溜まりに溜まった e-mail の返事やら出張精算を行ったり身の周りの整備を行う。出発して2週間も経つとこう言う日は貴重だ。 ホテルに缶詰めになってこう言う事をしていると時間も経ちあっと言う間に夕方。最後の S-League 観戦に出かける。
この日の対戦は首位争いをするHome United と今季まだ未勝利のBalestier Khalsa 。Home United は首位の Super Reds が前々日 Tampines Rovers を 5-0 で降しておりまた、同じく首位争いをする昨年の覇者 S.A.F.F.C. が前日 Gombak と引き分けているだけにこのホームゲームはRedsに離されない為にも、S.A.F.F.C. に差をつける為にも勝利が欲しかった試合だった。
Balestier Khalsa にはかつて横浜フリューゲルスを筆頭に6チーム、J1,J2合わせてリーグ戦通算147試合出場した実績を持つ日本人DF瀬戸春樹がいる。彼がどういうプレーを見せるのかも楽しみに一つだった。
この試合はキックオフの前に競技場入り出来た。ここもなかなか立派なスタンド。
陸上競技用のトラックもある。中4日の Home United は前節引き分けた S.A.F.F.C. 戦のスタメンからFW のIndra Sahdan, カメルーン人DF Valery Hiek の二人が登録から外れ DF Rosman Sulaiman がベンチスタート。これは累積警告で7日後の次節 Tampine Rovers 戦で出場停止になるのを避けたのと4日後の AFC Cup のSouth China 戦を見越しての事か?
一方8日前に現在首位を行く韓国人チーム Super Reds と引き分けたBalestier Khalsa は同じスタメン。首位チームと引き分け2位の Home United からも同じ布陣。調子の時はメンバーをいじるなと言う考えか。
試合は開始早々から首位争いをする Home United がボールを支配するが決定機は作らさない。それは瀬戸の巧みなラインコントロールとここぞと言う時のマーク。
ある時はラストパスが通った相手の2トップ, この日スタメンに起用された20歳のNaruphol Ar-Romsowa そしてカメルーン人の Ludovick らがシュート態勢に入ろうとした時にマークに入り。そしてある時は 2列目の両サイド特に左の Mushadad, そしてブラジル人の Oliveira をマークし前線へのパス供給を塞ぐ。
Balestier Khalsa は Bekombo がワントップ気味 だが攻撃時には2列目左の Roshan Rai と 右のナイジェリア人MF Onyekachi がサイドをサポートし、トップ下の Yiguang がこぼれ球を拾う。そして左サイドのカメルーン人 MF Giscard, 右サイドの Poh Yi Feng がタッチライン沿いを前後に走る。この二人はどちらかと言えばデフェンシブハーフか? そうしている間に6分には MF Roshan Rai と カメルーン人FW の Paul Bekombo がパス交換からシュートに持ち込み、11分には今度は左サイドにながれた Bekombo がエリア内に切れ込み後ろに戻して走り込んだ Rosham Rai がシュートを放つ。いずれもカウンターからの攻撃だがその時には瀬戸もゴール前に現れたり、DFラインを効果的に押し上げたり観ていてさすがと思わされる。20分には Giscard のドリブル突破から Bekombo とのワンツーでシュートを放つが惜しくもサイドネットを直撃。やはりアジアの中ではアフリカ人のスピードは違う。それは Home United にも当てはまり22分ゴール正面だがやや遠めかと思われた位置から放った Ludovick のFKがポストを直撃する。そして25分にもゴール正面で Home United がFKを得ると今度はブラジル人MF Oliveira が直接狙うがこれは右に外れて行った。 Home United は25分を過ぎるとボールキープの出来る Oliveira が積極的に前に出て来る。そして右サイドバックのシンガポール代表の Shahril Ishak が前線に張り出して来て攻撃時には2トップの Ludvick, Ar-Romsowa に加えてIshak, Oliveira の4トップ状態になり、左中盤の Mushadad, シンガポール代表の Shi Jiayi が2列目に残りボールが跳ね返されてもそこでこぼれ球を拾われBalestier Khalsa は防戦につづく。38分にはBalestier Khalsa のGK Ong Sy Kae Daniel が不可解なオーバーステップを取られて間接FKを与えてしまう。そのFKを Oliveira が Mushadad に繋ぎ近距離からシュートを放つがDFに当たってCKへ逃れた。
そんな中先制点を挙げたのは劣勢の続く Balestier Khalsa 。42分 Onyekachi が右サイドから上げたクロスに Yi Feng が頭で合わせシンガポール代表GK Lionel Lewis の守りゴールを破った。実にシンプルながら鮮やかなゴールだった。 Onyekachi は本来右の2列目だがここは左サイドに現れてナイスクロスを上げた。これで試合は俄然面白くなって来た。
後半に入ってもリードされている Home United の攻勢が続く。46分には右サイドから Ishak の上げたクロスに Ludovick がヘッドで狙うがポストの右に外れて行く。40分には波状攻撃でBalestier Khalsa ゴール前に迫るが最後のエリア外から撃った Shi Jiayi のシュートは大きく外れる。この時も瀬戸が良い位置に居て決定的なシュートを撃たせなかった。57分にはShi Jiayi のパスを受けた Ludovick が Jufri Taha を背負いながら強引にショートを放つがこれはGK正面。63分にも同じように Ludovick は Taha を背負いながらもシュートに持ち込むがこれは瀬戸がシュートコースを切っておりゴールを許さない。
64分に Balestier Khalsa ベンチは得点者の Yi Feng を下げて Yusri Waris を投入する。その直後FKを得たHome United は Oliveira が直接狙うがこれは左ポストを叩く。今日の Home United はどうもゴールポストに嫌われ気味だ。71分に Home United ベンチは Mushadad を下げて Omar Ashibile を入れ, 77分にはDF Juntanを下げて MF のFarhan Farook を入れるその前にもタイ人MF Jaroonpong が投入され攻撃力をアップし同点ゴールを狙う。
Balestier Khalsa DF陣は瀬戸を中心に攻撃を食い止めて来たが82分Ar-Romsawa が上げた右からのCKをGK Ong Sy Kae がファンブルしキャッチできない。その落とした所を詰めていた Ludovick が押し込んで試合は振り出しに戻された。ここまで耐えいたBalestier Khalsa であったが遂に同点ゴールを許してしまった。しかし次の得点、勝ち越しゴールを狙う必要があったのはむしろ Home United の方であった。従って守りを固める事が出来なかった。それがBalestier Khalsa には幸運だったのかもしれない。
85分左サイドでFKのチャンスを得るとBalestier Khalsa フィールド選手では最も長身の瀬戸がゆっくりと上がって来る。そして Giscard が上げたFKに瀬戸が渾身のジャンプで放ったヘッドがポストを叩く。私を含め多くのBalestier Khalsa サポーターが悲鳴を上げる。この日のゴールポストは両チームに平等だったのか.....しかしそのこぼれ球をいち早く拾った交替出場の Farhan Musbah が Home United ゴールに蹴り込みBalestier Khalsa にリードをもたらした。
大喜びのBalestier Khalsa サポーター達。その歓声がスタンドに響く。Musbah がベンチ前に駆け寄り控えの選手達と歓喜の輪を作る他の選手達もその輪に加わる。
だが1人だけゴール前に倒れている選手が。高い打点からヘッドを放った瀬戸だった。どうやら着地の時に足がつったらしい。ピッチの外に運び出されるが既に交代枠は使い切っている。 Bekombo がわざとセンターサークル内に入ってキックオフ時間を遅らそうとするが瀬戸が立ち上がれずBalestier Khalsa が一人少ない状態で試合が再開された。残り時間、リードしているとはいえ瀬戸抜きでリードを守るのは至難の業だ。後方の在留邦人の方達から“蹴れ、蹴れ、大きく蹴りだせ。時間を稼げ。”と言う声が飛ぶ。 Oliveira のシュートはGKの正面に。そしてGK Ong Sy Kae はすぐにはボールを蹴らず時間をかける。そしてようやく瀬戸が拍手に送られてピッチに戻って来る。逆転ゴールを挙げた Musbah が瀬戸に抱きつく。
Home Unitedは再び同点ゴールを目指して前線に人数を掛ける。89分にエリア内右サイドにドリブル突破して来たAr-Romsawa が入れたクロスは瀬戸が落ち着いてクリアーする。その後も波状攻撃を見せるがシュートまで至らない。逆にBalestier Khalsa はカウンター攻撃からの右クロスに Bekombo がフリーでシュートを放つがこれはGK Lionel Lewis の正面に。そしてロスタイムが表示される。その時間は6分。Home United のサポーター達から歓声が起こる。 おいおいどこにそんな時間があったんだろう?
