チロルの古都(続々々々々々々々)

 
 でもまあ、難しいことは抜きに、チロルを楽しめる博物館だった。

 博物館だけあって、時代、分野とも雑多な展示。先史時代の考古学的遺品や、中世のロマネスク・ゴシック美術品など、あまり興味はないんだけれど、チロル地方に特化したローカル性が結構楽しい。
 おまけに、このときの企画展のテーマが、チロルの英雄、アンドレアス・ホーファーだったので、隅々までホーファーだらけの一角まであった。

 絵画もまた、チロルにちなんだ絵が、ルネサンス以前から現代まで、一通り揃えてある。絵画目当てに訪れた人でも、十分に満足できる内容。特に、チロルの画家として有名なアルビン・エッガー=リエンツ(Albin Egger-Lienz)の絵が多数あった。ウィーンにあると思い込んでいた彼の代表作「死の舞踏」を、ここで観れたのはラッキー。
 エッガー=リエンツの他にも、アルペンスキーの絵をよく描いたアルフォンス・ヴァルデ(Alfons Walde)や、チロルの風俗を取り上げたフランツ・フォン・デフレッガー(Franz Von Defregger)、テオドール・フォン・ヘルマン(Theodor von Hörmann)など、秀逸なものばかり。美術館として合格。

 大聖堂(聖ヤコブ教会)を見忘れていたので、旧市街へと戻る。大聖堂では、パイプオルガンのレッスンの最中。ここの中央祭壇にはルーカス・クラナッハ「聖母子像」があるのだけれど、この祭壇画、小さすぎるし遠すぎるしで、よく見えない。
 インド人の団体客が来ていて、好奇心旺盛な子供たちがちょこまか歩き回っている。で、子供たちが祭壇のポールに触ると、大人たちも集まってきて、みんなで珍しげに触っている。その光景を撮ろうとしていたら、そこから一人戻ってきた初老の男性が、気を利かせて立ち止まってくれた。
 ……インド人たちを撮ろうとしてたのにね。

 To be continued...

 画像は、インスブルック、チロル州立博物館。

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