描き初め

 
 今年は絵を描けるだけ描いて、上達させようと決意。やる気も出てきた。
 相棒が、あと一年で仕事をやめてやる、と言い出した。以前から言ってたことなんだけれど、でも、なんだか本気そう。で、世界スケッチ漫遊計画が、俄かに現実味を帯びてきたというわけ。

 描き初めは、坊の学校が始まる日に、と決めて、それまでは冬休み気分で、のべ~ん、と過ごしていた。さて、いざ当日となると、夜半からの頭痛がひどくなっている。仕方がないから、その日一日、うなされながら寝ていた。のっけからダウン。幸先悪いかも。
 翌日、まだ頭痛を引きずっていたけど、絵でも描いてたら、却って治るかも、と思って、以前デッサンしておいたのを、油彩でごにょごにょと描き始めた。
 
 寒いけど、換気のために窓を開けて、イーゼル立てて。お気軽お手軽な自分をモデルに、姿見に映して。
 私は眼が悪いので、絵を描くときには眼鏡をかける。コンタクト・レンズは、怖いから使わない。で、顔は、あとでもっと描き込むつもりで、大雑把に描いておいた。

 描写力の問題もあるが、大雑把に描いたせいか、実物よりも随分若くなってしまった。ま、10歳は若い。私は化粧しないから、よく分からないが、上手く化粧すれば、多分こんな感じ。
 それほど大きくズレてるってわけじゃない。が、自分を実物よりも美人に描くって、ちょっと気まずい。ま、これからどんどん描き足せばいいや、と思って、その日のところは、乾くまでそのままにしておいた。
 
 ところが、その夜、仕事帰りにコーヒーを飲みにうちに立ち寄った相棒、この絵に一目惚れしてしまった。
「いいねえ、これ。買うよ」
 おいおい、これ、まだ私じゃないんだけど。
「いいよ、いいよ、このままで。こっちのほうが美しいよ。このまま描き上げてよ」
 おーい。

 こういうのって、どうなんだろう。確かに絵には、さほど美しくないものも美しく表現できる特権があるけれど、自分を実物よりキレイに描くって、なんだかなー。
 こうして、なんだかんだで、私の、世界スケッチ漫遊計画を賭けた絵画修行の一年が始まったのだった。ちゃんちゃん。

 画像は、実物よりも美人の自画像、まだ制作途中。
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