チエちゃんの昭和めもりーず

 昭和40年代 少女だったあの頃の物語
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第96話 ほたる

2007年08月03日 | チエちゃん
 夏休みの楽しみの一つ、それは蛍狩り。

お風呂から上がって、パジャマに着替えたチエちゃんとたかひろ君は、団扇を片手に虫かごを首にぶら下げ、おばあちゃんと村道へ降りました。

  ほ~ほ~ ほたるこい
     あっちの水は にがいぞ
     こっちの水は あまいぞ

       ほ~ほ~ ほたるこい
       ほ~ほ~ 山道こい
  
     ほたるのおとさん 金持ちだ
     どうりでおしりが ぴかぴかだ

       ほ~ほ~ほたるこい 山道こい
       昼間はくさばの つゆのかげ
       夜はぼんぼん 高提灯
       天ぢくあがりしたれば
       つんばくらにさらわれべ

     ほ~ほ~ ほたるこい
     あっちのみずは にがいぞ

     ほ~ほ~ ほたるこい
     こっちのみずは あまいぞ

       ほ~ほ~ ほたるこい

 始めのうちは、蛍など何処にいるのかと思えるほどの暗闇です。
足元を照らしていた懐中電灯を消すと、田んぼの方で、明滅する光がフワフワと舞っていることに気が付きました。
 すると、たちまち、チエちゃんたちの周りでも、光が舞い始めました。
田んぼ沿いの村道を歩いて、道端の草むらで光っている蛍を捕まえ虫かごに入れました。
露のついた草も合わせて虫かごに入れ、放つ光に蛍がそこにいることを確かめたものです。
時々、おまけのコクワガタタマムシも捕まえることが出来ました。
こうして、数匹の蛍を捕まえ、満足したチエちゃんたちは家に戻ります。

虫かごを寝室に持ち込み、暗がりの中で、蛍を鑑賞したチエちゃんは、
「そうだ、いいことを思いついた。」
虫かごをそっと開け、蚊帳の中に蛍を放ちました。
蚊帳にとまった蛍の明滅をロマンチックな気分で、楽しみながら眠りについたのでした。