しかしそのロスタイムを使っても Home United は得点を挙げる事が出来ずタイムアップ。主力選手を温存した事が裏目に出た。そして痛い黒星となった。4日後の AFC Cup に引きずらねば良いが……. と思った。
大喜びのBalestier Khalsa ベンチそしてチアーガールを含めたサポーター達。強豪から今季の初勝利を挙げた。瀬戸をはじめBalestier Khalsa が丁寧に観客席に手を上げる。何人かの在留邦人の方達も瀬戸に声援を送る。足は大丈夫か…….
毎日試合がある S-League の日程のおかげで連日試合を見る事が出来た。その最後の試合観戦で瀬戸春樹の素晴らしい活躍を見る事が出来た。ここシンガポールではアルビレックスだけでなくここで活躍する日本人選手を何人も観られた。彼ら一人一人が日本を代表していると思えた。欧州だけがサッカーでない。それは世界中にある。ここでの日本人選手からエネルギーを貰えた。
そして翌日私はマレーシアに発った……….
Sengkang Punggol FC vs Gombak United 22nd April
いよいよ見本市も開幕し、現地の仕事もさぁこれからと言うこの日。
S-League の日程は前日が Woodlands この日は Gombak と本当に滞在中はこの2チームに縁があったなぁ……..
見本市を終えて競技場入りした時はもう前半がほぼ終わりかけていた。スコアー1対1になっていた。 中6日の Gombak は GK Razif Yahya. DF は左からSevki Sha’ban, シンガポール代表の Presious Emuejeraye, そして Bah Mamadou. 右サイドが Jaslee Hatta 。 ボランチが Ridhwan Jamaludin とタイ人MF Theerawesin Seehawong。 MFには左が Fazli Jaffar 右が Faizal Hamid 。そして2トップはナイジェリア人コンビの Kingsley Njoku と Gabriel Obatola. DF Jeremy Chiang に替って Sevki Sha’ban が、タイ人MF Theerawesin Seehawong がRuhaizad Ismali に替ってスタメン入りした。
一方の中9日の Sengakan Punggol FC 。2トップは Haris Sumri とチリ人 FW Ivan Cesar Asenjo。2列目の右サイドは Suriyandi Naib, 左サイドは Razali Johari。ボランチはクロアチア人MFZdrakov Simic と Fridaus Salleh 。そして4バックが左から チリ人 DF Luis Eduardo Hicks 、CBはWinston Yapと、かつてはアルビレレックスにも在籍した山本ヒロユキ, Ratna Suffian 。そして右サイドバックが Nor Azli Yusoff 。前節4失点を喫した Home United 戦のスタメンから DF の Mohmod Hashim と Ratna Suffian が外れ Winston Yap と Suriyandi Naib がスタメンに入った。
前半はそのまま1対1で終えハーフタイムを迎えた。同じチームの試合を連続してみると結構そのチームの特徴を掴める。 Gombak はサイド攻撃からナイジェリア人FWの2トップにいかに繋げるか。そして相対する Sengkang だが CB の山本、Yap がしっかりと対応しえいる感じがした。そして攻撃ではボランチの Simic が前に出て来た時がチャンスだ。 Simic は背が高く当然ハイボールには強く相手の攻撃の芽をよく摘んでいた。しかし登録では Simic は 181cm 。他では187cm のEmuejeraye 以外はみな180cm未満。その辺がアジアらしいのかも知れない……..
Sengkang はこの日まで10試合で勝試合が無く最下位。1-4 で敗れた4試合目の Tampines Rovers 戦で山本がゴールを挙げて以来、無得点試合が5試合も続きこの日の得点が6試合振りの得点。しかし後で聞いたがこの得点も Gombak の Bah Mamadou のオウンゴール。 これでは勝てない。
Gombak としても前節は徹頭徹尾攻めながら最後に中村彰宏のスルーパスに抜け出た朴泰完の1発に沈んでいるだけにここは下位に低迷する相手からしっかりと白星を稼ぎたいところだった。
後半に入ると Gombak の攻勢が目立つ。55分 Theerawasin のミドルはポストの僅か右。56分 Fazil Jaffar のクロスに合わせたKingsley Njoku のヘッドは僅かにゴール右上に外れる。69分にはまたも Njoku がTheerawasin のセンタリングから強烈なミドルを放つがクロスバーを僅かに越える。75分には Theerawasin が自ら放ったシュートは GK Hafez Mawasi がファインセーブ。
Sengkang のチャンスは65分に右から MF Haris Smuri の入れたクロスをGK Razif Yahya が弾きそのこぼれ球がフリーのチリ人ストライカー Asenjo の前に転がるもこれを Asenjo が空振りしたシーンくらいであった。相手のプレッシャーがきついのかボランチの Salleh , Simic がハーフウェイラインを越える事ができず防戦が続いた。 Gombak も75分に Njoku が負傷で下がり Emmanuel Emuejeraye を投入する。それ以降 E. Emujeraye のボールキープからボランチの Seehawong, Jamaludin が上がって来て前線で数的優位を保ち続けるも Sengkang は山本を中心としたDF陣、そして Simic , Salleh のボランチ、2列目の Naib, Johari までがディフェンスに腐心し失点を防ぐ。 Gombak の Precious Emuejeraye は前の試合の失点を気にしてかあまり上がってこない。83分ごろにようやく前に出て来た。Sengkang ベンチも87分にFWを Haris Sumri に替えて Fairoz Hasan を投入するも結局3分あったロスタイムを過ぎても両チーム追加点を挙げられずそのままホイッスル。 Sengkang の今季初勝利はまたもお預けとなった。 Gombak は3日後に強豪 SAFFC との試合が控えているだけに Njoku の負傷が心配だ。
ハーフタイムにこの前の試合で撮っチアーガール達の写真を焼き増しして上げた。前の試合でこのチームのニックネーム Bulls こと雄牛のかぶり物をもっていたリーダーに渡そうと思っていたが彼はおらずもう一人のリーダーに手渡した。随分と喜んでくれた。チアガールと言っても小学校の低学年から上はせいぜい中学生くらいか?親御さんたちも一緒に観戦してみんなから御礼を言われた。日本では考えられない異文化交流だ。これが東南アジアサッカーの良さかもしれない………
S.A.F.F.C. vs Gombak United 25th April
試合は表示された目安のロスタイム3分のうち2分が経過していた。 S.A.F.F.C. Warriors の勝利は目前だった。 Gombak は交替出場の Njoku が中央突破をはかる。そこに新井健二、シンガポール代表 DF Daniel Benett がマークに入るが Njoku はそれより一瞬早く左から走り込んできた Jalal にボールを送る。 Jalal が渾身の力を込めた放ったシュートはゴール右上隅に決まった。 Gombak ベンチは大喜び。そしてスタンドのサポーター達は狂喜乱舞。チアーガールの娘達の悲鳴、サポーターの中には泣き出す人も。試合はなかなk再開出来ないがようやくキックオフの笛が吹かれても20秒もしないうちにタイムアップのホイッスル。Gombak サポーター達の喜びが再び爆発した。これでここ2試合の不甲斐無い試合の印象を払拭出来ただろう…….
この日は見本市の最終日。いつもより2時間早く閉館するのだが、それからの後片付けが面倒だ。しかし以外に早く終わった。それから顧客の所にまわり食事を。しかしそれも早く終わった。時計を見ると午後8時少し過ぎ。この日は試合観戦をするつもりはなかったけどどうしよう……. 少し考えた後にタクシーに飛び乗り Jalan Besar Stadium に向かった。今からなら後半は観る事が出来るだろう。 首位争いをするS.A.F.F.C. Warriors と 下位に低迷する Gombak United 。今のチーム力に差はあるけど見どころはあるだろう。シンガポール代表を揃える Warriors を Gombak の代表 DF Precious Emuejeraye らがどう対処するのか、Gombak のナイジェリア人FWと新井健二らWorriors DF 陣との対決。そして深澤、村上ら日本人選手….. 連日の試合観戦も1週間を過ぎると色々見所を自分で見つけられるものだ。
競技場に着いたのは後半開始の少し前。 AFC Cup も行われる Young Lions のホームグラウンド Jalan Besar Stadium は結構立派な競技場だ。
早く着席しないと・・・とチケット売り場を話していると後ろから、” Oh You !! Thank you photo !! “ と声をかけられた。三日前に写真を上げた娘達の中の親御さんの一人だった。 “ You, Go, Go, Go straight ….. “ あっちの席にみんないるから早く行ってくれってことか….
