ラトビアの夏至祭り(続々々々々々々)

 
 爺さんは嬉しそうに、なんのかのと説明を始める。曰く、今夕はトゥライダの夏至祭なのだ。“ロータ”というフォークロアのグループの主催で、この博物館区の、ちょうどこの丘で開催される。今はその準備中で、7時には始まる。云々。
 相棒と私は顔を見合わせた。夏至祭? こりゃ、始まるまでここで見てなくちゃだめかな。

 婆さんの一人がニコニコと、私に野の花の花束を持ってきた。白と黄と紫の素朴な花々で編まれた婆さんたちの花冠は、この花束にある花々の類でできているらしかった。
 これで花輪を編め、ということかな? 横で、別の婆さんたちが歌いながら花輪を編んでいるので、見よう見真似で試みたのだが、どうも上手くいかない。

 向こうに女の子が一人、多分、いずれの婆さんかの孫娘なのだろう、黄色と赤紫の花の冠をかぶって、婆さんたちに混ざって座っている。ラトビアの女の子は何気に美しい。

 私はその子のところに行って、手振りで、編み方を教えて、と頼んでみた。
 女の子は恥ずかしそうに、けれども素直に、ウン、とうなずいて、教えてくれようとする。が、編み始めにコツがあるらしい、花々を手にして考え込んでいる。

 すると、こちらは頭に花冠ではなく、裾に襞飾りのあるナイトキャップのような小さな農婦帽をかぶった婆さんがやって来た。他の花冠の婆さんたちが全体に大きな輪になって座って、銘々に花輪を編んでいるなか、この農婦帽の婆さんは立ったまま、その大きな輪のなかを、老人らしいゆっくりとした足取りで、あちらへ、こちらへと歩いてまわっているのだった。
 農婦帽の婆さんは、花々をもう一掴み持って来て、私の足元にどさりと放り落とすと、こうやって編むのだ、こう、次にこう、と教えてくれながら、紐と、時折ナイフとを使って、花を加えながらどんどん編んでゆく。

 To be continued...

 画像は、トゥライダ教会。

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