ラトビアの夏至祭り(続々々々々)

 
 この斜面を、草を分けて真っ直ぐに登れば近いだろうに、「ここからトゥライダ城には行けない」という看板が立っている。
「行けそうに見えるけどね。クマでも出るんだろうか」と相棒がぼやく。
 でも、地元の看板にそうと言われれば致し方ない。さらに車道を登って、ようやく博物館保護区へとたどり着いた。トゥライダとは、リーヴ人の言葉で“神の庭”という意味なのだとか。

 景観に配慮された、とにかく広い緑の公園。雨に降られた分、時間の余裕がないので、目的は古城! と限定した私たち、ちょっとの休息の後、古城目指して再び歩く、歩く。
 なのに道は逸れていき、訳の分からない彫刻の並ぶ「歌の丘」へと行き着いた。う~む……

 素直に引き返して別の道を行くと、今度は無事トゥライダ城へ。
 トゥライダ城は赤レンガでできた13世紀の古城。やがて現われたのは、とんがり屋根帽子を頭に乗っけた、どーんとのっぽな塔。立ち止まり、ポーッとなって見上げていると、相棒が笑う。
「チマルさん! どうしてそんなに塔が好きなの。塔を見ると幸せになれるなんて、幸せな人だねえ」

 私は塔を見るだけでも十分満足なのだけれど、さらに相棒は、登れるものなら登ろうとする。この人は、高いところには登りたがり、低いところには潜りたがり、狭いところには入りたがる。
 で、何はともあれとにかく登る。螺旋階段をハアハア言いながら、一気にてっぺんまで登り切ると、展望が開け、眼下に広がるのは360度のガウヤ渓谷の緑の森。
「ああ、緑しかない。僕、ここに住もうかなあ!」と相棒が感嘆する。

 そう言いながらも、蚊が大嫌いな相棒、肌やら服やらにせっせと虫除けを塗りたくる。

 To be continued...

 画像は、スィグルダ、クリムルダ城址。

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