だが私は幸運にもチケットを買わずに中に入れた…….. 先日の試合で会えなかったリーダーと再会、“ Thank you photo !! “ とここでも言われた。他の親御さん達にも御礼を言われた。本当に観に来て良かったと思った。
”スコアーは??“ リーダーに尋ねると掲示板を指さし “ 0-1 “ と教えられた。
後で知ったが先制ゴールは村上範和だった。 “ Soon, it will be 2-1 “ と彼には言うと、親指を立てた。 そして後半が始まった。 Gombak のFWを見ると19番の Kingsley Njoku がいない。後ろの人に ”Number 19 は??“ と尋ねると ”怪我でベンチスタート“と教えてくれた。この日の Gombak はナイジェリア人の Obatola と タイ人の Theerawesin の2トップだ。その他Young Lions でプレーした Jeremy Chiang が Jaslee Hatta に替ってスタメンに。 中2日の Gombak はそのコンディションが懸念された。 しかし Warriors も中2日。この日は前節出場しなかった新井健二がスタメン。他の日本人選手、Duric, Wilkinson, Bennett のシンガポール代表選手、元タイ代表の Therdsak Chaiman らもスタメンに名を連ねる。首位争いをする Super Reds が前日 5-0 と大勝しており首位争いに喰らい付く為にも負けられない試合だ。
開始10分を過ぎたあたりから早くも Gombak のDF Precious Emuejeraye が攻撃参加を。しかし最初のチャンスはリードしている Warriors 。58分右からのクロスを Duric が頭で左にそらし、 Mustaqim Manzur が中に折り返した所走り込んだ Therdsak がシュートに持ち込むがここは Emuejeraye がブロック。
だがこの後 Gombak の攻勢が続く。60分、 Gombak のタイ人 Theerawesin が新井、 Wilkinson を振り切って放ったシュートはCKに。そのCKからObatola が右からファーサイドを狙ったヘッドはクロスバーを越える。2トップの右に起用された Theerawesin が小気味良いドリブルで Warriors ゴールに迫る。63分には左サイドから中に切れ込んだ Jamaludin が戻した所を走り込んだ Sutohmoh が撃つがこれは GK Janatan がセーブ。 Gombak は63分ごろから4バックの右サイド Faizal Hamid を中盤に上げ相手の左サイドを抑える。すると Therdsak が右に回って来てボールを繋げる。65分には Therdsakから中の Duric に繋ぎ、後方の Wilkinson に落しそこからミドルシュートが放たれるがポストの右に外れて行った。
70分Gombak に同点ゴールが生まれる。 交代出場の Jalal からボールを受けた Obatolas がドリブルでエリア内に持ち込む。そこに新井がタックルに入り Obatolas が倒れると Pandian 主審がペナルティースポットを指す。これは Obatolas の技ありの倒れ方と言うよりも主審の見方が…… と言う判定だった。新井がタックルはしっかりとボールを捕らえており、Obatolas は新井の体に“つまずいて”倒れたのだら…….
このPKをObatola が決めて 1-1 の振り出しに。 Gomabk サポーター達は大喜び。 絶対に勝利が欲しいWarriors はここから右サイドを深澤、 Therdsak の二人で崩して Gombak ゴールに迫る。72分には深澤がDF二人をかわしてクロスをいれるが中の選手に合わない。81分には深澤、Therdsak と繋ぎ Therdsak が一人かわして入れたセンタリングから Manzur がシュートを放つが右ポストを直撃する。でもさすが Therdsak .かつての ACL MVP 選手だ。
Gombak は83分に Njoku が投入されるが下げられたのは同じナイジェリア人の Obatola 。前半は結構チャンスを逸したらしくこの交替は妥当なものと後ろのサポーターが教えてくれた。87分にはまたも Therdsak が右サイドをドリブルで上がり入れたクロスに Wilkinson がシュートを放つもポストの右。そして89分エリアからやや外の正面の位置から村上が右に送るとそこにはフリーの Therdsak がおりそのまま Gombak ゴールに蹴り込みWarriors が勝ち越しを決めた。意気消沈する Gombak サポーター達。向こうからはチアーガールをはじめ Warriors サポーター達の歓喜の声が聞こえて来る。
試合が再開されすぐにロスタイム3分と表示される。Gombak イレブンの諦めずに前線にボールを出す。あぁ Woodlands 戦の様にこの試合も…. 時間は過ぎるがまだ1分程残っていた。そして Njoku が中央を爆発的なドリブルで上がった……..
試合が終わっても Gombak サポーター達の喜びは続いた。何人かのチアーガールの娘達が私を見つけて“写真をありがとう….” と握手を求める。そしてリーダーが私に ” 写真を撮ってくれ ! ! “ と言いチアーガール達を整列させる。シャッターを押し、送り先の住所を聞き、” 明後日シンガポールを発つから。本当に楽しめた。“と言うと、彼は ”アリガトゴザイマシタ。サヨナラ。“と日本語で何度も言ってくれた。そして他のサポーター達に私がシンガポールを後にする事を言ってくれたらしく、みんなから拍手をもらいながら競技場を後にすることに……
スポーツはどこにでもある。そしてそれを生活の糧にしている人達もいる。異国で再認識出来た。そしてこの日、後半だけであるが観に来て良かったと思えた…………..
4月20日。オーストラリア西部の都市パースから再びシンガポール入り。南半球は秋の始まりとは言え今年は少し気温が高く、今の日本よりは気温はやや高め。半袖で過ごせた。とはいっても初日は大変な大雨に見舞われたが。それでもシンガポールはずっと気温も湿度も高かった。
この日は Woodlands Stadium にて Woodlands Wellington と Geylang United のゲームがあった。Woodlands と言えば4日前 Gombak United 相手にロスタイム、中村彰宏のスルーを受けた朴泰完のゴールで勝利をものにしている。この試合の前まで Woodland が勝点12で6位。対戦相手のGeylang United は勝点10で 9位だが敗れると勝点を抜かされてしまう。前日5位の Tampine Rovers が Young Lions に勝った勝点を17としているだけにWoodlands としては勝利を収めたいところ。
しかし Geylang はボランチにはスロヴァキア人Rastislav Belical とブラジルからの助っ人 Luiz Machado Jr. そしてFWにもスロヴァキア人のMiroslav Latiak がおり、DFは CB Baihakki Khaizan, そして右サイドバックのNoh Rahmen はシンガポール代表選手。 Khaizan は U-16,18 シンガポールのメンバー入りを果たし 2004 Tiger Cup のメンバーでもあった 190cm の長身。 Rahmen も2001年から代表入りしている。
結構なタレントが揃ったチームだ。Easy には行かないだろうと思った。
それでも先制ゴールは Woodlands 。MFのIsmadi Mukhtar が入れたロビングがそのまま Geylang ゴールに吸い込まれ幸運な先制ゴールが入った。GKの Amos Boon は目測を誤ったか??
この日の Woodlands は前節の Gombak 戦では途中出場で決勝ゴールを挙げた韓国人FWの朴泰完がスタメン入りを果たし右に流れてチャンスを作る。中村もなかなか良いパスを送る。後半に入りリードしているWoodlands が先に選手を替える。右サイドバックをZahid Ahmad に替えて Azlan Alipah を入れる。これは Geylang が中8日なのに対し,Woodlands が中4日と言うコンディションを考えてか?
しかし50分を過ぎると Geylang のMF Mohd Noor Ali が上がって来てチャンスを作り出す。5分には左サイドを上がって入れたクロスに Latiak が飛び込むがシュートはバーを越える。 53分にはまた Mohd Ali が左サイドを Anaz Hadee をかわして入れたクロスを今度は Latiak が決めて 1-1 の振り出しに戻した。
そしてその6分後、今度は FW Masrezwan Masturi とのワンツーで抜け出た Latiak が連続してゴールを決めて逆転をする。 Masrezwan は以前、 Woodlands でプレーしていた選手。こうなって来ると中4日の疲労が堪えて来るか…..
