前回の続きです。
第三回は「恋までの距離」です。
いろいろなカップルの恋の、始まりの、始まりです。
和菓子屋の娘と後輩との、若い二人の恋。
花屋の主人とキャバクラ嬢との、浮気で不倫で、終わりの始まり。
妻を介護する「元刑事秋元英治(小林稔侍)」と、主人を亡くしたカラオケ教師。これも浮気で不倫。
そして、そして、夫を殺した犯人「宗田行介(高橋克典)」と、夫を殺された「柏木冬子(木村多江)」との恋の始まり。
少しずつ、少しずつ、明るい展開になるのですが・・・。
それにしても、です。元刑事の秋本英治がベットに横たわる妻に、「俺はもう疲れたよ。限界だよ悦子!もう、死んでくれないか!?」と云って、首を絞め、もがき苦しむ様子で我に返る。
老々介護に疲れ果てての悲劇の結末。ときおり報道される話です。
後日、英治は疲れ果てた自分への、つかの間の休息として、ご褒美として、行介に家の鍵を預け、カラオケ教師と温泉旅行。
英治が、風呂に入って、食事をして、これからお楽しみ・・・、と、そのとき、行介から悦子の容態が急変したとの知らせ。ドラマとしてよくある展開。
家に戻った英治に、涙を流しつつ、ふりしぼる「あ・・・な・・・た・・・こ・・・ろ・・・し・・・て」と、悦子。
動くことも無く、言葉を発することも無く、ひたすら横たわる3年間の日々、いろいろな意味と思いを込めて、初めて発した言葉が「あなたころして」でした。
3年間無反応だった悦子の、聴覚だけは正常に機能していたのです。英治の「俺はもう疲れたよ。限界だよ悦子!もう、死んでくれないか!?」は聞こえていたのです。
「死んでくれないか」と云われ、首をしめられた事の、身体的、精神的衝撃で、生体反応が刺激され、意識を取り戻した? あるかも知れない。
英治の、悦子の、辛さ、悲しさ、もどかしさ、3年間の思いが、関を切ったように溢れだし、手をとり、抱き合い、涙を流す・・・・・・。
男と女、いろいろな愛のかたち、その場で、一部終始を見つめていたる行介。
それにしても、配役のテロップに「中原ひとみ」と、これまでもあったのですが、えっ!何処に出ていた?と思っていたら、よく見たら悦子が中原ひとみだったのです。
あの可愛らしいお嬢さんが、婆さん役なんて!イメージが壊れます!こういう役で出演するのは、望ましくありません!いゃ、反対です!
それで、思い出したのですが、十数年前だったか? 映画だったか?テレビドラマだったか?あの華麗なる歌手「雪村いずみ」が、惚けたお婆さん役で、うんこを漏らすシーンがあったのです。旦那役が関西の落語家でした。
そういう役は、吉永小百合さんならば、絶対に!やらないと思います。
それで、話はドラマに戻ります。
「恋までの距離」ですが、行介と冬子の距離が、とても、とても、近づくのです。
それで、今回、行介が冬子の夫「ヤミ金の取り立て屋」を殺した経緯が、元刑事の秋本英治によって語られたのです。
行介の勤める会社の社長が、友人の保証人になり、二人が厳しい取り立てにあい、二人ともに命を絶ったのでした。
そんな取り立て屋が、友人の葬儀の場に現れ、香典を取り上げ、奥さんを手込めにする場を目撃し、取り立て屋を壁に突き飛ばし殺害。
冬子の旦那は、こんな悪党だったのです、最低の男です、最低の人間です。何故、冬子は気付かなかったのか、不思議です。
ふつうだと、こんな悪党の奥さんも、かなりの悪党と考えます。でも、人をころしてしまった事で、行介は自分を責めるのです。
もし、もしも、自分が行介だったら、13年間も苦しみません。二人を死に追いやった悪党です。生かしておいたら、これから先、何人もの犠牲者が出るとして、自分の行為をそれなりに正当化する事でしょう。
行介と冬子、二人で小洒落たレストランで食事をして、それなりに距離を縮めて行くのです。
これまでの展開から、行介と冬子の交わす言葉から、行介は、もしかして?冬子は?と思い始めていたとしても、不思議では無いのです。
その後、命日に墓地で、行介と冬子は出くわし、冬子が、殺した男の奥さんと知るのです。
でも、それなりに、ふつう、命日に墓地へ行けば、かなりの確立で家族と鉢合わせは予想できます。
冬子は、たぶん? 行介が墓参りに訪れる事を、それなりに予想していた。いゃ、期待していた?自分から告げるよりも、こう云うかたちでの告白?
冬子も、行介も、それなりに、予想していた、期待していた墓地での出会い?
次回は、冬子の過去が、悪党の旦那との関係が、いろいろな疑問の答えが、それなりに語られる?
それにしても、木村多江は「日本一不幸役が似合う女優」と、云われているそうです。知りませんでした。
木村多江の文字から、「き・む・ら・た・え」読みの響きから、寂しさ、悲しさ、儚さを感じてしまいます。
顔立ちが、とても、とても、不幸を連想させる?
それでは、また。