NHKスペシャル「ロッキード事件の真実」のお話は、7月31日に第1回を書いてから、ずっと、ずっと、そのままで忘れていました。
3回連続の作品で、1回、2回は何とか見て、最終回の3回目はほったらかしにしていたのでした。「新たなる真実」が前宣伝ほどでなく、とても「ショボイ真実」で興味を削がれていたのです。
でも、しかし、今年も師走に入り、ここは、やっぱり区切りを付けねばと思い立ち、3回目を見たのでした。
結論から言えば、3回目にやっと、それなりに興味の湧く、やっぱけそうだったのか的真実の一端が当事者から語られていて、見終わって、そうか、そうか、と頷いたのでした。
ロッキード事件は民間旅客機トライスターの売り込みに関する事件ではなく、ロッキードの「対戦哨戒機P3C」、「グラマンの早期警戒機E-2C」の売り込み工作に関わる事件であった事。
本命は当然、児玉ルート21億円であった事、そして、児玉は当時決定されていた、早期警戒期、対戦哨戒機の国産化計画を潰す工作をしていた事。
その裏付けとなる新たに証言が、今回のスクープなのでした。
新証言①
児玉の関係者?子分?で、裏社会に通じていると云うお方が登場して、児玉先生は「国士」として、いろいろな政界工作していた、事件発覚時に関係書類の焼却を命じられ、その際に、書類を垣間見て軍用機に関わる内容だと推測した。
それにしても、この証言者なのですが、“国士”の児玉が、アメリカの企業の手先となり、国産化計画を潰す裏工作をしていた事に疑問は抱かないの?
わたしとしては、そもそも、児玉が「右翼」だったとも、「国士」だったとも、「大物」だったとも思えません。国産化潰しに動いていたとしたら、「国士」でないことだけは確かです。
わたしとしては、あくまでも直感ですが、ローキードからの21億円は政界工作には、ほとんど使われていない、そんな気がするのです。
そもそも、児玉に出る幕は無かったと思うのです。今回、いくつかの新証言がそれを物語っていると思います。
新証言②
当時、東京地検特捜部で児玉ルートを担当していた検事の堀田力は、軍用機P3Cが本命で、児玉ルートの21億円が渡った先は不明、「日本の大きな政治経済の背後で動く闇」があると証言。
新証言③
丸紅ルートの5億円もP3C導入工作だった。全日空のトライスター導入は、5億円の請託前に決定されていた。と、コーチャンと丸紅専務の大久保利春との交渉に立ち会っていた担当が証言。
新証言④
田中の側近、石井一も田中逮捕当時「アメリカ捜査当局から“独自のルート”で情報を集め」その結果、トライスター絡みではなく、P3C絡みと証言。
「P3Cに疑惑が及ばないよう、何か“巨大な圧力”がかかり、田中ひとりに事件を背負わせた」と証言。
また「軍用機を巡る疑惑は、国家体制の基本を揺るがす問題となる、総理大臣1人の罪とはいかなくなる」と語っています。
国家体制の基本を揺るがす問題?総理大臣の田中1人の罪ではすまないとは?巨大な圧力とは?如何なる事かは、石井は語っていません。
わたしとしては、東西冷戦体制下とは云え、表現が、解釈が、とらえ方が、大袈裟では?と思ったりするのです。
当時は55年体制で、自民党と社会党の時代、そして東西冷戦で、自民党政権が倒れ、社会党が政権を執る!と考えたのでしょう。自民党が倒れると、国家が倒れると考えていたのでしょう。
新証言⑤
ロッキード事件発覚当時の、三木内閣で副官房長官でロッキード事件の調査に関わっていた海部俊樹が、「事件を解明できなかったのは残念、軍用機まで関連が持たれると事件の質が変わり、我々の手の及ばない問題となる」と証言。
「軍用機は、軍事に、日米の軍事同盟に、国家関係の問題となり、我々の手の及ばない所となる」と証言。
それにしても、我が日本の、時の政権が、日米関係の重要な問題に、手が及ばないとは、どう云う事なの? 日米関係の重要な問題は誰の手の中にあるの?怖くて云えない?
この怖くて云えない重要な問題は、今でも、怖くて云えないのです。
軍事とエネルギーは見えないところで、誰かが決定しているのです。
原子力政策は日本だけでは決められないのです。原発は止められないのです。たぶん怖いのは、政治生命に関わるだけでなく、ホントに命に関わるみたいです。こんなことを書くと、私の命も危ない!
本日はここまでとします。
次回は、NHKが前宣伝で、新証言!、スクープ!と叫んだ、事件の核心?に触れるアメリカ側の証言となります。
それでは、また。