Woodland は右サイドからルーマニア人DF Dronca そしてJerry Bartholomeuszの二人が右サイドを上がって来て同点を狙う。65分には FKのチャンスから Dronca がヘッドを放つがバーを越えて行く。67分には Kamal Nasir を下げて Hasin Jailani を入れて中盤を活性化させる。74分には朴泰完からボールを受けた中村が右サイドからミドルを放つがポストの右にシュートは外れて行く。 FK時にはMFのSazali Salleh がゴールマウスに入って来る。時間が経つにつれて Dronca が前に張り出す。 Geylang も190cmのCB Khaizan が必死にクロスを跳ね返す。そして試合終了間際には選手交替で時間を稼ぐ。もう交替出場のブラジル人助っ人 Rivaldo Costa を残して殆どが引いている。このまま試合が終わるかと思ったロスタイムの92分、朴泰完が右に流れて Geylang ゴール前にクロスを入れる。そして混戦から中村彰宏がGKも抜いてフリーで抜け出す。しかし中村が放った最後のシュートは無情にもポストを叩いてしまった。そしてタイムアップ。リードされてからもチャンスが多かったWoodlands が同点ゴールを挙げられなかった。前節の Gombak United 戦と対照的な後半であった。 試合終了後、クールダウンのストレッチをする Woodlands の選手。朴泰完に “ケンチャンスムニカ?”と声を掛けると右手を上げてくれたが表情は冴えない。
日本人の男の子が“中村コーチバイバイ”と声を掛ける。厳しい表情の中村がそちらを見て頷く。 日本じゃ考えられないシーンだなぁ………
次節は中3日で古巣アルビレックスとのゲーム。10日間で3試合はきついだろうが次戦に向けてしっかりとコンディション作りを…… と思いながらホテルに戻った……..
Home United vs Singapore Armed Force F.C
1996年にS League がスタートして以来優勝6回。2位が4回と S-League の顔と言っても良いくらいの Singapore Air Force F.C. 。今シーズンはこれまで勝点24。勝点25の Home United, Super Reds に続いて3位だがこの日は当面のライバル Home United 戦。ここはしっかり勝って首位奪還と行きたいところだっただろう。しかし Home United は昨シーズンわずか勝点1差で優勝を逃した。第32節の直接対決では 0-0 の引き分けに終わりこの時点で Home United の自力優勝は無くなり、一縷の望みを託した最終戦も SAFFC はGombak United を2-1で破り3連覇を飾った。HomeUnited は4年振りの優勝を逃しただけに今シーズンに掛ける意気込みも想像できる。そしてこの2チームは通算勝利数でも1位 SAFFC 222勝、2位Home United 187勝とまさに宿敵同士。
さらに選手達もタレント揃いだ。まず SAFFC だがスター選手は何と言っても FW の Aleksandar Duric .ボスニア生まれながら1994年からSouth Melbourne や Sydney Olympic と言ったオーストラリアのNSL に所属し一時はオーストラリア国籍も持っていた選手。バルセロナ五輪にはカヤック選手としてボスニア・ヘルツェゴビナ代表として参加したというキャリアーももつ。中国でもプレーし、S-League には1999年に Tanjong Pangar United と契約したのを皮切りに Home United, Geylang United と渡り歩き 2005年から SAFFC に所属する。そして昨シーズンはチームの優勝に貢献し最優秀選手に。さらにシンガポール人女性と結婚したことから2007年にシンガポール国籍を取得。今はシンガポール代表としてもプレーし先般のワールドカップ予選のレバノン戦では先制ゴールを決めている。
Duric だけではない。Jhon Wilkinson と言う England から帰化してシンガポール代表入りしている28歳のMFもおり、先般のワールドカップ予選にも出場している。そしてDFにはTiger Cup 2005,2007 2002年から代表入りしている 30歳のベテランDanied Mark Bennett がいる。またMFには私の好きな元タイ代表の MF Therdsak Chaiman がいる。昨年のアジアカップにも出場し、2002-03の ACL では当時所属した BEC テロサーサナは決勝で敗れたが最優秀選手賞を受賞した選手。
また日本人選手も3人いる。かつてアルビレックスS新潟に所属したDF新井健二は今シーズンがSAFFC 3季目。昨シーズンACLで川崎フロンターレとも戦ったタイの Bangkok University に所属していた日本人選手、深澤仁博は今季から SAFFC でプレーする。村上範和はアルビレックスS新潟でもプレーをしBalestier Khalsa を経て SAFFC に。
Home United もタレント揃いだ。現役シンガポール代表選手が3人いる。 MF Shi Jia Hay は上海出身の帰化人選手。また同じMFの Mohammed Shahri Bin Ishak もシンガポール代表で2004年には日本とのワールドカップ予選に出場している。GK Lionel Lewis は2006年のAFC Year of the Player にノミネートされた。他にもカメルーンからの助っ人Valery Hiek, Kengne Ludvick ブラジル人選手 Peres de Oliveira そしてタイ U-18 経歴もあるKornprom Jaroonpong らがいる。
この首位攻防戦。楽しみにしていたのだが仕事が終わって競技場に着いたのが前半30分少し前。スコアーも0-1 でアウェーの SAFFC がリードしていた。あぁタクシーで来たら良かったかな…… その得点は開始3分に深澤が決めたものだったらしい。やっぱしタクシーで来るべきだったか……
34分に Shaharil Alias が村上を倒してFKを貰うと、そのFKをタイMF Therdsak が直接決めて SAFFC が 2-0 とした。SAFFC のチアーガールは大喜び。こちらとしては首位攻防戦なのであまり点差は開いてほしくは無いのだけれど………
しかし後半開始早々の33秒、カメルーン人FWの Kengne Ludovick が素早い動きからゴールを決めて1-2 とする。このゴールは大きかった。 Home United はここからブラジル人FW Oliveira のボールキープから何度も SAFFC ゴールに迫る。49分にはNaruphol Ar-Romsawa がSAFFCのGK Shahril Jantan が前に出て来ているのをみてループ気味にロングシュートを放つがこれは惜しくもクロスバーを叩く。そして52分。Shi Ji Hay の右からのCKに Oliveira が鮮やかにヘッドで決めて後半あっという間に Home United が追いついた。以降も Home United は左サイドバックの Juma’at Juntan, Oliveira が左サイドを切り裂いていく。Juntan は鋭いスルーパスも出す。また Shi Ji Hayが右の高い位置でボールをキープしチャンスを作る。 SAFFC にとってこの厳しい状況を打開したのは Therdsak 。中盤でのボールキープ、ドリブル突破で何とか挽回をはかる。64分には絶妙のスルーを Duric に送りGK と1対1に。しかし GK の Lewis がこれをストップ。代表選手同士の見ごたえのある一瞬だった。 そして69分。今後物議を醸すであろうシーンが。CKを得たSAFFC は Shaiful Esha が右CKを入れる。ボールは直接ゴールに飛んでくる。GK Lewis を越えてファーサードに側に吸い込まれそうになったところを Oliveira がヘッドでクリアーするが、Oliveira の身体は完全にゴールの中に入っていた。猛然と抗議する SAFFC イレブン。しかし判定は当然変わらない。
そしてここから試合は両チーム勝利を目指して激しくなる。74分、John Wilkinson のミドルシュートを Lewis が足でストップすれば、その直後の Ludvick のミドルシュートは Jantan がパンチで防ぐ。 78分に Duric の突破を Alias がファールで止めると、82分今度はお返しにとばかりにAr-Romsawaが左サイドタッチライン沿いをドルブルで突破するところを交替出場の Razaleigh Khalik がファールで止める。それぞれにイエローカードが出される。84分には波状攻撃から最後は Duric, Wilkonson そして Mustaqim Manzur がゴール前になだれこむが Home United のDF陣も必死の守り。85分にSAFFC は Ashrin Sharif を投入する。ここでどうしてFWを下げてMFを入れるのだろう…..
89分 Oliveira が右サイドを上がり逆サイドの Shi Jia Hay に。そして Shi のシュートはクロスバーを叩く。天を仰ぐ Shi Jia Hay 。 そしてロスタイムに入った93分。深澤が Jantan からボールを奪い Home United ゴールに迫る。最後はフリーの Shariff に送られるが Shariff は痛恨のトラップミス。完全にフリーだっただけに…….
そしてタイムアップ。2点のビハインドを追い付き最後の決定機を相手のミスで救われた Home United サポーター達が試合終了後いつまでも喜んでいた。
しかし、この結果を最も喜んでいるのは首位争いをするもう一つのチーム Super Reds だろう。そして4枚のイエローカードを貰った SAFFC の方が痛かったかも知れない。しかも最後の7分で3人が警告を受けている……..
試合内容としてはさすがに首位攻防戦。他の試合とは少しレベルが違った。
そしてここでも日本人選手が頑張っている姿を見る事が出来た。
それを明日からのエネルギーに替えよう……….
