長かった娘の受験生活もやっと終わり、我が家にもやっと平穏な日々が戻ってきた。私立文系一本だったが、終わってみれば連戦連勝の快挙で、どこに行くのか迷うという贅沢な悩みだった。だが本人曰く受験は不完全燃焼だったそうだ。確かにそれほど勉強していたようにも見えなかったし、難関校になればなるほど難問ばかりで正答率も下がり、できなかったと思っていたのに合格という結果のギャップにも納得がいかなかったのだろう。もともと小学校時代から塾好きだった娘は、きっと学校の授業では寝て、そのあとの塾では集中して、家では携帯かパソコンでリラックスというのが生活のサイクルだったようだ。
それにしてもこの世は不公平に満ちている。地方と首都圏に住むものでは昔ほどではないものの情報量には圧倒的な差があるだろう。そもそも国公立を受ける人間と私立一本の人間では受験科目数が違うわけで、国公立を受けるついでに受ける私立難関校はそう甘くはないだろう。また娘のような私立中高は思い切ったカリキュラムが組めるために、高三ともなれば選択する授業はほぼ受験3科目ばかりだ。そもそもこのような不況の世で私立中高や塾に通える家庭環境も限られるだろう。まぁ恵まれていたものの誰でも出来ることというわけではないので、単なる人生の通過点だと思ってこれからも頑張ってもらいたい。
娘の高校卒業式は延期を重ねたあげく、簡素なものとなったし、大学入学式も延期となった。ちょっとかわいそうな気もしたが、考えてみればこれからの猛暑の夏を節電の環境で受験勉強、就活、そして新社会人をするのはもっと大変だろうし、そう考えればむしろ運が良いのかもしれない。親もこれでやっと子離れができそうだ。そうちょうど生まれた川に戻ってきて最後の大仕事を終えた鮭のような心境でもある。あとは卒業までの授業料を稼ぐことだけか。