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ギリシャ神話あれこれ:パトロクロスの死(続)

 
 パトロクロスはアウトメドンを連れて戦車を駆り、ミュルミドンの軍団を率いてトロイア勢を攻撃する。アキレウスの武具を纏ったパトロクロスの姿を見て、トロイア勢は、ギリシア一の勇将アキレウスがとうとう戻ってきた、と動揺。その恐怖から混乱し、一転、逃げ腰となる。
 こうしてパトロクロスたちは、あっという間にトロイア軍をギリシア船陣から追い払う。燃える火を消し、バラバラになっててんでにあたふたとイリオス都城目指して逃走するトロイア勢を追撃。総大将ヘクトルめがけて突き進み、敵将たちを次々と討ち取っていく。

 このとき、トロイアの友軍リュキアの大将サルペドンが、リュキアの兵士たちよ、恥を知れ! と、リュキア勢を踏みとどまらせ、自身、戦車から降り立ってパトロクロスを迎え撃つ。パトロクロスも神馬たちの戦車から飛び降りた。

 この様子を見ていたゼウス神が嘆く。ああ、我が子サルペドン、いっそ今、生きているまま、故郷リュキアに運んでしまおうか……
 サルペドンはゼウスがエウロペに産ませた子(ミノス、ラダマンテュスの弟)で、人間3世代分の長命を父神から授かっていた。が、彼はパトロクロスに討たれる運命にあり、ゼウスはそれを知っていたのだった。
 ゼウスはこのとき、死を決定された我が子サルペドンのために、血の雨を降らせたという。

 一騎打ちの末に、とうとうパトロクロスの槍がサルペドンを倒す。南無。
 ヘクトルはトロイア勢を撤退させ、王を失ったリュキアの援勢も退却する。サルペドンの亡骸から武具を剥ぎにかかったギリシア勢を見て、ゼウスがアポロン神に命ずる。さあ、サルペドンをタナトス(=死)とヒュプノス(=眠り)に預け、故郷リュキアまで送ってやってくれ、と。

 To be continued...

 画像は、フュースリ「サルペドンをリュキアへと運び去る死と眠り」。
  ヨハン・ハインリヒ・フュースリ(John Henry Fuseli, 1741-1825, Swiss)

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