2年に一度シンガポールで開催されるアジア最大級の見本市に出展参加する為にここに滞在して1週間近くになる。香港や台湾に在住されている方でさえ開口一番 “暑いなぁシンガポールは” と発するあたりはその暑さを証明するには充分だろう。
2月下旬にスタートした今シーズンのシンガポールの国内リーグ、Sリーグ。アルビレックス新潟は参戦して今年で6年目だ。先週まで3勝5敗2分けで12チーム中9位の戦績。昨シーズンは8位に終わり、一昨年は11チーム中6位。2005年は10チーム中5位と少しずつ順位を落としている感じがする。
今や日本サッカー、そして選手はアジアではトップクラスと言われている。その若い日本人選手で構成されているチームがFIFAランクではかなり下がるシンガポールの国内リーグに参戦しているのだが相手チームには東南アジアとは言えシンガポールやタイなどの国家を代表する選手や欧州、南米からの助っ人もいる。そうそう簡単には勝たせてくれない。また昨シーズンから参戦の韓国の選手で構成される Super Reds 、今年から参加している中国の大連実徳と強豪もいるの。大連は19歳から20歳の選手で構成されているがReds は21歳の選手から22,23歳の選手が中心だが30歳の“ベテラン選手”もいる。アルビレックスシンガポールの主目的はここで経験を積んで新潟のトップチームに引き上げることでここの選手達も日本でプレーする事を目標としている事だろうが、やはり勝負事には勝ちたいのがスポーツ選手だろう…..
仕事の都合で Jurong East Stadium に到着したのは試合開始15分すこし前だった。 Chinese Garden 駅で日本代表のレプリカを着た子供がいたのでその子に親指を立てて “Japan !! “ と言ったら日本人でお母さんと一緒にこの試合を観戦に来る途中だったらしい。
”アルビレックスですか?試合始まっていますね。“と母親に言うと
”そうですね。もう始まった頃ですね。“ と言っていた。
思い出すのは私がルーマニアに在住していた時。今から14年も前の話。当時楽しみに少ないルーマニアでは子供達を引率して 2回ほど Steaua Bucuresti のUEFA Champions League 応援ツァーを敢行した。もちろん親御さんも一緒に。今、ここシンガポールでは日本を代表してアルビレックスがいる。在留の子供達の為にもぜひ良い試合を…と期待した。
競技場に着くと真っ先に弁当を求める。まだ残っている。可愛らしい日本人女性が丁寧に献立(といても炒飯かチキンカレーの2種類しか残っていなかったが。)を説明してくれた。結局炒飯とフライドチキンを買ってSG$6.00 を払う。昨日までは競技場の到着がおそかったので弁当にありつけなかったが今日は入手できた。おにぎりもあったぞ…..それにしても彼女は試合を観られるのかナ???
そう言えば入場料も SG$6.00。他の競技場は SG$5.00 なのにここだけ違うのは理由があるのかな???
私が着席した時、スコアーは 1-1になっていた。前節は大連実徳を2-1 で降し3試合振りの勝利をものにしたアルビレックスのこの日の相手はWoodland Wellington。
アルビレックスは前節大連戦のスタメンからFWの秋吉泰祐が外れ18歳の和田将志が入った。この二人は前節の80分に交替をしておりそおままそれが続いているのか?? Sリーグはリーグ振興の為かほぼ毎日1試合か2試合ずつゲームが開催されている。従って試合間隔がまちまちでこの試合の両者はアルビレックスが中6日なのに Woodland は中3日の強行軍。その Woodland はCBの Jerry Baltholomeusz が累積警告で出場停止。サテライトの若い Fathal Rahman がルーマニア人DFの Lucian Dronca とCBを組み、2列目左の Kamal Nasir Haja がベンチスタートでそこにはGayland 戦では中村彰宏と中盤を組んでいたSazali Salleh がそのポジションに入り、ベテランの Hasrin Jailani がこの日は中村彰宏と中盤を組んだ。中村は4日前の Geylang 戦はロスタイムに決定機を外しチームを敗北から救えなかっただけにかつての古巣相手となるこの試合にかける意気込みは相当なものであっただろう。
私自身シンガポール入りして既に2試合 Woodland の試合を観ているのでこのチームの特徴を結構掴んでしまったか…..
28分Woodland が次の得点を決める。右サイドで得たFKを Hasin Jailani が入れたところを Dronca が身体を折り曲げて低い位置からヘッドで合わせてアルビレックスゴールネットを揺らし、1-2 とされた。 30分には左サイドをIsmadi Mukhtar に破られ入れられたクロスにフリーの朴泰完がヘッドで狙うがこれは外してくれた。
今シーズンのアルビレックスは失点が目立つ気がする。前節まで10試合で24失点。第4節の Home United 戦で5失点、第9節の Tampine Rovers 戦では6失点。先制点を許した試合が4試合。それ以上に連続失点が目につく。特に Rovers 戦では先制しながら連続6失点。この試合はDF陣の奮起を期待した。
その願いが通じたか、30分過ぎからアルビレックスが徐々に主導権を握る。31分には和田将志がドリブルシュートを放つがこれは惜しくもポストの左に外れる。32分にはFW佐藤に替えて190cmの長身FW土井良太を入れそこをターゲットにボールを入れる。そして34分にはゴール正面でFKのチャンスを得ると、ベテランFW岡山哲也がそれを直接蹴り込み、同点!!と喜ぶが掲示板の得点は 1-2 のままだ。隣の人に訊くと “今のスコアー”が正しいかったそうだ。と言う事は先制を喫し、追加点も取られた後のゴールと考えなおさねばならなかった。
それにしてもさすがはJリーグ開幕前からプレーを続けている大ベテラン。元“ミスターグランパス”。しかし今でも彼をこう呼ぶグランパスサポーターもいるらしい。これに触発されたか高瀬証中盤からドリブルで Woodland ゴールに迫る。これを Zaid Ahmed がファールで止めてイエローが出される。にわかに選手に積極性が出て来た様にみられるが43分にはカウンターから朴泰完、モロッコ人FW Abdelhadi Laakakad に渡って撃たれたシュートはGK高橋が何とかセーブ、そのこぼれ球を繋がれ中村が撃ったシュートはゴールポストの右に外れた。守勢にまわるとラインを下げてカウンター狙いに切り替えるしたたかさを見せられた感じがした。
ハーフタイムに弁当を食べていると AKIHIRO のレプリカを着た日本人の男の子が。彼の少年チームGFA のメンバーの子か?そういえば4日前の試合でも同じシャツを着た日本人の子を観た。後で知ったがこの試合のWoodland の先制ゴールは Dronca だったがそのゴールは中村彰宏のアシスト。欧州だけではない世界中で日本人選手が頑張っているのだ。
後半に入って最初のチャンスは Woodland。 Dronca が左から上げたところを中村が頭で落とし走り込んだ朴泰完がシュートを放つがこれは僅かにオフサイド。そしてその後はアルビレックスが長身の土井にボールを集め攻勢に出る。52分には右サイドから朴明彦のFKに合わせたヘッドは惜しくも外れ、53分には岡山から送られたロブをGK Yazid Yashin の出鼻をループ気味に浮かして狙うがこれも僅かに外れる。55分には左サイドをあがった朴明彦が入れたクロスに飛び込むがわずかにオフサイド。この時間から左サイドの朴明彦が積極的に上がり前線にボールを送るが Woodland もゴール前に人数を集めてラストパスを通させない。そして時折カウンターでアルビレックスゴールに迫る。63分にはFW Laakkad とのワンツーで抜けた Sazali Salleh がシュートを放つがクロスバーを越える。その直後にもカウンターから今度は右サイドを Laakkad, 朴泰完に崩されそこから逆サイドの Salleh に。フリーの Salleh が走り込んだフリーの Laakkad に送るはずのクロスは大きく外れた。67分にはカウンター攻撃を受け最後はファールで止めてFKを献上。 Doronca のFKはポストを直撃しひやりとする。 70分にはロビングに中村が飛び込むがここはGK高橋がブロック。いずれもカウンターからの速攻だった。
70分に Woodland は 右のMF Hasin Jailin を下げて中村を右に回し、左に Kamal Nasir Haja を投入する。Nasir Haja は前節の Geylang 戦ではスタメンだった。Nasir Haja はアルビレックスの攻撃に糸口を中盤で摘み取っていく。いい上がりを見せていた朴明彦はその前に交替で下がってしまった。彼がいればなぁ…と思った。
そしてそこから攻撃に転じる。74分には Mukhtar のクロスに朴泰完がボレーで狙うがクロスバーの上に、78分には中村を起点に Mukhtarを経て朴泰完がシュート、そのこぼれ球を Mukhtar が撃つがここはCKへ逃れる。
80分にアルビレックスベンチはMF和田将志を下げてDF 石井彰浩を入れ,望月隆司をDFから中盤に上げる。中盤を厚くするのだが試合はアルビレックスゴール前で展開される。82分に朴泰完が須永俊輔を振り切ってドルブルで上がり最後は望月がファールで止めてイエローが出される。そのゴール正面からのFKを Laakkard が直接狙うがGK高橋がファインセーブ。スタンドの在留邦人の方達からは大歓声が起こる。
次は得点シーンを、まだ時間は残っている…..と思った86分、 Mukhtar を振り切って上がった岡山が入れたクロスに土井が飛び込むがそのヘッドはゴール枠を捉えられない。そして残り時間を Woodland に守り切られタイムアップ。
レギュラー選手二人を負傷、二人を累積警告で欠き、中三日で疲労が懸念された Woodland の粘り勝ちと言ったところか?FKを与えても小競り合いに“持ち込み”すぐにリスタートさせないしたたかさも。
この日の試合は小雨がふったり湿度が高かったりと選手には厳しいコンディションだっただろう。日本での試合の様な運動量をここで求めるのは酷だ。そう言う中、やはり “地元”の選手は動きどころを抑えている様に思えた。
第1クールを終えてアルビレックスはまだホームゲームでの勝利が無いらしい。
帰りにお弁当を売っていた日本人のお嬢さんが観客達に丁寧に“お疲れ様でした”と声をかけている。いろんな人が支えてこのチームがあるんだなぁと実感する。
次はこの人たちそして在留邦人、子供達の為に勝ち試合を見せてやってくれぃ……..
それにしても4月の東南アジアは地獄の様な暑さと湿度だ。まぁ赤道がすぐ近くにあるので暑さは当り前なのだろうが。今でも忘れられないのが1984年のロス五輪予選。丁度今頃このシンガポールで開催された。テレビを通じてでも日本選手がこの暑さに参っているのが解った。対戦相手は初戦がタイ、続いてマレーシアとシンガポールを“ホーム”と出来る国が相手。続いてカタール、イラクと結局4連敗してしまうのだが、その要因の一つが4月にここを初めて訪れた時に解った…….
一時は通貨危機で経済が大きく落ち込んだシンガポールだが今は好景気に沸いている。自動車の量が増え、この狭い国土でその増加を抑制する為に自家用車への課税率を上げても“効果”は無く、政府は朝夕の混雑時の渋滞緩和の為に今度はタクシー料金に時間帯を決めて35%の sur charge を課す事に。ガソリン料金もSG$2.00 / L を下らない。これはリッター当たり 150円以上で与野党がガソリン代金で人気取りをしているこが滑稽に思える。それでも特に夕方午後5時からの渋滞は酷くなっている…….
アルビレックス新潟が参戦している事で話題になる事もあるが、ここシンガポールには S League と名をうった国内リーグがある。 今シーズンは4月14日日程終了時で Home United が勝点25でトップそれを追ってSingapore Armed Forces FC, Super REDS が勝点24で追い、そこから勝点10の差があって4位に Tampines が続きアルビレックスは9試合で勝点8順位も12チーム中10位と出遅れている。 Super REDS は昨シーズンから S-League に参戦した韓国人選手で構成されたチーム。昨シーズンは勝点18しか上げられず最下位に終わったが今年は少し違い、既に昨年の総勝点を上回っている。
観光ガイドブックには必ず紹介されているOrchard Road からタクシーで渋滞に巻き込まれながら約30分、Gombak United のホームグランドに到着する。ここに来るのは3年振り。あの時はアルビレックスの試合だった。この日の相手は Wellington Woodland 。8試合を消化して勝点9で Gombak と並んでいるが順位は得失点差で Woodland が9位、 Gombak は8位となっている。共に順位を一つずつ上げる為にも負けたくない試合。 Gombak は昨シーズン4位であったが3位の Tampines とは勝点差が 29も開いた48しか上げられなかった。と言うよりも昨シーズンは上位3チーム Singapore Armned Forces ( 勝点79 ) Home United ( 78 ) Tampines ( 77 ) と完全に上位3強の優勝争いであった。
この日は試合開始前から霧雨が降っていて開始時にはそれがすこし大粒になっていた。試合は開始からホームの Gombak United が圧倒的に試合を支配する。ナイジェリア人の2トップの Kingsley Nijoku と Gabriel Obatola の二人が強い。そしてサイドバック、右の Faizal Hamid 左のJeremy Chiang の二人が良く上がって来てチャンスを作る。特に Hamid はドリブルがうまい。そしてボランチの Ridhwan Jamaludin, 2列目右のRuhaizad Ismail もボールがよくキープできる。 Woodland はこの攻撃を何とかCBのAzmi Mahamud とルーマニア人DF Lucian Droncaの二人で凌いでいると言った感じだ。 Dronca は2000-01シーズンからマルタの Birkircara でプレーをし2002-03 のシーズンはチームの最優秀選手に選ばれた。 Gombak はCKを得ると CB の長身187cm のPrecious Emuejeraye がゴール前にあって来る。そしてそのCKを Emuejeraye が頭で折り返した所を Obatola が頭で押し込むがこれはオフサイドの判定。Precious Emuejeraye はシンガポール代表歴もあり昨年アジアカップ前にオーストラリア代表がシンガポール入りし、調整試合を行ったっ時に出場を果たしている。そして今年のワールドカップ予選、サウジアラビア戦、レバノン戦と出場をしている。
28分には 右サイドのタッチライン沿い、Ismail のスルーパスがオーバーラップした Hamid に渡りクロスが入るがこれはゴールラインを割ってしまう。30分にはCKのチャンスから最後は Jamaludin がシュートを放つがDFに当たってゴールには至らなかった。 42分には Nijoku のシュートがサイドネットを直撃し、その直後に Ismail が右から入れたクロスをNijoku がヘッドで狙うがこれは大きくゴールを外れた。押されっぱなしの Woodland は30分、右サイドを Sazali Salleh がBah Mamadou をかわして日本人MF中村彰宏に送る。中村は絶妙のクロスを入れるがFadzuhasny Juraimi のヘッドは力なくGK正面に。ロスタイムに入ってIsmadi Mukhtar の突破から2度 Gombak ゴール前に迫るが得点には至らなかった。
この試合の一つの目当ては中村彰宏。東海大学卒業後はサラリーマンになったがその後シンガポールに渡りSリーグの選考にパスし以降現在まで Sリーグでプレーし続けている。一時はアルビレックスシンガポールにも在籍した。しかし前半は守勢に回り中村にあまりボールが渡らなかった様だ…….
ハーフタイムに入って“夕食”を摂る。入口のすぐ近くで売っていたナシゴレン(日本でいう炒飯)と揚げ餃子などのおかずがついてSG$6.00 ( 約450円)の弁当を開く。これがなかなか美味いのだ。試合の開始からリズミカルな打楽器の演奏で両チームのサポーター達が熱心に応援を続けている。ホームの Gombak の方は12名のチアーガールがそのリズムに合わせてのべつ幕なし踊り続けていた。チアーガールと言っても年齢は小学校低学年から上はおそらく高校生にもなっていないのではないかな??彼女達が陣取る場所はスタンドの真ん中で観戦するには一番良い場所なんだけど…..恐らく雨が降らねばスタンドの端の方に陣取った事だろう。前半の終わり頃から雨脚は止まっていた。しかし後半もそこで応援するのだろう。チアーガールを使って応援するやり方を私は悪いとは思えない。リーグを盛り上げようと必死になっているのだろう。Jリーグ発足前のJSL時代、日産自動車、全日空、古河電工、本田技研そして住友金属なんかがチアーガールを起用した応援をしていた。古河は当時存在したアイスホッケーの試合でも起用されたチアーガール達だったと思う。本田、住友は社内の女性社員だったのかもしれないが全日空、日産は専門のチームと契約していたらしい。一度テレビで特集されたのを看た。日本リーグをそしてサッカーを何とか“メジャーにしよう”と言う思いは伝わって来た。今はそう言う必要は無いけど…….
後半は開始早々に中村が倒されて起き上がれない。そして外に運び出されてしまった。 Woodland は中村のスルーパスと Mukhtar の突破だけが頼りなので中村が下がってしまうといよいよゴールが遠くなる。中村は数分して何とかピッチに戻って来た。試合は相変わらずホームの Gombak が支配を続ける。FW のObatola が今度は自らが起点となってチャンスを作る。48分には左サイドを上がり Nijoku に送り、後ろから上がって来た Fazuri Jaffar にスルーが通るが Jaffar のシュートはクロスバーを越える。50分には Obatalo のスルーパスがまたも Jaffar に通り、 Jaffar が上げたクロスを攻撃参加した CBの Lucian Duronca がヘッドで合わせるがこれもバーを越えた。52分今度は Nijoku が中央を強引に突破しシュートを放つがこれもクロスバーを越える。 Gombak のFWはスルーパスも突破も出来るがやはりFWはシュートを撃たねば……. 劣勢続く Woodland は 52分に FWのFadzuhasny Juraimi をAzlan Alipah に替える。しかし Woodland はFWにまでボールが繋がらない。54分 Obatola のスルーパスがまた Fazuri に通り Fazruri がそのまま右から中へ切れ込む。シュートレンジに達したが中に戻した所を Woodland のDFがコーナーへ逃げる。そのCKからのこぼれ球を Fazuri が撃つがGKの正面。 62分には右サイドを崩して Obatola が今度はシュートを撃つが GK Yazid Yasin がパンチングで防ぐ。そのこぼれ球を拾って繋ぎ Nijoku の放ったシュートはゴールネットを揺らすがオフサイドの判定。この試合2度目のオフサイドゴールとなったが今度は納得のいかない Nijoku が主審に詰め寄る。 攻めても得点の入らない Gombak, 防戦一方の Woodland 。この高温多湿を考えればそろそろ選手交代が必要になる時間帯。次に交替カードを切ったのは Gombak ベンチ。後半はあまり攻撃に絡まなくなったMFのIsmail を下げてEmmanuel Emuejeraye を68分に投入する。 Emuejeraye は左サイドバックに入り、Chiang は右サイドバックに移り、右サイドの Hamid が中盤に上がって来た。すると71分 Woodland が右サイドバックの Anaz Hadee を下げて3バックにし 韓国人FWのパクテウォンを投入する。そのせいか Gomabk ベンチは74分に右サイドに移した Chiang を下げてSevki Sha'ban を投入し左サイドバックに置き 中盤に上げたはずのHamid を右サイドバックに下げて4バックに戻した。そしてCBの Emuejeraye がセットプレー以外でも上がって来て1点を狙う。 79分にはクロスに飛び込むもここはキーパーチャージを取られた。82分に Woodland はMF Fadzuhasny Juraimi を下げて Azlan Alipah を入れるがフォーメーションには特に変更は無い様だ。最前線にパクが入ったので3トップ気味にはなっているが。 Gombakは84分、左サイドから起点になっていた Fazuriを下げて Jalal を入れる。 Jalal は Fazuriよりも中の位置に入る。圧倒的に攻める Gombak しかし最後に唯一の得点が入ったのは Woodland だった。88分カウンターから最後は中村からスルーパスが前線のパクテウォンの通る。Gombak のDFは Bah Mamadou しか残っていない。そして右には Woodland 選手があがり完全に 2対1の形になったがそのままパクがドリブルで持ち込んで放ったシュートは Gombak ネットを揺らした。 朴のドリブルシュートも見事だったが定規で測ったような中村のスルーパスも見事だった。
Gombak のチアーガール達は呆然とWoodland の選手達が喜ぶのを見ている。 Woodland サポーター達の歓声が響く。試合内容では圧倒的に押されていた Woodland だったが得点を挙げたのは劣勢だった Woodland だった。ロスタイムを含めてまだ残り時間は5分あったが気落ちしたか Gombak に挽回する力は残っていなかった。
試合終了後ベンチ前で喜ぶ Woodland の選手達。雨がまた少し降って来た……….. やはりスポーツは生で観戦するのが一番だ。そしてスポーツはどこにでも存在する。 UEFA Champions League も東南アジアのサッカーも同じサッカー。そしてそこには日本人選手もいる。
翌日から高温多湿のシンガポールでまた仕事に精を出した……………??
11月14日。シンガポールのチャンギ空港を夕方に出発したシンガポール航空機は予定時刻より少し早くヴェトナム最大の商業都市ホーチミンのタンソンニャット国際空港に到着した。 11月のヴェトナム南部は乾季に入っていると出発前に聞いたが小雨が降っていた。
タンソンニャット空港はクアラルンプール、バンコック、そしてシンガポールのチャンギ食空港と言った他の東南アジア諸国の空港に負けず劣らず立派な規模のまさに“国際空港”でいよいよ成田空港がかすんでしまう。シンガポールで邦人顧客が
“アジアの近隣諸国がどんどん発展しているので日本が置いて行かれている様に見えてしまう。”と言っていたのを思い出す。
大空港のおかげでパスポートコントロールカウンターも多く、入国もスムースであった。しかし隣のカウンターにいたフィリピン人はなかなか通して貰えず、彼の後に並んでいた人達は次々に空いているカウンターの列の後ろに付き出していた。
荷物のピックアップも時間がかからず、税関の入国審査でも書類荷物をX線装置に通しただけで何も言われずすぐに外に抜けられた。インドネシアのジャカルタならここでわんさと“タクシー!タクシー!”と人が群がってくるのだが、ここではそんな状況ではなく、ガイドブックに書かれていたタクシーカウンターに行き行き先を告げチケットを貰って案内されるがままタクシー乗り場に向かった。これはクアラルンプールの KLIA と同じだ。タクシーが走りだすが雨脚が少し強くなった様だった。時計の針を見ると午後7時少し過ぎ。日本時間は午後9時過ぎ。慌てて家に電話を入れる。すると12歳の息子がすぐに出てきた。
“おい。REDS はどうなった?”
“勝ってる。 2-0 で勝ってる。”
“おぉそうか。今何分だ?あとどれだけ時間残っている?”
“あと5分くらいかなぁ?…ロスタイム入れてもそれくらいかなぁ?….”
“REDSは誰が入れた?“ “永井が1点目で、2点目は…..”
“ワシントンか?それとも達也か?”
“達也は今日出ていない….あっ…今、達也が出てきた。2点目は阿倍が決めた….” “おぉそうか。よかったなぁ。ママは何している?“
“DSでゲームしている……”
テレビ朝日が緊急生中継を慣行してくれたおかげで息子を含めてより多くの人達がこの歴史的瞬間を目にする事が出来たのだ…….. チェックインしたホテルは有難い事に衛星チャンネルが多く受信できてNHKも受信出来た。スポーツニュースで浦和REDSがアジア王者に輝いたニュースもそして試合のダイジェストも観る事が出来た。さいたまスタジアムが赤一色で染まり、子供の時から夢見ていた欧州並みの雰囲気が醸し出されている事に感激した。
私が初めて浦和REDSの試合を観戦したのは1992年12月、天皇杯の準決勝戦のヴェルディ戦であった。場所は国立競技場。家内と一緒にゴール裏で観戦していた。Jリーグの開幕を5か月後に控えて競技場の雰囲気は長年慣れていた日本リーグ時代のそれとは大きく変わっていた。当時は両チームのサポーターはゴール裏では無くバックスタンドのゴールよりにそれぞれ陣取って声援を送り続けていたが、ヴェルディには読売クラブ時代から御馴染であったサンバ隊がまだそこにいて、REDSは熱心な大声援を送り続けスタンドを見ているだけでも楽しかった。
その当時から“うら~わレッズ!!”うら~わレッズ!!” の大声援が聞かれて一緒に観戦した家内からは“なんで浦和っていっているの??”と尋ねられた。
試合はヴェルディが先制し、レッズが連続得点で逆転。そしてキングカズのゴールでヴェルディが追い付く。ゴール後の定番“カズダンス”生で観る事が出来た。そのカズがFKやCKのボールをセットする度に浦和サポーターは大ブーイング。しかし、カズの口元には微笑みさえ浮かび、“俺はこの雰囲気を待っていたんだ。”とでも言いたげだった。 その後試合はREDS が押しまくるが追加点が奪えずゲームはPK戦へ。浦和サポーターの声援むなしくヴェルディがPK戦を制して決勝戦へ駒を進めた。 Jリーグ開幕直前の天皇杯でベスト4に進出したのは前身の三菱自工、三菱重工時代を含めても確か優勝した1978年度以来14シーズンぶりであったのでJリーグでの好成績が期待された。
そして開幕したJリーグ。歴史的な1993年5月15日のマリノス vs ヴェルディ戦(私は幸運にもこの試合を国立で観戦出来た。)の翌日。満員の万博競技場でのガンバ大阪対浦和レッズ戦。試合前の予想では天皇杯ベスト4の浦和が有利。試合は浦和が押す展開に。しかし先制したのはガンバ。ハーフタイム中に照明機が故障して後半の開始が遅くなった事故もあったが後半に入っても優勢に試合を進める浦和。だが1点を返せず、開幕戦を勝利で飾れなかった。それでもホームに帰って仕切り直し、また連勝街道が始まるはず….であったが…. 始まったのは連敗街道。ファーストステージでは鹿島アントラーズに駒場で敗れて目の前で胴上げを拝む羽目に。当時同じ様に連敗を続け再会を争っていた名古屋グランパスにも駒場で 0-5 で大敗し熱狂的なサポーター達からの愛想を突かされ、しまいには川淵チェアマンからチーム力の改善要求を出される始末。当時まだJリーグ入りしていなかった柏や磐田のサポーターである友人は“俺達の方が強い。絶対に強い。今すぐ試合をしてどちらがJリーグでやるかを決めたい。”とまで言っていた。
あれから14年。一時はJ2に陥落する事のあったがチームは着実に強くなりナビスコ杯で優勝を果たし、遂にJリーグでも優勝を。そしてアジア王者の美酒に酔い。他のアジアのクラブチームのサポーター達から“一度は対戦したいクラブチーム。”と言われるようになった。変わらないのはサポーター達の熱い思いだけだろう。
夢は叶う、と言う事実を浦和 REDS が教えてくれたと思う。
そして世界クラブ選手権。ニュージーランドのワイタケレと今回決勝で対戦したセパハンとの試合の勝者と12月10日豊田スタジアムで試合を行い、勝てば横浜国際競技場で12月13日にACミランとの一戦に臨めるが、16~17年前まではそんなこと夢でもなければ実現しなかった。でもその日はママの誕生日なのだよ。世紀の試合をテレビで観戦しよう、我が息子よ……..
それにしてもヴェトナムは蒸し暑い……… 本当に乾季なのでろうか??
立ち上がりREDSのCKのチャンスに闘莉王が上がってきて惜しいシーンが二度立て続けにあった。52分には右サイドをポンテが上がり中にいれたクロスを達也が落として長谷部が撃つと見せかけたところを横に出し走り込んだ闘莉王が強烈なミドルを放つがゴールを捕えられなかった。55分には右サイドを長谷部、啓太と繋ぎ前線のポンテへ。ポンテがまたも中に折り返し中央の達也へ、左サイドから走り込んだ平川に送りダイレクトで放ったシュートはパクジンソプに当たってコーナーへ。
しかし立ち上がりの攻勢の直後、そのCKからカウンターをくらいイタマルに繋がれる。坪井が一旦は追い付き、山田もマークに入るが中に入れられ走りこんできた崔成国がダイレクトでREDSゴールに蹴り込み同点ゴールを許してしまった。そのゴールの裏に陣取る城南サポーター達の乱舞する。そしてスタジアムにはREDSコールが始まる。そして得点前から交替の為にピッチ脇で待機していた金東勲が孫大鍋に替って投入された。金東勲は1st LEG では同点ゴールを決めるなどこれまでACLでは5得点を挙げている。4月にアデレードで観戦したACLの試合でもゴールを決めている。城南は前半同様両サイドバックが上がってきて中盤を支配し始める。REDSは数的優位を作られ前線と中盤が分断され、ボールを奪っても前線にボールが渡らない。何とか阿倍が最終ラインで持ちこたえている。攻撃の糸口は田中達也のドリブル突破に頼るしかなくサイドバックが上がった裏をドリブルで侵入するが大型CBキムヨンチョルが激しい当たりで達也に最後の仕事をさせない。
城南優勢のなか69分逆襲から金相植から闘莉王を背負った金東勲に渡る。金東勲はそのままイタマルに落とし、イタマルが強烈なミドルを放つ。一旦はGK都築が弾くがそのこぼれ球を金東勲が押し込んで城南に逆転されてしまった。このゴール、場内では崔成国のゴールと発表された。城南サポ席は同点ゴール以上のボルテージで狂喜乱舞している。
このゴールで一気に城南が優位に立つ事に。これでREDSがもし次のゴールを先に城南に許すと、あと3点取らねばならなくなる。残り時間は20分、選手交代を含めてREDSベンチはどういう手を打ってくるのだろう。
72分に達也のインターセプトからワシントンに繋ぎ、さぁチャンスと言う時にワシントンが金斗 鉉に倒されFKを得た。そして金斗鉉にはイエローが出される。そして城南ベンチは準備していたDFチョヨンヒョンがMF南基一に替って投入される。そのFKをポンテがゴール前に入れ阿部が落とした所を走り込んだ長谷部が押し込んで鮮やかな同点ゴールが生まれた。リードされた直後の素晴らしいゴールであった。そのゴール裏に陣取るREDSサポーター達からそしてスタジアム中から大声援があがる。この同点ゴールは城南がDF選手を入れた直後だったので同点ゴール以上に大きいものだった。
しかし既に2ゴールを挙げている城南は次の1ゴールは1点以上の価値がある。80分には金東勲が頭で落とした所をイタマルが走り込みマークの坪井と交錯して倒れたが笛はならずにほっと胸をなでおろす。81分にはパクジソプのスルーを受けた崔成国が右からクロスを入れる。中にはイタマルと金東勲の二人が完全にフリーだったが重なってくれていたおかげで金東勲のヘッドはイタマルの背中にあたってゴールには至らなかった。82分には達也がお役目ごめんで永井が投入される。2003年4月ソウルで行われた日韓戦のロスタイムに決勝ゴールを挙げた、その再現を期待する。一方の城南もMFの金斗 鉉を下げてFWのキムミンホを投入する。キムミンホは建国大出身、2005年のデンソーカップではMVPに。この試合にはFC東京の伊野波雅彦も(当時は阪南大)出場していた。中三日で試合をしている REDS は休養充分の城南に対して試合時間が長くなればなるほど苦戦を強いられる。何とか90分で勝負をつけたかっただろうが、90分には右サイドにいた闘莉王がボールを受けるやボールをコーナーに蹴り出して倒れてしまった。故障していた足を痛めたらしい。転倒後すぐにベンチに向けて交替を促す。その闘莉王を近くにいた金東勲が気遣う。替って堀之内が入るが、この負傷退場はその後の厳しさを予感させた。
延長戦に入っても一進一退。そんな中で目立ったが阿倍のディフェンス。交替出場のキムミンホ、そして崔成国の突破を何度も身体を張って防ぐ。特にキムミンホとの激しいワンオンワンは観ていて圧巻だった。そして延長戦を終えても勝負はつかず勝負はPK戦に委ねられる事に… このPK戦のゴールを巡っても試合前に城南サイドからひと悶着あったらしいが、そこは譲らず規定通りホーム側のゴールを使う事に。このピッチ外の激戦を制した事が勝利につながったか…..
PK戦はREDSが5人全員(ポンテ、ワシントン、阿部、永井、平川)が危なげなく決めたのに対し城南は1人目金相植には決められたものの都築はそのコースを読んでおり、二人目崔成国が正面に蹴ったのを都築が弾き出し以降のPK戦を優位にし勝利を導いた。この崔成国のPKの時、よく都築は動きをずらしたと思う。それは崔成国が蹴る前から腕組みをしていたときから決めていたのだろうか……. 最後の平川が右サイドネットを揺らした時、さいたまスタジアムには怒涛の大歓声が湧き上がり浦和REDSの決勝進出が決まった。14年前Jリーグが創設された時に、川淵(当時)チェアマンにチーム力の“改善命令”を出されたチームがJリーグのチームでは初めてACLの決勝戦に進出する事となった。
この試合のREDSのMVPは私は阿倍だと思う。劣勢の時間が長い中、特に試合終盤のピンチの連続をよく凌いだと思う。
対戦相手の城南一和も見事だった。あの中盤での早いパス回しに強い当たり。浦和REDS以外のいくつのJリーグチームが対等に戦えるのだろう…. そして約3,000 人と言われた城南サポーター達。おそらく半分近くは在日か在留の韓国人だろうが、熱戦を引き出すには充分なアウェーチームのサポートだった。
そして赤い大サポーター達…….. 場内一周をするREDSイレブン達を迎えるサポーター達を見て“本当に勝って良かった。”と思った。自分はREDSサポーターで無いけどやはり国際試合では日本のチームには負けてほしくはないと思う。これが欧州、南米あたりだとそうはいかないらしいが…….
競技場の外に出ると時計の針はもう10時半を近くになっていた……
そして少し肌寒さを感じたけど REDS の勝利が寒さをあまり感じさせなかった……..
最後に一言、崔成国よ来シーズン京都が昇格したらぜひサンガに入団してくれ.....